上田式 12 段階と BRS の違い|比較・使い分け・記録例

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上田式 12 段階と BRS の違いは「目的」で決まる

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結論:ブルンストロームステージ( BRS )は回復段階の大枠を共有する評価、上田式 12 段階片麻痺機能テストは小さな変化を追跡する評価です。どちらが優れているかではなく、申し送りで共有したいのか、介入反応を細かく見たいのかで使い分けます。

この記事では、上田式 12 段階と BRS の違いを、比較表、5 分フロー、換算 NG、記録例の順に整理します。評価手順の全文掲示ではなく、臨床で迷いやすい「どちらを使うか」「どう記録するか」に絞って解説します。

まず違いを比較表で整理する

最初に見るべき違いは、段階数そのものではなく臨床での役割です。BRS は回復段階の大枠を共有しやすく、上田式 12 段階は短期間の微差を拾いやすい評価です。

カンファレンスや申し送りでは BRS、介入反応や経過追跡では上田式 12 段階というように、目的を分けると評価結果を使いやすくなります。

上田式 12 段階と BRS の違い(臨床で迷わないための比較)
観点 BRS 上田式 12 段階 臨床での使い方
段階の粒度 6 段階 12 段階 大枠共有は BRS、微差追跡は 12 段階
主な目的 回復段階を短時間で共有する 回復過程の細かな変化を追う 申し送りと経過追跡で役割を分ける
評価の考え方 共同運動から分離運動への回復段階を見る BRS の考え方を土台に細分化して見る 同じ方向性を、異なる粒度で見る
向いている場面 初期評価、カンファ、申し送り 短期追跡、介入反応、研究的記録 チーム共有は BRS、変化の記録は 12 段階
注意点 段階だけでは条件差が残る 細かい分、評価条件のズレが影響しやすい 体位・指示・促通・疲労を併記する

5 分で決める使い分けフロー

迷ったときは、先に「何を決める評価か」を決めます。共有が目的なら BRS、介入反応を追うなら上田式 12 段階、上肢と手指のズレが問題なら部位別に併記するのが実用的です。

尺度を 1 つに絞り込むより、役割を分けて併用した方が、記録・申し送り・目標設定がつながりやすくなります。

上田式 12 段階と BRS の使い分けを比較した図版
上田式 12 段階と BRS は、換算よりも目的・評価条件・前回差をそろえて使い分けます。
BRS と上田式 12 段階の 5 分使い分けフロー
判断したいこと 優先する評価 理由 記録の型
今の回復段階をチームで共有したい BRS 6 段階で大枠を共有しやすい 「BRS 上肢 III、共同運動優位」
先週との差を細かく追いたい 上田式 12 段階 微差を段階として追いやすい 「上田式上肢 6 → 7、分離運動に改善」
上肢と手指で回復段階がズレる 部位別に併記 近位と遠位で回復差が出やすい 「上肢優位、手指は別課題で追跡」
換算して 1 つの数字にしたい 換算せず条件を併記 粒度と判定手続きが異なる 「同条件で再評価。体位・促通・疲労を記載」

PDF記録シートで評価条件をそろえる

上田式 12 段階と BRS を併用するときは、段階だけでなく評価目的・評価条件・前回との差を同じ用紙に残すと、申し送りと再評価がつながりやすくなります。

下の PDF は、BRS と上田式 12 段階の使い分け、評価条件、比較記録、次回の確認点を A4 1 枚で整理できる記録シートです。印刷してカンファレンス前の整理や再評価時の比較に使えます。

上田式 12 段階と BRS 比較・使い分け記録シート

評価の目的、BRS、上田式 12 段階、評価条件、前回との差を 1 枚にまとめて記録できます。

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換算はできるか:1 対 1 の機械的対応は避ける

結論:「上田式 12 段階の何点なら BRS の何段階」と機械的に換算する運用は避けた方が安全です。両者は似た回復過程を見ていますが、段階の細かさと判定手続きが異なります。

必要なのは換算表ではなく、同じ条件で再評価できる記録です。体位、開始肢位、口頭指示、促通の有無、疲労、疼痛を残すと、次回評価で変化を比較しやすくなります。

チーム共有の最短セット

  • BRS:共同運動優位か、分離運動が出ているかを共有する
  • 上田式 12 段階:短期変化や介入反応を追跡する
  • 補足メモ:体位、促通、疲労、疼痛、注意状態を残す

現場の詰まりどころ:段階より評価条件がズレやすい

評価者間で段階がズレるときは、患者の変化だけでなく、体位・開始肢位・指示文・促通の有無が揃っていない可能性があります。段階の数字だけでなく、評価条件を固定して残すと再現性が上がります。

よくあるズレと、再現性を上げる記録の型
ズレやすい場面 起きやすい理由 固定する項目 記録の一言例
上肢は動くが手指が追いつかない 近位と遠位で回復段階が異なる 上肢・手指を分けて評価する 「上肢優位。手指は別課題で追跡」
評価者で段階が違う 開始肢位、指示文、促通の差 体位・開始肢位・指示文・促通を統一 「座位、促通なし、指示文固定で判定」
前回より下がって見える 疲労、疼痛、注意低下、時間帯の違い 疲労・疼痛・時間帯を併記する 「疼痛 NRS 3、疲労あり。条件付きで再評価」

よくある失敗

  • 段階だけを記録して、評価条件を残していない
  • 上肢と手指の差を 1 つの数字で無理にまとめる
  • 換算表を先に作り、判定根拠が曖昧になる

回避のチェック(再評価前)

  • 体位・開始肢位・指示文・促通の有無を前回と揃えたか
  • 疼痛・疲労・注意状態・時間帯を記録したか
  • 上肢、手指、下肢を分けて判断したか

ここまで整えても毎回同じところで詰まる場合は、評価の知識だけでなく、教育体制・共通フォーマット・相談相手の有無など、職場環境の影響を受けている可能性もあります。

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よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. 結局、BRS と上田式 12 段階はどちらを使えばよいですか?

A. 目的で選びます。カンファや申し送りで回復段階を共有するなら BRS、短期の介入反応を追うなら上田式 12 段階が便利です。迷う場合は、BRS で大枠を共有し、上田式 12 段階で微差を追う形が使いやすいです。

Q2. 上田式 12 段階と BRS は換算できますか?

A. 1 対 1 の機械的換算は避けます。両者は似た回復過程を見ていますが、段階の粒度と判定手続きが異なります。換算表を作るより、同じ条件で評価し、体位・促通・疲労などを併記する方が臨床では安全です。

Q3. 上肢と手指で段階がズレるときはどう考えますか?

A. 上肢と手指を分けて記録します。更衣・移乗など近位制御が主課題なら上肢、食事・書字・つまみ動作などが主課題なら手指を重視します。1 つの数字にまとめすぎないことが重要です。

Q4. 日によって段階が上下するときはどう記録しますか?

A. 段階に加えて、評価条件を 1 行で残します。例として、体位、促通の有無、疼痛、疲労、注意状態、時間帯を併記します。次回に同条件で再評価しやすくなり、真の変化か条件差かを判断しやすくなります。

次の一手


参考文献

  1. Brunnstrom S. Motor Testing Procedures in Hemiplegia: Based on Sequential Recovery Stages. Physical Therapy. 1966;46(4):357-375. DOI:10.1093/ptj/46.4.357
  2. 上田 敏, 福屋 靖子, 間 得之, 長谷川 恒雄, 佐久間 昭. 片麻痺機能テストの標準化―12 段階「片麻痺回復グレード」法. 総合リハビリテーション. 1977;5(10):749-766. DOI:10.11477/mf.1552103862
  3. 上田 敏, 長谷川 恒雄, 安藤 一也, 佐久間 昭, 楠 正. 片麻痺手指機能テストの標準化―12 段階手指機能テストおよび 5 段階上肢能力テスト. リハビリテーション医学. 1985;22(3):143-160. DOI:10.2490/jjrm1963.22.143

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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