疾患別リハビリテーション料の起算日は区分によって異なる
疾患別リハビリテーション料の標準的算定日数は、すべて入院日やリハビリ開始日から数えるわけではありません。
脳血管疾患等・運動器リハビリテーション料では、発症、手術、急性増悪または最初に診断された日が基準です。一方、心大血管疾患・呼吸器リハビリテーション料は治療開始日、廃用症候群リハビリテーション料は廃用症候群の診断または急性増悪が基準となります。
この記事では、疾患別リハビリテーション料の起算日を区分別に整理し、転院、再発、手術、廃用症候群など、実務で判断に迷いやすい場面の確認方法を解説します。
疾患別リハビリテーション料の起算日一覧
標準的算定日数の起算日は、次のように区分ごとに定められています。

| 疾患別リハ区分 | 標準的算定日数 | 標準的算定日数の起算日 |
|---|---|---|
| 心大血管疾患リハビリテーション料 | 150日 | 治療開始日 |
| 脳血管疾患等リハビリテーション料 | 180日 | 発症、手術、急性増悪または最初に診断された日 |
| 廃用症候群リハビリテーション料 | 120日 | 廃用症候群の診断または急性増悪 |
| 運動器リハビリテーション料 | 150日 | 発症、手術、急性増悪または最初に診断された日 |
| 呼吸器リハビリテーション料 | 90日 | 治療開始日 |
実務では「骨折だから必ず受傷日」「手術をしたから必ず手術日」と、職種だけで機械的に決めるのではなく、対象疾患、今回の治療、医師の診断、診療録上の起点を確認します。
標準的算定日数の超過後の扱いまで確認したい場合は、標準的算定日数とは?疾患別リハの見方と13単位の考え方をご覧ください。
起算日とは標準的算定日数を数え始める基準日
起算日は、疾患別リハビリテーション料を算定できる標準的な期間を数え始める日です。
標準的算定日数は、実際にリハビリテーションを実施した日数や単位数の合計ではありません。起算日から暦日で経過する期間として管理します。
そのため、起算日からリハビリ開始まで日数が空いていても、その期間を除外して標準的算定日数を数え直すわけではありません。
起算日を確認するときの基本
入院日、リハビリ開始日、発症日、手術日をすべて並べたうえで、対象となる疾患別リハビリテーション料の規定に該当する日を確認します。
入院日やリハビリ開始日が起算日とは限らない
標準的算定日数の起算日は、院内でリハビリを開始した日とは別に確認します。
入院日は患者が医療機関へ入った日
入院日と疾患の発症日が同じであれば、結果として日付が一致することがあります。しかし、転院患者や発症後しばらく経過して入院した患者では一致しません。
例えば、脳梗塞発症後に急性期病院から転院した場合、自院への転院日ではなく、発症、手術、急性増悪または最初に診断された日の情報を引き継いで確認します。
リハビリ開始日は実施を開始した日
リハビリ開始日は、疾患別リハビリテーションを初めて実施した日です。
全身状態、手術待機、安静指示などにより介入開始が遅れても、標準的算定日数がリハビリ開始日から一律に始まるとは限りません。
治療開始日は診療録上で確認する
心大血管疾患リハビリテーション料と呼吸器リハビリテーション料では、標準的算定日数を治療開始日から数えます。
ここでいう治療開始日を、リハビリ職が独自に発症日や入院日へ置き換えるのは適切ではありません。医師の診断、治療経過、リハビリテーション実施計画書、医事部門の登録内容を確認します。
脳血管疾患等リハは発症・手術・急性増悪・初回診断日を確認する
脳血管疾患等リハビリテーション料の標準的算定日数は、発症、手術、急性増悪または最初に診断された日から180日です。
脳梗塞・脳出血では発症日の確認が基本
脳梗塞や脳出血では、診療情報提供書、救急搬送記録、入院時診療録などから発症日を確認します。
発症日と自院入院日が異なる転院患者では、自院の入院日から新たに180日を数えるわけではありません。
発症日が明確でない疾患では初回診断日も確認する
神経疾患など、明確な発症時点を特定しにくい場合には、最初に診断された日が起算日に関係します。
症状が出始めた日を推測で登録するのではなく、医師がいつ診断したかを診療録で確認します。
再発・急性増悪では起算日が再設定される場合がある
脳梗塞の再発など、新たな疾患の発症、再発または急性増悪が認められた場合は、リハビリテーション起算日が再設定されることがあります。
ただし、症状が一時的に変動しただけで自動的に起算日を変更できるわけではありません。新たな診断、再発・急性増悪の医学的判断、診療録への記載を確認します。
運動器リハも発症・手術・急性増悪・初回診断日が基準
運動器リハビリテーション料の標準的算定日数は、発症、手術、急性増悪または最初に診断された日から150日です。
骨折では受傷日と診断日を整理する
骨折では、受傷日、初診日、診断日、入院日、手術日が異なることがあります。
診療録には各日付を分けて記載し、今回の運動器リハビリテーション料の起算日としてどの日が登録されているかを確認します。
手術を行った場合は手術日も起算日になり得る
骨接合術や人工関節置換術などを行った場合、手術日が起算日の基準となり得ます。
ただし、「手術を行えば、それまでの起算日が必ず自動的に更新される」とは限りません。対象となる手術と治療経過を医師・医事部門と確認します。
慢性運動器疾患では初回診断日や急性増悪を確認する
変形性関節症などの慢性疾患では、症状が長期間続いているだけでは急性増悪と判断できません。
今回の状態変化が医学的に急性増悪と診断されているか、または最初に診断された日を使用するのかを確認します。
廃用症候群リハは廃用症候群の診断日または急性増悪日から数える
廃用症候群リハビリテーション料の標準的算定日数は、原因疾患の発症日ではなく、廃用症候群の診断または急性増悪から120日です。
肺炎、心不全、手術などは廃用を生じた原因として重要ですが、標準的算定日数の起算日は、廃用症候群として診断された日または廃用症候群の急性増悪日を確認します。
原因疾患と廃用症候群の診断日を分けて記録する
廃用症候群では、次の日付が異なる場合があります。
- 原因疾患の発症・増悪日
- 入院日
- 安静や臥床が始まった日
- ADL低下が確認された日
- 廃用症候群と診断された日
- 廃用症候群リハを開始した日
これらを同じ日付として扱わず、原因疾患、安静期間、能力低下、廃用症候群の診断を診療録上でつなげて確認します。
廃用症候群では診断根拠の記録が重要
廃用症候群リハビリテーション料を算定する場合は、単に「活動量が低下した」という説明だけでなく、原因となった急性疾患等、安静の経過、基本動作・ADLの低下、廃用症候群と判断した根拠を整理します。
起算日だけでなく、廃用症候群に係る評価表や月ごとの評価についても、院内の運用と最新の通知を確認してください。
心大血管・呼吸器リハは治療開始日を確認する
心大血管疾患リハビリテーション料と呼吸器リハビリテーション料は、標準的算定日数を治療開始日から数えます。
| 区分 | 標準的算定日数 | 起算日 |
|---|---|---|
| 心大血管疾患リハビリテーション料 | 150日 | 治療開始日 |
| 呼吸器リハビリテーション料 | 90日 | 治療開始日 |
対象疾患の発症日、手術日、急性増悪日は、各種加算や治療経過を確認するうえで重要です。しかし、標準的算定日数については、点数表上の「治療開始日」を基準に確認します。
心不全増悪日や肺炎発症日を、リハビリ職の判断だけで治療開始日として登録せず、医師記録と院内の算定情報を照合することが必要です。
標準的算定日数と各種加算の起算日を混同しない
疾患別リハビリテーション料には、標準的算定日数とは別に、早期・初期・急性期・休日リハビリテーション加算などの期間があります。
これらは名称や対象期間が似ていますが、同じ起算日を使うとは限りません。
令和8年度改定後の注意
早期リハビリテーション加算は、原則として入院した日から14日を限度とする仕組みに変更されています。他院から転院した患者では、転院前の医療機関へ入院した日を起算日とします。ただし、これは標準的算定日数の起算日が一律に入院日へ変更されたという意味ではありません。
院内システムで「起算日」とだけ表示されている場合は、それが標準的算定日数、早期リハ加算、初期加算、急性期加算のどの起算日を指しているか確認してください。
起算日で迷いやすいケース
迷ったときは、日付を推測するのではなく、該当する区分の規定と診療録を照合します。
脳梗塞後に他院から転院した場合
自院の入院日やリハビリ開始日ではなく、脳梗塞の発症、手術、急性増悪または最初に診断された日を確認します。
診療情報提供書に発症日が記載されていない場合は、紹介元へ確認するなどして、根拠のない日付を登録しないようにします。
骨折から数日後に手術した場合
受傷日、診断日、手術日をそれぞれ確認します。
手術が行われたという理由だけで自動的に起算日を変更せず、今回の治療と算定上の起点を医師記録および医事部門で確認します。
肺炎後に廃用症候群と診断された場合
肺炎の発症日と、廃用症候群の診断日は分けて整理します。
廃用症候群リハビリテーション料の標準的算定日数は、廃用症候群の診断または急性増悪から120日です。肺炎発症日をそのまま起算日とする説明は避けます。
同じ疾患が再発・急性増悪した場合
新たな疾患の発症、再発または急性増悪により、起算日が再設定される場合があります。
再設定には、再発・急性増悪についての医学的な判断と診療録上の根拠が必要です。状態が悪くなったというリハビリ記録だけで自動的に再設定しないようにします。
起算日を確認する実務チェック
起算日を確認するときは、次の項目を順番に整理すると判断しやすくなります。
| 確認項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 算定する疾患別リハ区分 | 心大血管、脳血管疾患等、廃用症候群、運動器、呼吸器のどれか |
| 対象疾患・状態 | 今回の疾患別リハの対象となる診断名と状態 |
| 発症・手術・急性増悪日 | 脳血管疾患等・運動器リハなどの基準日候補 |
| 最初に診断された日 | 明確な発症時点がない疾患を含めて確認 |
| 治療開始日 | 心大血管・呼吸器リハの標準的算定日数で確認 |
| 廃用症候群の診断・急性増悪日 | 廃用症候群リハの標準的算定日数で確認 |
| 紹介元の起算日 | 転院患者で起算日を引き継ぐ必要がある場合に確認 |
| 医師・医事部門の記録 | 診療録、実施計画書、院内システム、レセプト登録を照合 |
判断に迷う場合は、リハビリ専門職だけで決定せず、医師、医事部門、リハビリテーション部門の管理者で確認します。
よくある質問
Q. 疾患別リハビリテーション料の起算日は入院日ですか?
A. 標準的算定日数の起算日は、一律に入院日ではありません。脳血管疾患等・運動器リハでは発症、手術、急性増悪または最初に診断された日、心大血管・呼吸器リハでは治療開始日、廃用症候群リハでは廃用症候群の診断または急性増悪を確認します。
Q. リハビリ開始日から標準的算定日数を数えますか?
A. 必ずしもリハビリ開始日からではありません。全身状態などの理由で介入開始が遅れた場合でも、該当する区分の起算日から標準的算定日数が進んでいることがあります。
Q. 廃用症候群リハの起算日は原因疾患の発症日ですか?
A. 標準的算定日数については、廃用症候群の診断または急性増悪から120日です。原因疾患の発症日は、廃用へ至った経過や各種加算を確認するうえで重要ですが、標準的算定日数の起算日とは分けて考えます。
Q. 手術を受けると起算日は必ず手術日に変わりますか?
A. 手術日は起算日の基準になり得ますが、手術を受けたすべてのケースで自動的に起算日が更新されるとは限りません。対象疾患、手術内容、医師の診断、診療録を確認します。
Q. 再発や急性増悪があれば起算日はリセットされますか?
A. 新たな疾患の発症、再発または急性増悪により、起算日が再設定される場合があります。ただし、状態変化だけで自動的にリセットされるものではなく、医学的判断と診療録上の根拠が必要です。
まとめ:区分ごとの公式な起算日を確認する
疾患別リハビリテーション料の標準的算定日数は、入院日やリハビリ開始日から一律に数えるものではありません。
- 心大血管疾患リハ:治療開始日から150日
- 脳血管疾患等リハ:発症、手術、急性増悪または最初に診断された日から180日
- 廃用症候群リハ:廃用症候群の診断または急性増悪から120日
- 運動器リハ:発症、手術、急性増悪または最初に診断された日から150日
- 呼吸器リハ:治療開始日から90日
転院、手術、再発、急性増悪などで判断に迷う場合は、対象区分、医師の診断、診療情報提供書、院内システムの登録内容を照合します。
疾患別リハビリテーション料の対象疾患や区分全体を確認したい場合は、疾患別リハビリテーション料とは?5区分・日数・単位をわかりやすく解説をご覧ください。
職場ごとの制度運用や教育体制も確認したい方へ
起算日や算定ルールを個人だけで抱えず、医師・医事部門と確認できる体制があるかも、働きやすさを左右する要素です。
参考資料
- 厚生労働省.令和8年度診療報酬改定について.
- 厚生労働省.令和8年度医科診療報酬点数表.
- 厚生労働省.令和8年度診療報酬改定に係る疑義解釈資料の送付について.
- 厚生労働省.令和8年度診療報酬改定項目の概要.
- PT-OT-ST.NET.令和8年診療報酬改定情報.
本記事は制度の概要を整理したものです。個別症例の算定可否は、最新の告示・通知・疑義解釈および管轄の地方厚生局、院内医事部門へご確認ください。

