- 動作分析のやり方|「事実→仮説→次の一手」を 1 ページで型化(歩行以外も共通)
- 現場の詰まりどころ(先に最短導線)
- 動作分析とは:見るのは「事実→仮説→次の一手」だけ
- まず条件を固定:椅子高さ・足底・支持物・速度
- 30 秒観察ルーチン:側面 20 秒→正面(または後方) 10 秒
- フェーズ分けの共通テンプレ:準備→移行→出力→再安定
- よくある失敗( NG パターン ):所見が増えるほど共有されない
- 回避の手順( 1 手だけ変える):条件→相→出力の順で潰す
- 記録テンプレ:事実→仮説→修正結果を 1 行で
- 動作別(子記事)への索引:この型を各論へ落とす
- よくある質問( FAQ )
- 次の一手(回遊の最短導線)
- 参考文献
- 著者情報
動作分析のやり方|「事実→仮説→次の一手」を 1 ページで型化(歩行以外も共通)
動作分析は、上手いフォーム探しではなく、①事実(見えたこと)→②仮説(なぜ)→③次の一手( 1 つだけ試す)を短時間で回す技術です。新人が詰まりやすいのは「見たい項目が多すぎて所見が散らばる」こと。本ページでは、30 秒観察ルーチンとフェーズ分け、よくある失敗→回避、SOAP に残る記録テンプレを “共通の型” として固定します。
この型を親(総論)として置き、立ち上がり・着座・階段・ターンなどの動作別記事(子)へ回遊すると、記事ごとの役割が分かれ、カニバリも起きにくくなります。
同ジャンルで回遊して、観察と記録のブレを消す 動作分析は、基本動作(離床・起居・移乗・歩行)の全体像に戻ると、条件統一と次アクションが決めやすくなります。
現場の詰まりどころ(先に最短導線)
迷いが出やすいところだけ先に飛べるようにしておきます(読ませるゾーンなのでボタンは置きません)。
動作分析とは:見るのは「事実→仮説→次の一手」だけ
動作分析で最初に固定したいのは、観察項目の羅列ではなく、結論が出る順番です。おすすめは、( 1 )条件を決める →( 2 )事実を 3 点だけ拾う →( 3 )仮説は 1 つ →( 4 )条件変更も 1 つの最小セット。所見を増やすより、変数を 1 つ変えた反応を残す方が、再評価に強くなります。
まず条件を固定:椅子高さ・足底・支持物・速度
「筋力がない」で止まる前に、条件を揃えるだけで見え方が変わる部分を先に潰します。特に、椅子の高さ、足底が滑らないか、支持物(手すり)、速度(速い/ゆっくり)は、動作の質に直結します。
- 椅子:座面が低いほど移行が難しくなり、代償が増えます(同じ条件で比較)
- 足底:踵が浮く/滑ると、原因が「出力」ではなく「条件」になります
- 支持物:手すりを “軽く触れる” だけで安定が変わるかを確認できます
- 速度:まずは「いつも通り」。次に「ゆっくり」を 1 回だけ
30 秒観察ルーチン:側面 20 秒→正面(または後方) 10 秒
動作別の違いがあっても、観察の入口は共通化できます。おすすめは、側面でフェーズ(相)を決める→正面/後方で左右差を拾うの順です。
| 時間 | 視点 | 見る項目(最小セット) | その場での確認 |
|---|---|---|---|
| 側面 0〜20 秒 | 矢状面 | 準備→移行→出力→再安定(フェーズ) | 速度を落とす/支持物を “軽く触れる” |
| 正面/後方 20〜30 秒 | 前額面 | 左右差、膝・骨盤の逃げ、支持基底面 | 足幅を指 2 本分だけ変える |
※表は横スクロールで読めます(スマホ前提)。
フェーズ分けの共通テンプレ:準備→移行→出力→再安定
動作別に名前は変わっても、相分けの骨格は似ています。まずは“どの相で止まるか”を決めて、修正の狙いを 1 つに絞ります。
| フェーズ | 目的(何ができれば OK か) | よく起きるズレ | まず 1 つだけ試す |
|---|---|---|---|
| ① 準備 | 条件が整い、出力が出せる | 足が遠い、姿勢が作れない、恐怖 | 足位置/座面/支持物を 1 つ調整 |
| ② 移行 | 重心が移り、次相に入る | 反動が大きい、左右差が強い | 速度を落とす cue を 1 回 |
| ③ 出力 | 推進/伸展/制動が成立する | 膝だけ/股だけに偏る、疼痛回避 | 支持物を “軽く触れる” で変化を見る |
| ④ 再安定 | 止まれる(次動作へ移れる) | ふらつき、ステップで逃げる | 「止まる」課題だけに分ける |
よくある失敗( NG パターン ):所見が増えるほど共有されない
動作分析が回らない原因の多くは、技術よりも運用です。特に、同時に複数の変数を変える、所見を全部書く、評価と練習を混ぜるがあると、原因が追えなくなります。
| NG(起きがち) | なぜ起きる | 回避(型) |
|---|---|---|
| 見たい項目が多すぎる | 観察が散らばり、結論が出ない | 事実は “ 3 点まで ” に絞る |
| 仮説が 3 つ以上ある | 検証できず、介入が迷子になる | 仮説は 1 つ、確認は 1 つ |
| 条件を同時に変える | 何が効いたか分からない | 変数は 1 つだけ変える |
| 評価と練習を混ぜる | 比較ができず、記録が残らない | まずは “同条件で 2 回” だけ観察 |
回避の手順( 1 手だけ変える):条件→相→出力の順で潰す
最短で安定させるなら、①条件(環境)→②相(どこで詰まるか)→③出力(筋・協調)の順で確認します。出力の前に条件を整えると、評価も介入もブレにくくなります。
- 条件を固定:椅子高さ、足底、支持物、速度
- 相を決める:準備/移行/出力/再安定のどこで止まるか
- 変数は 1 つだけ:足位置、足幅、 cue、支持物、速度のどれか 1 つ
- 反応を書く:できた/できないではなく、どこが変わったか
記録テンプレ:事実→仮説→修正結果を 1 行で
動作分析は、所見が長いほど共有されません。おすすめは、相 + 事実 + 仮説 + 修正結果を 1 行で残す形です。
- 例:②移行:左右差が強く健側へ寄る → 疼痛/恐怖を疑う → 足幅を指 2 本分広げるとふらつき減(患側荷重は段階付けが必要)
- 例:③出力:体幹が早く起きて推進が途切れる → cue が曖昧と仮説 → 「ゆっくり」 1 回で移行が安定(次は支持物で比較)
動作別(子記事)への索引:この型を各論へ落とす
次は、同じ型で “動作別” に観察と対応を整理します(子記事側では、チェック表と失敗→修正を厚くします)。
- 立ち上がり( Sit to Stand )の動作分析
- 着座( Stand to Sit )の動作分析
- 床からの立ち上がり(床⇄立位)の動作分析
- 方向転換(ターン)の動作分析
- 階段昇りの動作分析
- 階段降りの動作分析
よくある質問( FAQ )
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. まず何から見ればいいですか?
最初は条件(椅子高さ・足底・支持物・速度)を固定し、次に側面で相(準備→移行→出力→再安定)を決めてください。事実は 3 点まで、仮説は 1 つ、変数変更も 1 つに絞ると結論が出ます。
Q2. 所見が長くなって共有されません。
相 + 事実 + 仮説 + 修正結果を 1 行に収めると共有されやすくなります。所見の数を増やすより、変数を 1 つ変えた反応を残す方が再評価に強くなります。
Q3. 「筋力がない」で止まってしまいます。
出力の前に、条件(足が遠い/滑る/座面が低い)と相(どこで止まるか)を確認してください。条件変更 1 つで成立するなら、筋力ではなく運用(条件)の影響が大きい可能性があります。
Q4. 介入(練習)と評価が混ざります。
まずは同条件で 2 回だけ観察し、その後に変数を 1 つだけ変えて 1 回確認します。評価パートと練習パートを分けると、比較ができ、記録も残ります。
次の一手(回遊の最短導線)
教育体制・人員・記録文化など “環境要因” を一度見える化すると、次の打ち手が決めやすくなります。
チェック後に『続ける/変える』の選択肢も整理したい方は、PT キャリアナビで進め方を確認しておくと迷いが減ります。
参考文献
- Janssen WGM, Bussmann HBJ, Stam HJ. Determinants of the sit-to-stand movement: a review. Phys Ther. 2002;82(9):866-879. doi: 10.1093/ptj/82.9.866
- Etnyre B, Thomas DQ. Event standardization of sit-to-stand movements. Phys Ther. 2007;87(12):1651-1666. doi: 10.2522/ptj.20060378
- Kotake T, Dohi N, Kajiwara T, Sumi N, Koyama Y, Miura T. An analysis of sit-to-stand movements. Arch Phys Med Rehabil. 1993;74(10):1095-1099. doi: 10.1016/0003-9993(93)90068-L
- Guralnik JM, Simonsick EM, Ferrucci L, et al. A short physical performance battery assessing lower extremity function. J Gerontol. 1994;49(2):M85-M94. doi: 10.1093/geronj/49.2.M85
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


