SB・LPA・MVPAとは?身体活動量の評価方法と臨床での使い分け

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SB・LPA・MVPAで身体活動量を評価する理由

身体活動量は、歩数だけでなく、座位行動のSB、軽強度活動のLPA、中〜高強度活動のMVPAに分けて評価すると、患者さんが生活の中で実際にどれだけ動いているかを整理できます。対象は、病棟・外来・生活期で活動量の評価や指導を行うPT・OT・STです。本記事では、3分類の違い、評価方法、介入への変換、記録例、再評価の視点をまとめます。

リハビリ室で歩けていても、病棟や自宅で座っている時間が長ければ、1日全体の不活動は残ります。身体活動量の評価では、「できる能力」だけでなく、生活の中で実際に行っている活動を見ることが重要です。

SB・LPA・MVPAの違い

SB・LPA・MVPAは、身体活動を姿勢と活動強度で分けて考える分類です。

SB・LPA・MVPAの違いと臨床での見方
分類 目安 活動例 主に確認すること
SB 覚醒中の座位・臥位・もたれた姿勢かつ1.5 METs以下 テレビ視聴、読書、長時間の座位・臥位 座りすぎ、日中臥床、座位の中断
LPA 1.6〜2.9 METs ゆっくりした歩行、立位活動、軽い家事 離床、生活動作、家庭内の役割
MVPA 3.0 METs以上 速歩、階段昇降、運動、息が上がる活動 運動耐容能、運動習慣、活動強度

SBは単に1.5 METs以下であればよいのではなく、覚醒中の姿勢を含めて判断します。LPAとMVPAは活動強度による分類であり、同じ歩行でも速度や身体負荷によって分類が変わる可能性があります。

SB・LPA・MVPAによる身体活動量評価の違いを示す図版
身体活動量は歩数だけでなく、座位行動、軽強度活動、中〜高強度活動に分けると生活上の課題を整理しやすくなります。

歩数だけでは身体活動量を判断できない

歩数だけでは、座位時間の長さ、活動強度、立位や家事などの生活活動を十分に把握できません。

たとえば、リハビリ時間にまとまって歩いていても、それ以外の時間をほとんどベッドや椅子で過ごしていれば、1日全体としてはSBが長い状態です。歩数が一定数確保されていても、長時間の座位が中断されているとは限りません。

反対に、歩数は大きく増えていなくても、洗面、更衣、トイレ、配膳、片付け、屋内移動などのLPAが増えている場合があります。この変化は、生活再建の過程では重要です。

歩数とSB・LPA・MVPAで分かることの違い
指標 把握しやすいこと 把握しにくいこと
歩数 移動量、歩行習慣、日ごとの変化 座位時間、立位活動、活動強度
SB 座りすぎ、日中臥床、座位の連続 歩行の量や運動強度
LPA 離床、立位ADL、家事、生活活動 高い運動負荷の有無
MVPA 中等度以上の活動、運動習慣 低強度の生活活動や役割

身体活動量は、歩数、SB、LPA、MVPAをそれぞれ別の情報として読み、最後に1日の生活パターンとして統合することが大切です。

身体活動量を5分で整理する評価フロー

臨床では、SB、LPA、MVPAの順に確認すると、活動量の課題と介入の優先順位を短時間で整理できます。

SB・LPA・MVPAを順に確認する身体活動量の5分評価フロー
SB、LPA、MVPA、活動時間帯を順に確認し、生活行動と再評価項目へつなげる5分評価フローです。

身体活動量を評価する5ステップ

  1. SBを確認する:日中臥床や長時間の座位が続いていないか
  2. LPAを確認する:離床、立位ADL、屋内移動、家事が行われているか
  3. MVPAを確認する:速歩や運動など中等度以上の活動があるか
  4. 時間帯を見る:活動が午前・午後の一部に偏っていないか
  5. 生活行動に変換する:減らすSBと増やす活動を具体的に決める

最初からすべてを正確に測る必要はありません。まずは「座っている時間が長い」「生活動作が少ない」「中等度以上の活動がない」のどこに課題があるかを判断します。

そのうえで、必要に応じて活動量計、病棟観察、生活聴取、家族情報を追加すると、評価を深めやすくなります。

身体活動量の評価方法

身体活動量は、活動量計などの客観的評価と、観察・聴取による生活評価を組み合わせて把握します。

身体活動量評価で使う情報源と使い分け
方法 把握しやすい内容 注意点
活動量計・加速度計 歩数、活動時間、強度、時間帯の変化 機器ごとの判定基準や装着状況が異なる
病棟・施設内観察 離床、座位の中断、移動、日中臥床 観察した時間帯だけで判断しない
本人への生活聴取 家事、外出、日課、役割、活動のきっかけ 自己申告と実際の行動に差が生じることがある
家族・多職種からの情報 自宅や病棟での過ごし方、介助状況 本人の希望と現在の実態を分けて整理する

活動量計を使用する場合も、表示された数値だけで判断してはいけません。装着時間、非装着時間、移動方法、上肢活動の影響、歩行補助具の使用などによって、実際の活動と測定値が一致しない場合があります。

機器と質問紙の詳しい選び方は、身体活動量の測定方法とウェアラブル・質問紙の使い分けで整理しています。

SB・LPA・MVPAをどう解釈するか

評価結果は、数値の高低だけでなく、どの活動を何に置き換えられるかまで考えると介入につながります。

SB・LPA・MVPAの評価結果から考える介入方針
評価で見えた課題 考えられる背景 介入の優先順位
SBが長い 日中臥床、座位の連続、活動のきっかけ不足 座位を中断し、短時間の離床を増やす
LPAが少ない 生活動作が少ない、役割がない、過介助 立位ADL、屋内移動、家事や役割を増やす
MVPAが少ない 運動耐容能低下、運動習慣不足、症状への不安 安全性を確認し、中等度の活動を段階的に追加する
活動が一部の時間帯に偏る 生活リズム、疲労、午後の予定不足 活動を午前・午後へ分散する
リハ時間だけ活動している 病棟・自宅での活動機会不足 自主練習ではなく生活行動へ置き換える

低活動の高齢者では、最初からMVPAを増やすより、まず長時間のSBを中断し、LPAを増やす方が実行しやすい場合があります。評価結果を一律の運動目標へ変換せず、現在の活動水準と安全性に合わせて段階を決めます。

SBが長い患者で確認すること

SBが長い場合は、合計時間だけでなく、どの場面で座位・臥位が連続しているかを確認します。

SBが長い患者で確認したい項目
確認項目 観察・聴取の例 介入へ変換する例
日中の離床 食事以外にベッドから離れているか 午前・午後に離床機会を設定する
座位の連続 長時間座り続けていないか 一定時間ごとに立位や移動を挟む
生活リズム 活動が特定の時間帯に偏っていないか 午後にも短時間の予定を作る
活動のきっかけ 声かけ、予定、役割があれば動けるか 本人が続けやすい日課を設定する

療養病棟では、リハビリ中に歩行や立位が行えていても、病棟生活では食事以外をベッド上で過ごしていることがあります。リハビリ時間の能力だけでなく、看護・介護職から離床状況を確認し、1日の過ごし方として評価することが重要です。

LPAは生活の中で増やす

LPAは、運動時間を新たに作るだけでなく、現在の生活動作や役割を活用して増やします。

高齢者や退院直後の患者さんに「もっと運動してください」と伝えても、実際の行動につながらないことがあります。次のように、時間、場面、行動を具体化すると実践しやすくなります。

LPAを増やす生活場面の例
場面 具体的な行動 狙い
病棟 食事を離床して行い、終了後に短距離を歩く 日中離床と移動機会を増やす
ADL 洗面、更衣、整容を可能な範囲で立位化する 日常動作内の活動時間を増やす
在宅 配膳、片付け、洗濯物たたみを役割にする 家庭内で継続できる活動を作る
外出 短距離の散歩や近隣での買い物を設定する 屋外活動と社会参加につなげる

「食後に3分立つ」「午前と午後に1回ずつ廊下を歩く」「洗面は可能な範囲で立って行う」のように、患者さん自身が実行の可否を判断できる表現にします。

MVPAは安全性を確認して追加する

MVPAは重要ですが、すべての患者さんで最初に増やす必要はありません。

速歩、階段昇降、運動などのMVPAは、心肺機能や運動耐容能への負荷が高くなります。低活動、退院直後、疼痛、息切れ、転倒リスクがある患者さんでは、SBの中断とLPAの確保を優先し、その後にMVPAを追加します。

MVPAを設定するときは、METsの分類だけでなく、症状、バイタルサイン、自覚的運動強度、転倒リスク、翌日まで残る疲労などを確認します。活動量計上でMVPAと判定されても、その負荷が患者さんに適切とは限りません。

評価結果を介入へ変換する例

身体活動量評価では、測定結果から「減らす行動」と「増やす行動」を1つずつ決めると介入が明確になります。

身体活動量評価を介入につなげる臨床例
評価結果 解釈 介入例 再評価項目
SBが長くLPAが少ない 日中の離床と生活動作が不足している 食事離床、立位ADL、病棟内移動を設定する 離床回数、連続座位、立位ADLの実施
LPAはあるがMVPAが少ない 生活活動はあるが中等度以上の負荷が少ない 速歩、屋外歩行、階段を段階的に追加する MVPA時間、症状、自覚的運動強度
午前だけ活動が多い 活動時間帯が偏っている 午後に短時間の散歩や生活課題を設定する 午後の離床回数と活動内容
退院後に活動が減る見込み 役割や外出のきっかけが不足している 家族と日課、役割、外出先を具体化する 家庭内役割、外出頻度、屋内移動

身体活動量評価の記録例

記録では、「活動量が少ない」とだけ書かず、観察した事実、解釈、介入、再評価項目を分けます。

記録例

日中は食事時のみ車椅子へ離床し、それ以外は臥床している。病棟内歩行はリハビリ時のみであり、SBが長くLPAが少ない生活パターンと判断した。午後にトイレまでの歩行と洗面時の立位を設定する。1週間後に離床回数、午後の歩行実施回数、疲労の残存を再評価する。

数値が得られる場合は、歩数、SB時間、LPA時間、MVPA時間を併記します。ただし、数値だけで終わらせず、どの生活場面を変えるかまで記載します。

再評価では時間・場面・継続性を見る

再評価では、総活動量だけでなく、活動の時間帯、生活場面、継続できた理由まで確認します。

身体活動量を再評価するときの確認項目
再評価項目 確認する内容
SB 合計時間、連続時間、日中臥床、座位を中断できた回数
LPA 離床、立位ADL、屋内移動、家事、役割活動の変化
MVPA 実施時間、頻度、症状、自覚的運動強度、翌日の疲労
時間帯 午前・午後・夕方のどこで活動が増減したか
継続性 声かけなしで行えたか、退院後も続けられるか

歩数だけが増えていても、リハビリ時間に集中している場合は、生活全体の変化とは言い切れません。反対に、歩数の変化が小さくても、立位ADLや家庭内役割が増えていれば、LPAの改善として評価できます。

身体活動量評価でよくある失敗

よくある失敗は、歩数や運動時間だけを追い、1日の生活パターンを見落とすことです。

身体活動量評価でよくある失敗と修正例
よくある失敗 問題点 修正例
歩数だけを見る 座位時間や立位活動が分からない 歩数とSB・LPA・MVPAを分けて確認する
SBを低METs活動とだけ判断する 姿勢の条件を見落とす 覚醒中の座位・臥位・もたれた姿勢か確認する
最初からMVPAを増やす 負担が大きく継続できないことがある SBの中断とLPAの増加から始める
数値だけで判断する 生活背景、役割、時間帯が分からない 観察、生活聴取、家族情報を組み合わせる
目標が「もっと動く」だけ 患者さんが実行方法を判断できない 時間、場面、行動、頻度を具体化する
再評価項目を決めない 介入の効果を判断できない SB、LPA、MVPA、時間帯から1〜2項目を選ぶ

現場で詰まりやすいポイント

現場では、正確な数値を測ろうとしすぎることが、身体活動量評価を続けられない原因になります。

活動量計がない場合でも、日中臥床、食事以外の離床、トイレ移動、立位ADL、家事、外出、活動の時間帯を確認すれば、介入に必要な情報は得られます。

また、本人の「動いている」という認識と、家族やスタッフが見ている生活実態が異なることもあります。どちらかを否定するのではなく、活動の種類、時間、頻度、場面を具体的に確認します。

新人PTでは、すべての活動をSB・LPA・MVPAへ厳密に分類しようとして評価が止まりやすくなります。まずは、長いSBを減らせるか、LPAへ置き換えられるか、MVPAを安全に追加できるかの3点に絞ると、介入方針を立てやすくなります。

身体活動量簡易評価シート

身体活動量を臨床で使うには、SB・LPA・MVPAを生活場面に落とし込み、同じ項目で再評価できる形にすることが重要です。

A4版の「身体活動量 簡易評価シート」では、座位時間、離床、屋内移動、生活活動、外出、再評価メモを1枚で確認できます。活動量計がある場合は測定値の整理に、ない場合は観察・聴取内容の整理に使用できます。

身体活動量簡易評価シートのPDFを開く

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SB・LPA・MVPAに関するよくある質問

各項目名をタップすると回答が開きます。もう一度タップすると閉じます。

SB・LPA・MVPAは何が違いますか?

SBは覚醒中に座位・臥位・もたれた姿勢で過ごす1.5 METs以下の行動です。LPAは1.6〜2.9 METsの軽強度活動、MVPAは3.0 METs以上の中〜高強度活動を指します。SBは姿勢を含む概念であり、LPA・MVPAは主に活動強度による分類です。

高齢者ではSB・LPA・MVPAのどれを優先しますか?

一律には決められませんが、低活動の高齢者では、長時間のSBを中断し、離床や立位ADLなどのLPAを増やすことから始めやすい傾向があります。MVPAは運動耐容能や安全性を確認して段階的に追加します。

活動量計がないと評価できませんか?

活動量計は必須ではありません。病棟観察、本人・家族への生活聴取、多職種からの情報を組み合わせれば、SB、LPA、MVPAのおおまかな傾向と活動時間帯を整理できます。

歩数目標は使わない方がよいですか?

歩数目標は移動量の確認に有用です。ただし、歩数だけでは長時間の座位、立位ADL、家事、活動強度を把握しにくいため、SB・LPA・MVPAと組み合わせて解釈します。

同じ歩行でもLPAとMVPAに分かれますか?

分かれる可能性があります。ゆっくりした歩行はLPA、速歩など3.0 METs以上に相当する活動はMVPAとして扱われます。ただし、実際の負荷は歩行速度、身体機能、疾患、機器の判定方法によって異なるため、症状や自覚的運動強度も確認します。

次の一手

SB・LPA・MVPAを評価したら、次は測定方法を選び、週単位の活動目標へつなげます。


参考文献

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  • Compendium of Physical Activities. 2024 Adult Compendium. 2024 Adult Compendium of Physical Activities

著者情報

理学療法士rehabilikunのプロフィール画像

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関、介護福祉施設、訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養・リハ栄養、シーティング、摂食・嚥下

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