リハビリ1単位は何分?移動・記録時間の判断基準

制度・実務
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リハビリ1単位は20分以上の個別療法です

疾患別リハビリテーション料の1単位は、患者に対して20分以上の個別療法を行った場合に算定するのが基本です。ただし、患者に関わった時間がすべて算定時間になるわけではありません。単なる移送、物品準備、待機、電子カルテ入力などは、個別療法の時間と分けて考える必要があります。本記事では、PT・OT・STが迷いやすい移動・準備・中断・記録時間を3区分で整理し、開始・終了時刻と実施内容を説明できる記録の残し方を紹介します。

結論:1単位は「患者に20分関わったか」ではなく、20分以上の個別療法として何を実施したかで確認します。移動や生活動作を含める場合も、単なる搬送・介助ではなく、評価や練習として実施した内容を記録できることが前提です。

リハビリ1単位・2単位・3単位は何分か

時間の基本は、1単位が20分以上、2単位が40分以上、3単位が60分以上です。

疾患別リハビリテーション料では、患者に対して20分以上の個別療法として訓練を行った場合を1単位として扱います。単位数だけでなく、開始時刻・終了時刻と機能訓練の内容の要点を診療録等へ記載することが重要です。

リハビリの単位数と必要時間の基本
算定単位 必要となる実施時間 記録で確認したい内容
1単位 20分以上 開始・終了時刻、個別療法の内容、患者の反応
2単位 40分以上 実施内容の流れ、負荷量、休憩、介助量の変化
3単位 60分以上 複数の実施内容、患者反応、変更理由、終了時の状態

たとえば、電子カルテ上の予約枠が20分でも、実際に個別療法を行った時間が20分未満であれば、予約時間だけを根拠に1単位とは判断できません。反対に、病室から訓練室への移動を歩行評価・歩行練習として行った場合は、目的・介助量・距離・反応を記録し、個別療法として行った内容を説明できるかが判断の軸になります。

リハビリ1単位の20分に含める時間と含めない時間の判断基準
リハビリ1単位で迷いやすい時間の考え方

移動・準備・待機・記録時間は3区分で判断します

迷いやすい時間は、「個別療法として扱う」「内容によって判断する」「原則として別管理する」の3区分に分けると整理しやすくなります。

リハビリ1単位に含めやすい時間・内容次第の時間・原則含めない時間の3区分
リハビリ1単位に関係する時間を3区分で整理
リハビリ1単位に関係する時間の3区分
区分 主な場面 判断の軸
個別療法として扱う 関節可動域練習、筋力練習、歩行練習、移乗練習、ADL練習、評価 患者に直接実施した評価・訓練・指導であり、内容を記録できる
内容によって判断する 病棟内移動、トイレ動作、車椅子駆動、装具の着脱、家族指導 単なる搬送や介助ではなく、個別療法としての目的・介入・反応がある
原則として別管理する 療法士だけの移動、物品準備、患者不在の待機、電子カルテ入力、書類作成 患者に対する個別療法そのものではない

判断に迷ったときは、「その時間に患者へ何を実施していたか」「評価・練習・指導として記録できるか」「単なる業務上の移動や待機ではないか」の順で確認します。

移動時間は一律に含めず、移動中の介入内容で分けます

病室から訓練室までの時間を、すべて自動的にリハビリ実施時間へ含めることはできません。

療法士が患者を車椅子で搬送しただけの場合や、療法士だけが病棟と訓練室を往復した時間は、個別療法として説明しにくい時間です。一方、病棟内歩行、車椅子駆動、方向転換、段差通過などを評価・練習として行った場合は、移動そのものが個別療法の内容になることがあります。

移動時間を個別療法として説明するための記録例
記録例 不足している点 判断しやすさ
リハ室まで移動 搬送か歩行練習かが分からない 低い
病棟廊下を歩行 距離、補助具、介助量、反応が分からない やや低い
病室から訓練室までT字杖で60m歩行。方向転換時にふらつきあり見守りを要した 目的、方法、量、反応が確認できる 高い

「移動した」と書くのではなく、歩行距離、補助具、介助量、休憩、疼痛、息切れ、ふらつきなどを残すことで、単なる移送との違いが明確になります。

準備時間は患者への介入と物品準備を分けます

準備時間は、療法士だけで行う準備と、患者に対して行う評価・指導を分けて考えます。

訓練機器の設置、書類の準備、車椅子や歩行器を取りに行く時間などは、通常、患者への個別療法そのものではありません。一方、患者の状態確認、バイタルサインの確認、装具着脱の評価、動作方法の説明などは、その目的や内容によって個別療法の一部として整理できる場合があります。

準備に見える場面の整理
場面 基本的な考え方 記録する内容
療法士だけで物品を準備 個別療法とは分けて管理する 通常は実施内容へ含めない
患者の体調・バイタルを確認 安全に実施するための評価として整理する 数値、症状、開始可否の判断
装具を装着 単なる装着か、着脱練習・適合確認かを分ける 装着方法、介助量、適合、皮膚状態
離床まで長時間待つ 介入していない待機時間は分ける 待機理由と実際の開始時刻

待機・中断時間は実施時間から切り分けます

検査、処置、他職種対応、体調不良などで介入していない時間は、実際に行った個別療法と分けて記録します。

たとえば、9時から9時40分まで患者のそばにいたとしても、途中に検査待ちが15分あれば、40分間すべてを個別療法として扱うことはできません。実施した時間、中断理由、再開後の内容を時系列で残します。

待機・中断があった場合の記録例
場面 避けたい記録 改善例
検査で中断 予定どおり2単位実施 9:00〜9:15歩行練習後、検査呼び出しで中断。帰室後9:35〜10:00に立位・移乗練習を実施
体調不良で終了 体調不良のため軽めに実施 開始8分後に息切れが増強。休憩後も改善が乏しく終了し、看護師へ報告
処置のため開始延期 病棟都合で待機 処置終了後の10:20から移乗・歩行練習を開始

複数回に分けて実施した時間をどのように扱うかは、対象となる診療報酬、施設の運用、個別の実施状況によって確認が必要です。判断に迷う場合は、施設の医事担当者や管理者、地方厚生局等へ確認してください。

電子カルテ入力や書類作成は個別療法と分けます

電子カルテ入力、SOAP記録、実施計画書やサマリーの作成時間は、患者へ行った個別療法の時間とは分けて管理します。

記録作成は重要なリハビリ業務ですが、「患者への疾患別リハビリテーション料を何単位算定するか」と「療法士が記録業務に何分従事したか」は別の論点です。後から記録を入力する場合も、実際の開始・終了時刻と実施内容を正確に残します。

令和8年度改定の「みなし単位」と混同しないでください

令和8年度改定では、疾患別リハビリテーション料の専従療法士が、疾患別リハ以外の対象業務に従事した時間を20分につき1単位とみなして実施単位数へ含める仕組みが示されています。ただし、リハビリテーションの記録時間と個別療法のための移動時間は、この専従者の単位数管理では「含めない業務」とされています。これは患者へ疾患別リハ料を算定する1単位とは別の仕組みです。

患者への算定単位と専従療法士のみなし単位の違い
区分 何を管理するものか 20分の対象
疾患別リハビリテーション料の算定単位 患者に実施した個別療法の算定 患者に対する個別療法
専従療法士のみなし単位 専従者1人当たりの実施単位数管理 改定で示された対象業務の従事時間

1単位を説明できる記録は4項目で整えます

記録では、時刻、内容、量、反応の4項目をそろえると、20分間に行った個別療法を説明しやすくなります。

リハビリ実施記録で最低限確認したい4項目
項目 残す内容 記載例
時刻 開始時刻と終了時刻 9:00〜9:20
内容 何を評価・練習・指導したか 立ち上がり、移乗、歩行練習
距離、回数、負荷、介助量 歩行20m×2回、軽介助
反応 症状、動作変化、安全性、変更理由 後半に膝折れがあり見守りから軽介助へ変更

療養病棟では、離床準備、排泄、処置、疲労による休憩などが重なり、患者のそばにいた時間と個別療法の時間が一致しないことがあります。実際の現場では、予定枠ではなく、介入した時間と中断時間を分けて残す運用が重要です。

短すぎる記録は量と反応を加えて直します

記録は長文にする必要はありませんが、手技名だけでは実施内容と単位数の整合性を確認できません。

リハビリ1単位に関する記録の改善例
短すぎる記録 改善例 追加した情報
歩行練習実施 平行棒内歩行10mを4往復。左立脚期に膝折れ傾向があり、後半は見守りから軽介助へ変更 距離、回数、介助量、反応
移乗練習実施 ベッド・車椅子間の移乗を5回実施。立ち上がり時の前方重心移動が不足し、手すり使用で軽介助 回数、動作課題、使用物品、介助量
ADL練習実施 トイレ動作を確認。方向転換時にふらつきがあり、下衣操作中は片手支持で見守りを要した 対象動作、危険場面、介助量
疲労あり 歩行30m後に息切れBorg 4。2分間の休憩でBorg 2まで軽減したため、立位練習へ変更 負荷量、症状、休憩、変更理由

迷ったときは4段階で確認します

1単位に含めるか迷った場面は、次の4段階で確認します。

  1. 患者へ直接介入していたか:療法士だけの準備・移動・記録ではないかを確認する
  2. 個別療法の目的があるか:評価・訓練・指導として行った内容かを確認する
  3. 20分以上実施したか:待機や中断を除いた実施時間を確認する
  4. 記録で説明できるか:開始・終了時刻、内容、量、反応を残す

4項目のいずれかが曖昧な場合は、自己判断で算定範囲を広げず、部署内の責任者や医事担当者へ確認します。

リハビリ1単位の実務確認チェックシート

開始・終了時刻、実施内容、移動・準備・待機・記録時間の区別を確認できるA4チェックシートです。

新人教育、部署内の申し合わせ、記録監査前の確認などに使用できます。ただし、チェックシートだけで算定可否を決定するものではありません。最新の告示・通知・疑義解釈と、施設の届出・運用を併せて確認してください。

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よくある失敗は予定枠と実施時間を同じにすることです

リハビリ1単位の運用では、予約枠、患者対応時間、個別療法時間を同じものとして扱うと記録が崩れやすくなります。

リハビリ1単位で起こりやすい失敗と対策
よくある失敗 問題となる理由 対策
20分の予約枠をそのまま1単位とする 中断や待機を除いた実施時間が分からない 実際の開始・終了時刻を記録する
車椅子搬送をすべて実施時間へ含める 個別療法としての目的や介入が不明確 単なる搬送と移動練習を分ける
記録時間を加えて20分にする 患者への個別療法時間と一致しない 実施時間と記録作成時間を分ける
中断前後を一続きに記録する 待機時間まで個別療法に見える 実施、中断、再開を時系列で残す
「ROM・歩行」のみで終える 時間に見合う実施内容や反応を確認できない 回数、距離、介助量、反応を加える

部署内では迷いやすい場面だけを標準化します

施設内で判断をそろえる場合は、制度全体を独自に解釈するのではなく、移動・中断・後入力など迷いやすい場面の記録方法を統一します。

特に新人PT・OT・STは、「どこから開始時刻にするか」「トイレ動作をどう記録するか」「検査で中断した場合にどう残すか」で迷いやすくなります。共通の記録例を2〜3例用意し、疑問が生じたときの確認先を明確にしておくと、個人による解釈差を減らせます。

部署内で共有したい運用項目
項目 共有する内容 運用例
開始・終了時刻 どの時点を記録するか 個別療法を開始・終了した実時刻を入力する
移動 搬送と移動練習の書き分け 目的、距離、補助具、介助量を記載する
中断 検査・処置・体調不良時の記録 中断理由と実施できた内容を分ける
後入力 入力時刻と実施時刻を混同しない方法 実施直後に時刻と要点を控える
確認先 判断が割れた場合の相談経路 主任、管理者、医事担当者の順に確認する

リハビリ1単位についてよくある質問

各項目名をタップすると回答が開きます。

リハビリ1単位は何分ですか?

疾患別リハビリテーション料では、患者に対して20分以上の個別療法として訓練を行った場合を1単位として扱うのが基本です。2単位は40分以上、3単位は60分以上が時間の目安です。

19分実施した場合でも1単位を算定できますか?

20分以上という時間要件を満たさないため、19分だけを1単位として扱うことは困難です。中断や複数回実施など個別事情がある場合は、自己判断せず、最新の通知や施設の医事担当者へ確認してください。

病室からリハ室までの移動時間は含められますか?

単なる車椅子搬送や移送時間を一律に含めることはできません。歩行、車椅子駆動、方向転換などを個別療法として評価・練習し、目的・内容・反応を記録できる場合は、移動中の介入内容として整理できることがあります。

トイレ介助はリハビリ時間に含まれますか?

単なる排泄介助か、移乗、立位保持、方向転換、下衣操作などの評価・ADL練習として行ったかで分けます。個別療法として行った場合は、目的、介助量、危険場面、患者反応を記録します。

電子カルテの入力時間は1単位に含まれますか?

電子カルテ入力や記録作成は重要な業務ですが、患者に対する個別療法の時間とは分けて考えます。記録時間を加えて20分とするのではなく、患者へ実施した個別療法の開始・終了時刻を記載します。

途中で休憩した時間はどう記録しますか?

疲労や体調不良による休憩、検査・処置待ちなど、個別療法を行っていない時間は分けて記録します。中断前後の実施時間、理由、再開後の内容を時系列で残してください。

次の一手

まずはPDFチェックシートを使い、部署内で「移動」「準備」「待機」「中断」「記録」の扱いを確認してください。今回の記事は1単位の全体像を整理するページです。より具体的な開始・終了の判断や19分問題は、次の記事で確認できます。


参考文献

  1. 厚生労働省保険局医療課. 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について. 保医発0305第6号. 2026.
  2. 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定:疾患別リハビリテーション料の療法士による指導等の更なる推進. 厚生労働省資料.
  3. 厚生労働省東北厚生局. 保険診療と個別指導(医科)第8回 リハビリテーション―実施と診療報酬算定の留意事項―. 2025. 東北厚生局資料.
  4. 厚生労働省保険局医療課. 疑義解釈資料の送付について(その2). 2026. 厚生労働省資料.

本記事は疾患別リハビリテーション料に関する一般的な実務整理です。実際の算定は、最新の告示・通知・疑義解釈、施設基準、届出内容、審査支払機関および地方厚生局等の取扱いを確認してください。

著者情報

リハビリ1単位の記事を執筆したrehabilikunのプロフィール画像

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関、介護福祉施設、訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、リハビリテーション栄養、シーティング、摂食・嚥下

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