CAM-ICU の評価方法| 4 特徴と判定フロー(人工呼吸中でも運用)

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CAM-ICU の評価方法| 4 特徴と判定フロー(人工呼吸中でも運用)

CAM-ICU( Confusion Assessment Method for the ICU )は、ICU 患者のせん妄スクリーニングを短時間で行うための評価ツールです。せん妄は「注意の障害」と「状態の変動」が核になるため、印象だけだと見落としやすいのが難点です。CAM-ICU を同じ手順で反復できるようになると、離床・運動負荷・コミュニケーション介入の安全域を取り戻しやすくなります。 [oai_citation:0‡Society of Critical Care Medicine (SCCM)](https://www.sccm.org/clinical-resources/guidelines/guidelines/guidelines-for-the-prevention-and-management-of-pa?utm_source=chatgpt.com)

本記事は、評価の前提(まず RASS )→ 実施手順 → 判定 → 記録までを、現場でそのまま回せる形にまとめます。紙のワークシートや教材は配布元で更新されるため、必要時は公式リソースも併用してください。 [oai_citation:1‡ICU Delirium](https://www.icudelirium.org/resource-downloads/cam-icu-training-manual?utm_source=chatgpt.com)

評価の「順番」を固定すると、記録と連携が一気に整います。 評価 → 介入 → 再評価の型を確認する(PT キャリアガイド)

CAM-ICU とは:何を見て、何が分かる?

CAM-ICU は、せん妄の診断アルゴリズム( CAM )を ICU 向けに運用しやすくしたスクリーニングです。核になるのは 4 つの特徴(①急性発症/変動、②注意障害、③意識レベルの変化、④思考のまとまりの低下)で、①と②があり、③または④があれば陽性として扱います。 [oai_citation:2‡PubMed](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2240918/?utm_source=chatgpt.com)

人工呼吸中など発話が難しい状況でも、非言語の反応を活用して評価しやすい点が強みです(ただし、評価の成立条件を満たさない場合は「評価不能」として扱います)。 [oai_citation:3‡PubMed](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11730446/)

評価の前提:まず RASS で「覚醒度」を確認する

CAM-ICU は「一定の覚醒」が前提です。先に RASS などで覚醒度を確認し、深鎮静で反応が取れない場合は、せん妄スクリーニングを無理に進めず“評価不能(覚醒不十分)”として記録します(施設 SOP/主治医方針を優先)。 [oai_citation:4‡ICU Delirium](https://www.icudelirium.org/resource-downloads/cam-icu-training-manual?utm_source=chatgpt.com)

関連:ICU の鎮静・せん妄評価の基本(親記事)

CAM-ICU 実施前のチェック(成人・運用整理)
確認項目 見落としやすい点 現場のコツ 記録メモ例
覚醒度(鎮静の深さ) 深鎮静だと評価が成立しにくい RASS を先に取り、成立条件を満たす時だけ次へ RASS ○、評価可/不可
痛み・呼吸苦 不穏の原因がせん妄ではないことがある 疼痛・呼吸状態を先に整える(可能な範囲で) 疼痛対応後に再評価
補聴器・眼鏡 注意課題が「聞こえない/見えない」で崩れる 装着の確認、声量・提示方法を調整 補聴器あり/視覚補助あり
言語・失語 「答えられない=注意障害」と誤解しやすい 反応の形式を変える(うなずき、指差し等) 失語疑い、反応様式で評価
環境(騒音・同時ケア) 中断が多いと変動を拾いにくい 短時間で集中して実施( 2–3 分) 実施時刻、環境メモ

CAM-ICU のやり方: 4 特徴を「同じ順番」で拾う

ポイントは、毎回同じ順番で確認してブレを減らすことです。以下は運用しやすい“型”です。

特徴 1 :急性発症/変動

「いつもと違う」「日内で良くなったり悪くなったりする」を拾います。ここは家族・看護記録・スタッフの印象が重要で、評価者だけの短時間観察だと取りこぼしやすい部分です。 [oai_citation:5‡PubMed](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2240918/?utm_source=chatgpt.com)

特徴 2 :注意障害

注意はせん妄のコアです。具体的には、声かけに反応できても注意を保てない/途中で抜ける、簡単な注意課題で持続が崩れるといった所見を拾います。人工呼吸中など発話が難しい場合は、非言語の合図(握る/離す、うなずく等)で反応様式を統一しておくと評価が安定します。 [oai_citation:6‡PubMed](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11730446/)

特徴 3 :意識レベルの変化

「清明」と比べて意識レベルが変化していないかを見ます。RASS などの覚醒度評価を併記しておくと、チームで共有しやすくなります。 [oai_citation:7‡Society of Critical Care Medicine (SCCM)](https://www.sccm.org/clinical-resources/guidelines/guidelines/guidelines-for-the-prevention-and-management-of-pa?utm_source=chatgpt.com)

特徴 4 :思考のまとまりの低下

会話ができる場合は「話の筋」「見当識」「問いへの一貫性」を、会話が難しい場合は「指示への従い方」「反応の一貫性」などから、思考のまとまりの低下を推定します。ここは失語・聴覚障害などで偽陽性が起きやすいので、前提(聞こえる/見える/理解できる)を先に整えるのが安全です。 [oai_citation:8‡ICU Delirium](https://www.icudelirium.org/resource-downloads/cam-icu-training-manual?utm_source=chatgpt.com)

CAM-ICU の 4 特徴:観察ポイントと記録のコツ(成人)
特徴 何を見る? つまずきポイント 安定させる工夫
1 急性/変動 急な変化、日内変動 短時間評価だけだと拾いにくい 記録・家族・スタッフ情報を統合
2 注意 注意の持続、途中で抜ける 聞こえ/見えの問題で崩れる 補聴器/眼鏡、合図方法を統一
3 意識 清明からのズレ 鎮静の影響と混ざる RASS を併記し、時間帯も残す
4 思考 一貫性、指示理解 失語・挿管で評価が難しい 反応様式を変え、前提条件を確認

判定のまとめ:陽性・陰性・評価不能を分ける

判定は ①と②があり、③または④があれば陽性です。陰性でも「変動が強い」「評価タイミングが悪い」場合は取りこぼしがあり得るため、時間帯を変えて再評価する運用が安全です。 [oai_citation:9‡PubMed](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2240918/?utm_source=chatgpt.com)

一方で、深鎮静などで反応が取れず成立しない場合は、結果を無理に作らず評価不能として残します。これがチーム連携では最も価値のある情報になることがあります。 [oai_citation:10‡ICU Delirium](https://www.icudelirium.org/resource-downloads/cam-icu-training-manual?utm_source=chatgpt.com)

記録のコツ:結果より「条件」を残す

CAM-ICU は、結果(陽性/陰性)だけよりも、その時の条件を残すと臨床で役立ちます。具体的には、RASS、実施時刻、反応様式(発話/非言語)、環境(ケア直後など)、再評価予定の有無を最小セットとして残すのがおすすめです。 [oai_citation:11‡Society of Critical Care Medicine (SCCM)](https://www.sccm.org/clinical-resources/guidelines/guidelines/guidelines-for-the-prevention-and-management-of-pa?utm_source=chatgpt.com)

よくある失敗:ズレるのは「刺激」「前提」「タイミング」

現場で多い失敗は、せん妄そのものより運用の揺れです。特に「声かけの強さ」「刺激の入れ方」「評価する時間帯」が揃わないと、同じ患者でも結果が動いて見えます。チームでミニ SOP(短い手順)にして、評価者間のブレを減らすと安定します。 [oai_citation:12‡ICU Delirium](https://www.icudelirium.org/resource-downloads/cam-icu-training-manual?utm_source=chatgpt.com)

もう一つは、聴覚・視覚・失語などで注意課題が成立していないのに、そのまま注意障害と誤認してしまうパターンです。評価の前提を整えたうえで、反応様式を揃えてください。

よくあるミスと対策(CAM-ICU 運用)
よくあるミス なぜ起きる? 対策 記録で残す一言
評価者で結果が割れる 声かけ・刺激・合図が統一されていない 反応様式(うなずき/握る等)を固定 合図方法:○○で統一
深鎮静のまま判定してしまう 覚醒度の前提確認が抜ける 先に RASS、成立しない時は評価不能 RASS ○、評価不能
陰性だが違和感が残る 変動が強く、タイミングに依存する 時間帯を変えて再評価 再評価予定:○時
注意障害に見える 聞こえ/見え/失語で成立していない 補助具、提示方法、反応様式を調整 前提調整後に再実施

PT の臨床での使いどころ:離床と負荷設定の「安全域」を決める

PT の場面では、CAM-ICU の結果は「できる/できない」を決めるより、介入の組み立てを安全側に寄せるために使うとハマります。陽性であれば、課題は単純化し、環境刺激を整え、短時間で区切って反復するなど、注意の負荷を下げた設計が有効です。 [oai_citation:13‡Society of Critical Care Medicine (SCCM)](https://www.sccm.org/clinical-resources/guidelines/guidelines/guidelines-for-the-prevention-and-management-of-pa?utm_source=chatgpt.com)

陰性でも変動が疑わしい場合は、実施する時間帯や鎮静調整のタイミングをチームで共有し、再評価前提でリスク管理を行います。

よくある質問(FAQ)

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Q1. CAM-ICU は何分くらいでできますか?

A. 習熟すると数分で回せます。重要なのは時間より「同じ順番で」「成立条件を満たす時だけ」行うことです。検証研究でも短時間で実施可能な点が示されています。 [oai_citation:14‡PubMed](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11730446/)

Q2. いつ評価するのが良いですか?

A. 変動が強いので「評価しやすい時間帯」をチームで決めると安定します。ケア直後や鎮静調整後など、反応が取りやすいタイミングで実施し、陰性でも違和感があれば時間帯を変えて再評価します。 [oai_citation:15‡Society of Critical Care Medicine (SCCM)](https://www.sccm.org/clinical-resources/guidelines/guidelines/guidelines-for-the-prevention-and-management-of-pa?utm_source=chatgpt.com)

Q3. 深鎮静で反応が乏しいときは?

A. 評価の成立条件を満たさない場合は「評価不能(覚醒不十分)」として残し、無理に判定しません。まずは鎮静・疼痛・呼吸状態など前提を整え、可能なタイミングで再評価します。 [oai_citation:16‡ICU Delirium](https://www.icudelirium.org/resource-downloads/cam-icu-training-manual?utm_source=chatgpt.com)

Q4. 失語や聴覚障害があるときは使えますか?

A. 反応様式を調整して評価することはありますが、成立条件が崩れていると偽陽性/偽陰性が起きやすい点に注意が必要です。補助具や提示方法を整え、必要なら他の情報(経過・観察・記録)も統合して判断します。 [oai_citation:17‡ICU Delirium](https://www.icudelirium.org/resource-downloads/cam-icu-training-manual?utm_source=chatgpt.com)

参考文献

  1. Devlin JW, Skrobik Y, Gélinas C, et al. Clinical Practice Guidelines for the Prevention and Management of Pain, Agitation/Sedation, Delirium, Immobility, and Sleep Disruption in Adult Patients in the ICU. Crit Care Med. 2018;46(9):e825-e873. doi:10.1097/CCM.0000000000003299 [oai_citation:18‡PubMed](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30113379/?utm_source=chatgpt.com)
  2. Inouye SK, van Dyck CH, Alessi CA, Balkin S, Siegal AP, Horwitz RI. Clarifying confusion: the Confusion Assessment Method. A new method for detection of delirium. Ann Intern Med. 1990;113(12):941-948. doi:10.7326/0003-4819-113-12-941 [oai_citation:19‡American College of Physicians Journals](https://www.acpjournals.org/doi/10.7326/0003-4819-113-12-941?utm_source=chatgpt.com)
  3. Ely EW, Inouye SK, Bernard GR, et al. Delirium in mechanically ventilated patients: validity and reliability of the Confusion Assessment Method for the ICU (CAM-ICU). JAMA. 2001;286(21):2703-2710. doi:10.1001/jama.286.21.2703 [oai_citation:20‡PubMed](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11730446/)
  4. ICUdelirium.org. CAM-ICU Training Manual( updated Aug 2016 ). 配布ページ [oai_citation:21‡ICU Delirium](https://www.icudelirium.org/resource-downloads/cam-icu-training-manual?utm_source=chatgpt.com)

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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おわりに

CAM-ICU は「覚醒度の確認 → 注意の評価 → 判定 → 条件つきで再評価」というリズムが作れると、現場で迷いにくくなります。臨床の型を整えつつ、面談準備チェックと職場評価シートもまとめて持っておきたい方は マイナビコメディカルのダウンロードも確認してみてください。

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