身体的拘束の実施割合|3%・5%・15%の違いと計算方法

制度・実務
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身体的拘束の実施割合は「直近3か月の患者日」で計算します

2026年度診療報酬改定では、身体的拘束の最小化について15%、5%、3%という複数の数字が示されました。数字だけを見ると段階的な基準のように見えますが、15%と3%・5%では確認している制度が異なります。

15%以下は、入院料通則の「身体的拘束最小化の実績等に係る基準」を満たす方法の一つです。一方、3%以下は「身体的拘束最小化推進体制加算(40点/日)」の原則的な実施率基準で、届出から1年間は5%以下が基準になります。

また、身体的拘束の実施割合は「現在、何人を拘束しているか」を病床数で割る計算ではありません。原則として、直近3か月の入院料延べ算定日数と、その期間に身体的拘束を実施した患者日を使って計算します。本記事では、3%・5%・15%の違い、計算式、除外できるケース、複数病棟の扱いまで整理します。

先に結論

15%以下=入院料通則の実績等基準を満たす方法の一つ
5%以下=身体的拘束最小化推進体制加算の届出から1年間の基準
3%以下=同加算の原則的な実施率基準
実施割合は、原則として直近3か月の患者日で計算します。

身体的拘束の実施割合における3%・5%・15%の違いと計算方法
図:身体的拘束の実施割合|3%・5%・15%の違いと計算方法

身体的拘束最小化に関する2026年度改定全体を確認したい場合は、身体拘束最小化【2026改定】の総論をご覧ください。委員会・指針・研修・記録まで含めた院内運用は、身体拘束の適正化ハブにまとめています。

3%・5%・15%は同じ基準ではありません

最初に押さえたいのは、15%と3%・5%を同じ物差しとして扱わないことです。15%は入院料通則の実績等基準、3%・5%は40点/日の身体的拘束最小化推進体制加算に関する基準です。

身体的拘束に関する3%・5%・15%の違い
割合 何の基準か 意味 注意点
15%以下 入院料通則の実績等に係る基準 実績等基準を満たす方法の一つ 15%を超えても、所定の取組をすべて継続していれば適合する別ルートがある
5%以下 身体的拘束最小化推進体制加算 届出から1年間の実施率基準 1年間を超えた後は原則3%以下
3%以下 身体的拘束最小化推進体制加算 原則的な実施率基準 実施率だけでなく、その他の施設基準も満たす必要がある

たとえば身体的拘束の実施割合が4%の場合、15%以下という入院料通則の数値基準には該当します。また、身体的拘束最小化推進体制加算では届出から1年間の5%基準には収まりますが、その後の原則的な3%基準は満たしません。

そのため、院内で「身体拘束率は4%です」と共有するだけでは不十分です。15%の実績等基準を確認しているのか、3%・5%の加算基準を確認しているのかまで明確にします。

身体的拘束の実施割合の計算式

身体的拘束の実施割合は、原則として直近3か月間の入院料算定日数を使って計算します。

身体的拘束の実施割合(%)
= 身体的拘束を実施した日数
÷ 入院料の延べ算定日数 × 100

たとえば直近3か月の対象となる延べ算定日数が10,000日で、身体的拘束を実施した日数が400日なら、400÷10,000×100=4%です。

重要なのは、分母に「病床数」や「入院患者の実人数」をそのまま使うわけではないことです。1人の患者が10日間対象となる入院料を算定していれば10患者日として積み上がるため、実務では患者日ベースで理解すると分かりやすくなります。

患者数ではなく「患者日」で考えます

身体的拘束の実施割合を把握するときは、「何人に拘束しているか」だけではなく「何日実施しているか」が重要です。

たとえば、1人の患者に身体的拘束を10日間実施した場合は、身体的拘束を実施した日数として10患者日が積み上がります。同じ5人の患者に身体的拘束を実施していても、1日で解除できた場合と3か月間継続した場合では、実施割合は大きく異なります。

そのため、院内で実施割合を管理するときは「今日の拘束患者数」だけでなく、毎日の身体的拘束実施患者日を継続して集計することが重要です。

計算の分母から除外される入院料があります

入院料通則の身体的拘束実施割合では、直近3か月間のすべての入院料算定日を無条件に分母へ入れるわけではありません。2026年度の計算方法では、次の入院料を算定した日は分母から除外するとされています。

身体的拘束実施割合の分母から除外される入院料
区分 入院料
A300 救命救急入院料
A301 特定集中治療室管理料
A301-2 ハイケアユニット入院医療管理料
A301-3 脳卒中ケアユニット入院医療管理料
A301-4 小児特定集中治療室管理料
A302 新生児特定集中治療室管理料
A302-2 新生児特定集中治療室重症児対応体制強化管理料
A303 総合周産期特定集中治療室管理料
A303-2 新生児治療回復室入院医療管理料

また、精神病床に入院する患者の身体的拘束を精神保健福祉法の規定に基づいて取り扱う場合には、当該精神病床についても計算上の取扱いが異なります。

したがって、病院全体の病床数をそのまま3か月分掛けて正式な実施割合を出すことはできません。実際の判定では、対象となる入院料の延べ算定日数を確認します。

身体的拘束を実施した日数に含めない3つのケース

身体的拘束に関連する用具を使用した日でも、一定の条件を満たす場合は「身体的拘束を実施した日数」に含めないケースが示されています。

身体的拘束実施日数に含めない主なケース
ケース 主な条件 注意点
センサークリップ等のみ 患者の動作により容易に外れ、自発的な運動を制限しない状況で使用する 患者の活動を実質的に制限する使用方法まで一律に除外できるわけではない
処置・移動時の短時間固定 患者等の同意を得て安全確保のために使用し、職員が常に付き添い、処置・移動終了時に確実に解除する 終了後も継続して固定する場合はこの条件に該当しない
車椅子操作訓練中の固定ベルト 本人が自由に車椅子を操作でき、患者等の同意を得た上で、訓練時間中のみ安全確保のために使用する オーバーテーブルや車椅子ロック等で本人の活動を制限している場合は該当しない

特にリハビリテーション部門では、車椅子ベルトを「ベルトだから身体的拘束」「訓練中だから除外」と一律に判断しないことが重要です。

患者本人が自由に車椅子を操作できる状態か、訓練時間中だけの安全確保なのか、本人の活動そのものを制限していないかを確認します。

なお、これらの条件に該当して実施日数へ含めない場合であっても、身体的拘束を行わずに安全を確保できる代替方法がないかを継続して検討することが前提です。

240床の病院で計算するとどうなるか|架空例

ここでは身体的拘束の実施割合を直感的に理解するため、240床の架空の病院を使って計算します。

実際の施設基準を判定する際は、病床数から算出した概算ではなく、対象となる入院料の実際の延べ算定日数を使用してください。

仮に240床すべてが計算対象となり、全床が稼働し、直近3か月を90日として単純化すると、分母は次のようになります。

240床 × 90日 = 21,600患者日

21,600患者日と仮定した場合の実施日数の目安
基準 計算 実施日数の目安 90日で平均したイメージ
3% 21,600 × 0.03 648日以下 約7人/日
5% 21,600 × 0.05 1,080日以下 約12人/日
15% 21,600 × 0.15 3,240日以下 約36人/日

たとえば3%なら648患者日です。90日間ほぼ同程度の人数に身体的拘束を実施していると仮定すると、1日平均では7.2人に相当します。そのため、表では理解しやすい目安として「約7人/日」としています。

ただし、この人数換算は制度を理解するための概算にすぎません。実際の判定では、「毎日何人」ではなく、直近3か月の身体的拘束実施日数÷対象入院料の延べ算定日数で確認します。

複数病棟がある場合は入院料の区分を確認します

複数病棟がある医療機関では、「病棟が何個あるか」だけで実施割合の計算単位を決めることはできません。

身体的拘束最小化推進体制加算では、届出様式36の4で、算定している入院料ごとに延べ算定日数、身体的拘束実施日数、実施割合を確認する形式になっています。

同じ区分番号の入院料を算定する病床が複数の病棟・病室にまたがる場合は、対象となる病床全体を合わせて実施割合を確認します。異なる入院料が混在している場合は、算定している入院料ごとに対象となる病床・延べ算定日数を整理します。

実務ポイント:「A病棟は2%だから算定できる」「B病棟は6%だから算定しない」と病棟単位だけで判断するのではなく、まず各病棟がどの入院料を算定しているかを確認します。

15%を超えたら直ちに20点減算とは限りません

入院料通則に新設された「身体的拘束最小化の実績等に係る基準」は、身体的拘束実施割合が15%以下であることだけを唯一の適合方法としているわけではありません。

基準では、次のいずれかを満たすこととされています。

  1. 身体的拘束の実施割合が集計されており、15%以下である
  2. 身体的拘束の原則廃止に向けた所定の取組をすべて継続して行っている

したがって、院内で「15%を超えたらその時点で必ず20点減算」と説明するのは正確ではありません。

15%を超える場合でも、身体的拘束の実施状況を踏まえて委員会で具体的な最小化策を検討すること、身体的拘束を実施している病棟で解除や代替策を具体的に検討すること、入院患者に関わる職員を対象とした研修を年2回以上実施することなど、定められた取組をすべて継続していれば、実績等基準を満たすルートがあります。

一方、身体的拘束最小化の「実績等に係る基準」のみを満たさない場合は、入院料が1日につき20点減算となります。身体的拘束最小化の「体制に係る基準」を満たさない場合の40点減算とは区別して確認します。

3%・5%は40点加算のための基準です

2026年度に新設された身体的拘束最小化推進体制加算は1日につき40点です。

対象となる入院料には、療養病棟入院基本料、障害者施設等入院基本料、有床診療所療養病床入院基本料、特殊疾患入院医療管理料、地域包括ケア病棟入院料、特殊疾患病棟入院料などがあります。

加算では、対象となる入院料の算定日数に占める身体的拘束実施日数の割合が原則3%以下であることが求められます。

ただし、届出から1年間は5%以下とされています。

重要:身体的拘束の実施割合が15%以下だから40点加算を算定できるわけではありません。40点加算では、3%・5%というより厳しい実施率基準に加えて、研修、用具管理、巡回、患者・家族への説明、掲示・ウェブ掲載などの施設基準も確認します。

身体的拘束最小化推進体制加算の施設基準全体は、身体拘束最小化【2026改定】の総論で整理しています。

院内では直近3か月の実施割合を定期的に確認します

身体的拘束の実施割合は、3か月が終了してから一度だけ計算するよりも、日々の実施患者日を集計し、直近3か月の値を定期的に確認できる運用にすると変化を把握しやすくなります。

  1. どの入院料・病床が計算対象になるか確認する
  2. 対象入院料の延べ算定日数を集計する
  3. 毎日の身体的拘束実施患者日を集計する
  4. 実施日数に含めないケースを条件まで確認する
  5. 直近3か月の実施割合を算出する
  6. 3%・5%・15%のどの基準を確認しているのか明記する
  7. 拘束理由、継続期間、解除・代替策の検討状況へ戻る

診療報酬上の計算とは別に、病棟別の実施割合、身体的拘束の方法、実施理由、継続期間などを可視化すると、どこに改善余地があるかを確認しやすくなります。

目的は数字だけを下げることではありません。実施割合を可視化し、身体的拘束を解除できない理由を把握して、代替策やケアの見直しにつなげることが重要です。

PT・OT・STが確認したいポイント

身体的拘束実施割合の集計は医事部門や看護管理部門が中心になることが多いものの、PT・OT・STも実施日数の判断や代替策の検討に関わる場面があります。

特に車椅子上の固定ベルトでは、本人が自由に車椅子を操作できる状態で、訓練時間中のみ安全確保を目的として使用しているのかを確認します。

一方、立ち上がりや移動を防ぐ目的でベルトを使用する、オーバーテーブルを設置して離席できない状態にする、車椅子をロックして本人の活動を制限する、といった場合は「訓練中」という理由だけでは除外条件に該当しません。

リハビリテーション専門職は、身体機能や認知機能だけでなく、座位・立位能力、移乗方法、車椅子設定、環境、補助具、見守り方法、生活リズムなどを再評価し、身体的拘束を継続しなくても安全を確保できる方法がないかを多職種で検討します。

身体的拘束実施割合で間違いやすいポイント

身体的拘束実施割合でよくある混同
誤解しやすい考え方 正しい整理
拘束患者数÷病床数で計算する 直近3か月の患者日を使って計算する
15%・5%・3%は段階的な同一基準 15%と3%・5%では制度上の位置づけが異なる
15%を超えたら必ず20点減算 所定の最小化取組をすべて継続する別の適合ルートがある
5%以下なら40点加算をずっと維持できる 5%基準は届出から1年間で、その後は原則3%以下
複数病棟は病棟ごとに自由に判定する 算定している入院料の区分を確認して対象を整理する
車椅子ベルトならすべて除外できる 自由に車椅子を操作できる訓練など、定められた条件を満たす必要がある

身体的拘束の実施割合でよくある質問

身体拘束率は「拘束患者数÷病床数」で計算しますか?

いいえ。正式な実施割合は、原則として直近3か月の入院料延べ算定日数と、その期間に身体的拘束を実施した日数を使って算出します。現在の拘束患者数や病床数だけでは判定できません。

身体的拘束の実施割合が15%を超えたら20点減算ですか?

必ずしもそうではありません。15%以下は、入院料通則の実績等基準を満たす方法の一つです。15%を超えていても、委員会、解除・代替策の具体的検討、年2回以上の研修など、定められた取組をすべて継続していれば実績等基準を満たす別のルートがあります。

身体拘束率が5%以下なら40点加算を継続できますか?

5%以下が認められるのは、身体的拘束最小化推進体制加算の届出から1年間です。その後の原則的な実施率基準は3%以下です。また、実施率だけでなくその他の施設基準も満たす必要があります。

複数病棟がある場合は病棟ごとに計算しますか?

病棟数だけで計算単位を決めるのではなく、算定している入院料を確認します。身体的拘束最小化推進体制加算では、届出様式に算定入院料ごとの延べ算定日数、身体的拘束実施日数、実施割合を記載します。同一区分番号の入院料を算定する病床が複数病棟にある場合は、その対象病床全体で整理します。

センサーを使用した日は身体的拘束実施日に入りますか?

センサークリップ等のみを使用し、患者の動作により容易に外れ、自発的な運動を制限しない状況であれば、身体的拘束実施日数に含めない取扱いがあります。センサーという名称だけではなく、実際に患者の活動を制限しているかを確認します。

車椅子の固定ベルトは身体的拘束実施日に入りますか?

使用方法によって異なります。患者が自由に車椅子を操作できる状態で、患者等の同意を得て、車椅子操作訓練の時間中だけ安全確保のために使用する場合は実施日数に含めない取扱いがあります。一方、オーバーテーブルや車椅子ロック等と組み合わせ、本人の活動を制限している場合は該当しません。

認知症ケア加算の身体的拘束実施日と同じですか?

関連する考え方はありますが、認知症ケア加算には身体的拘束を実施した日の点数に別の取扱いがあります。認知症ケア加算における身体的拘束実施日の扱いは、認知症ケア加算と身体的拘束実施日の解説をご覧ください。

まとめ|3%・5%・15%は目的を分けて確認します

2026年度の身体的拘束最小化では、3%・5%・15%という数字だけを覚えるのではなく、何の基準を確認している数字なのかを理解することが重要です。

  • 15%以下は、入院料通則の実績等基準を満たす方法の一つ
  • 15%を超えても、所定の取組をすべて継続する別の適合ルートがある
  • 5%以下は、身体的拘束最小化推進体制加算の届出から1年間の基準
  • 3%以下は、同加算の原則的な実施率基準
  • 実施割合は、原則として直近3か月の入院料延べ算定日数と身体的拘束実施患者日で計算する
  • 一部の高度急性期入院料等は分母から除外される
  • センサー、処置・移動時の短時間固定、車椅子操作訓練中の固定ベルトは、定められた条件を満たせば実施日数に含めない
  • 複数病棟では、病棟数ではなく算定している入院料の区分を確認する

身体的拘束の実施割合を下げること自体が最終目的ではありません。実施状況を可視化し、身体的拘束が長期化している理由を把握して、解除・代替策やケアの見直しにつなげることが重要です。

参考資料

※診療報酬・施設基準は通知、疑義解釈、事務連絡等により取扱いが追加・修正される場合があります。実際の届出・算定では、最新の厚生労働省資料および管轄の地方厚生(支)局の資料をご確認ください。