リハ科の物品管理表|紛失・故障を減らす5つのルール

制度・実務
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リハ科の物品管理は「定位置・貸出・点検・故障対応」を決める

リハ科の物品管理では、細かな台帳を作ることよりも、定位置、表示、貸出、点検、故障時対応の5つを統一することが重要です。メジャー、ストップウォッチ、パルスオキシメーター、移乗ベルト、歩行器などは、病棟へ持ち出す機会が多く、返却場所や確認担当が曖昧だと紛失・故障・充電切れが起こります。この記事では、リハ科で使う物品を「使いたいときに使える状態」に保つための管理ルール、物品台帳、貸出管理表、点検項目、故障時の対応を現場向けに整理します。

最初に決める5つのルール

  1. 物品ごとの定位置を決める
  2. 所属と返却場所を表示する
  3. 持ち出す物品だけ貸出を記録する
  4. 日常確認と定期点検を分ける
  5. 異常を見つけたときの使用中止・報告方法を決める

リハ科で物品管理が崩れやすい理由

リハ科の物品管理が崩れやすい主な理由は、共用物品を複数の場所へ持ち出すからです。

リハ室だけでなく、病棟、ベッドサイド、屋外歩行、家族指導などでも同じ物品を使用します。そのため、保管場所だけを決めても、貸出先や返却方法が決まっていなければ所在不明になりやすくなります。

リハ科で物品管理が崩れやすい原因と対策
原因 起こりやすい問題 対策
共用物品が多い 誰が使用しているか分からない 定位置と貸出ルールを決める
病棟への持ち出しが多い 病棟やベッドサイドに残る 貸出先と返却予定を記録する
保管場所が曖昧 探す時間が増える 棚番号と物品名を表示する
点検方法が統一されていない 故障や電池切れが放置される 日常確認と定期点検を分ける
故障時の報告先が曖昧 異常のある物品が使われ続ける 使用中止表示と報告経路を決める
新人教育に含まれていない 戻し方や清掃方法が統一されない 新人オリエンテーションで共有する

療養病棟では、移乗ベルト、歩行器、パルスオキシメーターなどを病棟へ持ち出したまま、次の担当者が使用することもあります。個人の記憶に頼るのではなく、誰が見ても「どこにあり、使用できる状態か」が分かる仕組みにすることが重要です。

最初に整えたい物品管理5つのルール

物品管理は、棚番号、ラベル、貸出記録、点検、故障報告の5つから始めると運用しやすくなります。

物品を購入する段階から管理方法まで検討できる場合は、リハ科で準備したい物品・機器・用具リストも参考になります。

リハ科の物品管理で紛失や故障を防ぐ5つのルール
物品管理は、定位置・ラベル・貸出記録・点検・故障報告の5つを基本に整えます。
リハ科で最初に整えたい物品管理ルール
ルール 目的 運用例
棚番号 返却場所を明確にする 評価物品A、歩行補助具B、運動用具Cに分ける
ラベル 所属と返却場所を分かるようにする 「リハ科・評価棚Aへ返却」と表示する
貸出記録 現在の所在を確認する 日付、物品名、貸出先、担当者を記録する
点検 破損や不足を早く見つける 使用前後の確認と定期点検を分ける
故障報告 異常のある物品の再使用を防ぐ 使用中止を表示し、決めた報告先へ連絡する

すべての物品に貸出表を設ける必要はありません。棚から持ち出さない物品は定位置管理を基本とし、病棟や他部署へ移動する物品だけ貸出管理の対象にすると、記録負担を抑えられます。

5分で始める物品管理の導入フロー

初めから全部の物品を整理せず、紛失・故障時の影響が大きい物品を3〜5種類選ぶところから始めます。

  1. 対象を選ぶ:持ち出しが多い物品を3〜5種類選ぶ
  2. 定位置を決める:棚番号と返却場所を設定する
  3. 表示する:物品本体と保管場所に同じ番号を貼る
  4. 貸出項目を決める:日付・貸出先・担当者・返却確認に絞る
  5. 確認日を決める:1か月運用し、書かれない項目や戻らない物品を見直す

最初からリハ室全体を整理しようとすると、台帳作成だけで負担が大きくなります。まずはパルスオキシメーター、移乗ベルト、ストップウォッチ、タブレットなど、所在不明になると業務が止まりやすい物品から始める方が定着しやすくなります。

物品管理表に入れたい項目

物品管理表には、物品を特定し、保管場所と点検状況を追える項目を入れます。

物品管理表は科内にある物品全体を管理する台帳です。病棟へ持ち出すたびに記録する貸出管理表とは役割が異なります。

リハ科の物品管理表に入れたい基本項目
項目 記入例 目的
管理番号 REH-E-001 同じ種類の物品を識別する
物品名 パルスオキシメーター 管理対象を明確にする
型式・製品名 製品名・型式を記録 修理や消耗品購入時に確認する
数量 3台 不足や紛失を把握する
保管場所 評価棚A-2 返却場所を統一する
購入・使用開始時期 2026年4月 買い替え時期の参考にする
点検方法 使用前確認・月次確認 必要な確認方法を共有する
最終確認日 2026年7月1日 確認状況を追えるようにする
状態 使用可・貸出中・修理中・廃棄予定 現在の利用可否を把握する
備考 電池交換済み 修理や消耗品交換の履歴を残す

一般的なリハ用具では、この程度の項目から始めれば十分です。ただし、医療機器に該当するものは、院内規程、添付文書、取扱説明書、医療機器安全管理責任者の指示を優先してください。

優先して管理したいリハ物品

管理対象は、紛失しやすさだけでなく、故障時の患者安全や業務への影響で優先順位を決めます。

物品管理の優先順位を決める視点
優先度 特徴 物品例 管理方法
高い 異常が患者安全や評価結果に影響する 血圧計、パルスオキシメーター、歩行器 使用前確認、定位置、必要な点検記録
高い 病棟への持ち出しが多く、所在不明になりやすい 移乗ベルト、タブレット、ストップウォッチ 管理番号、貸出記録、返却確認
中程度 劣化すると使用できない セラバンド、重錘バンド、バランス用具 外観確認、定期的な劣化確認
低い 安価で代替しやすく、持ち出さない 収納用品、掲示用品 数量と定位置を簡易管理

なくなりやすい物品

小さく、軽く、ポケットに入り、複数部署で使用する物品は所在不明になりやすくなります。

リハ科でなくなりやすい物品と対策
物品 なくなりやすい理由 対策
メジャー 小さく、個人のポケットに入りやすい 管理番号と返却場所を表示する
ストップウォッチ 歩行評価で持ち出す機会が多い 評価棚に定位置を設ける
パルスオキシメーター 病棟と共用されやすい 所属を表示し、持ち出し時に記録する
充電器・コード 対応する端末が分からなくなる 端末と充電器に同じ管理番号を付ける
移乗ベルト 病室や病棟に置かれやすい 病棟貸出用を分ける
タブレット 複数スタッフが持ち出す 端末番号と貸出先を記録する

貸出管理表は項目を増やしすぎない

貸出管理表は、現在の所在と返却状況が分かる最小限の項目にします。

記録項目が多いと、急いで病棟へ向かう場面で記入されなくなります。まずは日付、物品名または管理番号、貸出先、担当者、返却予定、返却確認の6項目を基本にします。

リハ科の貸出管理表に入れたい項目
項目 記入例 目的
貸出日 2026年7月12日 いつ持ち出したか確認する
物品名・管理番号 移乗ベルト REH-T-002 貸出物品を特定する
貸出先 3階病棟 現在の所在を確認する
担当者 PT 〇〇 確認先を明確にする
返却予定 当日中 長期間の置きっぱなしを防ぐ
返却確認 返却済み・未返却 返却漏れを見える化する

返却予定を「使用終了時」とするだけでは、確認する時期が曖昧になります。可能であれば「当日中」「〇月〇日」「退院日」など、確認できる時期を記載します。

物品点検は日常確認と定期点検を分ける

物品点検は、使用前後に行う日常確認と、決めた時期に行う定期点検を分けます。

すべての物品を月1回だけ確認する運用では、使用時に発生した異常を次の点検日まで見逃す可能性があります。一方、毎日すべての台数を確認する運用は負担が大きく、継続しにくくなります。

日常確認と定期点検の使い分け
区分 実施時期 主な確認内容 対象例
使用前確認 使用する直前 外観、作動、汚染、付属品、電池残量 血圧計、パルスオキシメーター、歩行器
使用後確認 使用終了時 破損、汚染、付属品、返却場所 移乗ベルト、歩行補助具、運動用具
月次確認 毎月の決めた日 数量、所在、表示、電池、劣化、記録状況 共用物品、貸出物品、充電物品
定期点検 院内計画・添付文書等に従う 製品ごとに指定された保守・機能確認 点検計画の対象となる医療機器

月次確認で見る項目

月次の物品確認で見たい項目
確認項目 確認内容 記録例
数量 台帳上の数と実物が一致するか メジャー5本中5本を確認
所在 定位置または貸出先が分かるか 歩行器1台は3階病棟へ貸出中
外観 亀裂、断裂、緩み、部品外れがないか 重錘バンド1個に面ファスナーの劣化あり
作動 電源や表示が正常に作動するか タイマー3台の作動を確認
電池・充電 電池切れや充電不足がないか 予備電池を補充
清浄性 汚れやテープ残りがないか 移乗ベルトを院内手順に沿って清拭
表示 管理番号や返却場所を読めるか 剥がれたラベルを貼り替え

医療機器の点検頻度や方法は、製品によって異なります。「リハ科では月1回」と一律に決めるのではなく、添付文書、取扱説明書、院内の保守点検計画を優先してください。

充電・電池が必要な物品の管理

充電物品は、保管場所だけでなく、充電する時間と確認する担当を決めます。

電子カルテ端末、タブレット、パルスオキシメーター、血圧計、タイマーなどは、本体が存在していても、充電切れや電池切れでは使用できません。予備電池の保管場所、充電器との組み合わせ、終業時の対応を統一します。

充電・電池が必要な物品の管理ポイント
管理項目 決めておく内容 運用例
保管場所 使用後に戻す場所 施錠できる端末保管庫へ戻す
管理番号 本体と充電器の組み合わせ PC-01と充電器01を対応させる
充電時期 いつ充電するか 終業時に残量を確認して充電する
確認担当 最終確認を誰が行うか 当番が保管台数と充電状態を確認する
予備電池 種類、数量、保管場所 評価棚Aの電池ケースに保管する
異常時対応 発熱、膨張、コード損傷時の対応 使用・充電を中止して管理者へ報告する

充電器や電源タップは、製品の取扱説明書と院内の電気安全ルールに従って使用します。コードを束ねたまま通電する、破損したケーブルを使い続ける、指定外の充電器を使用するといった運用は避けます。

故障や異常を見つけたときの対応

故障時は、使用を中止し、ほかのスタッフが誤って使わない状態にすることが最優先です。

異常を見つけたときの基本手順

  1. 患者への使用を中止する
  2. 電源を切る、または使用場所から分離する
  3. 「使用中止」など、院内ルールに沿った表示を付ける
  4. 物品名、管理番号、異常内容、発見日時を記録する
  5. 科内責任者や所定の管理部門へ報告する
  6. 修理、交換、廃棄の判断が出るまで再使用しない

医療機器については、リハ科内だけで修理可否を判断せず、医療機器安全管理責任者、臨床工学部門、用度・施設部門など、院内で定められた報告経路に従います。

故障・異常報告に残したい内容
項目 記録例
発見日時 2026年7月12日 10時30分
物品名・管理番号 歩行器 REH-W-003
発見場所 3階病棟
異常内容 左側ハンドグリップに緩みあり
実施した対応 使用を中止し、リハ室の隔離場所へ移動
報告先 リハ科責任者へ報告済み
その後の処理 修理依頼中・交換済み・廃棄予定

現場の詰まりどころとよくある失敗

物品管理が続かない主な原因は、細かすぎるルールと担当者の曖昧さです。

リハ科の物品管理でよくある失敗と改善方法
よくある失敗 原因 改善方法
台帳を作っただけで終わる 確認日と担当が決まっていない 月次確認日と担当者を決める
貸出表が記入されない 項目が多く、記入場所も分かりにくい 項目を絞り、物品の近くに置く
すべての物品を同じ方法で管理する 危険度や持ち出し頻度を考慮していない 高リスク・高頻度物品から管理する
故障品が棚に戻される 使用中止品の隔離場所がない 故障品の一時保管場所を決める
担当者だけが管理する 日常の返却が全員の役割になっていない 日常管理は全員、集計確認は担当者に分ける
新人が保管場所を知らない 口頭説明だけで終わっている 棚番号と配置図を使って説明する
点検結果が購入申請につながらない 故障数や不足数が残っていない 修理・紛失・不足の履歴を台帳に残す

担当者は「全部管理する人」ではない

物品管理担当者の役割は、すべての物品を一人で戻し、清掃し、点検することではありません。

日常の返却や異常報告は使用したスタッフが行い、担当者は台帳の更新、未返却物品の確認、月次確認、修理・購入申請への集約を行います。この役割分担にすると、担当者だけに負担が集中しにくくなります。

1か月後にルールを見直す

導入した管理方法は、1か月程度運用した段階で見直します。

  • 記入されていない項目はないか
  • 貸出表を使わずに持ち出される物品はないか
  • 戻りにくい保管場所になっていないか
  • 点検対象が多すぎないか
  • 故障品の報告先が共有されているか

書かれない項目を増やすより、実際に使われる項目だけ残す方が管理は継続します。

よくある質問

各項目名をタップすると回答が開きます。

リハ科の物品点検は月1回でよいですか?

一般的な共用物品の数量、所在、表示、電池、劣化を確認する機会として、月1回は導入しやすい頻度です。ただし、使用前後に確認すべき破損や汚染まで月1回にまとめてはいけません。医療機器は、添付文書、取扱説明書、院内の保守点検計画に定められた頻度を優先します。

物品管理表と貸出管理表の違いは何ですか?

物品管理表は、科内にある物品の管理番号、数量、保管場所、状態、点検履歴などを管理する台帳です。貸出管理表は、持ち出した物品の現在地、担当者、返却予定、返却状況を確認するために使います。

物品管理表は紙とExcelのどちらがよいですか?

物品全体の台帳、修理履歴、購入時期を管理する場合はExcelなどの電子データが向いています。一方、病棟への貸出をその場で記録する場合は、物品の近くに置いた紙の貸出表が使いやすいこともあります。目的に応じて併用して構いません。

すべての物品に管理番号を付ける必要がありますか?

同じ製品が複数あり、修理履歴や貸出先を個別に追いたい物品には管理番号が役立ちます。安価な消耗品や個別管理の必要がない収納用品まで、すべてに番号を付ける必要はありません。

病棟へ貸し出した物品が戻らない場合はどうすればよいですか?

貸出先、担当者、返却予定を確認できる記録を設けます。繰り返し貸し出す物品は、リハ室用と病棟貸出用に分ける方法もあります。未返却が続く場合は、個人への注意だけでなく、返却場所や確認時期が分かりにくくないかも見直します。

物品管理は誰が担当するのがよいですか?

担当者は台帳更新や月次確認を行い、日常の返却、清掃、使用前後確認、異常報告は使用者全員で行う形が現実的です。一人だけに全作業を集中させると、不在時に管理が止まりやすくなります。

次の一手

リハ科の物品管理は、すべてを一度に台帳化するよりも、持ち出しが多い物品と、異常時に患者安全や業務へ影響する物品から始めます。まずは対象を3〜5種類選び、定位置、管理番号、貸出項目、確認日、故障時の報告先を決めてください。

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参考文献

  1. World Health Organization. Introduction to medical equipment inventory management. Geneva: World Health Organization; 2011. WHO publication
  2. World Health Organization. Inventory and maintenance management information system for medical devices. Geneva: World Health Organization; 2025. WHO publication
  3. 厚生労働省医政局総務課長ほか. 医療機器に係る安全管理のための体制確保に係る運用上の留意点について. 2021. 厚生労働省資料
  4. 厚生労働省. 医療機器に係る安全管理のための体制確保に関する資料. 厚生労働省資料

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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