RSBIとは?計算式・105の見方と離脱評価

臨床手技・プロトコル
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RSBIとは?まず計算式と105の見方

RSBI(Rapid Shallow Breathing Index:浅速呼吸指数)は、呼吸数と一回換気量から「速く浅い呼吸」を数値化する指標です。人工呼吸器からの離脱を評価する際に古くから使用されており、f/VT ratioとも呼ばれます。

計算式はシンプルで、1分間の呼吸数を一回換気量(L)で割ります。RSBIが高いほど「速く浅い呼吸」、低いほど「ゆっくり深い呼吸」を示す方向になります。

RSBIの計算式

RSBI = 呼吸数(回/分)÷ 一回換気量(L)

例:RR 24回/分、一回換気量320mL
320mL = 0.32L
24 ÷ 0.32 = RSBI 75 回/分/L

RSBIでは「105未満」が有名ですが、105は「これを下回れば抜管できる」という絶対的な判定基準ではありません。1991年のYangとTobinによる原著でf/VT比が人工呼吸器離脱の予測指標として示されたことから広く使われるようになりました。

RSBIの結論を先に

<105:従来、離脱成功を支持する方向の目安
>105:速く浅い呼吸が強く、離脱失敗を疑う方向
現在:RSBI単独でSBT開始・離脱・抜管を決めない

特に現在は、RSBIだけを使って「人工呼吸器を外せるか」を判断するのではなく、原疾患の改善、酸素化、循環動態、呼吸パターン、SBT中の耐容性、気道防御や排痰能力などを合わせて評価することが重要です。

呼吸数・酸素化・呼吸パターンなど呼吸評価全体の整理は、
呼吸理学療法の評価項目|順番・使い分け
でも確認できます。

RSBIの計算方法|一回換気量はmLではなくLに変換する

RSBIの計算で最も間違えやすいのが、一回換気量の単位です。一回換気量はLで計算するため、人工呼吸器に300mL、400mLなどと表示されている場合は、0.30L、0.40Lへ変換します。

RSBI計算で使う一回換気量の換算
一回換気量 計算に使う値
200mL 0.20L
250mL 0.25L
300mL 0.30L
400mL 0.40L
500mL 0.50L

例1|RR 20回/分、一回換気量400mL

400mL = 0.40L
20 ÷ 0.40
RSBI 50 回/分/L

例2|RR 30回/分、一回換気量250mL

250mL = 0.25L
30 ÷ 0.25
RSBI 120 回/分/L

例2では呼吸数が多いだけでなく一回換気量も小さく、速く浅い呼吸になっているためRSBIが高値になります。

RSBI 105とは?従来の目安だが絶対的な離脱基準ではない

RSBIで最もよく知られている数字が105回/分/Lです。1991年のYangとTobinの研究では、f/VT比が人工呼吸器離脱の成否を予測する指標として優れた成績を示し、その後105というカットオフが広く使用されてきました。

RSBI 105の基本的な見方
RSBI 呼吸パターン 考え方
<105 比較的ゆっくり・深い方向 従来は離脱成功を支持する目安
>105 速く浅い呼吸が強い方向 離脱失敗リスクを疑う材料

ただし、近年の研究ではRSBI単独の予測性能は当初考えられていたほど高くありません。2022年のシステマティックレビュー・メタ解析では、RSBI<105による抜管成功予測は中等度の感度に対して特異度が低く、RSBIのみで判断することの限界が示されています。

重要:RSBI 80だから「抜管できる」、RSBI 110だから「抜管できない」と機械的に判断する指標ではありません。105は患者全員に共通する絶対的な合否ラインではなく、呼吸状態を整理する情報の1つです。

2024年AARCガイドライン|SBT開始判断にRSBIは必須ではない

RSBIの現在の位置づけを理解するうえで重要なのが、2024年に公表されたAARC(American Association for Respiratory Care)の成人SBTに関するClinical Practice Guidelineです。

このガイドラインでは、成人の人工呼吸器管理患者について、「SBTを開始できる状態かを判断するためにRSBIは必要ない」と条件付きで推奨しています。

背景には、RSBIをスクリーニング条件として必須にすると、本来SBTを試せる患者でSBT開始が遅れる可能性があることがあります。

現在の考え方

昔:RSBIを離脱可否の重要なカットオフとして使う
現在:RSBIだけでSBT開始を止めない
実務:原因改善・酸素化・循環・自発呼吸を確認してSBTへ進む

つまりRSBIが不要な指標になったわけではありません。数値を取得した場合は呼吸パターンを客観化する情報として利用できますが、SBTへ進めるかどうかをRSBIだけで決めないという位置づけです。

RSBI・SBT・抜管は別物|3段階に分けて考える

RSBIを正しく使うには、人工呼吸器離脱、SBT成功、抜管成功を同じ意味として扱わないことが重要です。

RSBIは自発呼吸時の呼吸パターンを数値化しますが、RSBIが良好でも気道を守れなければ抜管は成功しません。

RSBIの計算式と105の見方、SBT開始前・SBT中・抜管前の3段階で評価するポイントを整理した図
RSBI 105は目安の1つであり、SBT開始前・SBT中・抜管前では確認する内容が異なる
RSBI・SBT・抜管の役割の違い
段階 見るもの RSBIの位置づけ
SBT開始前 原因改善、酸素化、循環、自発呼吸 必須条件ではない
SBT中 呼吸パターン、ガス交換、循環、苦痛 呼吸パターンを数値化する材料
抜管前 気道防御、咳嗽、分泌物、意識など 単独では判断できない

SBTに耐えられた患者でも、喀痰を十分に排出できない、意識状態が悪く気道防御が不十分、上気道閉塞リスクが高いなどの場合は、抜管に別の問題が残ります。

逆にRSBIが境界的でも、数値だけでSBTを中止・延期するのではなく、患者全体の状態から判断する必要があります。

RSBIは測定条件で変わる|人工呼吸器の補助条件を確認する

RSBIを比較するときは、どのような呼吸補助条件で測定された値なのかを確認します。人工呼吸器からの補助が加われば一回換気量や呼吸数が変化し、結果としてRSBIも変わる可能性があります。

RSBIの原著は自発呼吸時のf/VT比として検討されました。その後の研究では、Tピース、CPAP、pressure supportなど測定条件によるRSBIの違いが検討されています。

RSBIを比較するときに確認

測定モード / Pressure Support / PEEP・CPAP / FiO₂ / 測定時刻 / 患者の安静状態

前回は十分なpressure supportをかけた状態、今回はTピースというように条件が異なれば、単純な前後比較はできません。「RSBI 70→100に悪化した」と判断する前に測定条件が同じか確認します。

RSBIが高いときは呼吸数と一回換気量に戻って考える

RSBIが高値だった場合、「RSBIが悪い」で終わらせず、呼吸数が増えたのか、一回換気量が減ったのか、その両方なのかに戻って評価します。

RSBI高値を分解して考える
変化 RSBIへの影響 合わせて確認すること
呼吸数↑ RSBI↑ 呼吸仕事量、疼痛、不安、発熱、代謝負荷など
一回換気量↓ RSBI↑ 呼吸筋疲労、肺・胸郭の負荷など
RR↑+VT↓ 大きくRSBI↑ SBT耐容性を含め総合再評価

数値を構成要素へ戻すことで、「なぜRSBIが上昇しているのか」を考えやすくなります。

RSBIだけでなく呼吸仕事量・酸素化・循環動態を合わせて見る

RSBIは呼吸数と一回換気量しか含まないため、酸素化、換気状態、循環動態、意識、気道防御能力などは直接評価していません

そのため、人工呼吸器離脱・SBT中には次のような所見を合わせて確認します。

  • 呼吸数と呼吸パターン
  • 呼吸補助筋活動・努力呼吸
  • SpO₂とFiO₂
  • 必要に応じてPaO₂・PaCO₂・pH
  • 心拍数・血圧・不整脈
  • 発汗・不穏・苦痛
  • 意識状態
  • 咳嗽力・喀痰排出

酸素化評価ではP/F比など別の指標が役立つ場面があります。PaO₂とFiO₂の見方は、
P/F比とは?計算方法・FiO₂・数値の見方
で整理しています。

COPDなど患者背景によって105の意味は変わる

RSBI 105をすべての患者に同じように適用できない理由の1つが、患者集団による予測性能の違いです。

たとえば、高CO₂血症を伴うCOPD患者を対象とした研究では、従来の105より低いRSBI 85以下が抜管成功を予測するうえで良好だったと報告されています。

ただし、これは「COPDなら必ず85を使う」という意味ではありません。特定の患者集団を対象とした研究結果であり、施設プロトコル、SBTの結果、呼吸状態などを含めて解釈します。

105の扱い方:覚えておく代表値としては有用ですが、「どの患者にも105」という使い方は避け、患者背景と測定条件を確認します。

ケースで練習|RSBIを計算してどう考える?

RSBIは計算式が簡単なので、代表的なケースを通して「105より上か下か」だけではない読み方を確認します。

ケース1|RR 22回/分・VT 400mL

400mL = 0.40L
22 ÷ 0.40
RSBI 55

整理:従来の105を十分下回ります。ただしRSBIが良好というだけで抜管成功を保証するものではありません。SBT耐容性や気道防御能力などを確認します。

ケース2|RR 30回/分・VT 250mL

250mL = 0.25L
30 ÷ 0.25
RSBI 120

整理:速く浅い呼吸が目立つ値です。RSBIだけで離脱失敗と断定せず、呼吸仕事量、酸素化、循環、苦痛などを再評価します。

ケース3|RR 26回/分・VT 300mL

300mL = 0.30L
26 ÷ 0.30
RSBI 約87

整理:105未満ですが、患者がCOPD、高CO₂血症、排痰困難など別のリスクを持つ場合は、数字だけで安全とは判断できません。

ケース4|RSBI 70だがSBT中に努力呼吸が増大

RSBIは105を下回っていますが、SBT中に呼吸補助筋活動が増え、発汗、頻脈、強い呼吸苦が出現したケースです。

整理:RSBIの数字より現在の臨床状態を優先します。RSBIが良好でもSBTを十分に耐えられないことはあり、単一指標による判断を避けます。

RSBIは経時変化も見る|同じ条件で比較する

RSBIを繰り返し測定する場合は、単一の値よりも呼吸パターンが改善・悪化している方向を見ることができます。

たとえば同じ測定条件で、

RSBI 130 → 105 → 82

と低下していれば、呼吸数や一回換気量の変化を確認しながら、浅速呼吸が改善している方向の材料として利用できます。

一方、

RSBI 65 → 85 → 115

と上昇していれば、呼吸数増加や一回換気量低下の原因を確認します。

ただし、測定時のpressure supportやPEEPなどが異なれば単純比較できません。RSBIの推移を見る場合は、測定条件も一緒に記録します。

RSBIの記録例|RR・VT・測定条件まで残す

RSBIを記録するときは「RSBI 80」のみではなく、呼吸数、一回換気量、測定時の人工呼吸器条件を一緒に残すと再評価しやすくなります。

記録例

SBT中。RR 24回/分、VT 320mL(0.32L)、RSBI=24÷0.32=75回/分/L。SpO₂ 95%、呼吸補助筋活動の著明な増加なし、血圧・心拍数に大きな変動なし。RSBI単独では判断せず、SBT中の呼吸・循環状態を継続評価する。

最低限記録したい項目

  • 呼吸数
  • 一回換気量
  • RSBI
  • 測定モード
  • Pressure Support・PEEP
  • FiO₂・SpO₂
  • 努力呼吸・苦痛などの所見
  • 前回値からの変化

RSBIでよくある間違い|105未満=抜管可能ではない

RSBIは計算しやすい一方、数値だけが独り歩きしやすい指標です。特に「105」という境界だけを覚えていると、現在のガイドラインとのずれや抜管判断の誤解につながります。

RSBIで避けたい間違い
よくある間違い 問題 修正
VT 300mLを300で計算 単位が誤る 0.30Lへ換算
RSBI<105=抜管可能 気道防御などを評価できない SBT・抜管条件を別に評価
RSBI>105=SBT禁止 SBT開始が不必要に遅れる可能性 全身状態からSBT適応を判断
測定条件を記録しない 前回値と比較できない PS・PEEP等も記録
105を全患者に適用 患者集団による違いを無視 背景・施設基準を確認

RSBIのFAQ

RSBIで特に迷いやすい、105の意味、一回換気量の単位、SBT・抜管との関係をまとめます。

Q. RSBIの計算式は?

RSBI=呼吸数(回/分)÷一回換気量(L)です。一回換気量が300mLの場合は0.30Lへ変換して計算します。

Q. RSBI 105未満なら抜管できますか?

105未満だけで抜管を決定することはできません。RSBIは呼吸数と一回換気量から浅速呼吸を評価する指標であり、意識、気道防御、咳嗽力、分泌物、上気道などの抜管条件は別に評価する必要があります。

Q. RSBI 105以上ならSBTをしてはいけませんか?

RSBIだけを理由にSBT開始を禁止する考え方ではありません。2024年AARCガイドラインでは、SBT readinessを判断するためにRSBIは必要ないと条件付きで推奨されています。原因改善、酸素化、循環、自発呼吸などから判断します。

Q. RSBIの一回換気量はmLで計算しますか?

Lで計算します。250mLなら0.25L、400mLなら0.40Lです。mLの数値をそのまま式へ入れないようにします。

Q. RSBIだけで人工呼吸器離脱を判断できますか?

できません。近年のメタ解析でもRSBI単独の予測性能には限界があります。SBT中の呼吸パターン、ガス交換、循環、患者の苦痛、さらに抜管時には気道防御や排痰能力などを合わせて判断します。

まとめ|RSBIは105だけでなくSBTと臨床所見を合わせて見る

RSBIは、呼吸数を一回換気量(L)で割り、速く浅い呼吸を数値化する指標です。計算時には一回換気量をmLからLへ変換することが重要です。

従来はRSBI 105未満が人工呼吸器離脱成功を支持する目安として広く使用されてきました。しかし、現在は105を絶対的な合否ラインとして使うのではなく、RSBI単独の予測性能には限界があることを踏まえて評価します。

2024年AARCガイドラインでは、SBT開始可否を判断するためにRSBIは必須ではないとされています。RSBIは呼吸パターンを整理する情報の1つとして使い、SBT中の耐容性、酸素化、循環動態、意識、気道防御、排痰能力などを組み合わせることが重要です。

RSBIを使う3つのポイント

1. RR ÷ VT(L)で正しく計算する
2. 105を絶対的な離脱・抜管基準にしない
3. SBT・呼吸状態・気道防御まで合わせて判断する

参考文献

RSBIの原著、予測精度、測定条件、現在のSBTにおける位置づけについて、原著論文、システマティックレビュー、Clinical Practice Guidelineを中心に参照しました。

  1. Yang KL, Tobin MJ. A prospective study of indexes predicting the outcome of trials of weaning from mechanical ventilation. N Engl J Med. 1991;324(21):1445-1450. doi:10.1056/NEJM199105233242101.
    PubMed
  2. Trivedi V, Chaudhuri D, Jinah R, et al. The usefulness of the rapid shallow breathing index in predicting successful extubation: a systematic review and meta-analysis. Chest. 2022;161(1):97-111.
    PubMed
  3. Roberts KJ, Goodfellow LT, Battey-Muse CM, et al. AARC Clinical Practice Guideline: Spontaneous Breathing Trials for Liberation From Adult Mechanical Ventilation. Respir Care. 2024. doi:10.4187/respcare.11735.
    AARC
  4. Patel KN, Ganatra KD, Bates JHT, Young MP. Variation in the rapid shallow breathing index associated with common measurement techniques and conditions. Respir Care. 2009;54(11):1462-1466.
    PubMed
  5. Goharani R, Vahedian-Azimi A, Galal IH, et al. A rapid shallow breathing index threshold of 85 best predicts extubation success in chronic obstructive pulmonary disease patients with hypercapnic respiratory failure. J Thorac Dis. 2019;11(4):1223-1232.
    PubMed
  6. Jia D, Wang H, Wang Q, Li W, Lan X. Rapid shallow breathing index predicting extubation outcomes: a systematic review and meta-analysis. Intensive Crit Care Nurs. 2024;80:103573.
    PubMed

著者情報

rehabilikun(理学療法士)です。rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度など、医療従事者の実務に役立つ情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。本記事ではRSBIを「105未満なら抜管可能」という単純な基準として扱わず、現在のガイドライン、SBT、測定条件、気道防御を含めて実務で使える形に整理しました。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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