FAI と Lawton IADL の違い|比較・使い分け
FAI と Lawton IADL の大きな違いは、評価する焦点です。Lawton IADL は、地域生活に必要な IADL の遂行状況から自立度や支援の必要性を整理するのに向き、FAI は家事・外出・余暇などを実際にどのくらい行っているかという活動頻度を捉えます。
どちらか一方が優れているわけではありません。この記事では、FAI と Lawton IADL の違い、目的別の選び方、併用したときの読み方、家族による代行など判断に迷いやすい境界を整理します。採点方法や各項目の詳細は、それぞれの各論記事で確認できます。

IADL 評価全体から尺度を選びたい方:
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結論:Lawton IADL は自立度、FAI は活動頻度を捉える
FAI と Lawton IADL はどちらも基本的 ADL より複雑な生活活動を扱いますが、同じものを別の方法で採点しているわけではありません。Lawton IADL は生活行為ごとの遂行状況や自立度、FAI は一定期間に実際に行った活動の頻度を見る点が大きな違いです。
なお、Lawton IADL を単純に「できる能力」、FAI を「している活動」と完全に二分するのは避けた方が安全です。Lawton IADL も普段の生活上の遂行状況を確認する尺度であり、評価場面で課題を一度実行できたかを測る能力検査そのものではありません。上の図版にある「できるかどうか」は、自立度の違いを理解するために簡略化した表現として捉えてください。
| 比較する点 | Lawton IADL | FAI | 使い分けのポイント |
|---|---|---|---|
| 主に見るもの | IADL の遂行状況、自立度、支援の必要性 | 生活活動を実際に行った頻度 | 支援が必要な生活領域を知るか、活動頻度を知るかで選ぶ |
| 扱う活動 | 電話、買い物、食事準備、家事、洗濯、移動手段、服薬、金銭管理など | 家事、屋外活動、余暇、仕事など | 一部の活動は重なるが、採点の考え方は異なる |
| 評価の焦点 | その生活行為をどの程度自立して遂行しているか | 基準期間内に本人がどのくらい活動したか | 「自立度」と「頻度」を混同しない |
| 経過で確認しやすいこと | 支援が必要な領域や遂行状況の変化 | 実生活での活動頻度の変化 | 同じ尺度・版・条件で再評価する |
| 注意点 | 能力検査の結果だけで得点を置き換えない | 「できるか」ではなく実際の頻度として確認する | 尺度得点と追加の動作評価を分けて記録する |
どちらを使う?評価目的から選べば迷いにくい
尺度名から選ぶのではなく、今回の評価で何を知りたいかを先に決めます。IADL のどこに支援が必要なのかを整理したい場合は Lawton IADL、普段の生活で活動がどの程度行われているかを確認したい場合は FAI が候補になります。
| 知りたいこと | まず検討する尺度 | 評価後に確認すること |
|---|---|---|
| どの IADL に支援が必要か | Lawton IADL | 低下領域、支援内容、代行、環境条件 |
| 実生活でどの程度活動しているか | FAI | 低頻度の活動と、その背景 |
| 自立度は保たれているのに活動が少ない理由を知りたい | Lawton IADL + FAI | 活動機会、役割、環境、疲労など |
| 退院後の生活変化を多面的に追いたい | 目的に応じて併用 | 支援の必要性と実際の活動頻度を別々に追う |
先に使う尺度は評価目的で決めます。また、Lawton IADL の合計点だけで退院可否や独居の可否を判断するのではなく、認知機能、移動能力、服薬・金銭管理のリスク、家族支援、住環境などを合わせて確認します。
迷いやすい境界:同じ生活状況でも読み方が違う
FAI と Lawton IADL の違いが分かりやすいのは、「できること」と「普段していること」が一致しない場面です。正式な採点は使用している評価用紙の基準に従い、ここでは尺度得点を解釈するときに確認したい背景を整理します。
| 場面 | Lawton IADL | FAI | 追加で残す情報 |
|---|---|---|---|
| 本人はできそうだが家族が代行している | 正式な回答肢に従って普段の遂行状況を確認し、能力を推測して得点を変更しない | 本人が実際に行った頻度として確認する | 代行者、代行理由、以前の役割、必要に応じた追加の能力評価 |
| 評価場面では1回できた | 模擬課題での成功を、そのまま普段の遂行状況へ置き換えない | 1回の成功だけでは基準期間内の活動頻度を表さない | 実施条件、安全性、再現性、必要な見守り |
| 支援を受けながら頻繁に活動している | 支援を含めた遂行状況を正式な回答肢で確認する | 実際の活動頻度を確認する | 付き添い、送迎、補助具、環境など活動を成立させた条件 |
Lawton IADL と FAI の結果が同じ方向に動かなくても、必ずしも矛盾ではありません。それぞれが生活の異なる側面を見ているため、点数だけでなく「なぜその結果になったのか」を合わせて残すことが重要です。
併用するときは「点数差」ではなく背景を読む
FAI と Lawton IADL を併用する価値は、2つの合計点を単純に比較することではありません。IADL の自立度・支援状況と、実際の活動頻度の間にずれがあるかを確認すると、次に評価すべき要因を整理しやすくなります。
以下の「保たれている」「低い」は固定したカットオフを示すものではなく、同じ対象者の項目別結果や経時変化を整理するための見方です。
| 結果の傾向 | 考え方 | 次に確認すること |
|---|---|---|
| Lawton・FAI とも保たれている | IADL の遂行と活動頻度の両方が比較的保たれている | 本人の生活目標と、今後維持したい活動 |
| Lawton は保たれるが FAI が低い | 必要な生活行為は遂行できていても、実際の活動頻度が少ない可能性がある | 活動機会、家族代行、疲労、痛み、本人の希望、交通・住環境 |
| Lawton は低いが FAI が保たれる | 一部 IADL では支援が必要でも、支援条件のもとで他の生活活動を継続している可能性がある | どの活動に支援が必要か、活動を成立させている人的・環境的支援 |
| Lawton・FAI とも低い | IADL の支援領域と活動頻度の低下が重なっている可能性がある | 身体・認知機能、生活環境、代行、役割、本人の希望を分けて追加評価する |
特に「Lawton IADL は大きく変わらないのに FAI が低下した」という場合、すぐに能力低下と考えず、実施機会、役割の変化、家族による代行、疲労、痛み、外出環境などを確認します。逆に FAI が維持されていても、どのような支援条件で活動が成立しているかは別に記録しておく必要があります。
FAI / Lawton IADL 使い分け記録シート
比較結果を退院前カンファレンスや面談、再評価へつなげやすいように、A4 1枚の記録シートを用意しています。Lawton IADL の遂行・支援条件と、FAI で確認した活動状況を分けて整理するために使用できます。
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記録では「点数+条件+背景」を分ける
両尺度を併用した場合は、合計点だけを並べるのではなく、評価条件と結果がずれた理由を残します。特に本人と家族の回答が異なる場合や、代行・環境の影響が大きい場合は、尺度の結果と補足所見を分けて記録します。
記載例
「Lawton IADL:採用版に基づき評価。買い物は家族による代行あり。FAI:外出関連活動の頻度低下を認める。本人は動作可能と話すが、実施機会と家族代行の影響があるため、能力低下とは分けて記録した。再評価では同じ尺度・評価条件を用いて活動頻度と支援状況を比較する。」
FAI と Lawton IADL のよくある質問
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップすると閉じます。
Q1.FAI と Lawton IADL、1つだけ選ぶならどちらですか?
A.何を知りたいかで選びます。IADL のどの領域に支援が必要かを整理したい場合は Lawton IADL、一定期間に実際にどの程度活動しているかを確認したい場合は FAI が候補です。両方を全員に実施する必要はありません。
Q2.Lawton IADL は「できる能力」を評価する尺度ですか?
A.単純な能力検査と考えない方が安全です。Lawton IADL は地域生活に必要な生活行為の遂行状況や自立度を確認します。模擬課題などで確認した「できる能力」は、尺度外の追加評価として分けて記録します。
Q3.家族が代行している場合はどう考えますか?
A.未実施の理由を確認し、Lawton IADL は使用している正式な回答肢に従って採点します。FAI では本人が基準期間内に実際に行った活動頻度を確認します。「本当はできるはず」と推測して尺度得点を変更せず、代行者や代行理由を補足情報として残します。
Q4.Lawton IADL の点数で退院や独居の可否を決められますか?
A.合計点だけでは判断できません。低下している IADL、認知機能、移動能力、服薬・金銭管理などのリスク、家族支援、住環境、利用できるサービスを合わせて判断します。
次に確認する記事
採点方法や評価条件まで確認する場合は、それぞれの各論へ進んでください。
参考文献
- Lawton MP, Brody EM. Assessment of older people: self-maintaining and instrumental activities of daily living. Gerontologist. 1969;9(3 Pt 1):179-186. doi:10.1093/geront/9.3_Part_1.179. DOI
- Holbrook M, Skilbeck CE. An activities index for use with stroke patients. Age Ageing. 1983;12(2):166-170. doi:10.1093/ageing/12.2.166. PubMed
- Schuling J, de Haan R, Limburg M, Groenier KH. The Frenchay Activities Index: assessment of functional status in stroke patients. Stroke. 1993;24(8):1173-1177. doi:10.1161/01.STR.24.8.1173. DOI
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。
現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級

