スコープの使い方|体圧可視化で運用を揃える

臨床手技・プロトコル
記事内に広告が含まれています。

スコープの使い方|体圧可視化で「圧対策」と「申し送り」を揃える

臨床の迷いは「機器の暗記」より「評価 → 設定 → 記録 → 再評価」の型で減らせます

臨床で迷わない理学療法士のキャリアガイドを見る

結論:スコープは、リモコンの全自動を押すだけで、利用者様の身体状態や環境に合わせて圧対策機能を自動で切り替えるロボティックマットレスです。さらに、スコープのみの機能として臀部周辺の体圧を可視化できるため、「いまのポジショニングで合っているか」を見える化して申し送りできます。 [oai_citation:1‡molten.co.jp](https://www.molten.co.jp/health/products/mattress/scope/files/catalog_scope.pdf?v=202511)

本記事は、スコープを「導入して終わり」にしないために、導入 5 分フロー、体圧可視化の見方、記録の型、導入後 48–72 時間での見直しまでを 1 ページでまとめます。

スコープでできること(まず固定する 3 点)

  • 全自動運転:身体状態や環境の変化に合わせて、圧対策(静止-体圧調整/除圧-圧切替/除圧-体位変換など)を自動で切り替えます。 [oai_citation:2‡techno-tais.jp](https://www.techno-tais.jp/ServiceWelfareGoodsDetail.php?RowNo=0&ViewType=1&YouguCode1=00054&YouguCode2=000648)
  • 背上げ時の圧対策:背上げ角度を検知して底づきや圧迫を抑える動き(圧抜き等)へ寄せます。 [oai_citation:3‡molten.co.jp](https://www.molten.co.jp/health/products/mattress/scope/files/catalog_scope.pdf?v=202511)
  • 体圧可視化:臀部周辺の圧を画面で確認し、ポジショニングの妥当性を見守れます(スコープのみ)。 [oai_citation:4‡molten.co.jp](https://www.molten.co.jp/health/products/mattress/scope/files/catalog_scope.pdf?v=202511)

仕様(サイズ・厚さ・適合体重)

スコープは厚さ 17 cm で、幅は 83 cm 91 cm 、長さはレギュラー( 193 cm )とショート( 182 cm )があります。 [oai_citation:5‡molten.co.jp](https://www.molten.co.jp/health/products/mattress/scope/)

※表は横にスクロールできます。

スコープのラインアップ(厚さ 17 cm )
品番 サイズ(幅×長さ×厚さ) 重量 メモ
MSCP83 83 × 193 × 17 cm 10.5 kg 83 cm・レギュラー
MSCP83S 83 × 182 × 17 cm 10.0 kg 83 cm・ショート
MSCP91 91 × 193 × 17 cm 11.5 kg 91 cm・レギュラー
MSCP91S 91 × 182 × 17 cm 11.0 kg 91 cm・ショート

福祉用具情報( TAIS )では、適合体重の範囲が 120 kg として登録されています(施設内ルールは別途優先してください)。 [oai_citation:6‡techno-tais.jp](https://www.techno-tais.jp/ServiceWelfareGoodsDetail.php?RowNo=0&ViewType=1&YouguCode1=00054&YouguCode2=000648)

全自動運転は「段階を上げ下げする」と理解すると迷いません

スコープは、状態に合わせて圧対策を切り替える設計です。パンフレットでは、体動が少ない状態が続くと「静止-体圧調整 → 除圧-圧切替 → 除圧-体位変換」へ段階的に移るイメージが示されています(目安:体動がない状態が一定時間続く場合)。 [oai_citation:7‡molten.co.jp](https://www.molten.co.jp/health/products/mattress/scope/files/catalog_scope.pdf?v=202511)

※表は横にスクロールできます。

全自動運転の考え方( PT の理解用)
状態 自動で寄りやすい圧対策 PT が見る所見 まずやる調整
体動がある/離床も進めたい 静止-体圧調整(面で支える) 底づきの有無、起き上がり・端座位の安定 姿勢(骨盤位置)と足部支持を先に整える
体動が少ない/持続圧が心配 除圧-圧切替(圧の時間的移動) 体幹の揺れ、睡眠の質、呼吸苦の増減 夜間覚醒が増えるなら睡眠とセットで再評価
さらに体動が乏しい/高リスク 除圧-体位変換(低角度の体位変換) 疼痛、めまい、覚醒の増減、皮膚所見 例外条件(術後・制限)を先に共有して運用を揃える

体圧可視化の「見方」:見るのは 3 箇所だけ

体圧可視化は “点数” を競う機能ではなく、「危ない圧の偏りが残っていないか」を見守るための機能です。パンフレットでは、寝具のずれや厚手防水シーツのしわ、衣類のよれなど “見えない危険” を見つけて適切な処置へつなげる意図が示されています。 [oai_citation:8‡molten.co.jp](https://www.molten.co.jp/health/products/mattress/scope/files/catalog_scope.pdf?v=202511)

  1. 臀部周辺:仙骨周囲に “強い当たり” が残っていないか
  2. 左右差:骨盤の傾きで片側に集中していないか
  3. 背上げ後:滑り座りで当たりが増えていないか(背上げ直後に確認)

コツは、同じ条件で “前後比較” することです(導入前→導入直後→ 48–72 時間後)。体圧可視化の画面は、カンファレンスでの申し送りに使えるよう、結果を 1 行で残します。

導入 5 分フロー(導入前 → 直後 → 48–72 時間)

スコープは「全自動だから安心」になりやすい一方、運用の差が出るのは背上げポジショニングです。導入時は “触りすぎない” で、所見を揃えることを優先します。

  1. 導入前:仙骨・踵の発赤(持続)、湿潤、疼痛、寝返り可否、起き上がり介助量、端座位の安定、背上げ時間
  2. 導入直後( 0–30 分 ):底づき(触診)、背上げ 30–45° で滑り座り、体圧可視化(臀部周辺・左右差)
  3. 運用固定:全自動運転を基本にし、例外(背上げ・睡眠・制限)だけをチームで共有
  4. 48–72 時間:皮膚+離床+睡眠を同じフォーマットで比較し、「上げ下げ(段階)」の妥当性を判断

現場の詰まりどころ(よくある失敗と修正)

体圧可視化があると “画面の色” に引っ張られます。失敗を減らすコツは、画面より先に「姿勢とずれ」を整えることです。

※表は横にスクロールできます。

スコープ運用のよくある失敗と対策( PT 視点)
起きやすい問題 主な原因 まずやる対策 記録ポイント
体圧可視化で “当たり” が消えない 骨盤位置が崩れている/衣類・シーツのしわ 骨盤位置の再設定、背抜き(衣類のよれ除去)、寝具構成を簡素化 当たり部位、左右差、修正した内容
背上げ後に仙骨が赤くなる ずれ(せん断)が増える/滑り座り 背上げ前に骨盤位置と足部支持を固定、背上げ後にずれを除去 角度、時間、発赤の持続
睡眠が崩れた(覚醒が増えた) 体位変換や圧切替の体感/環境要因 夜間の所見を記録し、睡眠と皮膚をセットで再評価 覚醒回数、日中傾眠、不穏
注意ランプが点滅した ホース抜け・折れ、センサー異常など ホースの抜け・折れ・破損を点検。復旧しない場合は修理相談 点検箇所、復旧の有無

導入・見直しチェック( 48–72 時間で比較)

スコープは「全自動+可視化」なので、チェック項目は増やさず、比較だけを丁寧にします。

導入前後の最小チェック(導入前→直後→ 48–72 時間)
見る軸 観察のコツ(同条件) 記録の最小セット
皮膚 発赤・圧痕・疼痛(持続時間)/湿潤 部位/持続/圧抜き後の回復
ずれ(せん断) 背上げで滑り座り、衣類のよれ、骨盤後傾 角度/時間/ずれ徴候
体圧可視化 臀部周辺の当たり、左右差(同一体位で比較) 当たり部位/左右差/修正内容
離床 起き上がり所要時間、端座位保持、移乗の安定 所要時間/介助量/不安定要因
睡眠 覚醒回数、体感(揺れ・不快)、日中傾眠 覚醒回数/不穏の有無

カルテ記録テンプレ(コピペ用)

【支持面】スコープ(全自動)
【体圧可視化】臀部:当たり(__)/左右差(__)→ 修正(骨盤位置/衣類しわ/寝具 など)
【背上げ】__°・__分:滑り座り(あり/なし)/発赤(部位__・持続__分)
【離床】起き上がり(介助__)/端座位(__分・支持__)/移乗(介助__)
【睡眠】夜間覚醒__回(不快__) 【再評価】導入後__時間( 48–72 時間で比較)

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

体圧可視化は「色が変わればOK」ですか?

色の変化そのものがゴールではありません。見るべきは「臀部周辺の当たりが残っていないか」「左右差が強くないか」「背上げ後に当たりが増えていないか」の 3 点です。体位・寝具・衣類を揃えたうえで前後比較し、修正内容を 1 行で残すと申し送りが揃います。

全自動なのに、褥瘡リスクが下がりません

支持面だけで解決しようとしていることが多いです。体位変換計画、ずれ対策(背上げ手順)、湿潤(寝具・失禁・室温)を同時に点検してください。特に背上げは “圧” より “ずれ” が主役になりやすいため、背上げ前後の所見を揃えて再評価します。

注意ランプが点滅しました。まず何を見ますか?

まずホースの抜け・折れ・破損を点検します。改善しない場合はセンサー異常の可能性もあるため、販売店またはメーカーへ相談します(取扱説明書の点検手順に従ってください)。

スコープライトでも十分ですか?

「体圧可視化がなくても運用が揃う」現場なら、ライトで十分な場面もあります。一方で、申し送りがぶれやすい・ポジショニングの再現性を上げたい・見守りを強化したい場合は、可視化が効きます。用途に合わせて使い分けると失敗が減ります。スコープライトの特徴(合う症例/合わない症例)

次の一手

運用を整える → 共有の型を作る → 環境の詰まりも点検

記録・引き継ぎ・用具の運用が回らないときは、無料チェックシートで「詰まり」を可視化すると次の改善が速くなります。

無料チェックシートを開く

参考文献

  1. 株式会社モルテン. 〖エアマットレス〗スコープ(製品情報・仕様). Link
  2. 株式会社モルテン. ロボティックマットレス スコープ(パンフレット). PDF
  3. 株式会社モルテン. ロボティックマットレス スコープ 取扱説明書( 2026-01 ). PDF
  4. 公益財団法人テクノエイド協会( TAIS ). スコープ 91 cm 幅( TAIS 00054-000648 ). Link
  5. EPUAP/NPIAP/PPPIA. Prevention and Treatment of Pressure Ulcers/Injuries – International Guideline. 2019. PDF
  6. McInnes E, et al. Support surfaces for pressure ulcer prevention. Cochrane Database Syst Rev. 2015;9:CD001735. doi:10.1002/14651858.CD001735.pub5 / PubMed

著者情報

rehabilikun(理学療法士)のアイコン

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

運営者について編集・引用ポリシーお問い合わせ

タイトルとURLをコピーしました