感覚障害の局在推定|図解と記録PDF

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感覚障害の局在推定は「左右差・境界・種類」でそろえます

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まず深掘り:デルマトームと末梢神経領域の取り方

感覚障害の局在推定で大切なのは、診断名を急いで当てることではありません。まず左右差・境界・種類をそろえ、「末梢神経/神経根/脊髄/脳のどこを疑うか」を短く共有できる形にすることです。

この記事では、PT / OT が臨床で迷いやすい感覚所見を、2 分フロー、8 パターン早見、カルテ記録例、印刷用 PDFに落とし込みます。ここで答えるのは「所見をどう読むか」「次に何を確認するか」です。診断名の断定、画像検査の判断、治療方針の最終決定は扱いません。

まず決めること:2 分で局在仮説を 1 つに絞る

感覚所見は、最初から細かい神経名に飛びつくと整理が崩れます。最初に決めるのは、片側か両側か、どこから変わるか、どの感覚が目立つかの 3 点です。最後に「次に確認する 1 点」まで決めると、報告が通りやすくなります。

迷ったときは、以下の順に戻ります。左右差 → 境界 → 種類 → 次の確認の順に固定すると、評価者ごとの表現のばらつきも抑えやすくなります。

※表はスマホでは横スクロールで見られます。

感覚所見を局在仮説に変える 2 分フロー(成人・ベッドサイド想定)
順番 見ること 判断の分かれ目 記録に残す言葉
1 左右差 片側優位か、左右対称か 右優位、左優位、左右対称
2 境界 帯状か、神経走行か、末梢ほど強いか 手関節より遠位、体幹 T10 付近から下など
3 種類 触覚 / 痛覚 / 温度覚 / 振動覚 / 位置覚のどれが目立つか 触覚軽度低下、振動覚が顕著に低下など
4 次の確認 末梢・根・脊髄・脳の仮説に合う追加所見は何か 腱反射、筋力、体幹境界、複合感覚を追加確認

PDF:感覚障害の局在推定 2 分フローを印刷して使う

臨床でそのまま使えるように、A4 1 枚の記録シートを用意しました。左右差・境界・種類を順に確認し、局在仮説と次の確認を短く残せる構成です。評価後の共有や、再検時の見直しに活用してください。

印刷用 PDF

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A4 縦 1 枚。感覚所見の整理、局在仮説、次の確認、記録メモをまとめて残せます。

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図で確認:感覚障害は「分布」で読む

8 パターンを細かく読む前に、まずは大枠を確認します。分布の見え方から、末梢神経・神経根・脊髄・脳のどこを疑うかを整理すると、表の内容が読みやすくなります。

感覚障害は分布で読む:末梢神経、神経根、脊髄、脳の見分け方を整理した図版
図:感覚障害の分布パターンから、末梢神経・神経根・脊髄・脳の見当をつける

8 パターン早見:所見から疑うレベルを決める

局在推定では、所見を 1 つずつ暗記するよりも、分布の見え方で分類した方が実務に使いやすくなります。以下の表では、よく遭遇する 8 パターンを「まず疑うレベル」「次に確認する 1 点」「落とし穴」に分けて整理します。

※表はスマホでは横スクロールで見られます。

感覚所見のパターン早見(成人・局在推定用)
パターン 見え方(例) まず疑うレベル 次に確認する 1 点 落とし穴
手袋・靴下型 末梢ほど強く、左右対称 末梢神経(多発) 近位の保たれ方、左右対称性 単神経障害と混ぜて読む
単神経型 特定の指、手掌 / 手背の一部 末梢神経(単神経) 代表ポイント 2〜3 点の一致度 重なり領域を 0 / 1 で断定する
帯状(デルマトーム) 輪切り感、境界が帯状 神経根 境界を上下に 1 段ずつ詰める 痛みの放散だけで決め打ちする
感覚レベル 体幹で「ここから下」が変わる 脊髄 体幹の境界と下肢所見を確認 四肢だけで判断する
半身(顔+身体) 片側の顔と身体が一括で変わる 脳(中枢) 運動・視野・高次機能も整理 末梢の地図で説明しようとする
解離性(種類で差) 痛覚 / 温度覚は低下、触覚は保たれる等 伝導路レベル(脊髄など) 同じ刺激条件で感覚の種類をそろえる 刺激量が揺れて偽差が出る
皮質感覚が目立つ 立体覚・書字覚などが低下 脳(皮質) 複合感覚を追加確認 表在感覚だけで「正常」と扱う
左右非対称の多発 左右で場所がばらばら 末梢(多発・混在) 左右別にパターンを記録 1 枚の地図に無理やり統合する

報告は 1 行テンプレに落とすと通りやすい

感覚所見は、長く書くほど伝わりやすくなるわけではありません。左右差、境界、種類、仮説、次の確認を 1 行にまとめると、医師・看護師・リハ職間で共有しやすくなります。

感覚所見の 1 行テンプレ(カルテ記録用)
要素 書き方(型) 記載例
左右差 右 / 左のどちらが強いか 右優位
境界 どこから変わるか(関節・体幹・皮膚分節) 足関節より遠位で低下
種類 どの感覚が目立つか 触覚は軽度、振動覚が顕著
仮説 末梢/神経根/脊髄/脳のどれを疑うか 末梢神経(多発)レベルを示唆
次の確認 追加で 1 点だけ確認する項目 左右同一点で再検し、振動覚を追加確認

代表ケース:3 行で共有する記録例

感覚所見の 3 行報告例(外来・初回評価)
記載内容
1 行目(所見) 右足部〜下腿遠位で触覚・痛覚低下、左右差あり。境界は足関節近位で比較的明瞭。
2 行目(仮説) 末梢ほど強い分布で、末梢神経(多発)レベルの関与を疑う。
3 行目(次の確認) 左右同一点で刺激量を固定し再検。近位の保たれ方、振動覚、腱反射を追加確認する。

現場の詰まりどころ:パターンが崩れる前に 3 点をそろえる

感覚所見が読みにくくなる原因は、たいてい刺激量の揺れ、左右比較の不足、境界の取り方の粗さです。局在推定に入る前にこの 3 点をそろえると、所見の再現性が上がり、報告文も短くまとまります。

ここまで整えても毎回同じところで詰まる場合は、書き方や手順だけでなく、教育体制・共通フォーマット・相談相手の有無など、職場環境の影響を受けている可能性もあります。

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よくある失敗:結果がぶれる場面と回避策

検査結果が毎回変わるときは、病態の変化だけでなく、検査条件の揺れも疑います。以下の 3 点を固定してから再検すると、偽の左右差や偽の境界を減らしやすくなります。

感覚検査で結果がぶれる場面と回避策
場面 起きる問題 回避策
刺激の強さ・テンポが毎回違う 偽の左右差や偽の境界が出る 同じ道具・同じテンポ・同じ教示に固定する
左右比較を省略する 片側優位の解釈が曖昧になる 必ず左右セットで記録し、差を言語化する
境界を粗く取る 根・脊髄・末梢の切り分けが難しくなる 体幹や関節の目印で 1 段ずつ詰める

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

診断名まで言えるようにした方が良いですか?

まずは診断名ではなく、「分布のパターン」「疑うレベル」「次の確認」までで十分です。断定より、左右差・境界・種類をそろえて共有すると、チームの次の判断につながりやすくなります。

触覚は正常なのに、ふらつきが強い場合はどう考えますか?

触覚だけで「感覚は正常」と扱わず、振動覚や位置覚などの深部感覚を追加確認します。深部感覚が低下していると、視覚に頼った立位や歩行になり、閉眼や暗所で不安定さが目立つことがあります。

左右で違う結果が出るとき、どの順で再検しますか?

再検は「刺激条件の固定 → 左右同一点で比較 → 境界の再同定」の順で行います。道具・強さ・テンポ・教示を固定し、左右で同じ解剖学的ポイントを往復して差を確認します。

デルマトームと末梢神経領域のどちらで読めばよいですか?

帯状に境界が見える場合はデルマトーム、特定の指・手掌・手背など神経走行に沿う場合は末梢神経領域を優先します。迷う場合は、1 つの地図に無理に合わせず、代表ポイントで一致度を確認します。

次の一手


参考文献

  1. Barohn RJ, Amato AA. Pattern-recognition approach to neuropathy and neuronopathy. Neurol Clin. 2013;31(2):343-361. doi: 10.1016/j.ncl.2013.02.001(PubMed: PMID 23642713
  2. Sghirlanzoni A, Pareyson D, Lauria G. Sensory neuron diseases. Lancet Neurol. 2005;4(6):349-361. doi: 10.1016/S1474-4422(05)70096-X(PubMed: PMID 15907739
  3. Heutehaus L, Schuld C, Solinas D, Hensel C, Kämmerer T, Weidner N, Rupp R, Franz S. Revisiting the Examination of Sharp/Dull Discrimination as Clinical Measure of Spinothalamic Tract Integrity. Front Neurol. 2021;12:677888. doi: 10.3389/fneur.2021.677888(PubMed: PMID 34276538
  4. Lee MWL, McPhee RW, Stringer MD. An evidence-based approach to human dermatomes. Clin Anat. 2008;21(5):363-373. doi: 10.1002/ca.20636(PubMed: PMID 18470936

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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