JCS の評価方法|刺激条件で迷わない最短手順と記録のコツ
JCS ( Japan Coma Scale )は、日本の臨床で広く用いられる意識レベル評価です。ポイントは「刺激の段階(呼名 → 大声 → 刺激)を固定して」、その反応で 0〜 300 を選ぶこと。本記事では、現場で迷いやすい刺激条件の標準化と、カルテに残しやすい記録の型を最短でまとめます。
なお、意識評価は単独で完結させず、呼吸・循環・瞳孔・左右差などもセットで観察します。全体像( JCS / GCS / ECS の使い分け)は意識レベル評価の総論で整理しています。
JCS とは何を見ている?| 0・ 1 桁・ 2 桁・ 3 桁の考え方
JCS は、患者さんの覚醒(目を開ける・反応する)を中心に、刺激に対する反応で段階化します。 0 は「意識清明」、 1 桁は「刺激なしで覚醒しているが、見当識などにズレがある」、 2 桁は「刺激で覚醒するが、刺激をやめると戻りやすい」、 3 桁は「強い刺激でも反応が乏しい」と理解すると整理しやすいです。 [oai_citation:0‡PMC](https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6836363/?utm_source=chatgpt.com)
臨床では“点数を当てにいく”より、刺激条件を揃えて経時変化を追うことが重要です。評価者が変わっても同じ条件で再評価できるよう、刺激の種類・部位・時間を固定して記録します。 [oai_citation:1‡PMC](https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6836363/?utm_source=chatgpt.com)
評価前にそろえる|環境と前提( 30 秒チェック)
まずは安全側に倒して、評価前の前提をそろえます。急変対応では「意識が悪い」に見えても、低酸素や循環不全、薬剤、低血糖などが混ざり得ます。評価の“正確さ”よりも、見逃しを減らす順番が優先です。
チェック(例):呼吸状態(努力呼吸・ SpO₂ )/循環(脈・血圧)/体温/疼痛・術後/鎮静・鎮痛薬/聴力・失語・麻痺(反応の出方に影響)
手順|呼名 → 大声 → 刺激(段階を固定する)
手順は「段階」を固定し、各段階を長引かせないのがコツです。反応の有無だけでなく、反応が持続するか(刺激をやめても保てるか)を見ます。
| 段階 | やること | 見るポイント | 記録に残す要素 |
|---|---|---|---|
| 1 )呼名 | 普段の声量で氏名呼称( 1 回) | 開眼/注視/簡単な指示に従う | 声量・回数、反応の持続 |
| 2 )大声 | 大きめの声で再呼名( 1 回) | 反応が “増える” か | 段階が上がったこと |
| 3 )刺激 | 施設 SOP の刺激を短時間で実施 | 開眼/逃避/局在/異常反応 | 刺激の種類・部位・時間 |
| 4 )再評価 | 同条件で反復(体位もそろえる) | 改善/悪化の方向性 | 時刻、同条件であること |
スコアの早見| 0 〜 300 を “反応の質” で選ぶ
ここでは “丸暗記” ではなく、臨床で迷いにくいように反応のイメージで整理します。表は施設の運用と矛盾しない範囲で、共通化のための目安として使ってください。 [oai_citation:2‡PMC](https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6836363/?utm_source=chatgpt.com)
| 区分 | コード | 反応の目安 | 判断のコツ |
|---|---|---|---|
| 意識清明 | 0 | 覚醒し、会話・指示が通る | “いつも通り” か( baseline )も確認 |
| 刺激なしで覚醒( 1 桁) | 1 / 2 / 3 | 呼名なしで開眼しているが、見当識や反応にズレ | 会話のつながり、注意の保ち方で差が出る |
| 刺激で覚醒( 2 桁) | 10 / 20 / 30 | 呼名・大声・刺激で覚醒するが、刺激をやめると戻りやすい | “刺激を止めたあと” を必ず観察する |
| 強い刺激でも反応が乏しい( 3 桁) | 100 / 200 / 300 | 強い刺激でも開眼や反応が乏しい | 痛み刺激の条件を固定し、左右差もセットで記録 |
記録の型|カルテに残す 3 点セット(コピペ用)
JCS は、点数だけを書くと再評価がぶれます。最低限、①スコア ②刺激条件 ③反応の持続を一緒に残すと、評価者が変わっても比較できます。
| 場面 | 記録例(短文) | 比較のポイント |
|---|---|---|
| 呼名で反応 | JCS 1 。呼名 1 回で開眼、指示は一部遅延。 | 声量・回数、遅延の程度 |
| 刺激で反応 | JCS 20 。大声で開眼するが、刺激を止めると数秒で閉眼。 | “戻りやすさ” を時系列で |
| 重度域 | JCS 200 。同部位・同刺激で開眼なし、逃避反応は乏しい。瞳孔・左右差も併記。 | 刺激条件と左右差の変化 |
よくある失敗|評価者間差を減らす(OK/NG)
| NG(起きがち) | なぜ問題? | OK(修正) |
|---|---|---|
| 刺激の部位・強さ・時間が毎回ちがう | 改善なのか条件差なのか分からない | 施設 SOP の刺激を固定し、短時間で段階化して記録 |
| 呼名のあとすぐ刺激に進む | 1 桁と 2 桁の判定がぶれる | 呼名 → 大声までを “毎回” 実施してから刺激へ |
| 点数だけ書く | 再評価で比較できない | スコア+刺激条件+反応の持続(戻りやすさ)をセットで残す |
よくある質問(FAQ)
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JCS の最大のコツは何ですか?
結論は刺激条件の標準化です。呼名 → 大声 → 刺激の段階を固定し、刺激の種類・部位・時間を記録すると、評価者が変わっても経時比較が安定します。 [oai_citation:3‡PMC](https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6836363/?utm_source=chatgpt.com)
1 桁と 2 桁が迷います。どう切り分けますか?
“刺激が必要か” と “刺激をやめたあとに保てるか” で整理します。刺激なしで覚醒している(ただし反応にズレがある)なら 1 桁、刺激で覚醒するが戻りやすいなら 2 桁、という軸で同条件で観察します。 [oai_citation:4‡PMC](https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6836363/?utm_source=chatgpt.com)
鎮静やせん妄が疑わしいとき、 JCS だけで良いですか?
JCS は入口として有用ですが、鎮静(深さ)やせん妄(注意・認知の揺れ)が混ざると解釈がぶれます。必要に応じて鎮静やせん妄の枠組みを併記し、 “意識低下に見える原因” を分けて共有すると判断が揃いやすくなります。 [oai_citation:5‡PMC](https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10483104/?utm_source=chatgpt.com)
参考文献
- Yumoto T, et al. Association of Japan Coma Scale score on hospital arrival with in-hospital mortality among trauma patients. Acute Medicine & Surgery. 2019. PMCID: PMC6836363 [oai_citation:6‡PMC](https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6836363/?utm_source=chatgpt.com)
- Shigematsu K, et al. The eye response test alone is sufficient to predict stroke outcome. PLoS ONE. 2013. PMCID: PMC3641437 [oai_citation:7‡PMC](https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3641437/?utm_source=chatgpt.com)
- Enomoto Y, et al. Validation of the Japan Coma Scale for the prediction of mortality. World Journal of Practical Surgery. 2022. Article [oai_citation:8‡BMJ WJP](https://wjps.bmj.com/content/5/2/e000350?utm_source=chatgpt.com)
- Nakajima M, et al. Development and Validation of a Novel Method for Converting the Japan Coma Scale to Glasgow Coma Scale. J Epidemiol. 2023. PubMed [oai_citation:9‡PubMed](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35851565/?utm_source=chatgpt.com)
おわりに
JCS は「安全の確保 → 段階刺激 → JCS 記録 → 同条件で再評価」というリズムを固定すると、現場での迷いが減ります。まずは刺激条件をそろえ、点数だけでなく “戻りやすさ” まで記録して、経時変化を追える形に整えていきましょう。
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著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

