- 舌苔スコア( TCI )の評価方法|9 分割と記録の型
- TCI 記録シート PDF
- TCI は舌苔の付着を 9 分割で点数化する評価
- TCI を使う場面は「口腔ケアの優先度」を決めたいとき
- TCI は 5 分フローで採点するとブレにくい
- 採点方法は 9 区画を 0 / 1 / 2 点で見る
- 計算は「合計点 ÷ 18 × 100」で % にする
- 解釈は 50% を目安にしつつ前後差を見る
- 現場の詰まりどころは「条件がそろわないこと」
- よくある失敗と統一ルール
- 前後比較は「ケア前・ケア後・次の食前」で見る
- 症例で見る TCI の読み方
- 在宅では「同じ時間・同じ言葉・同じ手順」で共有する
- よくある質問(FAQ)
- 次の一手
- 参考文献
- 著者情報
舌苔スコア( TCI )の評価方法|9 分割と記録の型
舌苔スコア( TCI:Tongue Coating Index )は、舌背を 9 区画に分け、各区画を 0 / 1 / 2 点で評価して口腔衛生状態を見える化する指標です。この記事では、9 分割の見方、計算式、50% の解釈、口腔ケア前後の記録方法を、臨床でそのまま使える形に整理します。
本記事で決めるのは、「どこを見て、何点を付け、ケア前後でどう記録するか」です。口腔機能低下症全体の診断や嚥下障害の精査は親記事に任せ、ここでは TCI の採点と記録運用に絞ります。
TCI 記録シート PDF
TCI を現場で使うときは、9 分割の採点、合計点、TCI( % )、ケア前後の変化を同じ紙面で残すと共有しやすくなります。以下の A4 記録シートでは、ケア前・ケア後・次の食前を並べて記録できるため、単回の改善だけでなく再付着の速さも確認できます。
病棟・施設・訪問で使う場合は、まず「測定タイミング」「乾燥の有無」「残存部位」を同じ言葉で記録します。点数だけでなく、どの部位に舌苔が残るかを残すと、保湿・清掃手技・道具選定の見直しにつなげやすくなります。
TCI 記録シート(A4・1枚)
9 分割採点、合計点、TCI( % )、ケア前後・次食前の比較、残存部位、調整内容を 1 枚で記録できます。
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TCI は舌苔の付着を 9 分割で点数化する評価
TCI は、舌苔の有無や厚さを「見た印象」だけで終わらせず、9 区画ごとに点数化して共有しやすくする評価です。舌苔は細菌、剥離上皮、食渣などが舌背に付着したもので、口腔衛生、口臭、口腔乾燥、舌運動の低下などと合わせて観察します。
臨床では、TCI 単独で全てを判断するのではなく、口腔乾燥、嚥下状態、食事状況、清掃手技、介助者の違いとセットで見ます。特にリハ場面では、摂食前ケアの優先度や、口腔ケア後にどの程度変化したかを説明しやすくなります。
TCI を使う場面は「口腔ケアの優先度」を決めたいとき
TCI は、舌苔が目立つかどうかを確認するだけでなく、口腔ケアの頻度・方法・再評価タイミングを決めるときに役立ちます。特に、誤嚥性肺炎リスク、口腔乾燥、摂食前ケア、家族介助の質を確認したい場面では、点数と残存部位をセットで記録します。
| 場面 | ねらい | 見る変化 | 次アクション例 |
|---|---|---|---|
| 病棟・施設 | 口腔衛生状態の把握 | 舌苔の範囲、乾燥の有無 | 清掃手順、保湿、摂食前ケアを見直す |
| 誤嚥リスク例 | ケア優先度の判断 | 後方舌苔、再付着の速さ | 口腔ケア頻度、専門職連携を調整する |
| 訪問・在宅 | セルフケア・家族介助の確認 | 前後差、介助者によるブレ | 道具選定、手順化、記録フォーマットを共有する |
TCI は 5 分フローで採点するとブレにくい
TCI は、観察条件をそろえてから採点し、合計点と % を併記する流れにすると再現性が上がります。先に「ケア前」「ケア後」「次の食前」のどの時点を測るかを決めておくと、点数の意味が共有しやすくなります。
| 手順 | 見ること | 記録すること | ブレを減らすコツ |
|---|---|---|---|
| 1. 条件をそろえる | 姿勢、照明、食前・食後、ケア前後 | 測定タイミング | 毎回同じ条件で見る |
| 2. 舌背を 9 分割する | 前方・中央・後方、右・中央・左 | 残存部位 | 中央から左右に広げて確認する |
| 3. 0 / 1 / 2 点で採点 | 舌苔なし、薄い、厚い | 各区画の点数 | 色だけでなく厚さを優先する |
| 4. 合計点と % を出す | 最大 18 点 | 合計点、TCI( % ) | 合計点も併記する |
| 5. 次のケアを決める | 残る部位、再付着の速さ | 保湿、清掃手技、道具 | 次食前まで追う |
採点方法は 9 区画を 0 / 1 / 2 点で見る
採点は「舌苔なし=0 点」「薄い舌苔=1 点」「厚い舌苔=2 点」で行います。迷いやすいのは、乾燥で白く見える場合と、薄い舌苔を 1 点にするか 2 点にするかです。まず湿潤状態を整え、厚さを優先して判断します。
| 点数 | 状態 | 現場での言い換え | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 0 点 | 舌苔なし | 赤い舌背が見える | 乾燥で白く見える場合は再確認する |
| 1 点 | 薄い舌苔 | うっすら白いが舌背が見える | 迷った薄い膜は 1 点に寄せる |
| 2 点 | 厚い舌苔 | 白〜黄白で厚く、舌背が見えにくい | 色だけで 2 点にしない |
計算は「合計点 ÷ 18 × 100」で % にする
TCI は、9 区画の合計点を最大 18 点で割り、100 をかけて算出します。ただし、現場共有では % だけでなく、合計点も残すと理解しやすくなります。例として「TCI 50%」だけでなく「9 / 18 点」と書くと、再評価時の差が追いやすくなります。
| 合計点 | TCI( % ) | 見方 | 記録メモ例 |
|---|---|---|---|
| 6 / 18 点 | 約 33% | 薄い舌苔が散在 | 中央〜後方に薄く残存 |
| 9 / 18 点 | 50% | 口腔衛生状態不良の目安 | ケア優先度を上げて再評価 |
| 12 / 18 点 | 約 67% | 厚い舌苔が広範囲 | 保湿・清掃手順・頻度を見直す |
解釈は 50% を目安にしつつ前後差を見る
TCI 50%(9 / 18 点)以上は、口腔衛生状態不良を考える目安になります。ただし、TCI は単回の数字だけで終わらせるより、ケア前後の変化と、次の食前にどの程度戻るかを見るほうが実務で使いやすいです。
たとえば、ケア直後に 12 点から 7 点へ下がっても、次の食前に 10 点へ戻る場合は、清掃手技だけでなく乾燥、就寝前ケア、介助方法、食事残渣の影響を再確認します。点数を下げることだけでなく、再付着しにくい状態を作ることが介入目標になります。
現場の詰まりどころは「条件がそろわないこと」
TCI が現場でブレる最大の原因は、採点基準そのものよりも、観察条件・タイミング・記録語の不統一です。先に失敗パターンを共有しておくと、口腔ケア前後の変化がチームで使えるデータになります。
同じところで毎回つまずく場合は、環境要因も点検しましょう。
手順を整えても記録や再評価が続かない場合は、教育体制、共通フォーマット、相談相手の有無などが影響していることがあります。評価・記録・報告の型を整理したい方は、PT キャリアガイドも参考になります。
よくある失敗と統一ルール
TCI は、迷った場面のルールを先に決めておくとチーム内の点数差が小さくなります。特に、乾燥、薄い膜、後方の観察、ケア直後の過大評価はブレやすいポイントです。
| 迷い | 起きやすい理由 | 統一ルール | 記録ポイント |
|---|---|---|---|
| 白いが舌苔か乾燥か迷う | 乾燥で舌背が白く見える | 保湿後に再観察する | 乾燥あり・なし |
| 薄い膜を 1 点か 2 点で迷う | 厚さの判断が主観的になる | 薄く舌背が見える場合は 1 点に寄せる | 迷った区画 |
| 後方が見えにくい | 舌突出が弱い、嘔吐反射がある | 無理に奥まで入れず、見える範囲と条件を記録する | 観察困難部位 |
| ケア直後だけ良く見える | 短期反応だけを見ている | ケア後に加えて次の食前も評価する | 再付着の速さ |
前後比較は「ケア前・ケア後・次の食前」で見る
TCI を介入に使うなら、ケア直後の改善だけでなく、次の食前まで追うのが重要です。直後に下がってもすぐ戻る場合は、乾燥、就寝前ケア、清掃圧、道具、介助者の違いを調整します。
| 測定タイミング | 見ること | 判断 | 次の調整 |
|---|---|---|---|
| ケア前 | 舌苔の範囲、厚さ、乾燥 | ケア優先度を決める | 保湿、清掃道具、介助量 |
| ケア後 | 短期的にどこまで下がるか | 手技の反応を見る | 残る区画を重点的に見直す |
| 次の食前 | 再付着の速さ | 維持できているかを見る | 頻度、就寝前ケア、保湿を調整する |
症例で見る TCI の読み方
症例では、単回の TCI 低下よりも「どの部位が残り、次の食前にどれだけ戻るか」を見ます。以下は、ケア前後と次食前で TCI を追い、保湿と清掃手順を調整した例です。
| 日 | 測定タイミング | 合計点 | TCI | 所見 | 対応 |
|---|---|---|---|---|---|
| Day 1 | ケア前 | 11 / 18 点 | 61% | 中央〜後方に厚い付着、乾燥あり | 保湿後に舌清掃、軟毛ブラシへ変更 |
| Day 1 | ケア後 | 7 / 18 点 | 39% | 直後は改善、後方に薄く残存 | 次の食前で再評価 |
| Day 2 | 次の食前 | 9 / 18 点 | 50% | 後方に再付着あり | 就寝前保湿を追加 |
| Day 3 | 次の食前 | 6 / 18 点 | 33% | 再付着が軽減 | 現行手順を継続し週次モニタへ移行 |
この症例の読み方
- ケア後だけで判断しない:直後に改善しても、次の食前で戻る場合があります。
- 残る部位を見る:後方・中央など、再付着しやすい部位が次の調整点になります。
- 安定して下がるかを見る:単回の低下より、2〜3 日で再付着が鈍るかを重視します。
記録テンプレ(コピペ用)
TCI:ケア前 ____ / 18 点( ____ % )/ケア後 ____ / 18 点( ____ % )/次の食前 ____ / 18 点( ____ % )
乾燥:あり・なし 残存部位:前方・中央・後方(右・中央・左)
本日の調整:保湿頻度/清掃手技/道具変更/介助方法/次回評価タイミング
在宅では「同じ時間・同じ言葉・同じ手順」で共有する
在宅では、介助者や道具が日によって変わるため、TCI の点数よりも条件の統一が重要です。「朝食前」「保湿後に清掃」「残存部位を同じ言葉で書く」の 3 点をそろえると、家族や訪問スタッフ間で共有しやすくなります。
| 場面 | NG(ブレる) | OK(安定する) | 記録ポイント |
|---|---|---|---|
| 測定タイミング | 食前・食後が日によって混在 | 毎回「朝食前」などに固定 | 実施時刻 |
| 介助方法 | 家族ごとに清掃手技が異なる | 保湿→清掃→再評価の順に統一 | 介助者名 |
| 乾燥対応 | 清掃だけで保湿を省略する | 乾燥が強い日は保湿後に見る | 乾燥あり・なし |
| 評価の見方 | 合計点だけを見る | 残存部位も書く | 前方・中央・後方 |
在宅記録テンプレ(コピペ用)
TCI:朝食前(ケア前)____ / 18 点( ____ % )/ケア後 ____ / 18 点( ____ % )/翌朝食前 ____ / 18 点( ____ % )
乾燥:あり・なし 残存部位:前方・中央・後方(右・中央・左)
介助者:本人・家族(続柄)・スタッフ 調整:保湿頻度/道具/手技/実施時間
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
TCI はどのくらいの頻度で観察すべきですか?
口腔ケアの手順を見直している時期は、まず「ケア前」「ケア後」「次の食前」を同じ条件で記録すると変化が追いやすいです。状態が安定してきたら、施設や在宅の運用に合わせて頻度を調整します。
TCI が 50% 以上なら何を優先しますか?
まず乾燥の有無を見て、保湿を整えたうえで舌清掃の方法・頻度・道具を確認します。TCI は口腔衛生状態不良の目安になりますが、摂食状況、嚥下状態、発熱、痰、口腔乾燥なども合わせて判断します。
白く見える部分が舌苔か乾燥かわかりません
乾燥が強いと舌背が白く見えることがあります。保湿後に再観察し、舌苔の厚さや残存部位を確認します。迷った場合は「乾燥あり」「保湿後に再評価」と記録して、次回も同じ条件で見ます。
ケア直後は改善するのに、すぐ戻る場合はどう見ますか?
再付着が早い場合は、清掃直後だけで判断せず、次の食前を再評価します。戻りやすい部位、就寝中の乾燥、介助手順、保湿頻度、食事残渣の影響を確認し、次のケア計画に反映します。
次の一手
- 全体像に戻る:口腔機能評価の全体像を確認する
- 嚥下評価までつなげる:嚥下評価ワークフローを確認する
参考文献
- Minakuchi S, Tsuga K, Ikebe K, Ueda T, Tamura F, Nagao K, et al. Oral hypofunction in the older population: Position paper of the Japanese Society of Gerodontology in 2016. Gerodontology. 2018;35(4):317-324. doi: 10.1111/ger.12347(PubMed: 29882364)
- Okawa J, Hori K, Izuno H, Fukuda M, Ujihashi T, Kodama S, et al. Developing tongue coating status assessment using image recognition with deep learning. J Prosthodont Res. 2024;68(3):425-431. doi: 10.2186/jpr.JPR_D_23_00117(PubMed: 37766551)
- Hatanaka Y, Ogami K, Iwasaki M, Ogawa T, Takasaki Y, Abe S, et al. Regular Oral Health Management Improved Oral Function in Older Dental Outpatients with Oral Hypofunction. Int J Environ Res Public Health. 2022;19(4):2154. doi: 10.3390/ijerph19042154(PubMed: 35206410)
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


