IDDSI フローテスト完全ガイド|10 秒判定と記録のコツ

栄養・嚥下
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IDDSI フローテストは「条件固定」ができると現場が安定します

IDDSI フローテストは、とろみを「感覚」ではなく、同じ道具・同じ条件・同じ手順で評価するための標準化方法です。飲料の流れ方を共通言語にできるため、病棟・施設・在宅をまたいでも申し送りがズレにくくなります。

特に重要なのは、10 ml シリンジ+10 秒+条件固定です。温度・混和方法・測定タイミングまで揃えることで、「昨日と違う」「人によって違う」を減らせます。この記事では、IDDSI フローテストのやり方、レベル判定、よくある失敗、JDD2021 との使い分け、記録方法まで実務ベースで整理します。

評価・申し送りの「ズレ」を減らすには、記録の型を揃えることが重要です

嚥下評価・再評価・申し送りで迷いやすいポイントを、現場向けに整理しています。

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IDDSI フローテストとは?

IDDSI(International Dysphagia Diet Standardisation Initiative)は、嚥下調整食やとろみ飲料を世界共通で整理するための枠組みです。飲料はレベル 0〜4、食形態はレベル 3〜7 に分類されます。

その中でフローテストは、飲料の「流れやすさ」を確認する簡便な方法です。10 ml シリンジに試料を入れ、10 秒後にどれだけ残ったかを見てレベル判定します。視覚的・数値的に共有できるため、経験差がある現場でも再現性を高めやすいのが特徴です。(iddsi.org)

フローテストで「何が決まるか」

フローテストの目的は、「とろみの濃さ」を確認することだけではありません。実際には、安全に飲める条件をチームで共有することが重要です。

IDDSI フローテストで整理できること
整理できること 現場での意味 具体例
濃度の共有 人によるブレを減らす 「レベル 2」で統一
再評価 昨日との比較がしやすい 残留 5 ml → 3 ml
申し送り 他職種へ伝わりやすい 温度・一口量も共有
安全管理 誤嚥リスクを整理しやすい 疲労時はレベル変更

準備する道具(最小セット)

病棟での運用なら、まずは以下の 3 点で十分です。

  • 10 ml シリンジ
  • タイマー
  • 記録用紙

特に重要なのは、シリンジを統一することです。シリンジの形状差によって結果が変わる可能性があるため、「同じ種類を継続使用する」運用がおすすめです。(UCL Discovery)

IDDSI フローテストの手順

IDDSI フローテストの手順とレベル判定を整理した図版
図:IDDSI フローテストの基本手順と判定の考え方

フローテストはシンプルですが、条件固定が非常に重要です。

手順 1:条件を固定する

  • 同じ製品を使う
  • 温度を揃える
  • 混ぜ方を統一する
  • 測定までの時間を固定する

ここが揃っていないと、患者変化なのか条件差なのか分からなくなります。

手順 2:10 ml 入れて 10 秒流す

  1. シリンジに 10 ml 入れる
  2. 垂直保持する
  3. 指を離して 10 秒測定する
  4. 残留量を確認する

手順 3:残留量でレベル判定する

IDDSI 飲料レベルの目安(10 秒後残留量)
レベル 残留量 特徴
レベル 0 < 1 ml 水に近い
レベル 1 1〜<4 ml わずかなとろみ
レベル 2 4〜<8 ml 中等度のとろみ
レベル 3 8〜<10 ml かなり濃い

レベル 4 はシリンジからほぼ流れないため、フローテストだけで無理に評価しません。(doi:10.1111/jtxs.12823)

レベル 4 をどう考えるか

レベル 4 は「極めて濃い」領域であり、シリンジから流れないことが前提です。ここを数値だけで無理に管理すると、泡・温度・個体差によって誤差が大きくなります。

そのため、IDDSI ではフォークドリップテストなど、別の確認方法を組み合わせる考え方が示されています。(ACPG)

よくある失敗と対策

現場では、「患者変化」より「条件差」でズレることが非常に多いです。

フローテストでよくある失敗と対策
失敗 原因 対策
昨日と違う 温度差 室温を統一
人で差が出る 混和方法の差 回数固定
濃すぎる 経過時間 測定時刻固定
泡が多い 攪拌しすぎ 泡を落とす

記録用紙(PDF)

IDDSI フローテストは、「結果」だけでなく、温度・混和・時間条件を残すと再現性が高まります。

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JDD2021 とどう併記する?

日本では JDD2021 を使っている施設も多く、IDDSI だけでは伝わりにくい場合があります。

そのため、実務では「IDDSI+JDD2021」併記がおすすめです。全体像は 栄養・嚥下ハブに整理しています。

  • IDDSI レベル 2
  • JDD2021 とろみ段階 ○
  • 室温・調整後 2 分

このようにセットで残すと、他職種にも伝わりやすくなります。

現場の詰まりどころ

フローテストが定着しない原因は、「忙しいから」だけではありません。実際には、測定条件・記録方法・申し送り方法が統一されていないことが多いです。

「評価はしているのに、現場で統一できない」と感じることは少なくありません

教育体制・記録文化・相談しやすさなど、環境要因で困るケースも多いため、学び方や整理方法も含めて確認しておくと運用が安定しやすくなります。

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よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. 毎回フローテストをやる必要がありますか?

毎回フルで測定するより、「新規導入」「製品変更」「担当変更」のタイミングで確認すると運用しやすくなります。

Q2. レベル境界は厳密ですか?

境界付近では誤差が出るため、同条件での再現性を優先します。

Q3. レベル 4 はどう評価しますか?

フローテストだけで無理に判定せず、フォークドリップなど別評価を併用します。

Q4. 一番多い失敗は何ですか?

温度・混和・経過時間のズレです。結果だけでなく条件も記録することが重要です。

Q5. JDD2021 とどちらを優先しますか?

施設運用に合わせつつ、IDDSI を併記すると共有しやすくなります。

次の一手


参考文献

  1. Steele CM, et al. Validation of the IDDSI funnel for liquid flow testing. Journal of Texture Studies. 2024. doi: 10.1111/jtxs.12823
  2. Hanson B. Letter re: IDDSI Flow Test syringe specifications. 2019. UCL Discovery
  3. International Dysphagia Diet Standardisation Initiative (IDDSI). Framework. iddsi.org
  4. 日本摂食嚥下リハビリテーション学会. 嚥下調整食分類 2021. 学会サイト

著者情報

rehabilikun(理学療法士)のアイコン

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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