CB&Mの評価方法|96点の見方・BBS/TUG/L Testとの違い

評価
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CB&M は地域生活レベルの高難度バランス・移動能力をみる評価です

CB&M(Community Balance and Mobility Scale)は、歩行できる人の中でも、地域生活で必要な高難度のバランス・移動能力を評価する尺度です。BBS や TUG で差が出にくい高機能帯でも、方向転換、片脚課題、速度変化、狭い条件での移動などを通して、生活場面に残る不安定さを整理しやすい評価です。

この記事では、CB&M の特徴、向く場面、採点の見方、L Test・TUG・BBS との違い、記録に残したいポイントを PT 向けに整理します。評価尺度を増やすことが目的ではなく、「歩けるけれど地域生活では不安が残る」症例で、何を見ればよいかを判断できることを目指します。

歩行・バランス評価の全体像から確認したい方へ

CB&M は高機能帯・地域生活レベルの評価です。まず評価の使い分けを整理したい場合は、歩行・バランス評価の総論から確認すると位置づけが分かりやすくなります。

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CB&M とは

CB&M は、地域生活で求められる高難度の balance / mobility を評価する performance-based measure です。13項目で構成され、6項目は左右それぞれ実施します。各課題は0〜5点で採点し、合計は96点満点です。

特徴は、単純な直線歩行ではなく、片脚性、方向転換、速度変化、狭い支持基底面など、より複雑な移動課題を含むことです。そのため、CB&M は「歩行自立かどうか」を決める入口評価というより、自立歩行後に残る community レベルの課題を見つける評価として使いやすいです。

CB&M が向く場面

CB&M が向くのは、自立歩行は可能でも、屋外・人混み・方向転換・速度変化などで不安定さが残る場面です。BBS が高得点、TUG が大きく悪くない場合でも、実生活では「急な方向転換でふらつく」「狭い場所で減速する」「片脚支持で崩れる」ことがあります。

臨床では、回復期後半、外来、通所、在宅復帰後の再評価で使いやすいです。療養病棟では対象が限られますが、歩行自立後に活動範囲を広げる段階では、単に歩けるかではなく、生活場面でどの条件が弱いかを残す視点が役立ちます。

表1.CB&M が向く場面と確認ポイント
場面 CB&M が役立つ理由 先に確認したいこと 記録例
高機能帯の再評価 BBS や TUG で差が出にくい課題を拾いやすい 靴、補助具、課題順、疲労 通常歩行は安定、速度変化でふらつきあり
脳卒中後の外来評価 軽度の左右差や片脚課題の弱さを確認しやすい 麻痺側支持、turn、狭路での安定性 右片脚課題で骨盤保持低下あり
在宅復帰後の確認 屋内自立後の community レベルの課題を見やすい 屋外移動、方向転換、複合課題 屋内は自立、複合課題で減速あり
通所・地域リハ 活動範囲拡大に向けた変化を追いやすい 転倒歴、疲労、注意分配 前回より方向転換時の安定性改善

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評価でみるポイント

CB&M では、合計点だけでなく「どの条件で崩れるか」を見ることが重要です。高機能帯では、点数の差が小さくても、方向転換、片脚支持、速度変化、狭い支持基底面などの弱さが生活上の不安につながります。

記録では、点数に加えて、低下した課題と崩れ方を1行で残すと再評価に使いやすくなります。たとえば「方向転換で追加ステップあり」「速度変化で歩幅低下」「片脚課題で骨盤保持不良」などです。新人PTでは、合計点だけを記録してしまいがちですが、介入につながるのはむしろどの課題で何が起きたかです。

採点の見方と解釈

CB&M は、各課題を0〜5点で採点し、合計96点で読みます。点数が高いほど balance / mobility が高い方向で解釈できますが、臨床では合計点だけで安全性を決めるより、課題ごとの低下を確認する方が実用的です。

前後比較では、靴、補助具、課題順、疲労条件をそろえることが大切です。条件が変わると、点数の変化が能力変化なのか、環境差なのか判断しにくくなります。記録では「同条件で実施」「補助具なし」「疲労影響あり」など、比較条件を残しておくと解釈しやすくなります。

表2.CB&M の読み方と記録の残し方
見る視点 意味 注意点 記録例
合計点 community balance / mobility の全体像を把握する 弱い課題の内訳は埋もれやすい 72 / 96点
低下課題 介入の優先順位を決めやすい 合計点だけでは分からない 低値:single-leg、turn
崩れ方 介入内容に直結しやすい 観察所見を残さないと次回比較できない 速度変化で歩幅低下あり
前後比較 高機能帯の変化を追いやすい 条件固定が必要 前回比+8点、同条件で実施

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L Test・TUG・BBS との違い

CB&M は、BBS・TUG・L Test と似て見えますが、評価したい主役が違います。BBS は基礎的バランス、TUG は短い functional mobility、L Test は旋回を含む実用 mobility、CB&M は community レベルの高難度 balance / mobility を見ます。

CB&MとBBS・TUG・L Testの使い分けを比較した図版

そのため、歩行自立度を段階で整理したい場合は FAC の評価方法、旋回を含む実用 mobility を見たい場合は L Test の評価方法 が向いています。CB&M は、その先で「地域生活レベルでは何が残るか」を深掘りする位置づけです。

表3.BBS・TUG・L Test・CB&M の使い分け
尺度 主な目的 強み CB&M との違い
BBS 基礎的バランス評価 導入しやすく全体像を整理しやすい 高機能帯では天井効果が出やすい
TUG 短い移動タスクの時間評価 簡便で汎用性が高い どの課題で崩れたかは粗くなりやすい
L Test 旋回を含む実用 mobility 評価 長めの移動と複数回 turn を見やすい CB&M より高難度課題は少ない
CB&M 地域生活レベルの高難度 balance / mobility 評価 高機能帯の subtle deficit を拾いやすい 入口評価よりも深掘り評価に向く

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現場の詰まりどころ

CB&M でよくある失敗は、「歩けるから安全」と判断してしまうことです。まっすぐ歩けることと、地域生活で求められる速度変化、方向転換、片脚支持、人混みへの対応は同じではありません。

もう1つの失敗は、合計点だけを残して課題の偏りを捨てることです。高機能帯では、1つの課題の弱さが転倒不安や活動制限につながることがあります。回避策は、合計点+低い課題2つ+崩れ方1行で記録することです。

表4.CB&M でよくある失敗と回避策
よくある失敗 なぜ困るか 回避策 記録例
歩けるから安全と判断する 地域生活レベルの課題を見落とす 速度変化・turn・single-leg を確認する 通常歩行は自立、turn でふらつき残存
合計点だけ記録する 弱い課題が介入に反映されにくい 低い課題を2つ書き添える 低値:single-leg、速度変化
BBS と同じ感覚で使う CB&M の高難度評価としての役割が薄れる community レベルの課題を見る BBS 高得点だが CB&M で課題残存
条件をそろえない 前後比較の意味がぶれる 靴・補助具・課題順を固定する 同条件で実施、疲労の影響軽度

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よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

CB&M はどんな人に向いていますか?

自立歩行は可能でも、地域生活レベルの balance / mobility に不安が残る人に向いています。屋外移動、方向転換、速度変化、片脚課題などで不安定さが残る症例に使いやすいです。

BBS や TUG があれば CB&M は不要ですか?

目的が違うため、不要とは言い切れません。BBS は基礎的バランス、TUG は短い移動タスクを見やすい評価です。CB&M は、より高機能帯の community レベルの課題を深掘りしたいときに役立ちます。

CB&M は脳卒中でも使えますか?

使えます。とくに歩行可能で、軽度〜中等度の神経学的障害が残る症例では、高機能帯の課題を確認する評価として使いやすいです。

何点なら安全と判断できますか?

一律の安全基準として合計点だけで判断するより、前後比較と課題の偏りを見る方が実用的です。地域生活では、合計点だけでなく、どの条件で崩れるかが重要です。

L Test と一緒に使ってもよいですか?

はい。L Test で旋回を含む実用 mobility を確認し、さらに高難度の community balance / mobility を深掘りしたい場合に CB&M を追加すると整理しやすいです。

次の一手

CB&M を測って終わりにしないためには、目的を決める → 条件を固定する → 低い課題2つと崩れ方1行を残す流れが大切です。高機能帯の歩行・バランス評価で迷う場合は、まず評価の全体像を確認し、そのうえで実用 mobility 評価と使い分けると整理しやすくなります。


参考文献

  1. Howe JA, Inness EL, Venturini A, Williams JI, Verrier MC. The Community Balance and Mobility Scale: a balance measure for individuals with traumatic brain injury. Clin Rehabil. 2006;20(10):885-895.
  2. Inness EL, Howe JA, Niechwiej-Szwedo E, Jaglal SB, McIlroy WE, Verrier MC. Measuring balance and mobility after traumatic brain injury: validation of the Community Balance and Mobility Scale. Physiother Can. 2011;63(2):199-208. PubMed
  3. Knorr S, Brouwer B, Garland SJ. Validity of the Community Balance and Mobility Scale in community-dwelling persons after stroke. Arch Phys Med Rehabil. 2010;91(6):890-896. PubMed
  4. Community Balance and Mobility Scale. Shirley Ryan AbilityLab. 公式ページ
  5. Introduction to the Community Balance and Mobility Scale. TBIMS. 公式ページ

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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