ロコモ立ち上がりテスト|手順・判定・記録

評価
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ロコモ立ち上がりテストは「判定条件」をそろえる評価です

ロコモ立ち上がりテストは、台から立ち上がれるかを確認し、下肢筋力低下の入口を短時間で把握する評価です。現場で重要なのは、点数やロコモ度だけを見ることではなく、台高・反動・上肢使用・ 3 秒保持の条件をそろえ、同じ条件で再評価できる形に残すことです。

この記事では、ロコモ立ち上がりテストの手順、判定の早見、よくある失敗、記録例までを 1 ページで整理します。ロコモ度の最終判断は、立ち上がりテスト単独ではなく、 2 ステップテストやロコモ 25 と合わせて確認してください。

判定の早見|立ち上がりテストで何を見るか

立ち上がりテストは、 40 / 30 / 20 / 10 cm の台を用い、両脚または片脚で立ち上がれるかを確認します。判定では「どの高さから」「両脚か片脚か」「反動なしで 3 秒保持できたか」をそろえて記録します。

ロコモ度は 3 つのロコモ度テストの結果をもとに、該当した段階のうち最も進行した段階で判断します。立ち上がりテストだけで断定せず、 2 ステップテストやロコモ 25 の結果も合わせて見てください。

ロコモ度判定における立ち上がりテストの目安
区分 立ち上がりテストの目安 臨床での読み方
ロコモ度 1 の目安 どちらか一方の脚で 40 cm の台から立ち上がれないが、両脚 20 cm は可能 移動機能低下の入口。運動習慣、下肢筋力、疼痛の有無を確認する。
ロコモ度 2 の目安 両脚 20 cm の台から立ち上がれないが、両脚 30 cm は可能 移動機能低下が進行。疼痛や ADL 低下があれば医療連携も検討する。
ロコモ度 3 の目安 両脚 30 cm の台から立ち上がれない 社会参加への影響が大きい段階。安全確保と包括的な介入計画を優先する。

A4記録シート|条件固定と再評価に使う

ロコモ立ち上がりテストは、台高・反動・左右差・疼痛の記録がそろっていると、再評価時の比較がしやすくなります。以下の A4 記録シートは、評価日、台高、成功可否、代償動作、疼痛、中止理由、次回比較メモを 1 枚で残せる形式です。

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図版で確認|判定がブレる 3 条件

立ち上がりテストでは、台高、反動の有無、立位保持、左右差や疼痛の記録をそろえることで、結果の比較がしやすくなります。まずは以下の図版で全体像をつかんでから、実施手順と記録ポイントを確認してください。

ロコモ立ち上がりテストで判定がブレる 3 条件を整理した図版。台高を固定する、反動なしと 3 秒保持を確認する、左右差と疼痛を記録する、の 3 点を示している。
図:ロコモ立ち上がりテストで判定がブレやすいポイント

実施手順|反動なし・ 3 秒保持をそろえる

実施前に、台高、上肢使用、声かけ、試行順、介助者の位置をそろえます。基本は両脚 40 cm から確認し、できた場合は片脚 40 cm、できなかった場合は両脚 30 cm へ進みます。転倒リスクや膝痛がある場合は無理に継続せず、中止または別評価に切り替えます。

判定は「立ち上がった瞬間」ではなく、反動をつけずに立ち上がり、そのまま保持できたかまで含めて見ます。成功/失敗だけでなく、体幹前傾、膝折れ、左右差、疼痛、ふらつきも一緒に残すと、介入内容を決めやすくなります。

立ち上がりテスト前に固定する条件
確認項目 そろえる内容 記録のポイント
台高 40 / 30 / 20 / 10 cm のどれで行ったか 「片脚 40 cm 右不可」「両脚 20 cm 不可」など高さと脚条件を併記する。
反動 反動をつけずに立ち上がる 反動ありで立てた場合は、主判定とは分けて補助情報として残す。
保持 立位を 3 秒保持できるか 立てても保持できない場合は失敗扱いにするか、施設内ルールを統一する。
疼痛・ふらつき 膝痛、股関節痛、転倒リスクを確認 痛みが出る場合は無理に低い台へ進めず、中止理由として残す。

現場の詰まりどころ|反動・台高・左右差で結果がブレる

ロコモ立ち上がりテストで最も多い詰まりは、評価そのものの難しさではなく、条件のゆらぎです。反動ありを成功にする、 20 cm と 30 cm を取り違える、片脚の左右差を記録しない、という 3 点があると、再評価で変化を判断できなくなります。

評価・記録の型を職場でそろえたい方へ

手順を整えても毎回同じところで迷う場合は、個人の知識だけでなく、教育体制・共通フォーマット・相談相手の有無などの影響を受けていることがあります。評価や記録の学び方を整理したい方は、PT キャリアガイドも参考になります。

PT キャリアガイドを見る

よくある失敗|成功・失敗だけで終わらせない

立ち上がりテストで起きやすい失敗と対策
失敗パターン 問題点 対策
反動ありを成功扱い 下肢筋力ではなく勢いで達成している可能性がある。 反動なしを主判定にし、反動ありは補助情報として別記録にする。
台高の混同 20 cm、 30 cm、 40 cm の違いでロコモ度の解釈が変わる。 台にラベルを貼り、測定前に「台高」と「両脚/片脚」を声に出して確認する。
左右差を残さない 片脚機能の偏り、疼痛、膝の不安定性を見逃しやすい。 右/左それぞれの成功可否、代償動作、疼痛を分けて記録する。
立てた瞬間だけで判定する 立位保持が不安定でも成功扱いになり、転倒リスクを過小評価しやすい。 立ち上がり後の 3 秒保持、ふらつき、介助の有無まで確認する。

回避の手順|測定前に 5 点だけ確認する

  • 台高を確認する( 40 / 30 / 20 / 10 cm )
  • 両脚か片脚かを確認する
  • 反動なしで行うことを説明する
  • 立ち上がり後に 3 秒保持できるかを見る
  • 成功/失敗に加えて、疼痛・ふらつき・代償動作を記録する

再評価では、靴、時間帯、休息時間、声かけ、介助者配置もなるべくそろえます。前回と条件が違う場合は、数値やロコモ度だけを比較せず、「条件変更あり」と明記してください。

記録例|次の介入につながる書き方

記録は「何 cm で立てたか」だけでなく、左右差・疼痛・代償動作・中止理由を残すと実用的です。特に片脚テストでは左右差が出やすいため、右と左を分けて書くと介入方針につなげやすくなります。

ロコモ立ち上がりテストの記録例
場面 記録例 次に見ること
片脚 40 cm が困難 片脚 40 cm:右不可、左可。右立脚時に膝内側痛あり。両脚 20 cm は反動なしで 3 秒保持可能。 疼痛、右下肢支持性、階段昇降、片脚立位を確認する。
両脚 20 cm が困難 両脚 20 cm:反動なしでは不可。両脚 30 cm は可能。立ち上がり時に体幹前傾過多、手すり把持欲求あり。 立ち上がり動作、膝伸展筋力、転倒歴、ADL 低下の有無を確認する。
疼痛で中止 両脚 30 cm 実施時に右膝痛 NRS 6/10 出現。以後の低台試行は中止。疼痛誘発動作として記録。 疼痛評価、医療連携、低負荷評価への切り替えを検討する。

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

立ち上がりテストだけでロコモ度を決めてもよいですか?

単独で断定しない方が安全です。ロコモ度は、立ち上がりテスト、 2 ステップテスト、ロコモ 25 の結果を合わせて判断します。立ち上がりテストは下肢筋力の把握に強い一方、歩行能力や生活上の困りごとは別の評価も必要です。

反動で立てた場合は成功ですか?

公式の手順では、反動をつけずに立ち上がることが前提です。反動ありで立てた場合は、主判定とは分けて「反動ありなら可能」と補助情報として記録すると、再評価で比較しやすくなります。

痛みがある対象にも実施してよいですか?

膝痛や股関節痛が強い場合、無理な実施は避けます。テスト中に膝の痛みが出る場合は中止し、疼痛評価や他の低負荷評価へ切り替えます。疼痛で中止した場合も重要な評価結果として記録します。

ロコモ度 3 の目安は何ですか?

立ち上がりテストでは、両脚 30 cm の台から立ち上がれない場合がロコモ度 3 の目安です。ただし、最終的なロコモ度は 2 ステップテストやロコモ 25 も含めて、最も進行した段階で判断します。

再評価はどのくらいの間隔で行いますか?

介入内容によりますが、 2 〜 4 週間ごとに同条件で再評価すると変化を追いやすいです。前回と靴、時間帯、声かけ、休息時間が変わった場合は、条件の違いを記録に残してください。

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参考文献

  1. 日本整形外科学会. 立ち上がりテスト(ロコモONLINE). https://locomo-joa.jp/check/test/stand-up
  2. 日本整形外科学会. ロコモ度判定方法(ロコモONLINE). https://locomo-joa.jp/check/judge
  3. 日本整形外科学会. 2ステップテスト(ロコモONLINE). https://locomo-joa.jp/check/test/two-step
  4. 日本整形外科学会. ロコモ25(ロコモONLINE). https://locomo-joa.jp/check/test/locomo25

著者情報

rehabilikun

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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