離床を伴わないリハビリとは?10%減算・2単位上限【2026】

制度・実務
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離床を伴わないリハビリは「対象判定→10%減算→2単位上限→例外記録」で確認します

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判定手順:離床あり/なし判定フロー

このページは、令和8年度診療報酬改定で明文化された「離床を伴わないリハビリテーション」について、対象患者、所定点数の100分の90、患者1人につき1日2単位までという上限、対象外3条件、3単位以上が医学的に必要な場合の記録を確認する記事です。

結論からいうと、ベッド上でリハを行っただけでは離床を伴わないリハビリテーションの対象にはなりません。判定の軸は、入院患者であること、ベッド上から移動していないこと、ポジショニングまたは拘縮予防等を主目的とした他動的訓練のみであること、そして対象外3条件に当たらないことです。

この記事で決めるのは、「今日は離床できなかったから減算対象」ではなく、その日に行った訓練が「特定の患者」に該当するか、通常の各個別療法で考えるか、3単位以上の例外として記録を要するかです。電子カルテの個別設定や施設ごとの細かな運用には踏み込まず、制度ルールと実務で迷いやすい判断境界に絞って整理します。

最終更新:2026-09-11(疑義解釈資料その12を反映)

1分で要点:該当は「ベッド上のみ」かつ「他動的訓練のみ」です

最初に押さえる要点は、「ベッド上で実施した」だけでは足りず、「ベッド上のみ」と「他動的訓練のみ」の両方を満たしたうえで、対象外3条件に当たらない場合に、所定点数の100分の90・患者1人につき1日2単位までとなることです。

離床を伴わないリハビリテーションの算定判断フローを整理した図版
図:離床を伴わないリハビリテーションは、対象判定、対象外3条件、10%減算、2単位上限、3単位以上の記録まで順に確認します。
離床を伴わないリハビリテーションの最初の確認ポイント
順番 確認すること 実務での読み方
1 入院患者か この論点の「特定の患者」は入院患者が前提です
2 ベッド上から移動していないか 車椅子移乗や訓練室移動があれば「ベッド上のみ」ではありません
3 他動的訓練のみか 能動運動、排痰を促す訓練、言語療法、離床を目指す訓練が入れば通常の各個別療法で考えます
4 対象外3条件に当たらないか 急性期系の加算等、15歳未満の小児、3単位以上が医学的に必要な患者を先に確認します
5 20分以上・100分の90・1日2単位までか 該当する場合は時間、単位数、例外時の記録を追えるようにします

対象になる患者|定義は「ベッド上のみ」かつ「他動的訓練のみ」です

通知上の「特定の患者」は、個別療法を実施する日に、ベッド上から移動せず、ポジショニングまたは拘縮予防等を主目的とした他動的な訓練のみを行う入院中の患者です。

ここで大切なのは、「病室で実施した」ことと「対象である」ことは同じではない点です。病室で行っていても、車椅子へ移乗していれば「ベッド上のみ」ではありません。また、ベッド上で行っていても、能動運動や言語療法などが入れば「他動的訓練のみ」ではありません。

「特定の患者」を判断するときの2つの軸
判断軸 確認すること 該当しない例
ベッド上のみ 個別療法を実施する日にベッド上から移動していないか 車椅子移乗、訓練室ベッドへの移動、病棟内移動
他動的訓練のみ 主目的がポジショニングまたは拘縮予防等で、他動的訓練だけか 自動運動、排痰を促す訓練、言語療法、離床を目指す座位訓練

したがって、一部に他動的ROMやポジショニングが入っているだけで、機械的に離床を伴わないリハビリテーションへ分類しないことが重要です。実際の判定では、「その1単位のどこかに他動的訓練があったか」ではなく、「その日に行った個別療法が、ベッド上のみ・他動的訓練のみとして整理できるか」を見ます。

対象外3条件|先に落とすと判断が安定します

「ベッド上のみ」「他動的訓練のみ」に見える場合でも、通知で定められた3条件に当たる患者は、10%減算・1日2単位上限の対象外です。実務では、該当像から考えるよりも、先に対象外を落とす方が安全です。

離床を伴わないリハビリテーションの対象外3条件
対象外条件 実務での読み方 確認の置き場所
急性期系の入院料・加算等を算定している 救命救急入院料等の治療室に係る入院料、早期リハビリテーション加算、初期加算、急性期リハビリテーション加算などの有無を先に確認します オーダー時または当日算定前チェック
15歳未満の小児で、病態によりベッド上からの移動が困難 年齢と病態で対象外になり得るため、成人と同じ流れで機械的に当てはめません 年齢欄と病態メモを先に確認
3単位以上が医学的に必要で、医師が特に認める 通常の2単位上限とは別に、医学的必要性と記録を要する例外として扱います 診療録と診療報酬明細書の摘要欄

特に3つ目は、「3単位目だけ追加で減算対象として算定する」と単純化しないことが大切です。制度上は、一定条件を満たす患者を「特定の患者」から除外する構造になっているため、通常の2単位上限と混ぜずに扱います。

疑義解釈その2の6事例|該当するのは⑥だけです

疑義解釈資料その2では、離床を伴わないリハビリテーションの境界が6事例で示されました。結論は明確で、①〜⑤は「特定の患者」に該当せず、⑥のみが該当です。

疑義解釈資料その2の6事例:該当/非該当の早見表
事例 判定 判断の分かれ目
① 最初はベッド上、その後に車椅子移乗して計6単位 非該当 車椅子へ移乗しており「ベッド上のみ」ではありません
② ベッド上で自ら膝の曲げ伸ばし等の運動や排痰を促す訓練 非該当 能動的な運動や排痰を促す訓練が入り、「他動的訓練のみ」ではありません
③ ベッド上でギャッジアップし、言語療法を実施 非該当 言語療法は「他動的訓練のみ」ではありません
④ 離床を目指して臥位から座位へ進めたが、端坐位に至らず終了 非該当 離床を目指した訓練であり、結果だけで「離床なし」扱いにしません
⑤ 車椅子移乗後、訓練室ベッド上で他動的ROMのみ 非該当 車椅子へ移乗しており「ベッド上のみ」ではありません
⑥ ベッド上で、拘縮予防や褥瘡予防を目的とした他動的ROM・ポジショニングのみ 該当 「ベッド上のみ」かつ「他動的訓練のみ」に当たります

ここでの実務上のポイントは、「今日は離床できなかった」ことと「離床を伴わないリハビリテーションに該当する」ことは別問題だという点です。判定は結果ではなく、目的と内容で整理します。

10%減算と1日2単位上限|該当した場合の基本ルールです

対象に該当した場合は、疾患別リハビリテーション料を通常どおり算定するのではなく、所定点数の100分の90で算定します。また、患者1人につき1日2単位までが原則です。

該当した場合の算定ルール
論点 ルール 実務上の注意
実施時間 20分以上の個別療法 開始・終了または合計時間を追えるようにします
点数 所定点数の100分の90 通常点数と混同しないよう算定区分を整理します
単位数 患者1人につき1日2単位まで 3単位以上が必要な場合は例外要件と記録を確認します

返戻や確認依頼につながりやすいのは、対象判定が曖昧なまま算定している場合と、2単位上限や例外記録を後から追えない場合です。制度文言を暗記するより、判定順と記録の型をそろえる方が実務では安定します。

3単位以上の例外|医学的理由・必要性・訓練内容を残します

患者の疾患・状態によりベッド上からの移動が困難で、3単位以上の個別療法を行うことが医学的に必要と医師が特に認める患者は、10%減算・1日2単位上限の対象外です。

この場合、少なくとも次の3点を記録で説明できるようにします。

  • ベッド上からの移動が困難な医学的理由
  • 長時間のリハビリテーションが必要な理由
  • 実施した訓練内容
3単位以上が医学的に必要な患者で残したい内容
項目 残す内容 短い記載イメージ
医学的理由 なぜベッド上からの移動が困難か 全身状態不安定、重度疼痛、循環・呼吸管理上の制約など
必要性 なぜ3単位以上が必要か 長時間介入により拘縮・褥瘡・二次障害予防を要するなど
訓練内容 実際に何を行ったか 他動ROM、ポジショニング、体位変換、関節保護、皮膚圧確認など

2026年9月追加|摘要欄は毎月、診療録は少なくとも月1回です

2026年9月2日の疑義解釈資料その12では、3単位以上が医学的に必要な患者について、診療録と診療報酬明細書の摘要欄に何を、どの頻度で残すかが追加で整理されました。

3単位以上が医学的に必要な患者の記録頻度
記録先 必要な内容 記録頻度
診療報酬明細書の摘要欄 医学的理由、長時間の必要性、訓練内容 毎月記載します
診療録 医学的理由、長時間の必要性、訓練内容 状態変化時に随時記載し、変化がなくても少なくとも月1回記載します

そのため、3単位以上を実施するたびに同じ理由を毎回フルで書き直すとまでは読まず、状態変化があれば随時更新し、変化がなくても月1回は診療録で根拠を確認できるようにし、摘要欄は毎月記載すると整理するのが実務的です。

多職種同日算定|公式資料の範囲を超えて断定しないことが大切です

実務で迷いやすいのが、同じ日にPT・OT・STが介入し、通常の各個別療法と、離床を伴わないリハビリテーションに該当し得る介入が混在する場合です。

ここで避けたいのは、「患者全体で何が何でも2単位まで」と機械的に判断することと、反対に「職種が違えば別枠で何単位でもよい」と決め打ちすることです。現時点の公式資料では、多職種同日算定のすべての組み合わせについて、細かな数え方まで明文化されているわけではありません。

そのため実務上は、まず各介入について、

  1. 「特定の患者」に該当する介入か
  2. 通常の各個別療法として整理する介入か
  3. 3単位以上が医学的に必要な例外患者か

を分けて記録します。そのうえで、多職種同日算定の具体的な請求方法に迷う場合は、施設の医事担当、審査支払機関、地方厚生局等の確認に沿って運用するのが安全です。

記録の型|場所・目的・内容・量・結果で残します

算定判断を安定させるには、制度文言を覚えるより、誰が書いても同じ粒度になる記録の型を先に作る方が有効です。通常ケースは「場所・目的・内容・量・結果」、3単位以上の例外は「医学的理由・必要性・訓練内容」を別枠で残します。

最小記録テンプレ:説明可能性を上げる記録の型
欄 書く内容 短い記載例
場所 ベッド上のみか、移乗・移動したか 病室ベッド上で実施/車椅子移乗後に介入
目的 何を目的に実施したか 拘縮予防、褥瘡予防、離床準備、構音訓練
内容 他動的訓練のみか、それ以外を含むか 他動ROM、ポジショニング、自動運動、座位練習など
量 合計時間、1対1の個別療法であること 合計20分、1対1で実施
結果 実施後の変化を最低1点残す 疼痛軽減、可動域、圧抜き状態、呼吸苦、介助量の変化
例外理由 3単位以上が必要な場合の医学的理由・必要性・訓練内容 長時間介入の根拠を診療録と摘要欄に反映

特に、「今日はベッド上で終了」だけでは算定区分を判断しにくいため、結果ではなく、何を目指し、どのような訓練を行ったかまで残すことが重要です。

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. ベッド上でリハを行えば、すべて離床を伴わないリハビリテーションですか?

A. いいえ。ベッド上で実施しただけでは足りません。「ベッド上のみ」かつ「ポジショニングまたは拘縮予防等を主目的とした他動的訓練のみ」に当たるかを確認します。能動運動、排痰を促す訓練、言語療法、離床を目指す訓練などが入る場合は、通常の各個別療法として整理します。

Q2. 疑義解釈その2の6事例では、どれが該当しますか?

A. ①〜⑤は非該当、⑥のみ該当です。車椅子へ移乗している、能動的な運動が入っている、言語療法が入っている、離床を目指した訓練である場合は、「特定の患者」に該当しないと整理されます。

Q3. 1単位の一部にベッド上の他動的訓練が含まれる場合はどう考えますか?

A. 一部に他動的ROMやポジショニングが含まれるだけで、直ちに離床を伴わないリハビリテーションになるわけではありません。それ以外の訓練が適切に行われている場合は、「特定の患者」には該当しないと整理されます。

Q4. 1日2単位を超える場合は、すべて不可ですか?

A. 原則は患者1人につき1日2単位までです。ただし、患者の疾患・状態によりベッド上からの移動が困難で、3単位以上が医学的に必要と医師が特に認める場合は、対象外3条件の1つとして扱います。この場合は医学的理由、長時間の必要性、訓練内容の記録が重要です。

Q5. 3単位以上の例外では、毎回同じ理由を診療録に書く必要がありますか?

A. 2026年9月2日の疑義解釈資料その12では、診療報酬明細書の摘要欄は毎月、診療録は状態変化時に随時記載し、変化がなくても少なくとも月1回記載すると示されています。毎回同じ内容を機械的に書くというより、必要な頻度で根拠を追えるようにしておくことが大切です。

Q6. PT・OT・STが同じ日に介入した場合、2単位上限はどう数えますか?

A. 現時点の公式資料では、通常算定と離床を伴わないリハビリテーションが同日に混在するすべてのパターンについて、細かな数え方まで明示されていません。まず各介入を通常算定分・対象分・例外分に分けて記録し、具体的な請求方法は施設の医事担当や審査支払機関等の確認に沿って運用するのが安全です。

Q7. 外来患者も対象になりますか?

A. いいえ。この論点で示される「特定の患者」は、入院中の患者を前提にしています。外来リハをこの区分にそのまま当てはめる読み方はしません。

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参考資料(一次情報)

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコル・制度情報を発信しています。

制度情報は厚生労働省の告示、通知、疑義解釈など一次資料を確認し、現場で迷いやすい判断順に整理しています。臨床では脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸、栄養、シーティング、摂食・嚥下などに関わっています。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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