VOCSN VC マスクの Leak Alarm 対応|まず決めること
VOCSN の VC マスク運用で Leak Alarm が出たときは、最初に患者状態を確認し、その後に「マスク周囲 → 回路接続部 → 回路条件 → Pre-Use Test」の順で切り分けます。いきなりストラップを強く締めるのではなく、位置・接続・回路条件を順番に確認することが、再発予防につながります。
本記事では、臨床現場で使いやすい 5 分フロー、原因別チェック、場面別対応、申し送り用の記録テンプレに絞って整理します。A4 1 枚で使える記録シート PDF も用意したので、チーム内の共有や夜間対応の申し送りにも活用してください。
最初の 5 分で確認する順番
Leak Alarm 対応では、患者安全の確認を先に置きます。そのうえで、マスク・接続・回路・テストの順に進めると、対応者が変わっても判断がぶれにくくなります。
| 順番 | 見るところ | 具体的にすること | 次の判断 |
|---|---|---|---|
| 1 | 患者状態 | SpO2、呼吸努力、顔色、意識、会話可否を確認する | 苦痛・低酸素・意識変化があれば応援を呼ぶ |
| 2 | マスク周囲 | 鼻梁、口角、頬部、下顎側の漏れ音とずれを確認する | 位置を戻し、左右差を小さくして再評価する |
| 3 | 接続部 | Y 字、コネクタ、回路接続部を一度外して再装着する | 半挿入・緩みがあれば固定状態を申し送る |
| 4 | 回路条件 | 屈曲、圧迫、水溜まり、結露、引っ張りを確認する | 体位や配管位置を直して Leak 変化を見る |
| 5 | 回路種別・試験 | 回路交換後や反復時は Pre-Use Test と回路種別一致を確認する | 改善しない場合は施設手順で上位者へつなぐ |
すぐに応援を呼ぶ目安は、SpO2 低下、強い呼吸困難、顔色不良、意識変化、換気不良が疑われる状態、アラームが反復して原因が特定できない状態です。アラーム消音だけで終えず、原因と対応結果を必ず記録します。
A4 記録シート PDF
Leak Alarm 対応は、確認順と申し送り項目を固定しておくと再発時の対応が安定します。下の PDF は、患者状態、マスク周囲、接続部、回路条件、Pre-Use Test、申し送りメモを A4 1 枚で記録できるシートです。
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原因は 4 つに分けて切り分ける
Leak Alarm の原因は、マスク周囲、回路接続部、回路条件、設定・回路種別の 4 つに分けると整理しやすくなります。現場では「どこが漏れているか」を先に決めることで、不要な締め込みや再発を減らせます。
| 確認ポイント | よくある所見 | 初動対応 | 記録に残すこと |
|---|---|---|---|
| マスク周囲 | 鼻梁・口角でシュー音、体位変更で悪化 | 位置再調整、左右均等に張力調整、サイズ再評価 | 漏れ部位、体位、再装着後の変化 |
| 回路接続部 | Y 字・コネクタの緩み、半挿入、引っ張り | 一度外して再装着し、固定状態を再確認 | 緩みの場所、再接続後のアラーム変化 |
| 回路条件 | 結露貯留、屈曲、回路の圧迫、水溜まり | 結露除去、配管位置調整、必要時に回路交換を相談 | 結露量、屈曲部位、調整後の変化 |
| 設定・回路種別 | 回路交換後から頻発、試験未実施、条件変更後の反復 | 回路種別一致を確認し、必要時に Pre-Use Test を実施 | 実施時刻、結果、再発有無 |
場面別に見ると再発原因が見つかりやすい
同じ Leak Alarm でも、夜間、体位変更後、発汗時、排痰補助前後では見る場所が変わります。発生場面を記録しておくと、次のシフトで同じ失敗を繰り返しにくくなります。
| 場面 | 疑うこと | 優先して見る場所 | 再発予防 |
|---|---|---|---|
| 夜間に悪化 | 下顎後退、口元の緩み、寝返り後のずれ | 口角、下顎側、枕との干渉 | 入眠後 30 分前後の再確認を申し送る |
| 体位変更後 | マスク接触圧の偏り、回路の引っ張り | 鼻梁、頬部、接続部、回路の余裕 | 体位変更後 5 分で Leak を再評価する |
| 発汗時 | 接触面の滑り、皮脂・水分による密着低下 | 皮膚接触面、ヘッドギアのずれ | 締め込みより先に清拭・乾燥・再装着を行う |
| 排痰補助前後 | マスク条件の違い、接続の付け替え、回路の半挿入 | マスク種別、コネクタ、回路接続部 | 終了後に元の接続状態と Leak を再確認する |
現場の詰まりどころは「締めすぎ」と「記録不足」
詰まりやすいのは、どこが漏れているか分からないまま締めること、消音だけで終えること、再発時の記録が残らないことです。次の順で確認すると、原因を短時間で共有しやすくなります。
ここまで整えても毎回同じところで詰まる場合は、手順だけでなく、教育体制、共通フォーマット、相談相手の有無など、職場環境の影響を受けている可能性もあります。
よくある失敗は先に潰しておく
Leak Alarm 対応では、アラームを止めることよりも、原因を残して再発を減らすことが重要です。特に、締めすぎ、消音だけ、試験未実施は避けます。
| 場面 | NG | OK |
|---|---|---|
| 発生直後 | 消音のみで原因確認をしない | 患者状態確認と原因切り分けを同時に進める |
| マスク調整 | 一気に強く締める | 位置を戻してから左右均等に微調整する |
| 体位変更後 | 体位だけ直して再評価しない | 5 分後に Leak、SpO2、呼吸努力を再確認する |
| 回路交換後 | 試験せずに再開する | Pre-Use Test と回路種別一致を確認する |
| 申し送り | 「リークあり」だけで終える | 時刻、体位、原因候補、対応、結果を残す |
再発を減らすチェックリスト
一度止まったアラームも、体位、発汗、回路の引っ張りで再発します。再発予防は、確認タイミングを固定し、次の勤務者が同じ順番で見られるようにすることが大切です。
- 体位変更後 5 分で Leak、SpO2、呼吸努力を再評価する
- 発汗時は接触面の清拭・乾燥を優先する
- 結露が出やすい時間帯は回路確認頻度を上げる
- 回路交換時は Pre-Use Test の実施有無を記録する
- 再発時は「時刻・体位・対応・結果」を同じ形式で申し送る
- 原因が分からない反復アラームは、施設手順に沿って主治医・呼吸療法チームへつなぐ
申し送りはミニ記録テンプレでそろえる
再発予防には、長い文章よりも同じ型で残す短い記録が有効です。下表をそのまま申し送りや監査用メモに使うと、夜間や担当交代時の抜けを減らせます。印刷して使う場合は、上の A4 記録シート PDF も活用してください。
| 発生時刻 | 体位・場面 | Leak・関連アラーム | 実施対応 | 結果・次回対応 |
|---|---|---|---|---|
| –:– | 入眠後 / 体位変更後 / 発汗時 / 排痰補助後 | Leak 高値 / Disconnect / SpO2 変化など | 再装着・清拭・接続再確認・Pre-Use Test | 改善 / 不変 / 再発あり・次シフトで再評価 |
よくある質問
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Leak Alarm が鳴ったとき、最初の一手は何ですか?
最初は患者状態の確認です。SpO2、呼吸努力、顔色、意識、会話可否を見て、苦痛や低酸素があればすぐに応援を呼びます。その後、マスク周囲、接続部、回路条件、Pre-Use Test の順で切り分けます。
マスクを強く締めれば解決しますか?
締めすぎは、接触圧の偏りや皮膚トラブルにつながり、かえってリークが残ることがあります。先に位置、口角、鼻梁、接続部、回路の引っ張りを確認し、最後に左右均等に微調整します。
体位変更後にだけ悪化するのはなぜですか?
側臥位や枕の位置で、マスク接触圧が片側に偏るためです。体位変更後は、マスク周囲だけでなく、回路の引っ張りと接続部も同時に確認します。
Pre-Use Test はいつ確認しますか?
回路交換後、回路条件を変更した後、またはアラームが反復するときに確認します。実施の要否や手順は、施設手順とメーカー資料に従ってください。
申し送りには何を書けばよいですか?
最低限、「発生時刻」「体位・場面」「疑った原因」「実施した対応」「改善したか」「次に見ること」を残します。「リークあり」だけでは、再発時に同じ確認を繰り返しやすくなります。
次の一手
- 全体像を確認する:呼吸評価ハブ
- すぐ実装する:NIV マスクリークの原因別対処
参考文献
- Ventec Life Systems. VOCSN Troubleshooting Quick Reference Guide. 公開資料
- Ventec Life Systems. VOCSN Clinical Quick Start Guide. 公開資料
- Hansen-Flaschen J, Ackrivo J. Practical Guide to Management of Long-Term Noninvasive Ventilation for Adults With Chronic Neuromuscular Disease. Respir Care. 2023;68(8):1123-1157. doi:10.4187/respcare.10349. PubMed / DOI
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


