ADLとIADLの違い|BI・FIM・Lawton・FAIの選び方

評価
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ADL と IADL の違いは「生活の土台」と「生活の広がり」で整理します

ADL と IADL の違いは知っていても、「最初にどの尺度を使うか」「 BI ・ FIM ・ Lawton ・ FAI をどう分けるか」で迷いやすいです。この記事は、理学療法士・作業療法士が臨床で最初の 1 本を決めるための入口ページです。結論から言うと、ADL で土台の安全と介助量をそろえ、IADL で退院後に生活が回るかを補うと判断がぶれにくくなります。

このページで答えるのは「 ADL / IADL の違い」と「代表尺度の最初の使い分け」です。各尺度の採点細則や項目全文の解説まで広げず、迷ったときの入口に絞ります。違い → 尺度選択 → 5 分フロー → 記録用 PDF の順で読めば、カンファレンスや家族説明で何を言うべきかまでつながります。

評価の型は、個人の努力だけで身につくとは限りません。今の職場で教育体制がない、相談相手が少ない、評価 → 解釈 → 再評価 の流れを学びにくいと感じるなら、学び方と環境の整え方を先に整理しておくと動きやすくなります。

評価の「選び方」と「回し方」を先にそろえると、臨床の迷いと手戻りが減ります。

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評価 → 介入 → 再評価 の流れを短時間で確認したい人向けに、学び方の整理ページをまとめています。

ADL は生活の土台、IADL は生活の広がり、BI・FIM・Lawton・FAI の使い分けを整理した図版
ADL と IADL の違いと、代表尺度の使い分けを 1 枚で整理した早見図です。

まずここだけ:ADL は「生活の土台」、IADL は「生活の広がり」です

ADL は、食事・更衣・排泄・移動・入浴など、日常生活を成り立たせる基本動作です。安全や介助量に直結しやすく、急性期から在宅まで優先度が高い領域です。一方の IADL は、買い物・服薬管理・金銭管理・電話・交通機関の利用など、生活を実際に回し続けるための応用動作です。

実務では「入院= ADL 、在宅= IADL 」と単純化するより、まず ADL で土台を押さえ、次に IADL で退院後の詰まりを拾う流れが使いやすいです。ADL が保たれていても IADL が崩れていれば、退院後に生活が止まりやすくなります。逆に IADL だけ先に見ても、土台となる移動やトイレが不安定なら支援設計は決まりません。

ADL と IADL の違い早見( PT 実務の入口整理 )
観点 ADL IADL PT が最初に確認すること
主にみる内容 食事、移動、排泄、更衣、入浴などの基本動作 買い物、服薬、金銭、家事、交通、電話などの応用動作 どちらが先に生活を止めているか
臨床での意味 安全、介助量、人的配置、退院可否 在宅生活の成立、役割維持、社会参加 土台の安全か、生活の広がりか
よくある見落とし 「できる」と「している」が混ざる ADL が保たれているため後回しになる 能力・実施状況・頻度を分けてみる
評価の出口 介助量、見守り、環境調整の明確化 代償手段、サービス、生活再開の設計 「誰が・どこで・どう補うか」を書けるか

BI ・ FIM ・ Lawton ・ FAI の使い分けは「何を知りたいか」で決めます

尺度選択で迷うときは、点数の細かさよりも「何を知りたいか」を先に固定します。基本 ADL の全体像をすばやくつかみたいなら BI 、実際の介助量や認知面を含めて退院支援までつなげたいなら FIM が有力です。 IADL 側では、在宅生活が成立するかを見たいなら Lawton 、実際にどれだけ生活が広がっているかを見たいなら FAI が向いています。

つまり、BI と FIM はどちらが上位互換という話ではなく、Lawton と FAI も同じです。尺度名を覚えるより、「能力を知りたいのか」「実施状況を知りたいのか」「頻度や生活の広がりを知りたいのか」を先に決めるほうが、臨床では圧倒的に迷いません。

BI ・ FIM ・ Lawton ・ FAI の最初の 1 本を決める早見(成人・ PT 実務 )
尺度 主にみるもの 向いている場面 最初に残す一言 読み違え注意
BI できる ADL の全体像 初期評価、経時変化の把握、短時間の層別化 どの項目で介助が要るか 認知や実環境の影響を拾いきれないことがある
FIM している ADL と介助量 病棟運用、退院支援、チーム共有 どこで見守り・介助が増えるか 採点基準がずれると比較できない
Lawton IADL 在宅生活を回すための能力 退院前、在宅生活の成立確認、支援量の見積もり どの工程で支援が必要か 家族代行が多いと能力より低く見えることがある
FAI 実際の活動頻度と生活の広がり 生活期、外出や役割再開のモニタリング 生活が止まる理由は何か 能力があっても頻度は低く出ることがある

迷ったときの 5 分フロー:まず ADL 、次に IADL で整理します

  1. 安全に直結する ADL を先に見る:移動・トイレ・更衣など、転倒や介助量に直結する場面から確認します。
  2. 最初の 1 本を決める:短時間で全体像なら BI 、介助量と実施状況まで含めるなら FIM を選びます。
  3. 退院後に詰まりそうな IADL を 1 〜 2 個だけ拾う:買い物、服薬、金銭、交通など、退院後に止まりやすい工程を仮説立てします。
  4. IADL 側の焦点を決める:生活成立の能力を見るなら Lawton 、活動頻度や生活の広がりを見るなら FAI を追加します。
  5. 点数で終わらせず、条件を 1 行残す:「誰が・どこで・どう補うか」まで言語化すると、再評価と退院支援につながります。

カルテの 1 行例:「 BI では移乗・更衣下衣で介助増あり。退院後は買い物と服薬管理が不安で、 Lawton で工程別に確認予定。妻見守りと服薬カレンダー導入を検討する。」

A4 記録シート PDF

記事内の比較だけでは整理しきれないときに使いやすいよう、ADL と IADL の評価結果を 1 枚でまとめられる記録シートを用意しました。項目全文を並べる配布物ではなく、評価結果・条件差・再評価メモを整理するための実務向けシートです。カンファレンス前の情報整理や、再評価時の比較メモに使いやすい構成にしています。

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現場の詰まりどころ

ADL / IADL 評価で止まりやすいのは、「尺度名は知っているが、次の 1 本が決まらない」場面です。迷ったときは、次の 3 つだけ先に確認すると整理しやすくなります。

よくある失敗と直し方

ADL / IADL 評価で多い失敗は、「目的が混ざる」「 IADL を後回しにする」「点数だけ共有する」の 3 つです。とくに BI と FIM 、 Lawton と FAI は、似た話題として語られやすいぶん、測っている焦点を混ぜると解釈がずれます。

回避のコツは、初回から尺度を増やしすぎず、まず 1 〜 2 指標に絞ることです。そのうえで、合計点だけでなく「介助が増える局面」や「生活が止まる工程」を 1 行残すと、介入と共有が一気につながります。

ADL / IADL 評価で起きやすい失敗と対策( PT 実務 )
失敗 なぜ困るか こう直す 記録ポイント
BI と FIM を同じ意味で扱う 能力と実施状況が混ざり、点数変化を誤解しやすい 「できる」か「している」かを先に書く 評価目的を 1 行で明記する
Lawton と FAI を同じ IADL としてまとめる 生活成立の能力と活動頻度が混ざる 能力を見るのか、生活の広がりを見るのかを分ける 能力 / 頻度 の焦点を記載する
IADL を退院直前まで見ない 退院後に買い物・服薬・交通で詰まりやすい 入院早期から退院後に問題になりそうな工程だけ拾う 買い物、服薬、交通など 1 〜 2 項目を仮置きする
合計点だけで共有する どこを変えるとよいかが伝わらない 点数+詰まる局面を 1 行追加する 「どこで」「何が」「なぜ」を短く残す

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q. ADL と IADL の違いを患者さんや家族にどう説明すればよいですか?

A. 「 ADL は身の回りの生活の土台、 IADL はその上に乗る生活の広がりです」と説明すると伝わりやすいです。食事・移動・トイレなどの ADL は安全に直結しやすく、買い物・服薬・金銭・交通などの IADL は退院後の生活を回し続ける力として整理すると理解されやすくなります。

Q. ADL と IADL は、どちらから評価するのが実務的ですか?

A. まずは転倒や介助量に直結しやすい ADL で土台を押さえ、次に退院後に問題になりそうな IADL を拾う流れが実務的です。最初から全尺度を増やすより、ADL で安全、 IADL で生活成立を補うほうが判断がぶれません。

Q. 急性期でも IADL を見ておく必要はありますか?

A. 全項目を細かく取る必要はありませんが、退院後に詰まりそうな工程を 1 〜 2 個だけ想像できる程度には集めておくと、回復期や在宅への引き継ぎがスムーズです。入院前の生活歴、服薬、通院手段、家族代行の有無などは早めに聞いておく価値があります。

Q. 記録シート PDF はどんな場面で使うと便利ですか?

A. 初回評価のまとめ、退院前カンファレンス前の整理、再評価時の条件差メモに向いています。尺度の点数だけでなく、「どこで介助が増えるか」「退院後に何が止まりそうか」を 1 枚に残せるので、共有がしやすくなります。

次の一手


参考文献

  1. Mahoney FI, Barthel DW. Functional Evaluation: The Barthel Index. Md State Med J. 1965;14:61-65. PubMed
  2. Keith RA, Granger CV, Hamilton BB, Sherwin FS. The Functional Independence Measure: a new tool for rehabilitation. Adv Clin Rehabil. 1987;1:6-18. PubMed
  3. Lawton MP, Brody EM. Assessment of older people: self-maintaining and instrumental activities of daily living. Gerontologist. 1969;9(3 Pt 1):179-186. DOI
  4. Holbrook M, Skilbeck CE. An activities index for use with stroke patients. Age Ageing. 1983;12(2):166-170. DOI

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下、ADL / IADL 評価

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