- クスマウル呼吸とは?|代謝性アシドーシスを代償する深い呼吸
- クスマウル呼吸はどう見える?|「速さ」より深さ・規則性を見る
- なぜクスマウル呼吸になる?|CO2を排出してpH低下を代償する
- クスマウル呼吸の原因|DKAだけではない
- クスマウル呼吸と糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)の関係
- クスマウル呼吸の血液ガス|PaCO2が低い理由をどう読む?
- クスマウル呼吸と過換気症候群の違い
- 頻呼吸・努力呼吸・チェーンストークス呼吸との違い
- SpO2が正常でもクスマウル呼吸は否定できない
- クスマウル呼吸を見つけたら何を確認する?
- クスマウル呼吸で注意したい危険なサイン
- リハ中にクスマウル呼吸様の深い呼吸を認めたら?
- クスマウル呼吸は「深さ+速さ+規則性+随伴所見」で記録する
- クスマウル呼吸で避けたい4つの思い込み
- クスマウル呼吸のよくある質問
- まとめ|クスマウル呼吸は「深い呼吸」から代謝性アシドーシスを考える
- 参考文献
クスマウル呼吸とは?|代謝性アシドーシスを代償する深い呼吸
クスマウル呼吸(Kussmaul breathing/クスマウル大呼吸)とは、代謝性アシドーシスに対する呼吸性代償としてみられる、深く大きく、しばしば速い規則的な呼吸です。
代表的には糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)でみられますが、クスマウル呼吸はDKAだけに出現する呼吸ではありません。
臨床で重要なのは、単に、
「呼吸が速い=クスマウル呼吸」
と判断しないことです。
クスマウル呼吸では、
- 1回1回の呼吸が深く大きい
- 比較的規則的に持続する
- 代謝性アシドーシスを疑う背景がある
- 換気量を増やし、PaCO2を低下させることでpH低下を代償している
という特徴を合わせて考えます。
つまりクスマウル呼吸は、単なる「変わった呼吸」ではなく、身体が代謝性アシドーシスを補おうとしている重要な身体所見です。
呼吸数・胸郭運動・努力呼吸など呼吸の視診全体は、呼吸評価の基本|ベッドサイド観察と記録の型で整理しています。
クスマウル呼吸はどう見える?|「速さ」より深さ・規則性を見る
クスマウル呼吸を見分けるときは、呼吸数だけではなく「深く大きな呼吸が比較的規則的に続いているか」を確認します。

| 観察項目 | 特徴 |
|---|---|
| 呼吸の深さ | 1回1回の呼吸が深く大きい |
| 呼吸数 | 増加することが多いが、呼吸数だけでは判断しない |
| 規則性 | 深い呼吸が比較的規則的に続く |
| 無呼吸 | 周期的な無呼吸を特徴としない |
| 臨床的な意味 | 代謝性アシドーシスに対する呼吸性代償を考える |
クスマウル呼吸は「大呼吸」と表現されるように、呼吸の深さが重要です。
たとえばRR 30回/分でも、1回1回が浅い呼吸であれば「頻呼吸」ではあっても、典型的なクスマウル呼吸とは異なります。
反対に、深く大きな呼吸が持続している場合には、呼吸数だけを見るのではなく、その背景に代謝性アシドーシスがないかを考えます。
なぜクスマウル呼吸になる?|CO2を排出してpH低下を代償する
クスマウル呼吸では、肺から酸そのものを排出しているのではなく、CO2を多く排出することで血液のpH低下を部分的に代償しています。
代謝性アシドーシスでは、HCO3−が一次性に低下し、血液が酸性側へ傾きます。
すると化学受容器を介して換気が促進され、肺胞換気量が増加します。
換気量が増えることで、
CO2排出増加 → PaCO2低下 → pH低下を部分的に代償
という反応が起こります。
ここで大切なのは、呼吸性代償は原因となる代謝性アシドーシスを治しているわけではないことです。
また、通常は代償だけでpHが完全に正常化するわけでもありません。
深い呼吸を「過換気だから落ち着かせればよい」と捉えず、なぜ患者が換気量を増やさなければならない状態なのかを考えることが重要です。
クスマウル呼吸の原因|DKAだけではない
クスマウル呼吸を認めたら、糖尿病性ケトアシドーシスを代表として、強い代謝性アシドーシスを生じる病態を考えます。
| 背景 | 併せて確認したいこと |
|---|---|
| 糖尿病性ケトアシドーシス(DKA) | 血糖、ケトン体、脱水、悪心・嘔吐、腹痛、意識状態 |
| 乳酸アシドーシス | ショック、組織低灌流、重症感染症、低酸素など |
| 腎機能障害 | 腎機能、尿量、電解質、酸排泄低下 |
| 酸・毒物など | 服薬・曝露歴、アニオンギャップ、意識状態 |
| その他の代謝性アシドーシス | 血液ガス、電解質、原因となる基礎疾患 |
したがって、
クスマウル呼吸=糖尿病
と固定して覚えるのは適切ではありません。
DKAは代表的な原因ですが、乳酸アシドーシス、腎機能障害、特定の中毒などでも代謝性アシドーシスが強くなれば深い代償性呼吸がみられることがあります。
「クスマウル呼吸があるか」より一歩進んで、「この患者ではなぜ代謝性アシドーシスが起きているのか」を考えることが重要です。
クスマウル呼吸と糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)の関係
糖尿病性ケトアシドーシスは、クスマウル呼吸の代表的な原因です。
DKAではインスリン作用が不足し、脂肪分解とケトン体産生が亢進します。
ケトン体が蓄積すると代謝性アシドーシスとなり、pH低下を代償するため換気量が増加します。
その結果、深く大きなクスマウル呼吸がみられることがあります。
DKAでは、クスマウル呼吸に加えて、
- 口渇・多飲
- 多尿
- 脱水
- 全身倦怠感
- 悪心・嘔吐
- 腹痛
- 体重減少
- 意識状態の変化
- 呼気の果実様・アセトン様臭
などを認めることがあります。
ただし、クスマウル呼吸や呼気臭だけでDKAと診断することはできません。
DKAの診断では、糖尿病または高血糖、ケトン体増加、代謝性アシドーシスを確認する必要があります。
ベッドサイドでは、「深い呼吸+糖尿病」という組み合わせだけで決めつけず、脱水、消化器症状、意識状態、血糖、ケトン体、血液ガスなどへ評価をつなげます。
クスマウル呼吸の血液ガス|PaCO2が低い理由をどう読む?
代謝性アシドーシスによるクスマウル呼吸では、HCO3−低下に対して換気量が増え、PaCO2が代償性に低下します。
| 項目 | 基本的な変化 | 意味 |
|---|---|---|
| pH | 低下 | アシデミア |
| HCO3− | 一次性に低下 | 代謝性アシドーシスの中心 |
| PaCO2 | 低下 | 呼吸性代償 |
ここで重要なのは、PaCO2が低いからといって、ただちに一次性の呼吸性アルカローシスと判断しないことです。
代謝性アシドーシスでは、PaCO2低下が適切な代償反応である可能性があります。
呼吸性代償が想定範囲内かどうかは、Winterの式で確認できます。
予測PaCO2(mmHg)= 1.5 × HCO3− + 8 ± 2
たとえばHCO3−が10 mEq/Lの場合、
1.5 × 10 + 8 = 23 mmHg
なので、予測されるPaCO2はおよそ21〜25 mmHgです。
実測PaCO2がこの範囲であれば、代謝性アシドーシスに対する呼吸性代償として説明しやすくなります。
一方、
- 実測PaCO2が予測より高い:呼吸性アシドーシスの併存を考える
- 実測PaCO2が予測より低い:呼吸性アルカローシスの併存を考える
手がかりになります。
血液ガス全体の読み方は、血液ガス分析の見方|pH・PaCO2・HCO3−を読む手順で整理しています。
クスマウル呼吸と過換気症候群の違い
クスマウル呼吸も換気量が増加する呼吸ですが、一般にいう過換気症候群とは背景となる酸塩基平衡が異なります。
| 項目 | クスマウル呼吸 | 過換気症候群 |
|---|---|---|
| 主な背景 | 代謝性アシドーシス | 代謝需要を上回る肺胞換気 |
| 一次性の変化 | HCO3−低下 | PaCO2低下 |
| PaCO2低下の意味 | 代謝性アシドーシスへの呼吸性代償 | 一次性の呼吸性アルカローシス |
| 呼吸の特徴 | 深く大きな呼吸が目立つ | 速い呼吸、深い呼吸などさまざま |
過換気症候群では、肺胞換気が代謝需要を上回ることでPaCO2が低下し、一次性の呼吸性アルカローシスを生じます。
一方、クスマウル呼吸では、先に代謝性アシドーシスがあり、それを補うために換気量が増加してPaCO2が低下します。
つまり、
過換気症候群:換気↑ → PaCO2↓が一次性
クスマウル呼吸:HCO3−↓ → 代償として換気↑ → PaCO2↓
という違いです。
「深く速く呼吸している」という見た目だけで過換気症候群と判断せず、全身状態と血液ガスから背景を確認することが重要です。
頻呼吸・努力呼吸・チェーンストークス呼吸との違い
クスマウル呼吸では「深く大きい呼吸」が中心であり、呼吸数が増えるだけの頻呼吸や、呼吸筋活動の増加をみる努力呼吸とは分けて考えます。
| 呼吸所見 | 中心となる特徴 |
|---|---|
| クスマウル呼吸 | 代謝性アシドーシスに伴う深く大きな比較的規則的な呼吸 |
| 頻呼吸 | 呼吸数が増えている状態。呼吸は浅い場合もある |
| 努力呼吸 | 通常以上の呼吸筋活動を必要としている状態 |
| チェーン・ストークス呼吸 | 呼吸の深さが漸増・漸減し、無呼吸・低換気を周期的に挟む |
特にチェーン・ストークス呼吸とは、呼吸の時間的パターンが大きく異なります。
クスマウル呼吸では深い呼吸が比較的持続します。
一方、チェーン・ストークス呼吸では、
漸増 → 漸減 → 無呼吸・低換気 → 再び漸増
という周期があります。
また、クスマウル呼吸と努力呼吸も同義ではありません。
クスマウル呼吸の患者で努力呼吸を伴うことはありますが、努力呼吸は頸部筋活動、肩挙上、腹筋活動、陥没呼吸など「呼吸を維持するためにどの程度追加の筋活動が必要か」をみる所見です。
深い・速い・努力している、を1つの所見としてまとめずに分けて観察することが重要です。
SpO2が正常でもクスマウル呼吸は否定できない
クスマウル呼吸は代謝性アシドーシスへの換気反応なので、SpO2が正常だから問題ないとは判断できません。
SpO2は主に動脈血の酸素化を反映します。
一方、クスマウル呼吸が示唆するのは、酸素化そのものよりも酸塩基平衡の異常と、それに対する呼吸性代償です。
そのためSpO2が保たれていても、
- 安静時に深く大きな呼吸が新たに出現した
- 悪心・嘔吐や腹痛がある
- 脱水所見がある
- 強い全身倦怠感がある
- 意識状態が変化している
- 糖尿病・腎機能障害などの背景がある
場合には、代謝性アシドーシスを含めて評価します。
「SpO2正常=代謝・換気に問題なし」とは判断しないことが重要です。
クスマウル呼吸を見つけたら何を確認する?
深く大きな呼吸を見つけたら、「クスマウル呼吸」と名前を付けるだけでなく、呼吸パターン → 全身状態 → 代謝性アシドーシスの背景 → 必要な検査へつなげます。
- 深さ:1回1回の呼吸が明らかに深く大きいか
- 呼吸数:速くなっているか
- 規則性:深い呼吸が比較的規則的に持続するか
- 周期性:漸増・漸減や無呼吸を反復していないか
- 呼吸仕事量:補助筋使用、肩挙上、陥没呼吸などを伴うか
- 意識:眠気、反応性低下、錯乱などがないか
- 循環・脱水:血圧、HR、口腔乾燥、尿量などを確認する
- 症状:悪心、嘔吐、腹痛、口渇、多尿などがないか
- 背景:糖尿病、腎機能障害、感染、ショック、薬物曝露など
- 検査:必要に応じて血糖、ケトン体、血液ガス、電解質、乳酸などへつなげる
呼吸パターンを見て「代謝性アシドーシスかもしれない」と気づけることが、ベッドサイド観察の大きな役割です。
クスマウル呼吸で注意したい危険なサイン
新たなクスマウル呼吸様の深い呼吸に全身状態悪化を伴う場合は、通常の評価や運動より原因確認と速やかな共有を優先します。
特に注意したいのは、
- 意識状態の低下
- 著明な脱水
- 低血圧・頻脈
- 繰り返す嘔吐
- 強い腹痛
- 著しい血糖異常
- 糖尿病患者でのインスリン中断・不足
- 発熱など感染を疑う所見
- ショック・末梢循環不良
- 深かった呼吸が浅く弱くなるなど呼吸状態の悪化
などです。
DKAは生命を脅かし得る高血糖緊急症です。また、乳酸アシドーシスや重い腎機能障害など、他の代謝性アシドーシスも緊急性を伴うことがあります。
クスマウル呼吸そのものを抑えることを目的とするのではなく、その呼吸を必要としている原因病態を評価することが重要です。
リハ中にクスマウル呼吸様の深い呼吸を認めたら?
リハ中に、運動負荷だけでは説明しにくい深く大きな呼吸が新しく出現した場合は、そのまま負荷を進めず状態を再確認します。
運動時には換気需要が増えるため、健常者でも呼吸は深く・速くなります。
したがって、運動中に深呼吸しているだけでクスマウル呼吸とは判断しません。
確認したいのは、
- 安静時にも深い呼吸が持続するか
- 運動負荷を下げても呼吸パターンが続くか
- 前回評価時にはみられなかったか
- 悪心・嘔吐・腹痛・口渇などを伴うか
- 意識状態に変化がないか
- 糖尿病・腎疾患などの背景があるか
- 血圧・HRなど全身状態が変化していないか
です。
代謝性アシドーシスやDKAなどが疑われる場合は、リハ再開よりも医師・看護師への共有と原因評価を優先します。
クスマウル呼吸は「深さ+速さ+規則性+随伴所見」で記録する
記録では「クスマウル呼吸あり」だけで終わらせず、実際に観察した呼吸パターンと全身状態を残します。
記録したいのは、
- 安静時・運動時など観察条件
- 呼吸数
- 呼吸の深さ
- 規則性
- 周期的無呼吸の有無
- 呼吸補助筋使用の有無
- SpO2・HR・血圧
- 意識状態
- 悪心・嘔吐・腹痛・口渇などの症状
- 糖尿病・腎疾患などの背景
- 前回との変化
などです。
たとえば、
「安静臥位、RR 30回/分。胸腹部運動は大きく、深い規則的呼吸が持続。周期的無呼吸なし。SpO2 97%、HR 112回/分。口腔乾燥あり、悪心を訴える。前回評価時には同様の呼吸パターンなし」
のように記録すると、「クスマウル呼吸あり」とだけ書くより、所見を正確に共有できます。
原因がまだ確認されていない段階では、「クスマウル呼吸」と断定するより「深く大きな規則的呼吸」など、実際に観察した現象を記録する方法も有用です。
クスマウル呼吸で避けたい4つの思い込み
| 思い込み | 実際の考え方 |
|---|---|
| 呼吸が速い=クスマウル呼吸 | 呼吸の深さ・規則性と代謝性アシドーシスの背景を確認する |
| クスマウル呼吸=糖尿病 | DKAは代表的だが、他の代謝性アシドーシスでもみられる |
| PaCO2低値=呼吸性アルカローシス | 代謝性アシドーシスへの適切な呼吸性代償の場合がある |
| SpO2正常=問題なし | 酸素化と酸塩基平衡・全身状態は分けて評価する |
クスマウル呼吸では、呼吸パターンの名称を当てることより、「代謝性アシドーシスへの代償反応かもしれない」と気づくことが重要です。
クスマウル呼吸のよくある質問
クスマウル呼吸とは簡単にいうと何ですか?
代謝性アシドーシスに対する呼吸性代償としてみられる、深く大きな比較的規則的な呼吸です。換気量を増やしてPaCO2を低下させ、pH低下を部分的に補います。
クスマウル呼吸は速い呼吸ですか?
速くなることは多いですが、呼吸数だけが特徴ではありません。1回1回の呼吸が深く大きいこと、比較的規則的に続くこと、代謝性アシドーシスの背景があることを合わせて考えます。
クスマウル呼吸の原因は糖尿病だけですか?
いいえ。糖尿病性ケトアシドーシスが代表的ですが、乳酸アシドーシス、腎機能障害など、強い代謝性アシドーシスでもみられることがあります。
クスマウル呼吸と過換気症候群の違いは何ですか?
クスマウル呼吸では代謝性アシドーシスが先にあり、それを代償するため換気量が増えてPaCO2が低下します。過換気症候群では代謝需要を上回る肺胞換気によってPaCO2が一次性に低下し、呼吸性アルカローシスを生じます。
クスマウル呼吸と努力呼吸は同じですか?
同じではありません。クスマウル呼吸は代謝性アシドーシスへの代償としてみられる深い呼吸です。一方、努力呼吸は通常以上の呼吸筋活動を必要としている状態を指します。両者が同時にみられることはあります。
クスマウル呼吸とチェーン・ストークス呼吸の違いは何ですか?
クスマウル呼吸では深く大きな呼吸が比較的規則的に持続します。チェーン・ストークス呼吸では、呼吸の深さが徐々に増えてから減少し、無呼吸・低換気を周期的に挟みます。
クスマウル呼吸ではPaCO2はどうなりますか?
代謝性アシドーシスへの呼吸性代償によって、一般にPaCO2は低下します。適切な代償範囲かどうかはWinterの式で確認できます。
PaCO2が低ければ呼吸性アルカローシスですか?
必ずしもそうではありません。HCO3−が一次性に低下している代謝性アシドーシスでは、PaCO2低下は呼吸性代償である可能性があります。pH・HCO3−・PaCO2を順番に確認します。
SpO2が正常でもクスマウル呼吸はありますか?
あります。SpO2は主に酸素化を反映するため、代謝性アシドーシスを直接示す指標ではありません。呼吸パターン、意識、循環、症状、血液ガスなどを合わせて確認します。
まとめ|クスマウル呼吸は「深い呼吸」から代謝性アシドーシスを考える
クスマウル呼吸とは、代謝性アシドーシスに対する呼吸性代償としてみられる、深く大きな比較的規則的な呼吸です。
「呼吸が速い=クスマウル呼吸」ではなく、呼吸の深さ・規則性と、代謝性アシドーシスを生じる背景を確認することが重要です。
糖尿病性ケトアシドーシスが代表的ですが、乳酸アシドーシス、腎機能障害などでもみられることがあります。
血液ガスでは、HCO3−が一次性に低下し、それに対する呼吸性代償としてPaCO2が低下します。
そのため、PaCO2低値だけを見て呼吸性アルカローシスと判断せず、pH → HCO3− → PaCO2 → Winterの式の順で整理することが重要です。
ベッドサイドでは、
深さ → 速さ → 規則性 → 周期性・無呼吸の有無 → 意識・循環 → DKAなどを示唆する症状 → 背景疾患 → 血糖・ケトン体・血液ガス → 前回との変化
の順で確認します。
そして新たなクスマウル呼吸様の深い呼吸を認めた場合は、呼吸の名称だけで終わらせず、背景にある代謝性アシドーシスの原因評価へつなげることが重要です。
参考文献
- 日本救急医学会. クスマウル大呼吸. 医学用語解説集.
- Umpierrez GE, Davis GM, ElSayed NA, et al. Hyperglycemic crises in adults with diabetes: a consensus report. Diabetes Care. 2024;47(8):1257-1275. doi:10.2337/dci24-0032.
- MSD Manual Professional Edition. Metabolic Acidosis.
- MSD Manual Professional Edition. Acid-Base Disorders.
- Dezube R. Hyperventilation Syndrome. MSD Manual Professional Edition. Reviewed/Revised November 2025.
- Casaletto JJ. Differential diagnosis of metabolic acidosis. Emerg Med Clin North Am. 2005;23(3):771-787. doi:10.1016/j.emc.2005.03.007.

