FAI と Lawton IADL の違い【比較・使い分け】

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FAI と Lawton IADL の違い【比較・使い分け】在宅の “ 活動量 ” と “ 能力 ” を混ぜない

評価の “ 使い分け ” ができると、退院前の見立てと支援設計が一気に具体化します。 評価を “ 使い分けできる PT ” になる手順( PT キャリアガイド )を見る 評価 → 解釈 → 介入の順番を固定して、迷いを減らします。

FAI( Frenchay Activities Index )と Lawton IADL( Instrumental Activities of Daily Living )は、どちらも “ IADL を見る評価 ” として語られがちです。しかし臨床では、ここを混ぜると「できるはずなのにやっていない」「やっているけど危ない」などの解釈ミスが起きます。

結論は、Lawton IADL は “ できる能力(自立度)”FAI は “ 実際にどれだけ活動しているか(参加・生活の活発さ)”として使い分けることです。在宅復帰前は “ 能力 ” と “ 実行(頻度)” を分けて見立てると、支援量とゴール設定が一気に具体化します。

まずここだけ:同じ IADL でも測っている軸が違う

Lawton IADL は、日常生活を維持するための手段的 ADL を「自立してできるか/支援が必要か」で捉え、介助量や見守りの必要性を判断しやすい評価です。退院判定やサービス量の調整に向きます。

一方で FAI は、家事・外出・余暇などの “ 実際の活動 ” を頻度ベースで捉えやすく、生活がどれくらい動いているか(参加の再開度合い)をモニタリングするのに強みがあります。「能力はあるのに生活が広がらない」ケースで特に効きます。

比較表:FAI と Lawton IADL(早見)

※表は横にスクロールできます。

FAI と Lawton IADL の違い(比較・使い分け早見)
観点 Lawton IADL FAI 向いている場面 読み違え注意
主に測るもの できる能力(自立度・介助量) 実際の活動(頻度・参加の活発さ) 退院判定:Lawton /生活再開:FAI 「できる」≠「やっている」
介入への落とし込み 支援量・見守りの要否が決めやすい 活動が広がらない原因(恐怖・疲労・環境)を見つけやすい サービス設計:Lawton /参加支援:FAI 家族代行が多いと “ できない ” に見えることがある
経過追跡 能力の変化(自立度の変化) 生活の広がり(頻度の変化) 回復期:Lawton /生活期:FAI 季節・天候・家族都合でブレる
在宅復帰前の価値 安全に回せる最小生活の成立を確認 退院後の “ 活動の現実 ” を予測しやすい 退院直前〜退院後のギャップ対策 点数だけで結論を急がない

使い分けの結論:選び方は 3 パターンで十分

1 )退院可否・介助量を決めたい → Lawton IADL
「誰が・どこで・どの程度の見守りで成立するか」を整理し、サービス量や家族負担の見積もりに直結します。

2 )退院後に生活が広がるか不安 → FAI
能力があっても “ やらない/できない ” 理由(恐怖、疲労、環境、役割喪失)を拾いやすく、参加の再開支援の方針が立てやすいです。

3 )在宅復帰前に詰まりを潰したい → 併用
Lawton IADL で “ 必須生活の成立条件 ” を決め、FAI で “ 生活が広がる障壁 ” を特定すると、退院後のズレが減ります。

現場の詰まりどころ:ここで解釈がズレます

詰まりを一気に整理したいときは、面談前に “ 条件 ” を書き出すだけでも迷いが減ります(関連:マイナビコメディカルのチェックリスト)。

① Lawton が低い=能力が低い、と決めつける
家族が代行しているだけで、本人は “ できる ” 場合があります。ポイントは「試せばできるのか」「安全条件は何か」を切り分けることです。

② FAI が低い=能力が低い、と決めつける
FAI は活動頻度の影響を受けます。疲労・痛み・転倒不安・外出環境などがあると、能力があっても活動は増えません。活動を阻む “ 条件 ” を拾いましょう。

③ “ できる ” と “ 安全に繰り返せる ” を混同する
一度できても、疲労後に崩れたり、時間帯で不安定になったりします。退院前は “ 反復の再現性 ” を重視し、条件を固定して比較します。

退院前チェック:FAI/Lawton を “ 生活設計 ” に落とす 5 点

※表は横にスクロールできます。

FAI と Lawton IADL を在宅復帰に落とすための退院前チェック( PT 実務用 )
チェック項目 見たいこと 不足時の対策 家族へ伝える一言例 記録ポイント
必須 IADL の成立 Lawton で “ 支援が必要な場面 ” を特定 手順固定、環境調整、見守り配置 「この条件なら安全に回せます」 介助内容と安全条件を 1 行で
活動が増えない理由 FAI で “ 活動が止まる場面 ” を拾う 短距離成功体験、休息設計、恐怖の分解 「増やす前に、崩れる原因を潰します」 誘因/軽減因子/再現性をセットで
代行の影響 できるのに “ やっていない ” を見分ける 試行の場を作り、安全条件を決める 「任せる範囲を一緒に決めましょう」 本人実施か代行かを明記
反復の再現性 疲労後でも成立するか(安全に繰り返せるか) 分割(短時間×複数回)、休息ルール 「このペースなら続けられます」 時間帯・休息・負荷条件を固定
再評価計画 退院後に同条件で比べられるか 条件の書き残し(環境・役割・支援量) 「同じ条件で比べると変化が見えます」 条件を毎回書き、比較可能に

ケース:Lawton は保たれるのに、FAI が伸びない(介入の方向性)

状況:家の中の生活は回り、必須 IADL は “ 条件付きで成立 ” している。しかし外出や余暇が増えず、活動範囲が広がらない。

解釈:能力(できる)は確保できているが、活動(やっている)を阻む要因が残っている可能性が高いです。転倒不安、疲労、痛み、外出環境、役割の喪失などを 1 つずつ分解し、成功体験を作れる最小単位から介入します。

次の一手:活動を “ 増やす ” 前に、崩れる場面を特定して条件を固定します。短距離外出、買い物の一部工程、屋外の停止と方向転換など、再現性のある課題を積み上げると伸びやすいです。

カルテ記載テンプレ:点数より “ 条件 ” を残す

記載例(短文)
「 Lawton IADL :必須 IADL は条件付きで成立(見守り位置/手順/代償手段)。 FAI :活動は低下しており、外出は転倒不安と疲労で回数が増えない。誘因:夕方の疲労後、混雑で不安増。軽減:休息を挿入し短距離からなら成立。退院後は同条件で再評価予定。」

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1.FAI と Lawton(ロートンの尺度)、1 つだけ選ぶなら?

A.退院可否や介助量の判断が目的なら Lawton IADL 、退院後の生活の広がりや参加の回復を見たいなら FAI が向きます。迷うときは “ 必須生活(Lawton)→生活再開(FAI)” の順で整理するとブレません。

Q2.家族が代行していて点数が低く出ます。どう扱えば良いですか?

A.「能力がない」のではなく「実施機会がない」可能性があります。試行の場を作り、安全条件(見守り、環境、手順)を決めたうえで、できる範囲を切り出して共有すると支援設計が進みます。

Q3.FAI が低いのに、歩行や筋力は悪くありません

A.FAI は頻度に影響されます。転倒不安、疲労、痛み、外出環境、役割喪失など “ 活動を止める条件 ” を拾い、短距離成功体験と休息設計で再開できる形に落とし込むのが有効です。

Q4.退院後の再評価は何を固定すべきですか?

A.環境(外出ルートや家事動線)、支援量(同伴・見守り)、役割(家族代行の範囲)を固定して比較します。条件が変わると “ 改善か条件差か ” が分からなくなります。

次の一手

参考文献

  • Lawton MP, Brody EM. Assessment of Older People: Self-Maintaining and Instrumental Activities of Daily Living. Gerontologist. 1969;9(3 Pt 1):179-186. doi:10.1093/geront/9.3_Part_1.179. DOI
  • Holbrook M, Skilbeck CE. An activities index for use with stroke patients. Age Ageing. 1983;12(2):166-170. doi:10.1093/ageing/12.2.166. PubMed
  • Schuling J, de Haan R, Limburg M, Groenier KH. The Frenchay Activities Index: Assessment of functional status in stroke patients. Stroke. 1993;24(8):1173-1177. doi:10.1161/01.STR.24.8.1173. DOI

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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