回復期リハ疑義解釈 2026 は「 FIM 研修・重症割合・届出単位」の 3 点から読むと迷いません
2026 年 3 月 23 日の疑義解釈その 1 で、回復期リハ病棟まわりの実務はかなり読みやすくなりました。今回、先にそろえたいのは、 FIM の測定に係る研修の対象に看護職員を含めること、 5 月 31 日までに入棟した患者は旧基準で重症患者割合を扱えること、回復期リハ強化体制加算は病棟全体で届出することの 3 点です。
この記事では、疑義解釈で今回確定した運用だけに絞って整理します。改定全体の読み方や背景説明を広く扱うのではなく、 6 月対応で何をそろえるかに答える構成です。そのため、実績指数の計算式や高次脳機能障害の退院時情報提供の詳細は兄弟記事へ委ね、本ページでは「現場で止まりやすい分岐」を短時間で確認できる形にします。
結論|先に固定するのは 3 論点です
今回の疑義解釈は、通知を一通り読むよりも、どの論点が日々の運用に直結するかを先に分ける方が理解しやすい内容です。回復期リハ病棟で影響が大きいのは、① 研修の対象者、② 重症患者割合の移行期ルール、③ 強化体制加算の届出単位です。ここを先に固定すると、 6 月以降の説明や記録がぶれにくくなります。
逆に、ここを曖昧にしたまま進めると、「誰が研修対象か」「旧基準と新基準をどこで切るか」「病棟ごとに別管理してよいか」で運用差が出やすくなります。まずは次の表で全体像を 1 枚で確認し、そのあと各論点を順にそろえると現場で回しやすくなります。
スマホでは表を横スクロールできます。
| 論点 | 疑義解釈で確定したこと | 先に決めること |
|---|---|---|
| FIM 研修 | FIM の測定を担当する看護職員も研修対象です。 | 対象職員、受講記録、測定担当者の整理 |
| 重症患者割合 | 2026 年 5 月 31 日までに入棟・入室した患者は旧基準で扱います。 | 患者区分、集計ルール、根拠の残し方 |
| 強化体制加算 | 回復期リハ病棟入院料 1 を届け出る病棟全体で届出します。 | 病棟単位ではなく病院内の対象病棟全体で管理 |
FIM 研修|看護職員も対象です
ここでいちばん起きやすい誤解は、「 FIM の研修は PT ・ OT ・ ST だけでよい」と考えてしまうことです。今回の疑義解釈では、回復期リハ病棟入院料 2 ・ 4 に追加された FIM の測定に係る研修 についても、 FIM の測定を担当する看護職員を研修対象とすることが明確に示されました。つまり、職種名で切るのではなく、実際に測定を担当するかで整理するのが基本になります。
現場で先に決めたいのは、誰が測定を担当するか、どの研修受講歴を証跡として残すか、測定手順をどこまで共通化するかの 3 点です。ここが曖昧だと、入棟時評価と再評価で判定の揺れが出やすくなります。研修そのものを実施したかだけでなく、測定担当者の一覧と運用ルールを病棟で共有できるかまで含めて整えておくと監査説明もしやすくなります。
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| 項目 | なぜ必要か | 残す記録の例 |
|---|---|---|
| 測定担当者の整理 | 職種ではなく担当実態で対象者を確定するため | 病棟別の測定担当者一覧 |
| 受講履歴の管理 | 研修要件の証跡を示しやすくするため | 受講日、研修名、受講者名の台帳 |
| 測定手順の共有 | 再評価時のばらつきを減らすため | 院内マニュアル、申し送りの定型文 |
重症患者割合| 5 月末までの入棟患者は旧基準で見ます
重症患者割合の論点は、「 6 月から全部新基準」と考えると読み違えやすいところです。疑義解釈では、 2026 年 5 月 31 日までに入棟または入室した患者については、改定前の重症患者の範囲と重症患者割合の基準を用いてよいとされました。移行期は、患者ごとの起点を見ながら整理する発想が必要です。
一方で、算出対象期間が 5 月と 6 月をまたぐ場合、新規入院患者のうち重症患者である割合の基準は改定後基準を用いてよいとされています。つまり、患者単位では旧基準が残りつつ、集計側では新基準に切り替わる部分があります。ここは月次集計の担当者だけで抱えず、病棟で「患者区分の見方」と「集計の見方」を分けて共有する方が安全です。実績指数の基準値や計算式の全体像は、回復期リハ実績指数 2026 改定|基準値・計算式・記録シートで整理しています。
スマホでは表を横スクロールできます。
| 患者区分 | 使う基準 | 記録で残したいこと |
|---|---|---|
| 2026 年 5 月 31 日までに入棟・入室 | 改定前の重症患者範囲・割合基準 | 入棟日、判定根拠、旧基準で扱う旨 |
| 2026 年 6 月以降の新規入院患者割合 | 改定後基準 | 集計対象月、判定方法、月次台帳 |
| 5 月と 6 月をまたぐ集計 | 患者単位と集計単位を分けて確認 | 計算手順メモ、担当者間の共有ルール |
強化体制加算|届出は病棟単位ではなく病棟全体です
回復期リハ強化体制加算で迷いやすいのは、「病棟ごとに個別届出できるのか」という点です。疑義解釈では、回復期リハ病棟入院料 1 を届け出る病棟全体で届出を行うことが示されました。したがって、同じ保険医療機関内で対象病棟が複数ある場合は、 1 病棟だけ切り出して考えるのではなく、病院内の対象病棟全体でどう管理するかが実務の軸になります。
この論点は、届出の紙だけ整えても運用が追いつかないところが難しい点です。実際には、対象病棟をまたいだ情報共有、評価条件の統一、月次の確認会議の置き場までそろえておく方が、説明責任を果たしやすくなります。強化体制加算を「点数の話」で終わらせず、病棟横断の運用設計として整理すると、届出後のズレを減らせます。
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| 確認項目 | ずれやすい点 | 実務上の整え方 |
|---|---|---|
| 届出単位 | 1 病棟だけで考えてしまう | 対象病棟全体で管理表を 1 本化する |
| 評価条件 | 病棟ごとに条件が微妙に違う | 評価日、判定基準、記録様式を共通化する |
| 月次確認 | 担当者依存で見直し時期がずれる | 会議体と確認日を固定する |
現場の詰まりどころ|ずれやすい 3 パターン
疑義解釈は文章だけ読むと理解した気になりやすい一方で、実務に落とすと細かいズレが出やすいのが特徴です。今回の論点で特に起きやすいのは、研修対象を職種名だけで決める、 6 月から一律で新基準に切り替える、強化体制加算を病棟別にばらして考えるの 3 つです。どれも、制度の読み間違いというより、運用の切り分け不足から起こりやすい失敗です。
対策の基本は、誰が何を見て、どこに残すかを 1 枚に落とすことです。通知を読んだ人だけが理解している状態では、数週間後に運用が崩れます。対象者、患者区分、届出単位という「入口の決め方」を先に共有し、その後に台帳やマニュアルへ落とし込むと、制度変更の影響を現場で吸収しやすくなります。
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| よくある失敗 | なぜ起きるか | 対策 |
|---|---|---|
| FIM 研修を PT ・ OT ・ ST だけで組む | 担当実態ではなく職種名で考えてしまうため | 測定担当者一覧を作り、看護職員も含めて整理する |
| 5 月末入棟患者を 6 月から一律で新基準にする | 患者単位と集計単位を分けて見ていないため | 入棟日ベースの判定ルールを台帳に明記する |
| 強化体制加算を病棟別に管理する | 届出単位と運用単位の関係を共有できていないため | 対象病棟全体で会議体と管理表を一本化する |
よくある質問
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
FIM 研修は看護師全員が対象ですか?
全員と機械的に考えるより、 FIM の測定を担当する看護職員かどうかで整理するのが実務的です。病棟全体へ一律に広げる前に、実際の測定担当者を確認し、受講履歴とあわせて管理すると運用しやすくなります。
5 月に入棟した患者が 6 月も入院中なら旧基準でよいですか?
はい。疑義解釈では、 2026 年 5 月 31 日までに入棟または入室した患者については改定前基準を用いてよいとされています。患者ごとの起点で整理することが大切です。
5 月と 6 月をまたぐ集計はどう考えますか?
患者単位の判定と、月次集計で使う基準を分けて考えます。新規入院患者のうち重症患者である割合の基準については、改定後基準を用いてよいとされているため、月次集計表にはその切り替えを明記しておくと混乱を減らせます。
強化体制加算は 1 病棟だけ届け出られますか?
疑義解釈では、回復期リハ病棟入院料 1 を届け出る病棟全体で届出すると整理されています。届出の単位と日々の運用単位がずれないよう、対象病棟全体で管理表や会議体をそろえる方が安全です。
次の一手
このページで「疑義解釈の確定差分」を押さえたら、次は全体像と兄弟記事に戻ると整理しやすくなります。役割を分けて読むことで、制度の背景、計算式、個別論点が混ざりにくくなります。
参考資料(一次情報)
- 厚生労働省.疑義解釈資料の送付について(その 1 ).令和 8 年 3 月 23 日.https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001678310.pdf
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


