高次脳機能障害ドリルの使い分けは「症状別×場面別×目的別」で決めるのが最短です
高次脳機能障害のドリル運用は、課題を増やすほど成果が上がるわけではありません。まず「どの症状を狙うか(症状別)」を決め、次に「どの場面で使うか(場面別)」をそろえ、最後に「何のために実施するか(目的別)」を固定すると、介入の再現性が上がります。これが、現場で迷いを減らす最短ルートです。
このハブは、OT が臨床で使いやすい順に、総論→症状別→比較記事へ進める設計です。必要な記事だけを選んで読めるように、入口を「症状」「場面」「目的」の 3 方向で整理しました。まずは本ページの早見表で現在地を確認し、次に総論記事で共通フローをそろえてください。
このハブでわかること
本ハブでは、高次脳機能障害に対する OT ドリルを「評価で終わらせず、介入と記録につなげる」視点で整理します。具体的には、注意障害・記憶障害・遂行機能障害・半側空間無視・失行・失認・失語併存場面を対象に、どの症状で何を優先するかを明確化します。
さらに、各論記事を単独で読むだけでなく、比較記事で使い分けを確認し、総論記事で運用を統一できるように導線を設計しています。全体の進め方は 高次脳機能障害×OTドリル総論 で先に確認しておくと、読み進める速度が上がります。
最短で迷わない読み方(最短導線)
読み方に迷ったときは、まず自分の課題を「症状の見立て」「課題選定」「記録運用」のどこで詰まっているかに分けてください。詰まりどころを先に特定すると、必要な記事だけを最短で拾えるため、学習効率が上がります。
目安として、初学者は「総論→注意障害→半側空間無視→比較」の順、既に運用している方は「比較→各論→運用テンプレ」の逆順が使いやすいです。以下のリンク群を起点に、今必要なところから進めてください。
クラスター全体マップ(症状別×比較)
症状別記事は、現場で出会う頻度と運用のしやすさを基準に並べています。まずは注意障害・半側空間無視を押さえ、次に記憶・遂行機能へ広げると、病棟・外来での適用範囲が広くなります。失行・失認・失語併存は、症例対応力を上げるフェーズで追加すると効率的です。
比較記事は、似た症状で課題選定がぶれやすい場面に絞って配置しています。各論で手順を確認したあとに比較へ戻ると、誤選択を減らせます。必要に応じて行き来しながら使ってください。
| 層 | 記事名 | 主な目的 | URL |
|---|---|---|---|
| ②総論 | 高次脳機能障害×OTドリル総論 | 共通フローをそろえる | /higher-brain-function-drills-ot-overview/ |
| ②総論 | 運用テンプレ(評価→選定→記録) | 記録の再現性を上げる | /higher-brain-function-drills-ot-operation-template/ |
| ③各論 | 注意障害ドリル | 注意機能の改善と観察 | /attention-disorder-drill-ot/ |
| ③各論 | 記憶障害ドリル | 記銘・保持・想起の整理 | /memory-disorder-drill-ot/ |
| ③各論 | 遂行機能障害ドリル | 計画・実行・修正の支援 | /executive-function-drill-ot/ |
| ③各論 | 半側空間無視ドリル | 視覚探索とADL接続 | /unilateral-spatial-neglect-drill-ot/ |
| ③各論 | 失行ドリル | 動作再学習の段階化 | /apraxia-drill-ot/ |
| ③各論 | 失認ドリル | 認知のずれと環境調整 | /agnosia-drill-ot/ |
| ③各論 | 失語併存向け非言語ドリル | 非言語提示で介入継続 | /aphasia-nonverbal-drill-ot/ |
| ④比較 | 症状別ドリル比較 | 使い分け判断を明確化 | /higher-brain-function-drills-selection-comparison-ot/ |
| ④比較 | 注意障害 vs 遂行機能障害 | 混同しやすい場面の整理 | /attention-vs-executive-drill-comparison-ot/ |
| ④比較 | 記憶障害 vs 遂行機能障害 | 介入優先順位の明確化 | /memory-vs-executive-drill-comparison-ot/ |
症状別×場面別×目的別の選び方
同じ「できない」でも、背景が注意障害なのか遂行機能障害なのかで選ぶ課題は変わります。先に症状仮説を立て、次に病棟・外来・訪問など場面を固定し、最後に「評価補助」「初回介入」「ホーム課題」「家族説明」など目的を 1 つに絞ると、課題選定がぶれません。
迷ったときは、比較記事で見立ての妥当性を確認してから各論へ戻ると安全です。特に混同しやすい組み合わせは 症状別ドリル比較記事 にまとめています。まずは 1 症状 1 目的で小さく回し、再評価で広げる運用をおすすめします。
現場の詰まりどころ
高次脳機能障害ドリル運用で詰まりやすいのは、「課題を実施した記録はあるのに、次の介入判断につながらない」状態です。原因の多くは、観察項目と言語化が統一されていないことにあります。実施有無だけでなく、エラーの種類・手がかり量・疲労の出方を最小セットで記録すると、再評価時の比較が容易になります。
もう一つは、難易度調整が“感覚”で行われる点です。易→中→難の基準を先に決め、段階を上げ下げした理由を短文で残すと、チーム内共有が安定します。運用の型は 記録テンプレ記事 で具体化しています。
よくある失敗
| 失敗 | なぜ起こるか | 対策 | 記録ポイント |
|---|---|---|---|
| 症状仮説なしで課題開始 | 「とりあえずできる課題」を選ぶため | 症状仮説を 1 つ書いてから開始 | 仮説名、狙い、確認指標 |
| 難易度を急に上げる | 成功率の基準が未設定 | 段階ごとの合格基準を固定 | 成功率、手がかり量、所要時間 |
| 疲労配慮が不足 | 負荷管理が主観的になりやすい | 実施時間と休憩条件を事前設定 | 集中持続時間、離席・中断回数 |
| 家族への説明が曖昧 | 専門用語中心で共有するため | 生活場面の例に置き換えて説明 | 家族へ伝えた注意点と同意 |
中止基準と再評価タイミング
ドリル運用は、継続すること自体が目的ではありません。疲労や混乱が強くなり、課題の意図が保持できない状態では、短時間で切り上げる判断が必要です。中止時は「中止理由」と「次回の調整案」をセットで残すと、介入の質が落ちにくくなります。
再評価は、症状ごとの指標を固定して同じ条件で比較することが重要です。例えば、手がかり量・エラーの質・所要時間を同条件で追うと、改善の方向性が見えます。具体的な記録フォーマットは 運用テンプレ記事 を参照してください。
よくある質問
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. まずどの症状の記事から読むべきですか?
初回は、出会う頻度が高く運用しやすい「注意障害」か「半側空間無視」からの着手がおすすめです。総論で共通フローを確認したあと、各論で手順を具体化すると、記録の再現性が上がります。
Q2. 1 回の介入で複数のドリルを入れてもいいですか?
可能ですが、初期は 1 症状 1 目的で設計する方が評価しやすいです。複数ドリルを併用する場合は、各ドリルの狙いと観察項目を分けて記録し、どの介入が変化に寄与したかを追える形にしてください。
Q3. 失語を併存する場合のコツはありますか?
言語指示を減らし、視覚提示・ジェスチャー・実演を優先します。課題説明は短文化し、理解確認は「復唱」ではなく「実行」で確認すると、実施の安定性が上がります。詳細は失語併存向け記事で整理します。
Q4. 比較記事はいつ読むのが効果的ですか?
各論を 1〜2 本読んだあとに比較記事を読むと、混同しやすい症状の見分け方が整理されます。判断に迷ったら比較へ戻り、再度各論へ進む往復運用が効率的です。
次の一手
次に進むなら、まず総論で共通フローをそろえ、その後に症状別記事へ展開してください。比較記事は、見立てに迷いが出たタイミングで挟むのが効果的です。下の 3 本を順に読むと、初期運用が安定します。
環境要因まで含めて運用を見直したい場合は、無料チェックシートも活用できます。環境の詰まりも点検する(無料チェックシート)
参考文献
本ハブはクラスター全体の導線整理を目的とした総覧ページです。各症状の評価法・介入手順・エビデンスは、対応する個別記事内で一次情報(学会・査読論文・公式ガイドライン)を提示します。
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


