低栄養の原因を臨床で見抜く|飢餓・炎症・悪液質を〈早見表〉で判断

栄養・嚥下
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低栄養の原因は 3 類型で見抜く:飢餓型/侵襲・炎症型/悪液質

低栄養は「病因(etiology)」で分けると実装が速くなります。本稿は、飢餓型(摂取不足)侵襲/炎症型悪液質の 3 類型で整理し、現場で即使える〈早見表+最短手順〉に特化しました。長文の総論ではなく、判定のキモと初期対応の型を示すことで、症例検討や多職種カンファで迷いを減らします。

診断の確定や重症度評価は GLIM へ委譲し、本ページは「病因の見極め」と「初期対応」に集中します。詳細なカットオフや記録は配布物(A4)をご利用ください。栄養・嚥下ハブも参照。

新人〜若手PT向け|評価導入の流れ(チェックリスト)を見る

まずは早見表:原因別の特徴・判定のキモ・初期対応

配布物(A4・ZIP)はページ末尾「配布物」からワンタップでダウンロードできます。

低栄養の原因マトリクス(成人・2025年版)
類型 臨床の手がかり 判定のキモ 初期対応の型 関連リンク
飢餓型(摂取不足) 食思不振/嚥下負荷/社会要因で摂取量低下。炎症所見は乏しい。 体重減少・筋量低下の把握。炎症マーカーは低〜軽度。 食形態調整・強化・回数分割・補助栄養+嚥下/口腔介入。 栄養総論
侵襲/炎症型 感染・手術・褥瘡などで代謝亢進・蛋白分解↑、短期に機能低下。 炎症活動性(CRP・創)を追跡。単純な増量だけでは不足。 炎症源コントロール+早期から十分なエネルギーと高蛋白設計。 MDRPI対策
悪液質 慢性疾患(心不全・COPD・癌・CKD等)で炎症持続・食欲低下。 「痩せ」だけでなく筋量/機能低下の併存を確認。栄養単独は限定的。 基礎疾患管理+栄養と運動療法の併走(蛋白/EAA最適化)。 運動原則

GLIMに乗せる最短手順(運用のコア)

①リスク同定 → ②表現型(体重減少・低 BMI・筋量低下) → ③病因(摂取不足 or 炎症)の 3 ステップで確定します。カットオフは配布の GLIM シートを参照。導入全体像は PTキャリアガイド:導入フロー も参考にしてください。

よくあるシナリオと対応の型

術後で代謝亢進、短期にADLが落ちる

疼痛・感染・創の活動性を評価。蛋白 1.3–1.5 g/kg 目安で高蛋白を早期導入し、離床・疼痛コントロール・リハを同時進行。褥瘡/医療機器圧迫があれば IAD/褥瘡の鑑別 とスキンケアも併用。

嚥下ハイリスクで摂取不足が続く

形態調整・強化・回数分割・補助食品。摂取量(%)と体重・機能の二軸で定点観測。必要に応じて経腸栄養の評価導入。

慢性心不全で悪液質を疑う

食欲低下と炎症持続の背景を評価。栄養+有酸素/レジスタンスを併用し、EAA/蛋白最適化。単独栄養での改善は限定的。

配布物(ダウンロード)

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

アルブミンは栄養状態の指標になりますか?

炎症の影響を強く受けるため、単独では栄養評価指標になりません。GLIM の表現型+病因の組合せで総合判断してください。

悪液質とサルコペニアの違いは?

悪液質は疾患関連炎症を背景に体組成変化と機能低下が進む病態、サルコペニアは筋量/筋力低下が中心の症候群です。併存も多く、介入は栄養+運動の併用が基本です。

回復期での実装のコツは?

食事摂取量(%)の定点観測、プロテインターゲット設定、週次で体重/機能を追跡。病因に応じて食形態・補助食品・リハ負荷を調整します。

参考

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