褥瘡ドレッシング材の選び方・使い方|滲出液・深さ・感染から判断する

臨床手技・プロトコル
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  1. 褥瘡ドレッシング材は「商品名」ではなく必要な機能から選ぶ
  2. ドレッシング材を選ぶ前に確認する5項目
  3. 滲出液から「保湿・吸収・保持」の方向性を決める
  4. ドレッシング材の種類と特徴を機能から整理する
  5. ポリウレタンフィルムは浅い創の保護や二次ドレッシングに使う
  6. ハイドロコロイドは創面保護と湿潤保持を得意とする
  7. ハイドロジェルは乾燥した創に水分を補う
  8. ポリウレタンフォームは滲出液の吸収・保持を得意とする
  9. ハイドロファイバーは滲出液を吸収し創腔へ適合させる
  10. アルギン酸塩は吸収性が高く滲出液の多い創で候補になる
  11. 脆弱な皮膚ではソフトシリコンなど剥離刺激も考える
  12. 感染・壊死があるときは滲出液だけで選ばない
  13. 乾燥した黒色壊死を見たら血流と部位も確認する
  14. 深い創やポケットでは「表面を覆うだけ」にしない
  15. ドレッシング材を貼った後は4項目で適合を再評価する
    1. 1.漏れていないか
    2. 2.創周囲皮膚が浸軟していないか
    3. 3.創面が乾燥・固着していないか
    4. 4.交換そのものが皮膚損傷になっていないか
  16. ドレッシング材の交換頻度は「毎日」「○日ごと」で固定しない
  17. 褥瘡ドレッシング材でよくある5つの選び方の失敗
    1. 部位だけで商品を固定する
    2. 滲出液だけで決める
    3. 乾燥した壊死をすべて湿潤化する
    4. 漏れや浸軟があっても同じ材料を続ける
    5. ドレッシング材を除圧の代わりにする
  18. 治療用ドレッシングと予防的ドレッシングは分けて考える
  19. 褥瘡ドレッシング材の選び方に関するFAQ
    1. 滲出液が多ければポリウレタンフォームを選べばよいですか?
    2. ハイドロコロイドは感染した褥瘡にも使えますか?
    3. 黒色壊死にはハイドロジェルを使えばよいですか?
    4. ドレッシング材は毎日交換した方がよいですか?
  20. まとめ|「何を貼るか」より「何が必要か」から選ぶ
  21. 参考文献

褥瘡ドレッシング材は「商品名」ではなく必要な機能から選ぶ

褥瘡のドレッシング材は、「仙骨部だからこの製品」「滲出液が多いからフォーム」と商品名や1つの所見だけで固定するのではなく、創の状態を評価し、いま必要な機能から選ぶことが基本です。

実務では、まず感染や血流の問題を見落としていないか確認し、そのうえで滲出液→深さ・空洞→創床→周囲皮膚を整理すると、材料を絞り込みやすくなります。

さらに重要なのが、貼付して終わりにしないことです。交換時に漏れや浸軟、乾燥・固着、剥離刺激などを確認し、現在のドレッシング材を継続するか、別の機能を持つ材料へ変更するかを判断します。

褥瘡ドレッシング材の選び方。感染・血流を確認し、滲出液、深さ・空洞、必要な機能、交換時の再評価へ進む流れ

日本皮膚科学会の「創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン(2023)」でも、滲出液量はドレッシング材を使い分ける重要な判断材料の1つです。ただし、滲出液だけではなく、感染、壊死組織、深さなども含めて局所状態を評価する必要があります。

この記事では個別の商品ランキングではなく、目の前の褥瘡を見て「何を貼るか」ではなく「何が必要か」を判断するための考え方を整理します。

ポイント:ドレッシング材の選択は、創の状態から必要な機能を決め、交換時の反応からもう一度見直すところまでが1セットです。

ドレッシング材を選ぶ前に確認する5項目

ドレッシング材を選ぶ前には、少なくとも感染・炎症、滲出液、深さ・空洞、創床、周囲皮膚を確認します。とくに滲出液だけで材料を決めると、感染や壊死、虚血、ポケットなど、治療方針そのものに影響する所見を見落とす可能性があります。

ドレッシング材選択前に確認する項目
確認項目 主な観察 選択への影響
感染・炎症 発赤、熱感、腫脹、疼痛、排膿、悪臭、滲出液の変化、全身状態など 感染評価や治療を優先し、材料だけで解決しようとしない
滲出液 少量・中等量・多量、漏れ、性状 保湿、吸収、保持に必要な能力を考える
深さ・空洞 浅い・深い、ポケット、死腔 創面への適合や二次ドレッシングの必要性を考える
創床 肉芽、上皮化、壊死組織など 保護、湿潤保持、壊死への対応などを検討する
周囲皮膚 浸軟、乾燥、発赤、脆弱性、剥離刺激 粘着面、固定方法、周囲皮膚保護も含めて選ぶ

DESIGN-R®2020を使用している施設であれば、D(深さ)、E(滲出液)、I(炎症/感染)、G(肉芽)、N(壊死)、P(ポケット)の評価が、この判断とつながります。

DESIGN-R®2020そのものの採点方法は、DESIGN-R®2020の採点方法|7項目と合計点で詳しく整理しています。

滲出液から「保湿・吸収・保持」の方向性を決める

滲出液量は、ドレッシング材を絞り込むときの重要な入口です。創面を適度な湿潤環境に保つには、創から出る水分量とドレッシング材の吸収・保持能力のバランスを考える必要があります。

滲出液と必要な機能の考え方
創の状態 必要な方向性 主な候補
乾燥傾向 水分を補い、乾燥を防ぐ ハイドロジェルなど
滲出液が少ない 創面保護と湿潤保持 ハイドロコロイド、条件によりフィルムなど
滲出液が中等量〜多い 吸収・保持 ポリウレタンフォームなど
滲出液が多く深さがある 滲出液を吸収しながら創腔へ適合 ハイドロファイバー、アルギン酸塩など

ただし、この表は「この所見なら必ずこの材料」と決める早見表ではありません。

例えば乾燥しているからといって、すべての創を積極的に湿潤化するわけではありません。踵部の安定した乾燥壊死や血流障害が疑われる創では、血流や感染、治療目標を確認したうえで方針を決める必要があります。

また、滲出液が多くても、深い創腔やポケットがあれば表面を吸収材で覆うだけでは十分とは限りません。

滲出液は選択の入口であり、最終決定ではないと考えることが大切です。

ドレッシング材の種類と特徴を機能から整理する

ドレッシング材は製品名を1つずつ覚えるよりも、何を得意とする材料なのかで整理した方が、創の状態が変化したときにも応用しやすくなります。

代表的なドレッシング材の特徴
種類 主な特徴 確認したいこと
ポリウレタンフィルム 薄く透明で、創面保護や二次ドレッシングとして使用する 滲出液が貯留していないか
ハイドロコロイド 滲出液を吸収してゲル化し、湿潤環境を維持する 滲出液量が吸収能力を超えていないか
ハイドロジェル 水分を含み、乾燥した創へ水分を補う 感染や虚血、部位を確認したか
ポリウレタンフォーム 滲出液を吸収・保持する 漏れ、浸軟、過度な乾燥がないか
ハイドロファイバー 滲出液を吸収してゲル化し、深さのある創にも使用される 創腔への適合、二次ドレッシングの必要性
アルギン酸塩 吸収性が高く、滲出液を吸収してゲル化する 滲出液量、創の深さ、出血など
ソフトシリコン 皮膚との接着面などに用いられ、剥離刺激を抑えやすい 脆弱な周囲皮膚や剥離時の刺激

ポリウレタンフィルムは浅い創の保護や二次ドレッシングに使う

ポリウレタンフィルムは透明な薄い膜状の材料で、浅い創面の保護や、他の材料を固定する二次ドレッシングとして使われます。

透明なため創部や周囲皮膚を観察しやすいことが利点ですが、滲出液を大量に吸収する材料ではありません。

フィルム内に滲出液が貯留したり、周囲皮膚に浸軟がみられたりする場合は、現在の創に必要な吸収能力と合っているかを再評価します。

ハイドロコロイドは創面保護と湿潤保持を得意とする

ハイドロコロイドは滲出液を吸収するとゲル化し、創面を保護しながら湿潤環境を維持する材料です。

滲出液が少量から中等量程度の創で候補になりますが、滲出液が多い創では吸収能力を超え、漏れや周囲皮膚の浸軟につながることがあります。

そのため交換時には、単に「剥がれていないから継続」と判断するのではなく、滲出液の広がりや創周囲皮膚まで確認します。

ハイドロジェルは乾燥した創に水分を補う

ハイドロジェルは水分を多く含み、乾燥した創へ水分を補う目的で使われる材料です。乾燥した壊死組織に対し、湿潤環境をつくって自己融解を促す目的で使用される場合があります。

ただし、「黒色壊死=ハイドロジェル」ではありません。

とくに踵部の安定した乾燥壊死や血流障害が疑われる創では、積極的に湿潤化する前に、血流、感染、治療目標を確認する必要があります。

ポリウレタンフォームは滲出液の吸収・保持を得意とする

ポリウレタンフォームは、滲出液を吸収し、内部に保持することを得意とする材料です。滲出液が中等量から多い創で候補になります。

一方、吸収能力には限界があります。交換時には次の状態を確認します。

  • ドレッシング材の外へ滲出液が漏れていないか
  • 創周囲皮膚が白く浸軟していないか
  • 反対に創面が乾燥していないか
  • 現在の交換間隔で吸収能力が足りているか

漏れや浸軟は単なる貼り方の問題ではなく、現在の材料や交換条件が創の滲出液量に合っていないサインとして捉えます。

ハイドロファイバーは滲出液を吸収し創腔へ適合させる

ハイドロファイバーは滲出液を吸収するとゲル状になり、滲出液を処理しながら創面へ適合させやすい材料です。

深さのある創では創腔へ適合させ、その上から二次ドレッシングを使用する場合があります。

ただし、創腔へ使用する量や方法は製品によって異なります。強く詰め込むのではなく、製品の添付文書や院内手順に従い、交換時には材料の取り残しがないかも確認します。

アルギン酸塩は吸収性が高く滲出液の多い創で候補になる

アルギン酸塩は滲出液を吸収してゲル状に変化する材料で、吸収性が高いことが特徴です。製品によっては止血を補助する特性もあります。

滲出液量、創の深さ、出血の有無などを確認しながら選択します。

ハイドロファイバーと同様に、深い創へ使用する場合には、創腔への適合方法や二次ドレッシングの組み合わせまで含めて考えます。

脆弱な皮膚ではソフトシリコンなど剥離刺激も考える

ドレッシング材が創面に合っていても、交換のたびに周囲皮膚を損傷していれば、局所管理全体として適切とはいえません。

とくに高齢者では、皮膚が薄い、乾燥している、浮腫がある、テープを繰り返し貼っているといった条件が重なりやすく、剥離時の刺激にも注意が必要です。

ソフトシリコンは「滲出液を吸収する材料の種類」というより、皮膚との接着面などに使用される素材として理解すると分かりやすくなります。

吸収力だけでなく、交換時に周囲皮膚を傷つけにくいかという視点も、ドレッシング材選択の重要な判断軸です。

感染・壊死があるときは滲出液だけで選ばない

感染や壊死組織を伴う褥瘡では、「滲出液が多いから吸収力の高い材料を貼る」という判断だけでは不十分です。

感染が疑われる場合には、局所感染だけでなく全身への波及も含めて評価し、必要に応じて感染制御や壊死組織への対応などを優先します。

確認したい所見には、発赤、熱感、腫脹、疼痛、排膿、悪臭、滲出液の増加や性状変化、創の急速な悪化、全身状態の変化などがあります。

銀など抗菌作用を持つ成分を含むドレッシング材もありますが、「感染が疑われるから銀含有製品を貼ればよい」という意味ではありません。感染の程度や治療目的を評価し、医師や創傷管理に関わる職種と治療方針を共有することが重要です。

DESIGN-R®2020の炎症/感染項目で判断に迷う場合は、DESIGN-R®2020のI3CとI3の違いも参考にしてください。

乾燥した黒色壊死を見たら血流と部位も確認する

乾燥した壊死組織ではハイドロジェルなどによる湿潤化が候補になる場合がありますが、すべての乾燥壊死を同じように扱うわけではありません。

とくに注意したいのが、踵部の安定した乾燥壊死です。

Wound Healing Societyのガイドラインでは、感染や炎症徴候がなく、乾燥して安定した踵部の痂皮については、必ずしもデブリードマンを必要としないとされています。

また、末梢循環不全など虚血が疑われる場合には、創面を湿潤化する前に血流評価や治療目標の確認が必要です。

したがって、

乾燥している→水分を足す→ハイドロジェル

と機械的につなげないことが重要です。

踵部の黒色壊死、血流障害が疑われる創、急速に悪化する創では、ドレッシング材の選択より先に血流、感染、治療方針を確認します。

深い創やポケットでは「表面を覆うだけ」にしない

深い褥瘡やポケットを伴う創では、皮膚表面だけを見てドレッシング材を選ぶと、内部の創面と材料が適切に接触しないことがあります。

ハイドロファイバーやアルギン酸塩など、深い創で創面へ適合させて使用される材料もあります。

実務では、次の順番で考えると整理しやすくなります。

  1. 創の深さとポケットを確認する
  2. 滲出液量を確認する
  3. 創腔へ適合できる材料か確認する
  4. 二次ドレッシングが必要か判断する
  5. 交換時に滲出液の貯留や材料の取り残しがないか確認する

創腔へ使用する材料の量や充填方法は製品によって異なるため、添付文書や施設手順を優先し、過度な充填は避けます。

ドレッシング材を貼った後は4項目で適合を再評価する

ドレッシング材の選択は、貼った瞬間ではなく次の交換時に答え合わせをすると考えると分かりやすくなります。

とくに確認したいのが、漏れ、浸軟、乾燥・固着、剥離刺激の4項目です。

1.漏れていないか

ドレッシング材の外まで滲出液が到達している場合は、吸収能力、サイズ、交換タイミングなどが現在の創に合っていない可能性があります。

「予定していた交換時期まで持たなかった」という事実も、次回の材料選択を見直す重要な情報です。

2.創周囲皮膚が浸軟していないか

創周囲が白くふやけている場合は、過剰な滲出液や漏れによって皮膚が湿潤しすぎていないか確認します。

材料の吸収量だけでなく、保持力、サイズ、貼付範囲、交換時期なども見直します。

3.創面が乾燥・固着していないか

反対に、滲出液の少ない創へ吸収力の高い材料を使用すると、創面が乾燥したり、材料が固着したりすることがあります。

吸収力が高ければ高いほどよいわけではなく、創から出る滲出液量とのバランスが重要です。

4.交換そのものが皮膚損傷になっていないか

剥離時の疼痛、出血、発赤、表皮剥離などを確認します。

問題がみられる場合には、創面に接する材料だけでなく、粘着面や固定方法まで含めて見直します。

交換時の4点セット:漏れ/浸軟/乾燥・固着/剥離刺激

この4項目を毎回そろえて確認すると、「なんとなく同じ製品を継続する」状態を減らしやすくなります。

ドレッシング材の交換頻度は「毎日」「○日ごと」で固定しない

「ドレッシング材は何日ごとに交換するのか」はよくある疑問ですが、すべての材料を一律の日数で管理することはできません。

交換時期は、製品ごとの使用方法に加えて、滲出液量、漏れ、汚染、感染、創周囲皮膚、創の変化などから判断します。

例えば同じポリウレタンフォームでも、滲出液量が多く予定より早く吸収能力の限界に達する患者と、数日間安定して使用できる患者では、適切な交換条件が異なります。

重要なのは「何日貼ったか」だけではなく、現在の材料が創に適合していたかを交換時に評価することです。

記録でも、

「フォーム使用、継続」

だけで終わらせるのではなく、

「漏れなし、周囲浸軟なし、吸収範囲内のため継続」

のように、継続する理由まで残しておくと、次回の再評価につながります。

褥瘡ドレッシング材でよくある5つの選び方の失敗

部位だけで商品を固定する

「仙骨部だからこの製品」と部位だけで決めると、滲出液量、深さ、感染、周囲皮膚などの変化に対応できません。

同じ仙骨部の褥瘡でも、創の状態によって必要な機能は変わります。

滲出液だけで決める

滲出液量は重要な判断材料ですが、感染、壊死、深さ、ポケット、血流を飛ばしてはいけません。

とくに感染や血流の問題が疑われる場合には、吸収材を選ぶ前に治療方針そのものを確認します。

乾燥した壊死をすべて湿潤化する

乾燥壊死にはハイドロジェルが候補になる場合がありますが、踵部の安定した乾燥壊死や虚血が疑われる創では別の判断が必要です。

漏れや浸軟があっても同じ材料を続ける

漏れや浸軟は、現在の材料が創から出る水分を適切に処理できていない可能性を示します。

単に新しい同一製品へ貼り替えるのではなく、材料、サイズ、交換条件を再評価します。

ドレッシング材を除圧の代わりにする

ドレッシング材は局所管理の一部であり、褥瘡の原因となる圧やずれへの対策を置き換えるものではありません。

褥瘡管理では、局所処置だけでなく、除圧、ポジショニング、支持面、活動、栄養状態などを組み合わせて考えます。

圧・ずれへの基本的な介入は、褥瘡予防の基本|評価・除圧・再評価のポイントで整理しています。

治療用ドレッシングと予防的ドレッシングは分けて考える

褥瘡がすでに形成されている創に使用する治療目的のドレッシング材と、褥瘡発生リスクが高い部位へ使用する予防的ドレッシングは、目的が異なります。

予防的な多層ソフトシリコンフォームなどが使用される場合がありますが、ドレッシング材を貼付したからといって、体位変換、除圧、支持面の調整などが不要になるわけではありません。

予防的ドレッシングは、基本的な褥瘡予防策へ追加する対策として考えます。

褥瘡ドレッシング材の選び方に関するFAQ

滲出液が多ければポリウレタンフォームを選べばよいですか?

ポリウレタンフォームは滲出液が中等量から多い創で候補になりますが、滲出液量だけで決めるものではありません。

感染、深さ、ポケット、壊死組織、周囲皮膚なども確認します。深い創腔がある場合には、表面をフォームで覆うだけではなく、創腔へ適合する材料と二次ドレッシングを組み合わせる場合もあります。

ハイドロコロイドは感染した褥瘡にも使えますか?

感染を疑う褥瘡では、ハイドロコロイドを含む閉塞性の材料を機械的に選ぶのではなく、感染の評価と治療方針の確認を優先します。

「感染創には絶対に使えない」「感染していても問題なく使える」と一律に考えるのではなく、創の状態と治療目的を確認して判断します。

黒色壊死にはハイドロジェルを使えばよいですか?

乾燥した壊死組織に水分を補う目的でハイドロジェルが使用される場合がありますが、すべての黒色壊死に当てはまるわけではありません。

とくに踵部の安定した乾燥壊死や血流障害が疑われる場合には、積極的に湿潤化する前に血流、感染、治療目標を確認します。

ドレッシング材は毎日交換した方がよいですか?

一律に毎日交換するものではありません。

製品の使用方法、滲出液量、漏れ、汚染、感染、創周囲皮膚などを確認しながら交換時期を決めます。

交換は単なる「貼り替え」ではなく、現在の材料が創に合っていたかを評価するタイミングとして活用します。

まとめ|「何を貼るか」より「何が必要か」から選ぶ

褥瘡のドレッシング材は、商品名を先に決めるのではなく、創の状態から必要な機能を決めることが基本です。

判断するときは、

感染・血流→滲出液→深さ・空洞→創床→周囲皮膚→ドレッシング材選択→交換時の再評価

の順に整理すると、選択理由を説明しやすくなります。

滲出液が多ければ吸収・保持、乾燥していれば湿潤保持が重要になりますが、それだけで決めてはいけません。感染、壊死、虚血、深い創腔などがあれば、優先すべき対応そのものが変わることがあります。

そして、選んだ材料が適していたかは次の交換時に確認します。

漏れ、浸軟、乾燥・固着、剥離刺激をそろえて確認し、創の状態が変わればドレッシング材も見直します。

「この褥瘡には何を貼るか」ではなく、「いま、この創に何が必要か」から考えることが、ドレッシング材を使い分ける基本です。

参考文献

  1. 創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン策定委員会.創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン(2023)―1 創傷一般(第3版).日皮会誌.2023;133(11):2519-2564.日本皮膚科学会
  2. 創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン策定委員会.創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン(2023)―2 褥瘡診療ガイドライン(第3版).日皮会誌.2023;133(12):2735-2797.日本皮膚科学会
  3. 日本褥瘡学会.褥瘡予防・管理ガイドライン 第5版.東京:照林社;2022.日本褥瘡学会
  4. Gould LJ, Alderden J, Aslam R, et al. WHS Guidelines for the Treatment of Pressure Ulcers—2023 update. Wound Repair Regen. 2024. PubMed Central
  5. European Pressure Ulcer Advisory Panel, National Pressure Injury Advisory Panel, Pan Pacific Pressure Injury Alliance. Prevention and Treatment of Pressure Ulcers/Injuries: Clinical Practice Guideline. 4th ed. 2025. International Guideline

※本記事は医療従事者向けの一般的な情報整理を目的としています。実際の治療方針、製品選択、使用方法、交換時期は、患者ごとの状態、医師の診断・指示、施設の手順、各製品の添付文書・使用方法を優先してください。