Braden スコアは「採点後の行動」まで決めて使う
Braden スコアを付けたあとは、総合点だけを記録して終わらせず、どのサブスケールにリスクがあるかを確認し、今日のケア・記録・再評価へつなげることが重要です。この記事では、病棟やラウンドで運用をそろえたい医療従事者向けに、Braden の評価後を「リスク項目 → ケア → 記録 → 再評価」の順で整理します。採点そのものではなく、評価結果を実際の予防行動へ変えることに特化し、ラウンドで使えるA4記録シートまでつなげます。
採点方法・点数の見方から確認する場合
本記事で示す「リスク項目 → ケア → 記録 → 再評価」は、Braden Scale の正式な追加採点項目ではありません。評価結果をケア計画へ落とし込むための実務上の整理方法です。総合点だけでなく各サブスケールの状態、皮膚所見、圧・ずれ、全身状態なども合わせて判断してください。

ステップ1|総合点だけでなくリスクのある項目を拾う
最初に確認するのは、「何点だったか」だけではなく「どのリスクが残っているか」です。Braden Scale は、感覚知覚・湿潤・活動・可動性・栄養・摩擦/ずれの6つのサブスケールから構成されます。
点数の低いサブスケールは、その対象者で注意すべきリスクを探す手掛かりになります。ただし、最も点数が低い項目を機械的に「最優先」と決めるわけではありません。皮膚・組織の変化、圧やずれの状況、患者の全身状態なども合わせ、必要な対策をケア計画へ反映します。
- どのサブスケールにリスクがあるか
- 皮膚・姿勢・圧・ずれなど、今すぐ修正すべき所見があるか
- 今日実施する具体的なケアは何か
現場の詰まりどころ|点数は付いたのに次の行動が決まらない
Braden Scale を付けても、その後の運用が決まっていなければ、評価結果が記録欄に残るだけになりやすくなります。そこで本記事では、リスク項目を確認する → 今日のケアを決める → 実施内容と反応を記録する → 再評価するという順番を固定します。
重要なのは、Braden の点数だけで褥瘡発生リスクのすべてを説明しようとしないことです。皮膚所見や臨床上のリスクも合わせて評価し、必要な予防策へつなげます。
ステップ2|サブスケールごとに「今日確認すること」を決める
次に、リスクが確認されたサブスケールを具体的な観察・ケアへ変換します。すべてを一律に実施するのではなく、その対象者で実際に問題となっている要因を確認して選択します。
| サブスケール | 確認すること | ケアへつなげる視点 |
|---|---|---|
| 感覚知覚 | 圧迫や違和感を認識・表出できるか、意識状態などに変化がないか | 自力で圧を逃がしにくい場合は、皮膚観察、体位調整、支持面などを個別に見直します。 |
| 湿潤 | 失禁、発汗、排液などで皮膚が湿潤している時間や部位 | 原因を確認し、洗浄、保湿・皮膚保護、失禁ケア、寝具・衣類などを調整します。 |
| 活動 | 離床・歩行・座位など、日中にどの程度活動できているか | 安全性を確認しながら活動機会を検討し、同一部位への持続的な荷重を減らします。 |
| 可動性 | 臥位・座位で自分で姿勢を変えられるか、同じ部位へ圧が残っていないか | 自力で除圧しにくい場合は、体位変換、ポジショニング、支持面の調整を検討します。 |
| 栄養 | 摂取状況、体重変化、低栄養リスクなど | 必要な栄養評価につなげ、状況に応じて栄養職種を含む多職種で対応します。 |
| 摩擦・ずれ | 移乗、ベッド上移動、前滑りなどで皮膚へ摩擦・ずれが生じていないか | 持ち上げる移動、スライディング用具、姿勢調整などを用い、不要な摩擦・ずれを減らします。 |
この表は「サブスケールの点数だけで介入を自動決定する表」ではありません。何を追加評価し、どのケアへつなげるかをチームで共有するための実務テンプレートとして使用してください。
よくある失敗|1項目だけ対策して他のリスクを見落とす
たとえば湿潤へのケアを強化しても、同じ患者に前滑りや持続的な局所圧が残っていれば、別のリスクは解消されません。反対に摩擦・ずれだけへ対応しても、低栄養リスクや湿潤が残る場合があります。
複数のリスクがある場合は、最も低い点数だけを選ぶのではなく、確認されたリスクをケア計画の中で漏れなく扱うことが基本です。そのうえで、皮膚・組織の変化や除去可能な圧・ずれなど、その時点で対応が必要な問題から実行順を決めます。
ステップ3|「リスク → ケア → 反応 → 次回確認」を1行で残す
記録では、点数だけでなくその結果から何を判断し、何を実施したかを残します。申し送り時に次の担当者が行動を継続できる情報量が目安です。
1行記録の型
リスク項目・所見 → 実施したケア → 実施後の反応 → 次回確認
たとえば、摩擦・ずれが問題となる患者であれば、「ベッド上移動時に仙骨部のずれあり → スライディング用具を使用し移動方法を統一 → 移動後に新規発赤なし → 次回も皮膚と前滑りを確認」のように残せます。
これは Braden Scale の公式記載様式ではなく、評価結果を申し送りへつなげるための記録例です。施設で定められた記録方法がある場合は、その書式を優先してください。
ステップ4|再評価は定期評価と状態変化の両方で考える
Braden Scale の再評価頻度は、すべての現場で同じ間隔に固定するものではありません。施設で定められた評価頻度を基本とし、患者の状態が変化したときにも見直すことが重要です。
活動性の低下、意識状態の変化、栄養・湿潤状態の変化、療養環境の変化などがあれば、次の定期評価だけを待たずにリスクを確認します。
再評価では総合点の上下だけを見るのではなく、「前回のリスク項目が改善したか」「新しいリスクが出ていないか」「実施したケアを継続・変更する必要があるか」を確認してください。
スコア帯ごとの予防策を整理したい場合は、Braden スコア別の優先順位で確認できます。
5分フロー記録シート(PDF)
ここまでの流れを実際のラウンドで使えるよう、リスク項目 → ケア → 記録 → 再評価をA4記録シートにまとめています。採点後にリスク項目を整理し、その日のケア、記録、再評価・申し送りまでを1枚で確認するためのシートです。
紙で使用する場合も、少なくとも「どのリスクがあるか」「今日何を行うか」「実施後どうだったか」を残しておくと、次の担当者へつなげやすくなります。
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Braden 運用で迷いやすい4つの疑問
留置カテーテル使用中で尿失禁がなければ、湿潤は問題なしと判断してよいですか?
尿失禁の有無だけでは判断しません。Braden の湿潤は皮膚が湿っている実際の状態を評価するため、発汗、便失禁、排液なども含めて確認します。留置カテーテルの有無ではなく、使用している正式な判定基準と実際の皮膚状態に沿って採点してください。
Braden の総合点が同じなら、ケアも前回と同じでよいですか?
総合点が同じでも、各サブスケールの点数や皮膚状態、活動量、全身状態が変化していることがあります。総合点だけでなく、どのリスクが残っているかを確認し、その日のケアを見直します。
複数のサブスケールが低い場合、最低点から対応すればよいですか?
最低点だけを機械的に最優先とする必要はありません。各サブスケールで確認されたリスクをケア計画へ反映しつつ、皮膚・組織の変化、圧やずれ、患者の全身状態などを合わせて優先順位を判断します。
Braden Scale は決められた日だけ再評価すればよいですか?
施設で定められた定期評価に加え、状態が変化したときにもリスクを見直します。活動性、意識状態、栄養・湿潤状態、療養環境などが変化した場合は、再評価の必要性を判断してください。
まとめ|Braden は「点数」ではなくケアまでつないで完結する
Braden Scale を実務で活かすポイントは、総合点だけを追うことではありません。リスクのあるサブスケールを確認し、必要なケアへ変換し、実施後の反応を記録して再評価するところまでを1つの流れとして回します。
ラウンドでは、①リスク項目を確認する、②今日のケアを決める、③反応まで記録する、④定期評価と状態変化に応じて再評価する、の4段階で確認してください。Braden Scale は臨床判断を置き換えるものではなく、褥瘡予防に必要なリスクを整理し、ケアへつなげるために活用します。
参考文献
- Bergstrom N, Braden BJ, Laguzza A, Holman V. The Braden Scale for Predicting Pressure Sore Risk. Nurs Res. 1987;36(4):205-210. PubMed / DOI
- Agency for Healthcare Research and Quality. Preventing Pressure Ulcers in Hospitals: Braden Scale. AHRQ
- Huang C, Ma Y, Wang C, Jiang M, Yuet Foon L, Lv L, et al. Predictive validity of the Braden Scale for pressure injury risk assessment in adults: a systematic review and meta-analysis. Nurs Open. 2021;8(5):2194-2207. PubMed / DOI
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。
現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級

