患者説明を ChatGPT でわかりやすくする方法|理学療法士向け

制度・実務
記事内に広告が含まれています。

患者説明はChatGPTでわかりやすくできる?

ChatGPTは、理学療法士が患者さんや家族へ伝える説明文を、専門用語の少ない短い表現へ整える補助として活用できます。ただし、評価結果の解釈、運動負荷、禁忌、転倒リスクなどの医療判断を任せるものではありません。対象者、説明の目的、取ってほしい行動を指定して下書きを作り、理学療法士が正確性と安全性を確認することが前提です。本記事では、患者説明に使える入力例、言い換え例、5ステップの活用手順、個人情報を守るための注意点を整理します。

生成AI活用の全体像を確認する

患者説明以外の活用場面や、記録・文献検索・院内資料作成との役割分担は、総合ガイドで整理しています。

理学療法士の生成AI活用ガイドを見る

PDF配布物:患者説明 ChatGPT 入力チェックシート

ChatGPTで患者説明を作る前に確認したい「対象者」「専門用語」「避けたい表現」「説明後の確認」をA4 1枚で整理できます。

PDFを開く(ダウンロード)

中身をプレビューする

PDFを表示できない場合は、上のボタンから開いてください。


ChatGPTは患者説明の下書きに使う

患者説明での適切な使い方は、医療判断を任せることではなく、理学療法士が決めた内容を患者向けの言葉へ整えることです。

理学療法士は、評価結果や病態、禁忌、生活環境を踏まえて、何を伝える必要があるかを判断します。ChatGPTには、その内容を短くする、専門用語を言い換える、説明の順番を整えるといった作業を補助させます。

患者説明でChatGPTに任せやすいこと・任せないこと
区分 具体例 担当
言い換え 「耐久性低下」を「続けて動くと疲れやすい状態」へ変える ChatGPTで補助できる
要約 長い説明を1〜2個の要点に絞る ChatGPTで補助できる
順番整理 現状、注意点、具体策の順に並べる ChatGPTで補助できる
医療判断 運動負荷、禁忌、中止基準、介助量を決める 理学療法士が判断する
最終確認 患者さんの状態に合うか、誤解を招かないか確認する 理学療法士が行う

患者説明が伝わりにくくなる4つの原因

患者説明が伝わりにくい主な原因は、専門用語、情報量、具体性、理解確認の不足です。

医学的に正しい説明でも、患者さんが自分の生活と結びつけられなければ、次の行動にはつながりません。「筋力が低下しています」と伝えるだけではなく、「椅子から立つときに足の力が入りにくいため、手すりを使いましょう」と、生活場面と行動まで示す必要があります。

患者説明が伝わりにくくなる原因と修正方法
原因 伝わりにくい説明 修正方法
専門用語が多い 下肢筋力と動的バランスが低下しています 足に力が入りにくく、動き始めにふらつきやすい状態です
情報が多い 複数の評価結果と注意点を一度に伝える その場で必要な要点を1〜2個に絞る
行動が曖昧 転倒に注意してください 立ち上がった直後は、手すりにつかまってから歩き始めましょう
理解確認がない 「分かりましたか」と尋ねて終える 患者さん自身の言葉で注意点を説明してもらう

ChatGPTが補助しやすい患者説明

ChatGPTは、すでに理学療法士が内容を判断できている説明の言い換えや整理に向いています。

一方で、疾患の診断、予後予測、運動の可否、急変時の判断など、誤りが患者さんの安全に影響する内容をChatGPTだけで決めてはいけません。

患者説明でChatGPTを活用しやすい場面
場面 補助させる内容 理学療法士が確認すること
評価結果 筋力やバランスの状態を生活場面へ言い換える 評価結果との整合性
自主トレ 目的、手順、注意点を短く並べる 負荷量、回数、禁忌、中止基準
転倒予防 リスクと対策を不安をあおらない表現へ整える 実際に危険な場面と必要な介助量
家族説明 見守る場面と手伝う場面を整理する 家族の介護力と住環境
退院前説明 退院後の注意点を優先順位順に並べる サービス、福祉用具、連絡先などの個別条件
理学療法士が患者説明をChatGPTで整える活用フロー。伝えたい内容を決め、患者向けに言い換え、行動につながる表現へ修正し、理学療法士が最終確認する流れ
患者説明でのChatGPT活用フロー

患者説明に使える入力テンプレート

入力では、「誰に」「何を」「何のために」「どのように伝えるか」を指定すると、患者説明に近い文章を作りやすくなります。

あなたは患者説明文の編集を補助してください。以下の内容を、患者さんに伝わる表現へ整えてください。

【対象者】患者本人/家族、年代、理解面で配慮すること
【説明する内容】理学療法士が確認した事実
【説明の目的】説明後に理解してほしいこと
【取ってほしい行動】具体的にしてほしいこと
【表現の条件】専門用語を避ける、○文字以内、前向きに伝える
【避けたい表現】断定、不安をあおる表現、責める表現
【重要】新しい医療判断や事実を追加せず、入力した内容だけを言い換えてください。

患者説明の入力に含める項目
項目 指定例 指定する理由
対象者 80代の患者本人向け 言葉の難しさを調整するため
説明内容 立ち上がり時に足の力が入りにくい AIに事実を追加させないため
目的 立ち上がり時の注意点を理解してもらう 説明の焦点を絞るため
行動 手すりを持ってから立ち上がる 患者さんの次の行動を明確にするため
表現条件 専門用語を避け、100文字以内にする 説明の長さと難しさを調整するため
避けたい表現 転びます、危険です、絶対に、という断定を避ける 不安や誤解を減らすため

場面別の入力例

入力例はそのまま使うのではなく、理学療法士が確認した事実と患者さんの状況に合わせて変更します。

筋力低下を説明する場合

「足の筋力低下」について、80代の患者さん本人に説明する文章を作ってください。椅子からの立ち上がりと関連づけ、専門用語を避けて100文字以内にしてください。立ち上がるときは手すりを使う必要性が伝わる表現にしてください。新しい医学的情報は追加しないでください。

転倒リスクを家族へ説明する場合

方向転換時にふらつきがある患者さんについて、家族へ見守りの必要性を説明する文章を作ってください。家族を責める表現や不安をあおる表現を避け、どの場面で近くにいるとよいかが分かるようにしてください。

自主トレを説明する場合

退院後に自主トレを続ける目的を患者さんへ説明してください。「筋力を維持し、立ち上がりを続けやすくするため」という内容を、前向きで短い文章にしてください。運動の回数や負荷量は追加しないでください。

退院後の注意点を整理する場合

退院後の注意点を、①歩き始め、②方向転換、③夜間のトイレの3場面に分けて整理してください。各項目は1文とし、患者さんが取る行動を具体的に示してください。入力していない対策は追加しないでください。

患者説明のビフォーアフター

良い言い換えは、専門用語をやさしくするだけでなく、生活場面と具体的な行動を示します。

理学療法士の患者説明を整える例
修正前 修正後 改善点
下肢筋力低下により立ち上がり動作が不安定です。 足に力が入りにくいため、椅子から立つときにふらつきやすくなっています。手すりを持ってから立ち上がりましょう。 状態、生活場面、行動を示した
耐久性低下があり、連続歩行で疲労が出現します。 続けて歩くと疲れやすいため、疲れ切る前に途中で休憩を入れましょう。 休憩するタイミングを示した
バランス低下により転倒リスクがあります。 歩き始めや向きを変えるときに、体がふらつくことがあります。急がず、手すりにつかまってから動きましょう。 危険な場面と対策を示した
自主トレを継続してください。 退院後も立ち上がりや歩行を続けやすくするために、決めた運動を無理のない範囲で続けましょう。 運動する目的を示した

家族説明では介助する場面を具体化する

家族説明では、リスクの大きさだけでなく、「いつ見守るか」「どこまで手伝うか」「困ったときにどうするか」を具体化します。

「転倒の危険があります」とだけ伝えると、家族が常に介助しなければならないと受け取る可能性があります。反対に、「見守りで大丈夫です」とだけ伝えると、見守りが必要な場面が伝わりません。

家族説明で整理する内容
整理項目 説明例
見守る場面 歩き始め、方向転換、夜間の移動では近くで見守る
手伝う場面 疲れて足が止まるときは、いったん椅子へ誘導する
本人に任せる場面 手すりを使って安定して行える動作は、急がせず本人のペースを待つ
相談する変化 普段より強いふらつきや息切れがある場合は、担当者へ相談する

入力例:
「退院後の転倒予防について、患者さんの家族へ説明する文章を作ってください。歩き始めと方向転換では近くで見守ること、安定している場面では本人の動きを待つことを含めてください。不安をあおらず、家族を責めない表現にしてください」

患者説明を作る5ステップ

患者説明は、目的を決めてからChatGPTへ入力し、最後に患者さんの理解を確認する流れで作ります。

患者説明をChatGPTで整える5ステップ。伝える目的を決め、個人情報を除いて一般化し、対象者と表現条件を入力し、理学療法士が正確性と安全性を確認し、患者の言葉で理解を確認する流れ
患者説明をChatGPTで整える5ステップ
患者説明でのChatGPT活用5ステップ
ステップ 行うこと 確認ポイント
1 説明の目的を決める 説明後に何を理解し、何をしてほしいか
2 必要な事実だけを一般化する 個人を特定できる情報が含まれていないか
3 対象者と表現条件を指定する 本人か家族か、長さや言葉の難しさは適切か
4 出力を理学療法士が修正する 正確性、安全性、個別性が保たれているか
5 説明して理解を確認する 患者さんが自分の言葉で注意点を説明できるか

説明後は患者さんの言葉で確認する

患者さんが「分かりました」と答えても、具体的な行動まで理解できているとは限りません。

説明後は、「分かりましたか」と尋ねるだけでなく、「立ち上がるときは、最初にどうしますか」「ご家族にも伝えるとしたら、どのように説明しますか」と尋ね、患者さん自身の言葉で説明してもらいます。

患者さんの理解を確認する質問例
確認したいこと 質問例
注意する場面 どのようなときに、ふらつきやすいとお伝えしましたか?
具体的な行動 椅子から立つときは、最初に何をしますか?
自主トレの目的 この運動は、何のために続ける予定ですか?
困ったときの対応 いつもより強いふらつきが出た場合は、どうしますか?

患者さんがうまく説明できない場合は、「先ほど説明しましたよね」と責めず、説明する側の表現を変えて伝え直します。

個人情報と安全性を守る

患者説明にChatGPTを使う場合でも、個人を特定できる情報や詳細な診療情報を、所属施設の許可なく入力しないことが基本です。

氏名、患者ID、生年月日、住所、病室、具体的な入退院日、希少な疾患と詳細な経過などは、組み合わせによって個人を特定できる可能性があります。「80代の患者」「退院前」「方向転換でふらつきがある方」など、説明に必要な要素だけへ一般化します。

また、ChatGPTのデータ設定だけを確認して利用可否を判断せず、所属施設の情報管理規程、生成AI利用ルール、契約しているサービスの条件を優先してください。

患者説明にChatGPTを使う前の安全確認
確認項目 確認内容
施設ルール 生成AIの利用が許可されているか
個人情報 患者を直接・間接に特定できる情報がないか
入力範囲 言い換えに必要な最小限の情報だけになっているか
医学的正確性 評価結果、禁忌、運動負荷、リスクに誤りがないか
対象者への適合 理解力、認知機能、心理状態、家族背景に合っているか
最終責任 理学療法士が内容を確認し、自分の言葉で説明できるか

説明・記録業務の負担を整理したい方へ

患者説明や記録に時間がかかる背景には、教育体制、相談環境、業務量など、個人の工夫だけでは解決しにくい課題もあります。現在の職場環境を整理したい方は、チェックシートも活用してください。

無料チェックシートを見る

患者説明でよくある失敗

最も多い失敗は、ChatGPTが作った自然な文章を、正しい文章だと思ってそのまま使うことです。

患者説明とChatGPTで起こりやすい失敗
失敗 問題点 修正方法
説明内容をAIに考えさせる 事実と異なる情報や不要な医療判断が加わる可能性がある 説明する事実は理学療法士が先に決める
出力をそのまま使う 患者さんの状態や施設の方針に合わないことがある 正確性、安全性、個別性を確認して修正する
説明を長くしすぎる 患者さんが重要な行動を覚えにくい 1回の説明を1〜2個の要点に絞る
やさしい言葉だけにする 何をすればよいかが曖昧になる 生活場面と具体的な行動を添える
リスクだけを強調する 患者さんや家族の不安を強める リスクと対策をセットで伝える
理解確認を省く 説明したことと伝わったことの差に気づけない 患者さん自身の言葉で説明してもらう

療養病棟では、認知機能、聴力、覚醒状態、家族の関わり方によって、同じ説明でも伝わり方が大きく変わります。文章を整えるだけで完了とせず、短い言葉、実際の動作、紙面、家族への共有などを組み合わせることが重要です。

SOAP・カルテ文との違い

患者説明文とSOAP・カルテ文では、読み手と文章の目的が異なります。

患者説明文・SOAP・カルテ文の違い
文章 主な読み手 目的 重視すること
患者説明文 患者さん・家族 状態を理解し、必要な行動を取ってもらう 分かりやすさ、具体性、安心感
SOAP記録 医療・介護職 主観・客観情報、評価、計画を共有する 構造、根拠、再現性
カルテ文 医療・介護職 実施内容や経過を記録する 客観性、簡潔性、事実との整合性

SOAPの作成方法はSOAP記録をChatGPTで時短する方法、日々の記録表現はカルテ文をChatGPTで読みやすく整える方法で整理しています。

よくある質問

各項目名をタップすると回答が開きます。

患者説明にChatGPTを使っても大丈夫ですか?

所属施設のルールを守り、個人情報を入力せず、理学療法士が内容を確認・修正する使い方であれば、専門用語の言い換えや説明順の整理に活用できます。医療判断や患者ごとの方針決定を任せる使い方は避けてください。

患者さんの年齢や疾患名を入力してもよいですか?

年齢や疾患名だけでも、他の情報との組み合わせによって患者さんを特定できる場合があります。施設の規程を確認し、「高齢患者」「退院前」「歩き始めにふらつきがある方」など、説明に必要な最小限の情報へ一般化してください。

ChatGPTの説明文をそのまま患者さんへ見せられますか?

そのまま使用するのは避けます。評価結果との整合性、禁忌、運動負荷、患者さんの理解力、認知機能、不安の強さ、家族背景を確認し、理学療法士が修正してから説明してください。

分かりやすい説明文を作るコツは何ですか?

対象者、説明する事実、説明の目的、取ってほしい行動、文章の長さ、避けたい表現を指定します。「新しい医療判断や事実を追加しないでください」と添えることも重要です。

患者さんが理解できたかはどう確認しますか?

「分かりましたか」と尋ねるだけでなく、「立ち上がるときは最初に何をしますか」など、患者さん自身の言葉で注意点や行動を説明してもらいます。説明できない場合は、表現や伝え方を変えて説明し直します。

まとめ

ChatGPTは、理学療法士が決めた説明内容を、患者さんや家族に伝わる言葉へ整える補助として活用できます。

使うときは、対象者、説明する事実、目的、取ってほしい行動、避けたい表現を指定します。出力後は、医学的な正確性、安全性、患者さんへの適合性を理学療法士が確認しなければなりません。

最終目標は、きれいな説明文を作ることではなく、患者さんが自分の状態を理解し、必要な行動を取れるようにすることです。ChatGPTを説明の代行者ではなく、伝え方を整える編集補助として使いましょう。

次の一手

まずは個人情報を含めず、「筋力低下」「バランス低下」「自主トレ」など、理学療法士が内容を判断できている説明の言い換えから試してください。

個人の工夫だけでは改善しにくい場合

患者説明や記録の負担が、相談相手の不足、教育体制、業務量などの職場環境に起因している場合は、働き方を含めて整理することも選択肢です。

PTキャリアガイドを見る


参考文献

  1. OpenAI. ChatGPT [Internet]. San Francisco: OpenAI; [cited 2026 Jul 14]. Available from: https://chatgpt.com/ja-JP/
  2. OpenAI. Data Controls FAQ [Internet]. San Francisco: OpenAI; [cited 2026 Jul 14]. Available from: https://help.openai.com/en/articles/7730893-data-controls-faq
  3. OpenAI. Enterprise privacy at OpenAI [Internet]. San Francisco: OpenAI; 2026 [cited 2026 Jul 14]. Available from: https://openai.com/enterprise-privacy/
  4. 厚生労働省. 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版(令和8年6月)[Internet]. 東京: 厚生労働省; 2026 [参照 2026 Jul 14]. Available from: https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000516275_00006.html

著者情報

患者説明や生成AI活用の記事を執筆する理学療法士rehabilikun

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

運営者について編集・引用ポリシーお問い合わせ