2分間歩行テスト(2MWT)のやり方|6MWT代替と記録の型
歩行アウトカムは、目的に合わせて選ぶと評価後の判断がしやすくなります。2MWT は、6MWTを回しにくい場面で短時間に歩行耐容能の変化を追う候補です。
2分間歩行テスト(2MWT)は、2分間で歩けた距離を測る歩行アウトカムです。6分間歩行テスト(6MWT)ほど長い時間や広い回廊を確保しにくい場面でも実施しやすく、病棟・外来・通所などで歩行耐容能の変化を短時間で追いたいときに使えます。
この記事では、2MWTのやり方、声かけ、休憩の扱い、記録の型、6MWT代替として使うときの考え方を整理します。結論は、2MWTは短い検査だからこそ、コース・補助具・声かけ・休憩ルールを固定して反復することが重要です。
2MWTで決まること|2分間の歩行距離を同条件で比較する
2MWTで主に決まるのは、2分間で歩けた距離が前回からどう変化したかです。単回の距離だけで能力を断定するより、同じ条件で繰り返し、距離・症状・補助具条件をセットで見ます。
10MWTは歩行速度、TUGは起立・方向転換・着座を含む移動能力を見やすい評価です。一方、2MWTは「短時間で歩行耐容能の変化を追いたい」ときに使いやすい評価です。歩行評価全体の使い分けは 歩行アウトカム評価の使い分け で整理できます。
2MWTが向いている場面|6MWTを回しにくいときの代替候補
2MWTが向いているのは、6MWTを実施したいが、時間・人手・スペースの制約が大きい場面です。6MWTの完全な置き換えではありませんが、同条件で反復すれば、短時間で歩行耐容能の変化を追う指標になります。
- 病棟で長い回廊を確保しにくい
- 外来・通所で評価時間が限られる
- 長時間歩行では疲労や症状が強く出やすい
- 短い時間で再評価の数字を残したい
ただし、2分だから簡単に済ませてよいわけではありません。むしろ短時間の検査ほど、コースや声かけの差が結果に影響しやすいため、条件固定が重要です。
準備で決めること|コース・補助具・中止基準を先にそろえる
実施前に決めることは、どこを歩くか、何を使うか、どこで止めるかです。歩行路、ストップウォッチ、距離を測る手段を準備し、補助具・装具・靴・酸素条件を記録できるようにしておきます。
補助具は使用できますが、再評価でも同じ条件にします。身体介助が必要な歩行では、2MWTとして距離を比較するより、安全確保や介助量の評価を優先します。
2MWTのやり方|Goで開始し2分で止めて距離を測る
2MWTの基本は、開始位置をそろえ、「Go」で計時を始め、2分で終了して歩行距離を測ることです。途中で速度が落ちたり休憩したりしても、ルールとして認める場合は2分間の総距離を記録します。
- 歩行路と折り返し位置を確認する
- 補助具・装具・靴・酸素条件を確認する
- 開始前の症状、SpO₂、脈拍など必要項目を確認する
- 開始位置をそろえ、「Go」で計時を開始する
- 2分で終了し、歩けた総距離を測る
- 休憩の有無、症状、観察所見を記録する
声かけと休憩|文言を固定すると再評価が安定する
声かけは、結果のばらつきを減らすために固定します。毎回ちがう励まし方をすると、歩行距離の変化が能力変化なのか、声かけの影響なのか判断しにくくなります。
開始前の説明例は、次のように統一すると使いやすいです。
これから2分間歩きます。できるだけ多くの距離を歩いてください。必要なら速度を落としても、休んでもかまいません。歩けそうなら再開してください。
休憩を認める場合は、休憩可・再開可・身体介助なしのルールを先に決めます。休憩した場合は、距離だけでなく「休憩あり」「再開可」「息切れあり」などを一緒に残します。
5分フロー|説明から記録までを同じ型で回す

臨床では、説明・実施・記録を5分以内で同じ型にすると運用しやすくなります。評価そのものは2分でも、準備と記録が曖昧だと再評価に使いにくくなります。
| 流れ | 確認すること | 記録に残すこと |
|---|---|---|
| 開始前 | コース、補助具、装具、靴、酸素、症状 | 条件と開始前所見 |
| 説明 | 2分間でできるだけ多く歩く、休憩可否 | 声かけ文言を施設内で統一 |
| 実施 | 安全、ふらつき、息切れ、休憩 | 休憩の有無、観察所見 |
| 終了 | 距離、症状、SpO₂、脈拍 | 2分間の総距離と終了後所見 |
| 解釈 | 前回と同条件か、距離差に意味があるか | 前回比、条件差、次回の注意点 |
記録の型|距離だけでなく条件と症状をセットで残す
2MWTの記録では、距離、補助具、装具、靴、酸素条件、休憩、症状をセットで残します。距離だけでは、次回との差が歩行能力の変化なのか、条件差なのか判断しにくくなります。
記録例は次の形です。
- 2MWT 86m。T字杖使用、AFOあり、屋内靴、酸素なし。休憩なし。終了後息切れ軽度。
- 2MWT 54m。歩行器使用、装具なし、休憩1回あり。SpO₂ 96%→93%、Borg 3。
- 2MWT 72m。前回68mと同条件。休憩なし、折り返し時の減速軽度。
再評価では、「何mだったか」だけでなく、「前回と同条件で何m変わったか」を見ます。
結果の見方|基準値よりも前回比と条件差を優先する
2MWTは、単回の基準値判定より、同じ条件での前回比を重視します。成人を対象にした研究では基準値・信頼性・反応性が報告され、高齢者や虚弱高齢者でも信頼性が検討されています。
ただし、対象者の疾患、年齢、歩行路、補助具、声かけ、休憩ルールで結果は変わります。臨床では、基準値と照らし合わせるよりも、まず「前回と同じ条件で比較できるか」を確認します。
現場の詰まりどころ|短い検査ほど条件差でぶれやすい
2MWTで多い失敗は、短い検査だからといって条件をそろえず、距離だけを比較してしまうことです。以下の3点を先に整えると、再評価に使いやすくなります。
| 場面 | NG | OK | 理由 |
|---|---|---|---|
| コース | 毎回ちがう廊下で行う | 回廊長と折り返し位置を固定する | 距離と減速の影響が変わるため |
| 補助具 | 杖・装具・靴を記録しない | 条件を1行で残す | 再評価時に比較しやすくなるため |
| 声かけ | その場で励まし方を変える | 開始説明と途中声かけを統一する | 結果のばらつきを減らすため |
| 解釈 | 距離だけで改善・悪化を判断する | 症状、休憩、SpO₂、条件差も見る | 歩行耐容能の意味づけがしやすくなるため |
評価の標準化がうまくいかない背景には、個人の努力だけでなく、記録の型・教育体制・相談環境の不足が関係することもあります。
よくある質問
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2MWTは6MWTの代わりになりますか?
完全な置き換えではありません。6MWTを回しにくい場面で、短時間に歩行耐容能の変化を追う代替候補として使います。大切なのは、同じ条件で反復して比較することです。
途中で休んだら中止ですか?
中止とは限りません。休憩を認める運用なら、2分間で歩けた総距離を記録します。ただし、休憩の有無、再開の可否、症状は必ず残します。
補助具を使ってもいいですか?
使用できます。ただし、再評価でも同じ補助具条件で行い、杖、歩行器、装具、靴などを記録に残します。条件が変わった場合は、距離の変化をそのまま比較しないようにします。
2MWTと10MWTはどう使い分けますか?
10MWTは歩行速度を見たいとき、2MWTは短時間で歩行耐容能の変化を追いたいときに使いやすい評価です。目的が「速さ」なら10MWT、「2分間でどれだけ歩けるか」なら2MWTと整理します。
何m改善したら意味がありますか?
対象者や条件で解釈は変わります。まずは、前回と同じコース、補助具、声かけ、休憩ルールで比較できるかを確認します。そのうえで、距離差だけでなく症状や休憩の変化も合わせて判断します。
次の一手|歩行評価の全体像と速度評価につなげる
2MWTの運用が決まったら、歩行評価全体の中で役割を整理すると使い分けが安定します。
参考文献
- Bohannon RW, Wang YC, Gershon RC. Two-minute walk test performance by adults 18 to 85 years: normative values, reliability, and responsiveness. Arch Phys Med Rehabil. 2015;96(3):472-477. doi: 10.1016/j.apmr.2014.10.006 / PubMed
- Connelly DM, Thomas BK, Cliffe SJ, Perry WM, Smith RE. Clinical utility of the 2-minute walk test for older adults living in long-term care. Physiother Can. 2009;61(2):78-87. doi: 10.3138/physio.61.2.78 / PubMed
- Chan WLS, Pin TW, Chou YT. Reliability, validity and minimal detectable change of 2-min walk test and 10-m walk test in frail older adults receiving day care and residential care. Aging Clin Exp Res. 2020;32(4):597-604. doi: 10.1007/s40520-019-01201-7 / PubMed
- Shirley Ryan AbilityLab. 2 Minute Walk Test. RehabMeasures Database
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


