書類業務・カルテ記載のよくある質問 Q&A 20 選|SOAP・目標・監査

制度・実務
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書類業務・カルテ記載は「型」を決めると一気にラクになります

書類がつらい新人期を抜ける|最短の型を見る

理学療法士の書類業務は、知識よりも「同じ順番で書く」だけで負担が激減します。本記事は「 SOAP が長い」「目標が書けない」「監査が怖い」などの悩みを、現場で使える答えにまとめた Q&A 集です。

結論はシンプルです。書く順番は「結論 → 根拠(数値・観察) → 介入 → 反応 → 次回」で固定し、文章ではなく“情報の粒”を揃えます。迷ったら、まずは 1 患者だけで型を作りましょう。

現場の詰まりどころ(書類が遅くなる原因はここ)

書類が遅い原因は「文章で説明しすぎる」「目的が曖昧」「評価と解釈が混ざる」のどれかが多いです。まずは“削る順番”を決めると改善が早いです。

書類が詰まる原因と、最初の一手( PT 記録の型)
詰まり 起きやすい理由 最初の一手 書き方の型( 1 行)
SOAP が長い 状況説明が多い 結論を先頭へ 介入と反応を先に書く
主観が混ざる 評価の言語化が弱い 数値・頻度で置換 「〜だった」→「〜回/〜分」
目標が書けない 生活像が曖昧 場面を決める どこで・何を・どの程度
問題点が多すぎる 課題の優先がない 今週の課題を 1 つ ADL が変わる 1 点に絞る
監査が怖い 根拠が薄い 根拠を 2 個だけ 数値 1 つ+観察 1 つ

書類業務・カルテ記載のよくある質問 Q&A 20 選

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A. SOAP の書き方( 6 問)

Q1. SOAP が長くなります。まず削るべきはどこ?

結論:最初に削るのは「状況説明」です。結論(介入と反応)を先に出します。

理由:読む側が知りたいのは“何をして、どう変わったか、次は何をするか”です。背景は必要最小限で十分です。

今日やること:S の 2 行目以降を削り、A と P を先に書いてから必要な S を足します。

Q2. S(主観)はどこまで書けばいい?

結論:S は「訓練の方向性が変わる情報」だけで OK です。

理由:主観を全部載せると冗長になります。痛み・不安・目標・生活上の制約など、意思決定に直結する要素だけ残すのが安全です。

今日やること:S は「痛み」「不安」「本人目標」の 3 つから、該当するものだけを書きます。

Q3. O(客観)は何を書けば“根拠が強い”?

結論:「数値 1 つ」と「観察 1 つ」のセットが最強です。

理由:数値だけでは臨床像が薄くなり、観察だけでは再現性が落ちます。両方あると説明責任が取りやすくなります。

今日やること:歩行なら距離や介助量、 ADL なら自立度、痛みなら尺度など、最小の指標を 1 つ決めます。

Q4. A(評価・解釈)が主観っぽくなります

結論:A は「所見 → 仮説(なぜ) → 影響(何が困る)」の 3 点で書きます。

理由:所見がない解釈は主観に見えやすいです。所見と生活への影響を結ぶと、評価が“説明”になります。

今日やること:A は 2 行に限定し、1 行目に所見、2 行目に仮説と影響を書きます。

Q5. P(計画)がふわっとします。何を書けばいい?

結論:P は「次回の狙い 1 つ」と「条件 1 つ」を明記します。

理由:計画が抽象的だと、翌日の自分が迷います。狙いと条件があると、同じ介入でも再現できます。

今日やること:「狙い=立脚の安定」「条件=支持面を狭める」など、 1 つずつ決めて書きます。

Q6. SOAP を毎回ちゃんと書くと回りません

結論:毎回は “短縮版” で OK です。詳述は節目(初回・週次・退院前)に寄せます。

理由:日々の記録は経過の連続性が大事で、情報密度は節目で担保できます。運用を分けると回ります。

今日やること:通常日は 3 行(介入→反応→次回)にし、節目だけ詳しく書くルールにします。

B. 目標設定・問題点整理( 6 問)

Q7. 長期目標が思いつきません

結論:長期目標は「退院後(退院先)の生活場面」から作ると簡単です。

理由:機能から作ると抽象になります。生活場面(トイレ、入浴、屋外移動など)に落とすと、評価と介入も決まります。

今日やること:「どこで」「何を」「どの程度」を 1 文で書き、数値か介助量で終点を決めます。

Q8. 短期目標はどれくらいの期間が妥当?

結論:短期は「 1 週間で変える動作 1 つ」が基本で OK です。

理由:期間が長いと検証できず、短すぎると現実的でなくなります。 1 週間単位で“変化の証拠”を残せる設計が扱いやすいです。

今日やること:短期は「立ち上がり」「移乗」「歩行」など、動作を 1 つに絞ります。

Q9. 問題点が多すぎて、計画書が散らかります

結論:問題点は 3 つまで、課題(今週変える標的)は 1 つまでに絞ります。

理由:課題が多いと介入が薄くなり、結果も出にくいです。 ADL が変わる課題 1 つに集中すると前に進みます。

今日やること:「安全に直結」「 ADL へ直結」「時間がかかる」の 3 区分で整理し、今週は 1 区分だけやります。

Q10. ゴールが“訓練室の中”で終わってしまいます

結論:ゴールは “病棟・在宅での場面” に置きます。

理由:訓練室でできても生活でできないことが多いです。場面を先に決めると、必要な評価と介入が自然に決まります。

今日やること:「病棟トイレ」「廊下歩行」「浴室」など、 1 場面を指定して書き換えます。

Q11. 目標の“達成基準”が曖昧になります

結論:達成基準は「介助量」「回数」「時間」「距離」のどれかで固定します。

理由:曖昧な基準だと評価者でブレます。数値化できる要素を選ぶと再現性が上がります。

今日やること:目標文に「見守り」「最小介助」「 10 m」「 5 分」など、必ず 1 つ入れます。

Q12. 家族説明につながる書き方が分かりません

結論:家族説明は「できること」「危ないこと」「必要な見守り」を分けて書きます。

理由:家族の不安は“事故”と“介助の見通し”です。情報を分けると伝わり、説明も一貫します。

今日やること:記録の最後に「危険動作」と「見守りポイント」を 1 行ずつ足します。

C. リスク・安全・中止基準の書き方( 4 問)

Q13. リスクはどこまで書けば十分?

結論:「その患者で特に起きやすいリスク」と「回避策」を 1 セット書けば十分です。

理由:一般論を並べると長くなります。個別性のあるリスクと対応があると、チームに役立ちます。

今日やること:転倒・疼痛・血圧変動などから 1 つ選び、「回避策」を具体的に書きます。

Q14. 中止基準を文章で書くと長くなります

結論:中止基準は“トリガー”だけ書き、判断は簡潔にします。

理由:記録はルールブックではなく、共有のための要点です。詳細は施設の基準やカンファで補えます。

今日やること:「痛み増悪」「ふらつき」「息切れ」など、停止のきっかけを 1 行で残します。

Q15. バイタル変動がある患者の書き方が怖いです

結論:「開始前 → 最中 → 終了後」の 3 点で書くと安全です。

理由:一時点だけだと評価が難しいです。経時で示すと、訓練負荷の妥当性が説明できます。

今日やること:必要な指標だけを 3 点で記録し、変化量を 1 行で要約します。

Q16. 転倒リスクの記載、何を書けばいい?

結論:転倒は「起きる場面」と「予防行動」をセットで書きます。

理由:リスクだけでは行動が変わりません。場面と予防があると、病棟での対応が一致します。

今日やること:「夜間トイレ」「立ち上がり初動」など場面を 1 つ特定し、見守り方法を書きます。

D. 監査・説明責任・チーム連携( 4 問)

Q17. 監査で見られやすいのはどこ?

結論:「根拠(評価)」「一貫性(目標と介入)」「安全(リスク)」の 3 点です。

理由:書類は“筋が通っているか”が重要です。評価 → 解釈 → 介入 → 結果 → 次回がつながっていれば強いです。

今日やること:記録を読み返し、目標と介入が同じ方向を向いているか 1 分でチェックします。

Q18. 「 PT 的にはこう思う」が根拠薄く見えます

結論:根拠は“主張の前”に置きます。先に所見、その後に解釈です。

理由:解釈から入ると印象が主観になります。所見から入ると、解釈が妥当な推論として伝わります。

今日やること:解釈文の前に、数値か観察の根拠を 1 つ足します。

Q19. 他職種に伝わる書き方が分かりません

結論:「何ができる」「何が危ない」「どう介助する」を優先して書きます。

理由:他職種は評価名よりも、ケアの行動に直結する情報が必要です。専門用語は最小限が安全です。

今日やること: ADL に直結する一文(見守り方法、介助ポイント)を必ず入れます。

Q20. 退院前のまとめ、何を書けばいい?

結論:「できること」「必要介助」「リスク」「自主トレ」「次の課題」の 5 点で OK です。

理由:退院前は情報が散らかりやすいですが、項目を固定すれば漏れが減ります。家族説明や連携文書にも転用できます。

今日やること: 5 点を見出しとして並べ、各 1 行で埋めてから必要な詳細を足します。

今日から効く “書類の型” 3 点

  1. 結論を先に:介入と反応を最初に書く
  2. 根拠は 2 個:数値 1 つ+観察 1 つに絞る
  3. 次回は 1 行:狙い 1 つ+条件 1 つで書く

おわりに

書類業務は、丁寧に書くほど上達するのではなく、同じ順番で、同じ粒度で書けるほど速くなります。まずは「結論 → 根拠 → 介入 → 反応 → 次回」の型で、 1 患者だけを回してみてください。

もし書類の負担が「教育体制」や「働き方」の悩みに直結しているなら、面談準備チェックと職場評価シートも使える マイナビコメディカルのダウンロード から整えると、次の一手が決まりやすくなります。

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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