2026 年版|リハ科で準備したい物品・機器・用具リスト

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2026 年版|リハ科の物品請求は「業務改善リスト」として考える

リハ科で準備する物品・機器・用具は、「なんとなく便利そうなもの」を集めるよりも、評価、運動療法、ADL 練習、安全管理、記録業務のどこを改善するかで整理すると選びやすくなります。年度末や次年度予算の物品請求では、欲しい物品名だけでなく、誰が使い、どの業務が効率化し、患者安全や記録の質にどうつながるかを説明できることが重要です。

この記事では、2026 年時点でリハ科が準備を検討したい物品を、臨床場面別に整理します。すべてを一度にそろえる必要はありません。まずは「評価の標準化」「運動療法の選択肢」「ADL・移乗・歩行練習」「記録環境」「物品管理」の 5 つに分けて、優先順位をつけると現場で使える物品請求リストになります。

リハ科の物品整備は、働き方の見直しにもつながります

物品不足、記録時間の圧迫、教育体制のばらつきが続く場合は、職場環境そのものを見直す視点も大切です。

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まず優先したい物品請求の考え方

物品請求では、「古くなったから買い替える」「他施設にあるから欲しい」だけでは通りにくいことがあります。申請時は、使用場面、対象患者、期待できる効果、管理方法までセットで説明すると、リハ科としての必要性が伝わりやすくなります。

特に 2026 年以降は、リハ内容の要点、開始時刻、終了時刻などの記録を確実に残す体制も重要です。用具そのものだけでなく、電子カルテ端末、記録スペース、物品保管庫、チェックリストなども、リハの質を支える環境整備として考えるとよいでしょう。

リハ科物品請求の優先順位

リハ科の物品請求で整理したい優先順位
優先度 目的 代表例 申請時の説明例
安全管理・急変対応 血圧計、パルスオキシメーター、移乗ベルト 離床前後の状態確認、転倒予防、介助者の安全確保に必要
評価の標準化 角度計、メジャー、ストップウォッチ、握力計 評価値を統一し、経時変化や退院支援に活用する
運動療法の選択肢を増やす セラバンド、重錘、ステップ台、バランスパッド 患者の能力に応じた負荷調整と自主練習指導に使う
ADL・移乗・歩行練習 歩行器、杖、段差台、スライディングボード 退院後生活を想定した練習環境を整える
記録・業務効率化 ノート PC、タブレット、昇降デスク、保管庫 記録漏れを防ぎ、リハ室内で完結できる業務環境を整える

評価に必要な基本物品

評価物品は、リハ科の土台です。角度計、メジャー、ストップウォッチ、握力計、血圧計、パルスオキシメーターなどは、どの病期・どの疾患でも使用頻度が高く、標準化しやすい物品です。まずは各スタッフが同じ条件で測定できる環境を整えることが大切です。

不足しやすいのは、安価だけれど使用頻度が高い物品です。メジャーやストップウォッチが少ないと、評価のたびに探す時間が発生します。評価の全体像は リハビリ評価ハブ にまとめているため、物品リストと評価項目を対応させて整理すると請求理由を作りやすくなります。

評価に必要な基本物品リスト
物品 主な用途 優先度 確認ポイント
角度計 ROM 測定 大・中・小サイズを用途別にそろえる
メジャー 周径、歩行距離、座面高、環境測定 複数本あると評価待ちを減らせる
ストップウォッチ TUG、10 m 歩行、片脚立位、6 分間歩行 スマホ依存にせず、共用物品として管理する
握力計 筋力、フレイル、栄養評価の補助 校正、電池、保管場所を決めておく
血圧計 離床前後、起立性低血圧、運動負荷前後 上腕式を基本にし、カフサイズも確認する
パルスオキシメーター SpO2、脈拍、運動時の呼吸循環確認 病棟用とリハ室用を分けると紛失しにくい

運動療法で準備したい用具

運動療法用具は、患者の能力に合わせて負荷量を調整できるものを優先します。セラバンド、重錘、ボール、ステップ台、バランスパッドなどは、筋力、持久力、バランス、協調性、立ち上がり動作の練習に応用しやすい物品です。

新しい機器を増やす場合は、「誰でも安全に使えるか」「自主練習に流用できるか」「保管しやすいか」まで確認します。高価な機器よりも、使用頻度が高く、複数患者に使えて、清掃・管理しやすい用具の方が現場では活躍しやすいです。

運動療法で使いやすい用具リスト
用具 使いやすい場面 メリット 注意点
セラバンド 上肢・下肢筋力練習、自主練習 安価で負荷調整しやすい 劣化、断裂、色別負荷の説明が必要
重錘バンド 下肢筋力練習、反復練習 負荷量を明確にしやすい 皮膚状態、装着位置、過負荷に注意
ステップ台 階段練習、段差昇降、下肢筋力練習 退院後生活に直結しやすい 高さ、滑り止め、手すり環境を確認する
バランスパッド 立位バランス、荷重練習 難易度調整に使いやすい 転倒リスクが高い患者では介助体制を整える
ペダル運動器 低負荷の下肢運動、持久力練習 座位で実施しやすい 固定性、足部ベルト、疲労の確認が必要
エルゴメーター 有酸素運動、心肺機能、運動耐容能 負荷量を管理しやすい 設置場所、転倒予防、清掃ルールが必要

ADL・移乗・歩行練習に必要な物品

ADL・移乗・歩行練習の物品は、退院後の生活を想定して選びます。歩行器、杖、段差台、移乗ベルト、スライディングボード、模擬トイレ環境などは、動作練習と介助指導の両方に使えるため、病棟・リハ室・家族指導で活用しやすい物品です。

特に移乗や歩行の用具は、患者の能力だけでなく、介助者の負担軽減にも関係します。物品請求時は「転倒予防」「介助量の軽減」「退院前指導」「病棟との共通練習」という言葉で整理すると、必要性が伝わりやすくなります。

ADL・移乗・歩行練習で準備したい物品
物品 用途 請求理由の例 管理ポイント
移乗ベルト 立ち上がり、移乗、歩行介助 介助者の把持位置を安定させ、転倒予防に使う サイズ、バックル、洗浄ルールを決める
スライディングボード ベッド・車椅子間移乗 介助量軽減と皮膚トラブル予防に活用する 耐荷重、摩耗、保管場所を確認する
歩行器 歩行練習、退院前の補助具選定 能力に応じた歩行補助具の選定に必要 高さ調整、ブレーキ、ゴム先を点検する
T 字杖、多点杖の練習 退院後の歩行補助具選定と指導に使う 高さ、ゴム先、使用方法を統一する
段差台 玄関、浴室、屋外段差の練習 生活環境に近い段差練習を行う 高さ違いを複数用意できると便利
模擬トイレ環境 トイレ動作、方向転換、下衣操作 退院前 ADL 練習と家族指導に使う 手すり位置、便座高、車椅子動線を確認する

物品請求を通しやすくする書き方

物品請求書では、物品名だけでなく「現状の困りごと」と「導入後の改善点」をセットで書くと説得力が高まります。たとえば「パルスオキシメーターが不足している」ではなく、「離床前後の SpO2 確認に待ち時間が発生し、リハ実施前後の状態確認が遅れる」と書く方が必要性が伝わります。

また、購入希望数は「スタッフ数」「同時使用場面」「病棟貸出の有無」「予備機の必要性」から逆算します。高額物品は、いきなり全数購入ではなく、まず 1 台導入して使用頻度や効果を確認し、次年度以降に追加申請する方法も現実的です。

物品請求が通りやすい書き方3点

物品請求書に使いやすい説明テンプレート
書く項目 記載例 ポイント
現状の課題 評価用ストップウォッチが不足し、TUG や 10 m 歩行の測定時に物品待ちが発生している 困りごとを具体的に書く
導入目的 評価の標準化と測定待ち時間の削減を目的に、リハ室用として追加配備する 患者・スタッフ双方の利点を書く
使用対象 脳卒中、整形外科術後、廃用症候群、フレイル患者の歩行評価で使用する 対象疾患・場面を示す
期待される効果 評価時間の短縮、経時変化の把握、退院前評価の標準化につながる 業務改善・安全・質の観点を入れる
管理方法 リハ室評価棚で管理し、月 1 回の物品点検表で確認する 買った後の運用まで書く

電子カルテ・記録業務のために準備したい環境

近年のリハ科では、運動用具だけでなく、記録環境の整備も重要です。電子カルテ端末が少ない、リハ室で記録できない、物品保管場所が決まっていない状態では、記録漏れや残業、申し送りの遅れにつながります。

疾患別リハビリテーションでは、機能訓練の内容の要点や実施時刻の記録が求められます。物品請求では、ノート PC、タブレット、昇降デスク、鍵付き保管庫、プリンター周辺機器なども、リハの質と業務効率を支える設備として整理するとよいでしょう。

記録業務・電子カルテ運用で準備したい物品
物品・設備 目的 導入メリット 注意点
ノート PC リハ室・病棟での記録 記録待ち時間を減らし、実施後すぐ記載しやすい 台数、ログイン管理、持ち出しルールを決める
タブレット端末 ベッドサイド記録、説明資料確認 病棟移動中でも情報確認しやすい 落下、感染対策、入力しやすさを確認する
昇降デスク 立位・座位での記録作業 リハ室内で記録しやすく、姿勢負担を減らせる 設置スペース、配線、耐荷重を確認する
鍵付き保管庫 PC、測定機器、個人情報資料の保管 紛失防止と物品管理に役立つ 鍵管理、棚割り、貸出ルールを作る
プリンター・ラミネーター 自主練習表、評価表、掲示物作成 患者指導やスタッフ教育に使いやすい 個人情報を含む印刷物の管理に注意する

現場の詰まりどころ:買ったのに使われない物品を防ぐ

リハ科の物品請求でよくある失敗は、「買ったのに使われない」「使い方が共有されない」「置き場所がなくなる」の 3 つです。特に新しい運動機器や評価機器は、導入直後に使い方を共有しないと、一部のスタッフだけが使う物品になりやすいです。

物品を増やすときは、購入前から運用を決めておくことが重要です。誰が初回説明をするか、どの患者に使うか、記録にはどう残すか、点検は誰が行うかを決めておくと、物品が「置物」になりにくくなります。

リハ科の物品導入でよくある失敗と対策
よくある失敗 起こりやすい理由 対策
購入後に使われない 使う場面と対象患者が決まっていない 導入前に「使用場面リスト」を作る
一部のスタッフしか使えない 使用方法の共有が不十分 5 分のミニ勉強会や写真付き手順書を作る
物品が行方不明になる 保管場所と貸出ルールが曖昧 棚ラベル、貸出表、返却場所を固定する
破損したまま使われる 点検担当が決まっていない 月 1 回の点検表と交換基準を作る
同じ物品を重複購入する 在庫数を把握していない 年度末に棚卸しし、更新候補と追加候補を分ける

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

リハ科の物品請求で最初に優先すべきものは何ですか?

まずは、安全管理と評価の標準化に関わる物品を優先します。血圧計、パルスオキシメーター、角度計、メジャー、ストップウォッチ、握力計、移乗ベルトなどは使用頻度が高く、患者安全や評価の質に直結しやすい物品です。

高額な運動機器は年度末に申請した方がよいですか?

高額機器は、使用目的、対象患者、設置場所、管理方法、費用対効果を説明できる状態で申請するのが基本です。まずは使用頻度の高い基本物品を整えたうえで、エルゴメーターなどの高額機器は段階的に導入を検討すると現実的です。

電子カルテ用の PC や昇降デスクもリハ科の物品請求に入れてよいですか?

施設のルールによりますが、リハ業務に必要な記録環境として整理できる場合は、請求候補になります。特にリハ内容、実施時刻、評価結果、申し送りを速やかに記録するための環境整備として説明すると、単なる備品ではなく業務改善の物品として位置づけやすくなります。

物品数はスタッフ人数分そろえる必要がありますか?

すべてを人数分そろえる必要はありません。使用頻度、同時使用の場面、病棟貸出の有無、予備の必要性から逆算します。メジャーやストップウォッチのように安価で使用頻度が高い物品は複数配備し、握力計やエルゴメーターのような物品は共用管理でも運用できます。

物品請求が通りにくいときはどう書けばよいですか?

「欲しい理由」ではなく「現状の課題」と「導入後の改善」を書くのがポイントです。たとえば、評価待ち時間の削減、転倒予防、記録漏れの防止、退院前指導の標準化、病棟との共通練習など、患者安全と業務改善に結びつけて説明します。

次の一手

リハ科の物品請求は、単なる買い物リストではなく、現場の業務を整えるための計画です。まずは評価物品、安全管理物品、ADL・移乗・歩行練習用具、記録環境に分けて、現在不足しているものを棚卸ししてみてください。

あわせて、リハ記録の運用を整える場合は リハ実施時刻と記録の考え方、評価項目を整理する場合は リハビリ評価ハブ も確認しておくと、物品請求の理由づけが作りやすくなります。

物品や記録の工夫だけでは解決しにくい場合は、教育体制、記録文化、人員配置、業務量の偏りも点検が必要です。環境面の詰まりを整理したい場合は、無料チェックシート も活用してください。


参考文献

  1. 厚生労働省. 令和 6 年度診療報酬改定の概要【個別改定事項 I】. 2024. https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001251539.pdf
  2. 厚生労働省. 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について. 令和 6 年 3 月 5 日. https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001293317.pdf
  3. PT-OT-ST.NET. 第 7 部リハビリテーション|令和 6 年診療報酬改定情報. https://www.pt-ot-st.net/contents4/medical-treatment-reiwa-6/department/2571

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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