がん患者リハビリテーション料|205点・算定要件・施設基準

制度・実務
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がん患者リハビリテーション料は1単位205点・1日6単位まで

がん患者リハビリテーション料(H007-2)は、施設基準を届け出た医療機関が、対象となる入院中のがん患者に個別リハビリテーションを行った場合に、1単位205点、患者1人につき1日6単位まで算定する区分です。ただし、がんの診断があるだけでは対象になりません。がん治療のための入院、予定・実施された治療、医師の判断、施設基準、実施体制、記録を順番に確認する必要があります。本記事では、2026年時点の算定要件と現場で迷いやすい判断、記録例を実務向けに整理します。

最初に確認する結論

  • 区分番号:H007-2
  • 点数:1単位205点
  • 上限:患者1人につき1日6単位まで
  • 対象:定められた条件に該当する入院中のがん患者
  • 前提:施設基準の届出、医師の関与、個別リハビリテーション、記録

疾患別リハビリテーション料全体の区分を先に確認したい場合は、疾患別リハビリテーション料の種類と算定の基本も参考にしてください。

がん患者リハビリテーション料の基本情報
項目 基本的な整理 現場で確認すること
区分番号 H007-2 他のリハビリテーション料と混同していないか
点数 1単位205点 実施時間と算定単位数が一致しているか
1日上限 患者1人につき1日6単位まで 同日に算定するリハ料との関係を確認する
対象 定められた条件に該当する入院中のがん患者 病名だけでなく入院目的と治療内容を確認する
実施方法 個別療法として実施する 開始・終了時刻、介入内容、患者反応を残す
施設 施設基準を満たして地方厚生局長等へ届け出た医療機関 院内の届出状況と担当可能者を医事課と確認する
がん患者リハビリテーション料の算定要件を対象患者・実施体制・記録根拠の3ステップで整理した図版
がん患者リハビリテーション料は、対象患者・実施体制・記録根拠を分けて確認します。

算定対象は「がん患者全員」ではない

算定対象を判断するときは、がんの診断名だけでなく、入院目的、治療内容、リハビリテーションの必要性を一体として確認します。

代表的な対象は、がん治療のために入院し、手術、化学療法、放射線治療または造血幹細胞移植が予定されている、もしくは実施された患者です。また、緩和ケアを目的とした治療を行っている進行がん・末期がん患者で、症状の増悪により入院し、在宅復帰を目的としたリハビリテーションが必要な場合も対象候補になります。

がん患者リハビリテーション料の対象確認
患者の状況 確認する条件 カルテから確認する情報
手術前後 がん治療のための手術が予定または実施されている 手術名、手術日、術式、術後経過、離床制限
化学療法 がん治療として化学療法が予定または実施されている 治療レジメン、治療日、副作用、血液データ
放射線治療 放射線治療が予定または実施されている 照射部位、治療日程、疼痛、皮膚症状、疲労
造血幹細胞移植 移植が予定または実施されている 移植日、感染対策、活動制限、全身状態
進行がん・末期がん 症状増悪による入院中で、在宅復帰を目的とするリハが必要 入院理由、在宅復帰の見込み、本人・家族の生活目標

注意:がんの既往がある、現在がんを治療している、ADLが低下しているという情報だけでは、直ちに算定対象とは判断できません。「何のための入院か」「どの治療が予定・実施されたか」「がん治療と機能障害がどう関係するか」を確認します。

算定可否は5段階で確認する

現場では、対象患者、医師の判断、施設基準、実施内容、記録の5段階で確認すると、算定要件の見落としを減らせます。

がん患者リハビリテーション料の算定前に対象患者・医師の判断・施設基準・個別リハ実施・記録確認を順番に確認する5ステップ図版
がんリハの算定前は、対象患者から記録まで5段階で確認します。
がん患者リハビリテーション料の5段階確認フロー
段階 確認すること 該当しない場合
1.対象患者 入院目的、がん治療、患者状態が対象条件に該当するか 他の算定区分を含めて医師・医事課へ確認する
2.医師の判断 個別リハの必要性、リスク、制限事項が示されているか 実施前に指示内容を確認する
3.施設基準 施設の届出と担当者の要件を満たしているか 算定せず、医事課・管理者へ確認する
4.個別リハ 患者の状態と目標に応じた個別療法を実施しているか 単なる付き添い、待機、移動時間と区別する
5.記録 対象根拠、実施時間、内容、反応、方針が追えるか 算定前に不足情報を補完する

新人PTでは、患者ががん治療中であることを確認した時点で、がんリハの対象だと判断してしまうことがあります。しかし、実際の現場では、病名よりも「今回の入院とがん治療の関係」を先に確認した方が、算定区分を整理しやすくなります。

主な算定要件と1日上限

がん患者リハビリテーション料は、対象患者に個別療法を行った場合に1単位205点、患者1人につき1日6単位まで算定する区分です。

1単位の実施時間は、リハビリテーション料に共通する時間の考え方に沿って確認します。移動、待機、カルテ記載などを訓練時間に含めず、患者に対して個別療法を行った時間と算定単位を一致させることが重要です。

算定時に確認する主な要件
確認項目 要点 記録・運用上の注意
入院 定められた対象に該当する入院中の患者である 外来患者と混同しない
点数 1単位205点 実施単位数と請求内容を一致させる
上限 患者1人につき1日6単位まで 同日に行われたリハ全体を確認する
実施形態 患者に対する個別療法である 集団指導や説明のみと区別する
医師の関与 治療方針とリスク管理のもとで実施する 禁忌、荷重制限、中止基準を確認する
施設基準 届出済みの医療機関で実施する 担当者個人の判断だけで算定しない

1単位20分の数え方、移動時間、中断時の考え方は、リハビリ1単位の時間と記録方法で詳しく整理しています。

施設基準と研修修了状況を確認する

算定には、医療機関が定められた施設基準を満たし、地方厚生局長等へ届け出ていることが必要です。

現場の療法士は、通知の文章を個人で解釈するだけでなく、院内の届出状況、専任医師の要件、従事者の研修修了状況、対象患者の抽出方法、記録・連携体制を確認します。過去に要件を満たしていたことだけで判断せず、令和8年度の通知や疑義解釈を踏まえて、医事課や施設基準担当者と照合することが重要です。

施設基準に関する院内確認項目
確認項目 確認内容 確認先の例
施設の届出 がん患者リハビリテーション料を届け出ているか 医事課、施設基準担当者
医師の要件 専任医師の経験・研修要件を満たしているか 診療部、施設基準担当者
療法士の研修 必要な研修を修了したPT・OT・STの配置状況 リハビリテーション部門管理者
修了証の管理 修了者、受講年度、修了証を確認できるか 人事部門、リハビリテーション部門
連携体制 医師、看護師、療法士等が治療情報を共有できるか カンファレンス、共有記録

研修に関する注意:「研修を受けていない療法士は一切関われない」と単純化せず、施設基準上の従事者要件、院内の指導体制、担当範囲を確認してください。算定できる実施者かどうかは、施設の届出内容に基づいて判断します。

PT・OT・STが確認する役割

PT・OT・STは専門領域が異なりますが、いずれもがん治療との関連、当日の全身状態、生活目標を踏まえて個別リハビリテーションを行います。

がんリハに関わる主な職種と評価視点
職種 主な評価・介入 記録に残す要点
理学療法士 離床、歩行、筋力、耐久性、呼吸・循環、転倒予防 介助量、歩行距離、疲労、疼痛、バイタル変化
作業療法士 ADL、上肢機能、セルフケア、生活動作、環境調整 動作能力、症状による制限、生活上の目標
言語聴覚士 摂食嚥下、発声、構音、コミュニケーション 食形態、むせ、疲労、意思伝達、指導内容
医師 適応判断、治療方針、禁忌、負荷制限、中止基準 リハの必要性、医学的制限、治療計画との関係
看護師等 病棟ADL、症状管理、生活リズム、退院支援 日常場面の変化、症状、共有した注意事項

廃用症候群リハとの違いは原因と治療経過で考える

がん患者にADL低下や筋力低下があっても、必ずがん患者リハビリテーション料を選ぶわけではありません。

判断時は、機能低下ががん治療とどのように関係しているか、今回の患者ががんリハの対象条件を満たすか、他の疾患別リハビリテーション料がより適切ではないかを確認します。療法士だけで算定区分を確定せず、医師と医事課を含めて整理してください。

がんリハと廃用症候群リハを整理する視点
確認視点 がんリハを検討する方向 廃用症候群リハ等も検討する方向
入院目的 がん治療または対象となる緩和期の一時入院 がん治療とは異なる疾患・状態が主な入院理由
治療内容 手術、化学療法、放射線治療、造血幹細胞移植 長期臥床や他疾患による全身的な廃用が中心
機能低下との関係 がん・がん治療に伴う機能障害が介入理由 別の病態による活動低下が主因
判断方法 対象条件と施設基準を確認する 主病態と最も適切な算定区分を確認する

実務上は、「がん患者だからがんリハ」「寝たきりだから廃用」と病名や見た目だけで分けないことが重要です。

実施前は治療内容と当日の全身状態を確認する

がんリハでは、バイタルサインだけでなく、治療日程、血液データ、骨転移、感染リスク、疼痛、倦怠感などを合わせて実施可否と負荷量を判断します。

がんリハ実施前のリスク確認
リスク 主な確認内容 対応・記録の視点
疼痛 部位、安静時痛、動作時痛、鎮痛薬の効果 NRS、制限された動作、負荷変更を残す
倦怠感 化学療法・放射線治療の日程、睡眠、食事 休憩、時間短縮、介入内容の変更を残す
血液データ 貧血、血小板減少、白血球・好中球減少 負荷量、感染対策、医師への相談内容を残す
骨転移 部位、病的骨折リスク、荷重・動作制限 医師指示、避けた動作、介助方法を残す
呼吸・循環 SpO2、呼吸困難、脈拍、血圧、浮腫 開始前後の変化、休憩、終了理由を残す
感染 発熱、隔離、好中球減少、感染対策 実施場所、防護具、実施可否の判断を残す

数値だけで一律に中止するのではなく、患者の治療方針、医師の指示、施設の基準、症状の変化を踏まえて判断します。実施を見送った場合も、「体調不良のため中止」だけで終わらせず、観察所見、報告先、再評価予定を記録します。

記録は5要素をつなげて残す

算定根拠が伝わる記録にするには、治療状況、当日の状態、実施内容、患者反応、次回方針の5要素をつなげます。

記録の基本順序

① がん治療・入院状況 → ② 当日の症状とリスク → ③ 実施時間・内容 → ④ 患者反応 → ⑤ 次回方針・共有事項

がん患者リハビリテーション料の記録例
場面 不十分になりやすい記録 改善例
術後離床 離床訓練を実施 胃がん術後2日目。安静時疼痛NRS2、動作時NRS4。端座位、立位、病棟内20m歩行を軽介助で実施。歩行後の循環動態は安定。次回は歩行距離を再評価する。
化学療法中 筋力訓練を実施 化学療法翌日で倦怠感あり。開始時Borg3。低負荷の下肢運動と歩行30mを休憩1回で実施し、終了後Borg3、症状増悪なし。体調に応じて負荷を継続調整する。
緩和期 ADL練習を実施 在宅復帰に向けてベッド・トイレ間の移動を確認。方向転換時に腰部痛が増強したため、手すり位置と動線を調整。家族へ介助方法を説明し、病棟スタッフと共有した。
中止判断 体調不良で中止 開始前から呼吸困難感が強く、安静時SpO2が前日より低下。看護師・医師へ報告し、本日の離床は見送り。症状と酸素化を確認後、翌日再評価する。

記録は長文にする必要はありません。「なぜ実施したか」「なぜ変更・中止したか」が第三者にも読み取れることを優先します。

よくある算定・記録ミス

よくあるミスは、対象患者の確認を病名だけで終えることと、実施内容だけを記録して算定根拠を残さないことです。

がん患者リハビリテーション料でよくあるミスと対策
よくあるミス 問題点 対策
がん患者なら全員対象と判断する 入院目的や対象治療の条件を確認できていない 今回の入院理由と治療予定を確認する
点数・上限を確認していない 実施単位と請求内容に不整合が生じる 205点・1日6単位までを部署内で共有する
担当可能者が曖昧 施設基準との整合性を説明できない 届出内容と研修修了者一覧を確認する
「歩行練習実施」だけを記録する 必要性、リスク、患者反応が分からない 治療状況、当日状態、反応、方針を加える
中止理由が「体調不良」のみ 臨床判断と報告内容が追えない 症状、数値、報告先、再評価予定を残す
療法士だけで区分を決める 施設の請求方針や届出とずれる可能性がある 医師・医事課・管理者と確認する

部署内では対象抽出から請求確認まで標準化する

安定した算定には、担当療法士の知識だけでなく、対象患者の抽出、指示、担当者、記録、請求確認までの流れを部署内で決めておく必要があります。

部署内で整えたい運用フロー
タイミング 確認すること 担当の例
入院・治療決定時 対象候補となる患者を抽出する 医師、看護師、リハ担当者
処方・依頼時 入院目的、治療内容、リスク、制限を確認する 医師、担当療法士
担当決定時 施設基準に沿った担当者か確認する リハ部門管理者
毎回の実施前 症状、治療日程、検査値、禁忌を確認する 担当療法士
実施後 時間、内容、反応、方針を記録する 担当療法士
請求前 対象根拠、単位数、担当者、記録を照合する リハ部門、医事課

療養病棟や長期入院患者を扱う現場では、転棟後も以前の算定区分をそのまま継続してしまうことがあります。治療段階、入院目的、患者の状態が変わった時点で、対象該当性とリハの目的を再確認する運用が必要です。

がんリハ算定チェックシートPDF

対象患者、医師指示、施設基準、担当者、実施内容、記録、リスク管理をA4用紙1枚で確認できる「がんリハ算定チェックシート」を用意しました。

制度の全文を転記する資料ではなく、算定前と記録確認時の抜けを減らすための実務用チェックシートです。最終的な算定判断は、最新の告示・通知・疑義解釈、地方厚生局への届出内容、院内規定に従ってください。

がんリハ算定チェックシートPDFを開く

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実地指導・内部監査前に確認すること

実地指導や内部監査に備えるときは、対象患者、施設基準、担当者、実施時間、記録内容が一連の資料から追えるかを確認します。

実地指導・内部監査前の確認項目
確認項目 確認する資料・記録 注意点
対象患者 診療録、入院目的、治療計画 がんの病名だけで判断していないか
医師の関与 処方、指示、治療方針、制限事項 リハの必要性と医学的注意点が確認できるか
施設基準 届出書類、研修修了者一覧 現在の配置・勤務状況と一致しているか
実施時間 開始・終了時刻、単位数 移動・待機時間を含めていないか
実施内容 日々のリハ記録 個別療法の目的と内容が読み取れるか
リスク管理 検査値、バイタル、報告・連携記録 変更・中止理由が残っているか

がん患者リハビリテーション料のよくある質問

各項目名をタップすると回答が開きます。

がん患者リハビリテーション料は何点ですか?

2026年時点では、H007-2 がん患者リハビリテーション料は1単位205点です。施設基準を届け出た医療機関が、対象となる入院中のがん患者に個別療法を行った場合に、患者1人につき1日6単位まで算定します。

がん患者なら全員が対象になりますか?

がんの診断があるだけでは対象になりません。がん治療のための入院中に、手術、化学療法、放射線治療、造血幹細胞移植が予定または実施されているなど、定められた条件への該当性を確認します。進行がん・末期がん患者では、症状増悪による入院と在宅復帰を目的としたリハの必要性も確認します。

1日に何単位まで算定できますか?

患者1人につき1日6単位までです。実際の実施単位は、患者の全身状態、治療予定、疲労、疼痛、医学的リスクを踏まえて決定します。

外来のがん患者にも算定できますか?

がん患者リハビリテーション料は、対象となる入院中の患者に対する区分です。外来や退院後のリハビリテーションは、患者の疾患・状態と医療機関の届出状況に応じて、別の算定区分やサービスを確認します。

廃用症候群リハとの違いは何ですか?

患者ががんであるかどうかだけではなく、今回の入院目的、予定・実施された治療、機能低下とがん治療との関係から判断します。算定区分に迷う場合は、療法士だけで決めず、医師・医事課・施設基準担当者と確認してください。

記録には何を書けばよいですか?

がん治療・入院状況、当日の症状とリスク、実施時間・内容、患者反応、次回方針を残します。中止や内容変更をした場合は、具体的な理由、報告先、再評価予定も記録します。

次の一手

まずは、がんリハ算定チェックシートを使い、自施設の対象患者、施設基準、研修修了者、記録項目を照合してください。制度上の条件だけでなく、誰がどの段階で確認するかまで決めておくと、算定漏れと誤算定を防ぎやすくなります。


参考文献

  1. 厚生労働省. 令和8年度 医科診療報酬点数表. 厚生労働省資料.
  2. 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定 医科診療報酬点数表新旧対照表. 厚生労働省資料.
  3. 厚生労働省. 疑義解釈資料の送付について(その6). 2026年5月22日. 厚生労働省資料.
  4. 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定に係る施設基準届出チェックリスト. 厚生労働省資料.
  5. 日本理学療法士協会. がんのリハビリテーション研修会. 日本理学療法士協会.

著者情報

がん患者リハビリテーション料の記事を執筆したrehabilikunのプロフィールアイコン

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関、介護福祉施設、訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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