MGFA a・bの違い|IIa・IIb・IIIa・IIIbの判定

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MGFA a・bの違い|球症状があればbではない

MGFAのa・bは、「球症状があるかどうか」だけで決める分類ではありません。Class II〜IVでは、四肢・体軸と口腔・咽頭・呼吸筋の障害を比較し、四肢・体軸が優位ならa、口腔・咽頭・呼吸筋が同等以上ならbと判定します。

そのため、嚥下や構音などの球症状があっても、四肢・体軸の障害の方が強ければaになり得ます。この記事では、IIa・IIb、IIIa・IIIb、IVa・IVbで共通する判定境界と、両方の症状がある場合の考え方を整理します。MGFA分類全体の位置づけや他尺度との使い分けは、MGFA分類の評価・使い方をご覧ください。

結論:MGFA a / b は「球症状あり=b」ではなく、a=四肢・体軸 > 口腔・咽頭・呼吸筋、b=四肢・体軸 ≦ 口腔・咽頭・呼吸筋という相対的な関係で整理します。

MGFA a・bの判定基準

aとbを分けるポイントは、症状の有無ではなく「どちらの領域の障害が優位か」です。この考え方はClass II・III・IVで共通しています。

MGFA a・bの判定境界
区分 四肢・体軸 口腔・咽頭・呼吸筋 判定のポイント
a より優位 四肢・体軸より軽い障害はあり得る 球症状があっても、四肢・体軸の障害が上回ればa
b 同等またはより軽い 同等以上 口腔・咽頭・呼吸筋の障害が四肢・体軸と同等以上ならb

つまり、aとbは「四肢症状か球症状か」という二者択一ではありません。両方の領域に障害があってもよく、そのときにどちらが相対的に優位かを見ます。

MGFA aとbの判定ポイントを四肢・体軸と口腔・咽頭・呼吸筋の優位性で比較した図
図:MGFA a / b は、球症状の有無ではなく2つの領域の相対的な優位性で判定する

まずClass II〜IVを決め、その後にa・bを付ける

a・bは重症度そのものを表す記号ではありません。まずMGFAのClass II・III・IVで全体の重症度を分類し、そのClass内で障害が優位な領域をa・bで補足します。

MGFA Class II〜IVとa・bの関係
Class 眼筋以外の筋力低下 a b
Class II 軽度 四肢・体軸が優位 口腔・咽頭・呼吸筋が同等以上
Class III 中等度 四肢・体軸が優位 口腔・咽頭・呼吸筋が同等以上
Class IV 高度 四肢・体軸が優位 口腔・咽頭・呼吸筋が同等以上

したがって、IIaとIIbの違いは「軽度か中等度か」ではありません。どちらもClass IIであり、違うのは障害が優位な領域です。同様に、IIIaとIIIb、IVaとIVbもa・bを分ける基本ルールは共通しています。

なお、Class Iは眼筋に限局した分類、Class Vは気管内挿管された状態を扱うため、a・bは付けません。通常の術後管理としての挿管はClass Vから除かれ、気管内挿管がなく経管栄養のみの場合はClass IVbとされています。

四肢症状と球症状が両方あるときはどう判定する?

最も迷いやすいのは、四肢・体軸と口腔・咽頭・呼吸筋の両方に障害があるケースです。この場合も「球症状があるからb」とはせず、2つの領域を相対的に比較します。

a・bの境界を理解するための整理
状態 a / b 考え方
四肢・体軸の障害が中心で、球症状はそれより軽い a 球症状が存在していても、四肢・体軸優位ならa
四肢・体軸と口腔・咽頭・呼吸筋が同程度 b bは口腔・咽頭・呼吸筋が「同等以上」の場合を含む
口腔・咽頭・呼吸筋の障害が明らかに強い b 口腔・咽頭・呼吸筋優位のためb
四肢・体軸に障害があり、球・呼吸筋の障害を認めない a 四肢・体軸が優位

特に覚えておきたい境界は、「同程度ならb」という点です。aは四肢・体軸の障害が口腔・咽頭・呼吸筋より明確に優位な場合であり、両者が同程度であればb側に入ります。

IIa・IIb、IIIa・IIIb、IVa・IVbの違い

II・III・IVで変わるのは全体の重症度であり、a・bの境界は変わりません。「Class」と「a / b」を別々の軸として考えると整理しやすくなります。

IIa〜IVbを読むときの考え方
分類 全体の重症度 優位な領域
IIa 軽度 四肢・体軸
IIb 軽度 口腔・咽頭・呼吸筋が同等以上
IIIa 中等度 四肢・体軸
IIIb 中等度 口腔・咽頭・呼吸筋が同等以上
IVa 高度 四肢・体軸
IVb 高度 口腔・咽頭・呼吸筋が同等以上

たとえば「IIbだからIIIaより重い」という読み方はできません。まずII・III・IVが全体の重症度を示し、a・bはそのClass内でどの領域が優位かを示す、と分けて考えます。

MGFA分類は「評価した日の症状」だけで決めない

MGFA Clinical Classificationは、現在までの最重症時の状態によって患者を分類する方法です。日本神経学会の診療ガイドラインでも、治療効果をその都度評価する尺度として用いるものではないことが示されています。

そのため、「今日は内服後で軽いからIIa」「夕方に嚥下症状が増えたからIIb」のように、日内変動のたびにMGFA分類を書き換える使い方とは分けて考える必要があります。

MGでは症状の日内変動や活動による変化が起こり得ます。現在のADLや症状変化を追う場合は、MGFA分類だけで完結させず、症状所見や目的に応じた評価尺度と組み合わせて確認します。

球・呼吸症状の安全確認とa・b判定は分けて考える

球・呼吸症状を安全管理上重視することと、MGFAでbに分類することは別の話です。嚥下・構音・咳・呼吸に関する症状を認めた場合でも、それだけを理由に自動的にbへ分類するわけではありません。

一方で、嚥下や呼吸状態の悪化は臨床上重要です。急な嚥下機能の悪化、咳嗽力の低下、呼吸状態の変化などを認めた場合は、a・bの分類を決めることよりも、患者の安全確認と医師・多職種への共有を優先します。

混同しないポイント:「球・呼吸症状を見逃さない」は安全管理の話、「aかbか」は2領域の相対的な優位性を示す分類の話です。

MGFA a・bを記録するときのポイント

記録では分類名だけでなく、a・bと判断した比較根拠を短く残すと共有しやすくなります。ただしMGFA分類は最重症時の状態をもとにするため、評価当日の一時的な症状だけを根拠に分類を変更しないよう注意します。

MGFA a・bの記録例
記録例 残している情報
MGFA IIIa。最重症時は四肢・体軸の障害が口咽頭筋障害より優位。 Classとa判定の根拠
MGFA IIIb。最重症時は口咽頭筋障害が四肢・体軸の障害と同程度以上。 Classとb判定の根拠

現在のむせ、構音、呼吸、四肢筋力などの変化を追いたい場合は、MGFA分類とは別にその時点の所見として記録すると、分類と経時変化を混同しにくくなります。

よくある質問

球症状が少しでもあればMGFA bですか?

いいえ。球症状があっても、四肢・体軸の障害の方が優位であればaになり得ます。bは口腔・咽頭・呼吸筋の障害が四肢・体軸と同等以上の場合です。

四肢症状と球症状が同じ程度ならa・bのどちらですか?

bです。MGFAでは、口腔・咽頭・呼吸筋の障害が四肢・体軸と同等の場合もbに含まれます。

IIa・IIIa・IVaでaの意味は変わりますか?

基本となるa・bの境界は共通です。II・III・IVは全体の重症度を示し、aはそのClass内で四肢・体軸の障害が優位であることを示します。

Class IやClass Vにもa・bを付けますか?

付けません。a・bはClass II〜IVで使用します。Class Iは眼筋に限局した分類、Class Vは気管内挿管された状態を扱います。

次の一手

MGFAのa・bを判定するときは、①Class II〜IVの重症度を確認し、②四肢・体軸と口腔・咽頭・呼吸筋を比較し、③四肢・体軸優位ならa、口腔・咽頭・呼吸筋が同等以上ならbと整理します。

MGFA Class I〜Vの全体像や、MG-ADL・QMG・MGFA Postintervention Statusとの違いまで整理したい場合は、MGFA分類の評価・使い方をご覧ください。


参考文献

  1. 重症筋無力症/ランバート・イートン筋無力症候群診療ガイドライン作成委員会編. 重症筋無力症/ランバート・イートン筋無力症候群診療ガイドライン2022. 東京: 南江堂; 2022. 日本神経学会
  2. 厚生労働省難治性疾患政策研究事業. 重症筋無力症(指定難病11). 難病情報センター. 重症筋無力症(指定難病11)
  3. Jaretzki A 3rd, Barohn RJ, Ernstoff RM, Kaminski HJ, Keesey JC, Penn AS, et al. Myasthenia gravis: recommendations for clinical research standards. Neurology. 2000;55(1):16-23. doi:10.1212/WNL.55.1.16. PubMed

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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