運動量増加機器加算とは?対象機器・150点・算定要件【2026】

制度・実務
記事内に広告が含まれています。

運動量増加機器加算とは?2026年は上肢・下肢それぞれ150点

運動量増加機器加算は、脳卒中または脊髄障害の急性発症に伴う運動機能障害がある患者に対し、対象となる運動量増加機器を使用して脳血管疾患等リハビリテーションを行った場合に算定する加算です。

2026年度診療報酬改定では算定回数の扱いが変更され、上肢の運動機能障害に機器を用いた場合150点、下肢の運動機能障害に機器を用いた場合150点を、それぞれ月1回算定できる仕組みになりました。

運動量増加機器加算の要点

対象:脳卒中または脊髄障害の急性発症に伴う運動機能障害
期間:発症日から起算して60日以内
上肢:150点・月1回
下肢:150点・月1回
前提:脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)または(Ⅱ)の施設基準

2026年度の運動量増加機器加算について、対象患者、発症日から60日以内、上肢・下肢各150点月1回、対象機器、計画と記録の5ポイントを整理した図
2026年度の運動量増加機器加算は、対象患者・60日以内・上肢下肢の区分・対象機器・計画と記録をセットで確認する。

重要なのは、「ロボットや電気刺激機器を使えば算定できる」という加算ではないことです。対象患者、施設基準、使用する医療機器、リハビリテーション計画のすべてを確認します。

2026年度改定におけるリハ領域全体の変更は、
令和8年診療報酬改定リハ領域まとめ
から確認できます。

2026年改定で何が変わった?月1回から上肢・下肢それぞれ月1回へ

2026年度改定の変更点は、上肢と下肢を分けて算定できるようになったことです。

改定前は、運動量増加機器加算として月1回150点を加算する構造でした。そのため、上下肢の両方に運動機能障害があり、それぞれ異なる機器を使って訓練する場合でも、算定回数は月1回でした。

2026年度改定では、厚生労働省が「上下肢ともに麻痺等の運動機能障害がある場合、上肢及び下肢に対して異なる種類の運動量増加機器が用いられる」と整理し、算定回数制限を拡大しました。

運動量増加機器加算の2026年度変更
項目 改定前 2026年度改定後
上肢 運動量増加機器加算として月1回150点 月1回150点
下肢 月1回150点

したがって、対象要件を満たす患者に上肢と下肢の双方で対象機器を使用している場合は、上肢150点+下肢150点となり、月内で合計300点となる場合があります

注意:同じ患者だから自動的に300点になるわけではありません。上肢・下肢それぞれについて対象となる運動機能障害があり、対象機器を使用して要件を満たすリハビリテーションを実施していることが前提です。

運動量増加機器加算の対象患者|脳卒中・脊髄障害で発症60日以内

対象患者は、脳卒中または脊髄障害の急性発症に伴う上肢または下肢の運動機能障害があり、発症日から起算して60日以内の患者です。

対象患者の3条件

1. 脳卒中または脊髄障害の急性発症
2. 上肢または下肢に運動機能障害がある
3. 発症日から起算して60日以内

つまり、脳血管疾患等リハビリテーション料を算定している患者全員が対象になるわけではありません。

たとえば脳腫瘍や多発性神経炎など、脳血管疾患等リハビリテーション料の対象となる疾患であっても、運動量増加機器加算の患者要件にそのまま該当するとは限りません

脳卒中なら全員対象ではない

脳卒中患者でも、機器を使用する対象となる上肢・下肢の運動機能障害が確認できなければ、この加算の対象として整理できません。

算定前は病名だけでなく、発症日と運動機能障害の所見を確認します。

発症60日以内とは?入院日ではなく発症日から数える

運動量増加機器加算の60日は、入院日やリハ開始日ではなく「発症日」から起算します。

特に急性期病院から回復期リハビリテーション病棟へ転院した患者では、「当院入院から60日」と考えないよう注意が必要です。

例|発症20日目に転院した場合

脳卒中発症から20日後に回復期病院へ転院した場合、転院日から新たに60日が始まるわけではありません。

運動量増加機器加算の患者要件では、あくまで脳卒中等の発症日から起算した60日以内かを確認します。

実務ポイント:転院患者では、紹介状・診療情報提供書などから発症年月日を確認し、計画書にも発症年月日を残しておくと算定期間を管理しやすくなります。

施設基準は?脳血管疾患等リハ(Ⅰ)または(Ⅱ)が前提

運動量増加機器加算は、脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)または(Ⅱ)の施設基準に適合し、届出を行っている保険医療機関で算定します。

施設基準の確認
脳血管疾患等リハ 運動量増加機器加算
(Ⅰ) 対象になり得る
(Ⅱ) 対象になり得る
(Ⅲ) 告示上の対象に含まれない

脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)〜(Ⅲ)の人員・設備・届出の違いは、
脳血管疾患等リハビリテーション料の施設基準
で整理しています。

対象機器は?「ロボットなら何でもよい」わけではない

運動量増加機器加算で使用する機器は、診療報酬上「運動量増加機器」として位置づけられた特定診療報酬算定医療機器であることを確認します。

厚生労働省の「特定診療報酬算定医療機器の定義等について」では、たとえば次のような機能を持つ機器が運動量増加機器として整理されています。

  • 上肢を装置に固定し、設定された適切な可動域で訓練を行うもの
  • ロボット脚などによって立脚・遊脚動作の補助等を行うもの
  • 電気刺激によって足を背屈させ、歩行を改善させるもの

重要:「ロボット」「歩行訓練機器」「電気刺激装置」という一般名称だけで対象と判断しません。実際に使用する製品について、厚生労働省の保険適用情報や特定診療報酬算定医療機器としての区分を確認します。

同じような訓練目的の機器でも、薬事承認上の一般的名称や保険適用区分が異なれば、運動量増加機器加算の対象とは限りません。

誰が計画を作る?医師・PT・OTが告示上の計画策定者

算定告示では、当該保険医療機関の医師、理学療法士または作業療法士が、運動量増加機器を用いたリハビリテーション計画を策定することとされています。

その計画に基づき対象機器を用いて、脳血管疾患等リハビリテーション料を算定すべきリハビリテーションを行います。

算定までの基本構造

対象患者を確認

医師・PT・OTが機器使用を含む計画を策定

対象機器を用いて脳血管疾患等リハを実施

上肢または下肢の区分で加算

言語聴覚士や看護師などがチーム医療へ関与すること自体とは別に、この加算の算定告示で計画策定者として明記されている職種は医師・PT・OTです。

計画書には何を書く?別紙様式21の必須確認項目

現行のリハビリテーション実施計画書(総合実施計画書)では、運動量増加機器加算を算定する場合の記載欄が設けられています。

別紙様式21では「運動量増加機器加算を算定する」にチェックした上で、少なくとも次の内容を確認します。

運動量増加機器加算で計画書に記載する項目
項目 確認する内容
適応疾患 脳卒中・脊髄障害等の対象疾患
適応箇所 上肢/下肢
発症年月日 60日以内を判断する起算日
運動障害に関する所見 機器使用が必要な障害像
機器・期間 使用する運動量増加機器の名称と実施期間の予定

2026年改定では上肢・下肢をそれぞれ算定できるため、どちらの運動機能障害に対して、どの機器を、何を目的として使うのかが追える計画にしておくことが特に重要です。

上肢と下肢は同月に両方算定できる?2026年からそれぞれ月1回

2026年度改定後は、上肢と下肢についてそれぞれ月1回150点という構造です。

ケース1|上肢だけ対象機器を使用

脳卒中後に上肢運動機能障害があり、上肢用の対象機器を使って計画的にリハビリテーションを実施した場合です。

整理:その他の要件を満たせば、上肢の運動機能障害に対する150点を月1回算定します。

ケース2|下肢だけ対象機器を使用

下肢運動機能障害に対して、対象となる歩行・下肢訓練機器を使用する場合です。

整理:その他の要件を満たせば、下肢に対する150点を月1回算定します。

ケース3|上下肢ともに対象機器を使用

上下肢の双方に運動機能障害があり、それぞれについて適切な対象機器を使用してリハビリテーションを行う場合です。

整理:上肢150点、下肢150点をそれぞれ月1回算定する構造となり、要件を満たせば合計300点となります。

ケース4|同じ部位で何度も機器を使用

1か月の中で上肢用機器を複数回使用した場合でも、加算そのものを毎回150点算定するわけではありません。

整理:上肢については月1回、下肢についても月1回が上限です。

150点は訓練1回ごと?疾患別リハの点数とは別に考える

運動量増加機器加算の150点は、機器を使った1単位ごとに加算する点数ではありません

対象機器を使って、脳血管疾患等リハビリテーション料を算定すべきリハビリテーションを行った場合に、H003-2 リハビリテーション総合計画評価料の所定点数へ加算します。

混同しない:「機器を20分使うたび150点」ではなく、運動量増加機器を用いた計画に基づくリハビリテーションを実施した場合の月単位の加算です。

レセプト摘要欄は?継続算定では医学的必要性を確認

運動量増加機器加算では、機器使用に有効性が認められ、継続すべき医学的必要性があるとして加算をさらに算定する場合、診療報酬明細書の摘要欄に医学的必要性を記載する取扱いがあります。

厚生労働省の記載要領では、該当する場合のコメントコードとして「医学的な必要性(運動量増加機器加算)」が設定されています。

記録の考え方:「継続して使っているから」ではなく、前回からの変化と、対象機器による訓練を引き続き行う医学的理由が分かるように評価・記録しておくと整理しやすくなります。

院内記録の例

右上肢麻痺に対し運動量増加機器を使用。前月と比較し随意運動範囲の改善を認めるが、反復運動には介助を要する。機器を用いた反復練習による運動量確保を継続する医学的必要性があるため、今月も計画に基づき実施する。

これは記録の考え方を示す例であり、実際の摘要記載や院内運用は患者の状態、使用機器、審査支払機関への請求方法等に合わせて確認してください。

算定前チェック|対象・60日・機器・計画の順で確認する

運動量増加機器加算は、機器名から確認するよりも患者要件から順番に確認すると漏れを減らせます。

算定前5ステップ

1. 脳卒中・脊髄障害の急性発症か
2. 上肢・下肢の運動機能障害があるか
3. 発症60日以内か
4. 使用機器が算定対象か
5. 計画書に適応・所見・機器名・予定期間があるか

その上で、脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)または(Ⅱ)の施設基準、実際のリハ実施、月内の算定回数を確認します。

運動量増加機器加算でよくある間違い|2026年は旧ルールに注意

2026年度改定後は、過去の記事や院内資料に残った「月1回150点」の旧表記に特に注意が必要です。

運動量増加機器加算で避けたい間違い
間違い 正しい確認
患者1人につき月1回しか算定できない 2026年は上肢・下肢それぞれ月1回
ロボットを使えば算定できる 対象となる機器か確認
脳血管疾患等リハ患者なら全員対象 脳卒中・脊髄障害、運動機能障害、60日以内を確認
転院後60日まで算定できる 発症日から60日以内
機器を使うたび150点 上肢・下肢それぞれ月1回
機器名だけ記録すればよい 適応疾患・部位・発症日・障害所見・実施期間も確認

運動量増加機器加算のFAQ

2026年度改定後に特に迷いやすい、上肢・下肢の同月算定、60日、対象機器、計画書について整理します。

Q. 運動量増加機器加算は何点ですか?

2026年度改定後は、上肢の運動機能障害に対して機器を用いる場合150点、下肢に用いる場合150点で、それぞれ月1回算定します。

Q. 上肢と下肢を同じ月に算定できますか?

2026年度改定後は上肢・下肢についてそれぞれ月1回という規定です。双方に対象となる運動機能障害があり、対象機器を使用するなど各要件を満たす場合は、上肢150点と下肢150点を算定する構造です。

Q. 発症から何日までが対象ですか?

対象患者は発症日から起算して60日以内です。転院日や機器使用開始日から60日ではない点に注意します。

Q. どのリハビリテーション料でも算定できますか?

算定告示では、脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)または(Ⅱ)の施設基準に適合している保険医療機関で、対象患者に対して機器を使用し、脳血管疾患等リハビリテーション料を算定すべきリハビリテーションを行うことが規定されています。

Q. ロボットスーツや電気刺激装置ならすべて対象ですか?

すべてが対象ではありません。実際に使用する製品が、厚生労働省の保険適用情報上、運動量増加機器として扱われる特定診療報酬算定医療機器かを確認します。

Q. 計画書には何を記載しますか?

現行の別紙様式21では、適応疾患、適応箇所(上肢・下肢)、発症年月日、運動障害に関する所見、使用する運動量増加機器の名称および実施期間の予定を記載する欄があります。

まとめ|2026年は「対象・60日・上肢下肢・機器・計画」で確認する

運動量増加機器加算は、脳卒中または脊髄障害の急性発症に伴う上肢・下肢の運動機能障害がある患者に、対象となる運動量増加機器を用いて脳血管疾患等リハビリテーションを行った場合の加算です。

対象患者は発症日から起算して60日以内で、脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)または(Ⅱ)の施設基準が前提です。

2026年度改定では、上肢150点・下肢150点をそれぞれ月1回算定できる構造へ変更されました。上下肢双方で要件を満たせば、月内で計300点となる場合があります。

算定では点数だけでなく、対象機器であること、医師・PT・OTによる計画策定、適応疾患・発症日・障害所見・使用機器・実施予定期間の記録までセットで確認することが重要です。

運動量増加機器加算の5ポイント

1. 脳卒中・脊髄障害の急性発症が対象
2. 発症日から60日以内
3. 上肢150点・下肢150点をそれぞれ月1回
4. 対象となる運動量増加機器か確認
5. 計画書に適応・障害所見・機器名・期間を残す

参考資料

本記事は、2026年度診療報酬改定後の厚生労働省の告示・通知・様式を優先して整理しています。算定可否を最終判断する際は、最新の告示・通知・疑義解釈および地方厚生局等の案内を確認してください。

  1. 厚生労働省. 診療報酬の算定方法 第7部リハビリテーション H003-2 リハビリテーション総合計画評価料.
    厚生労働省
  2. 厚生労働省. 特掲診療料の施設基準等. リハビリテーション総合計画評価料の注4に規定する患者.
    厚生労働省
  3. 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定 15. 医療技術の適切な評価.
    厚生労働省
  4. 厚生労働省. リハビリテーション実施計画書(総合実施計画書)別紙様式21.
    厚生労働省
  5. 厚生労働省. 特定診療報酬算定医療機器の定義等について.
    厚生労働省
  6. 厚生労働省. 診療報酬請求書等の記載要領等について.
    厚生労働省

著者情報

rehabilikun(理学療法士)です。rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度など、医療従事者の実務に役立つ情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。本記事では2026年度改定後の運動量増加機器加算について、対象患者、60日の起算、対象機器、上肢・下肢の算定回数、計画書・レセプトまで実務で確認しやすい形に整理しました。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

運営者プロフィール

編集・引用ポリシー

お問い合わせ