BBSとTUGの違い【比較】使い分けと目安

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BBSとTUGの違い|先に使う評価は目的で決める

BBSとTUGは、同じバランス評価ではなく、確認できる範囲が異なります。短時間で起立・歩行・方向転換・着座までの機能的移動を確認するならTUG立位保持・移乗・リーチなど、バランス課題ごとの遂行状況を段階化するならBBSが向いています。

初回評価で迷った場合は、まずTUGで移動全体を確認し、結果だけでは不安定になる場面や介入対象を説明できないときにBBSを追加すると整理しやすくなります。この記事では、BBSとTUGの違い、先に使う評価、カットオフの扱い方を比較します。

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BBSとTUGの選び方を示す比較図。初回はTUGを行い、内訳が必要な場合はBBSを追加する
初回はTUGで移動全体を確認し、不安定さの内訳が必要な場合にBBSを追加します。

結論:最初の1本を選ぶ早見表

BBSとTUGの選び方
先に決めたいこと 選ぶ評価 主な理由
機能的移動の全体像を短時間で確認したい TUG 起立・歩行・方向転換・着座を一連の動作として確認できる
バランス課題ごとの遂行状況を確認したい BBS 14項目から、困難な課題や介助が必要な場面を整理できる
TUGの結果と実際の不安定さが一致しない BBSを追加 立位保持、移乗、リーチなどの内訳を確認できる
BBSが高得点でも歩行中に不安定さがある 別の動的評価を検討 BBSでは高機能例の問題が十分に表れない場合がある

BBSとTUGは二段階で使い分ける

どちらか一方を固定的に選ぶのではなく、TUGで移動全体を確認し、結果だけでは判断できないときにBBSを追加するという二段階で考えると運用しやすくなります。

  1. 目的を決める:移動全体を知りたいのか、バランス課題の内訳を知りたいのかを明確にします。
  2. 最初の評価を選ぶ:短時間で全体像を確認するならTUG、課題別に評価する必要が明らかな場合はBBSを選びます。
  3. 結果と実場面を照合する:評価値と、トイレ移動、方向転換、移乗などの実際の動作が一致するか確認します。
  4. 説明できない部分を追加評価する:TUGだけで不安定さの内訳が分からなければBBSを追加し、BBSが高得点でも歩行課題が残る場合は別の動的評価を検討します。

迷ったときの基本形:
TUGで全体像を確認 → 数値と生活場面が一致するか確認 → 不安定さの内訳が必要ならBBSを追加

BBSとTUGの違いを比較

TUGは機能的移動を時間で示す評価、BBSは複数のバランス課題を項目別に採点する評価です。得点や時間だけでなく、評価によって何を説明できるかが異なります。

BBSとTUGの主な違い
比較項目 TUG BBS
主に確認する内容 起立・歩行・方向転換・着座を含む機能的移動 立位保持・移乗・リーチ・方向転換などのバランス課題
結果 所要時間(秒) 14項目、各0~4点、合計56点
所要時間 通常3分未満 おおむね15~20分
向いている場面 初回スクリーニング、経時比較、機能的移動の確認 バランス課題の内訳、チーム共有、介入対象の整理
主な弱点 遅延や不安定さの原因を時間だけでは特定できない 実施に時間がかかり、高機能例では天井効果が生じる場合がある
固定する条件 椅子、歩行距離、速度指示、補助具、履物、開始・終了基準 使用する用具、課題の実施条件、介助・監視、採点根拠

BBS/TUG比較記録シートPDF

BBSとTUGを併用するときは、結果だけでなく、椅子、履物、補助具、介助、実場面の所見を一緒に残すことが重要です。比較記録シートでは、初回評価と再評価の条件を同じ紙面で確認できます。

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TUGの13.5秒は対象集団を確認して使う

13.5秒は、地域在住高齢者を対象とした研究で示された転倒リスクの目安です。すべての年齢、疾患、生活環境に共通する安全・危険の境界ではありません。

地域在住高齢者を対象とした系統的レビューでは、13.5秒以上を基準とした場合の統合感度は0.31、特異度は0.74であり、TUG単独による転倒予測には限界が示されています。したがって、基準未満であっても転倒リスクを除外できず、基準以上であっても転倒を断定できません。

13.5秒前後で追加確認する項目

  • 転倒歴:時期、回数、方向、発生した動作
  • 実場面:トイレ移動、狭所、段差、方向転換での不安定さ
  • 動作の質:立ち上がり、歩行開始、ターン、着座でのふらつき
  • 条件:椅子、履物、補助具、介助、速度指示
  • 関連要因:疼痛、疲労、起立性低血圧、薬剤、認知機能、転倒恐怖感

TUGは、背もたれと肘掛けのある椅子から立ち上がり、3m先で方向転換して戻り、再着座するまでを測定します。開始は「Go」、終了は臀部が座面に接した時点とし、快適で安全な速度、同じ補助具で条件をそろえます。詳しい実施方法は記事末のTUG解説で確認できます。

BBSの45点も絶対的な境界ではない

45点は広く引用される目安ですが、BBSのカットオフは対象集団や研究条件によって異なります。高齢者を対象とした系統的レビューでは、転倒リスクの判別に用いられたカットオフは45~51点に分布していました。

そのため、45点未満を一律に「転倒する」、45点以上を「安全」と判断する使い方は避けます。BBSでは合計点に加え、どの項目で監視や介助を要したか、どの課題で姿勢が崩れたかを確認します。

合計点と一緒に確認すること

  • 立ち上がりや移乗で上肢支持・監視・介助を要したか
  • 閉脚立位や片脚立位で支持基底面を狭められるか
  • 前方リーチで一歩を踏み出したか
  • 振り向きや360度回転で速度低下やふらつきがあったか
  • 交互踏み台で片脚支持へ移行できたか

BBSが高得点でも、速い方向転換、二重課題、障害物、屋外歩行などで不安定になることがあります。BBSの結果と生活場面が一致しない場合は、得点だけで評価を終了せず、目的に合う動的バランス・歩行評価を追加します。

BBSとTUGを両方使う場面

両方を行う価値があるのは、TUGで移動能力の変化を追いながら、BBSで不安定さの内訳も確認したい場合です。すべての対象者に最初から両方を実施する必要はありません。

BBSとTUGを併用する判断例
状況 判断 確認すること
TUGが遅いが、どの動作が原因か分からない BBSの追加を検討 立位保持、移乗、リーチなどの課題別遂行
TUGの時間は良好だが、方向転換や移乗で不安定 BBSまたは別の動的評価を追加 数値と実場面が一致しない理由
BBSは高得点だが、屋外や複雑な歩行で転倒する 高難度の動的評価を検討 障害物、速度変化、二重課題、地域生活での移動
介入前後の機能的移動を短時間で追いたい TUGを主指標にする 同じ条件での時間と動作の質
チームへバランス課題の内訳を共有したい BBSを主指標にする 低得点項目、介助内容、失敗した課題

経時比較では評価条件をそろえる

再評価で重要なのは、測定間隔を一律に決めることより、評価目的と条件をそろえ、結果が方針変更に使える時点で測定することです。

  • 椅子の種類と座面高
  • 履物、装具、歩行補助具
  • 見守り、接触介助、身体介助の有無
  • 速度指示と練習試行
  • 疼痛、疲労、血圧、薬剤などの当日条件
  • TUGの時間だけでなく、起立・ターン・着座時の動作
  • BBSの合計点だけでなく、変化した項目と採点根拠

再評価は、介入効果を確認したい時点、転倒や体調変化があった時点、補助具や介助方法を変更した時点、退院・サービス調整などの意思決定前に検討します。

BBSとTUGでよくあるミス

最も避けたいのは、カットオフだけで安全性を判断することと、異なる条件で得た数値をそのまま比較することです。

BBSとTUGの運用で生じやすいミス
ミス 問題 対策
評価名だけで選ぶ 知りたい内容と評価の役割が一致しない 移動全体か、課題別の内訳かを先に決める
カットオフだけで転倒を判断する 対象集団や生活環境による違いを見落とす 転倒歴、実場面、関連要因と統合する
TUGの時間だけを残す 遅延や不安定さが生じた場面を説明できない 起立、ターン、着座時の所見を併記する
BBSの合計点だけを見る 介入対象となる課題を特定できない 低得点項目と介助内容を記録する
異なる条件の結果を比較する 変化が能力によるものか条件によるものか分からない 椅子、履物、補助具、介助、速度指示を固定する

よくある質問

項目名をタップすると回答が開きます。

TUGとBBSは、時間がないときにどちらを優先しますか?

短時間で機能的移動の全体像を確認したい場合は、まずTUGを選びます。TUGの結果だけでは不安定になる課題や介入対象を説明できない場合に、BBSを追加すると整理しやすくなります。

BBSとTUGは必ず両方行う必要がありますか?

必ずしも両方行う必要はありません。評価目的に合う方を主指標として選び、結果と実際の動作が一致しない場合や、追加の意思決定に必要な場合にもう一方を加えます。

TUGが13.5秒未満なら転倒リスクは低いですか?

13.5秒未満だけでは、転倒リスクを除外できません。転倒歴、方向転換や段差での動作、疼痛、起立性低血圧、薬剤、認知機能、転倒恐怖感なども確認してください。

BBSが45点以上なら安全ですか?

45点以上であっても、安全とは断定できません。BBSのカットオフは対象集団によって異なり、高機能例では生活場面の複雑な課題を十分に反映しない場合があります。低得点項目、転倒歴、実際の歩行場面と合わせて解釈します。

BBSが高得点なのに歩行中に不安定なのはなぜですか?

BBSは基本的なバランス課題の評価に有用ですが、速い歩行、障害物、二重課題、屋外環境などを十分に評価する尺度ではありません。BBSと生活場面が一致しない場合は、目的に応じて別の動的バランス・歩行評価を検討します。

次の一手


参考文献

  1. Podsiadlo D, Richardson S. The timed “Up & Go”: a test of basic functional mobility for frail elderly persons. J Am Geriatr Soc. 1991;39(2):142-148. doi:10.1111/j.1532-5415.1991.tb01616.x. PubMed
  2. Shumway-Cook A, Brauer S, Woollacott M. Predicting the probability for falls in community-dwelling older adults using the Timed Up & Go Test. Phys Ther. 2000;80(9):896-903. PubMed
  3. Barry E, Galvin R, Keogh C, Horgan F, Fahey T. Is the Timed Up and Go test a useful predictor of risk of falls in community dwelling older adults: a systematic review and meta-analysis. BMC Geriatr. 2014;14:14. doi:10.1186/1471-2318-14-14. PubMed
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  5. Lima CA, Ricci NA, Nogueira EC, Perracini MR. The Berg Balance Scale as a clinical screening tool to predict fall risk in older adults: a systematic review. Physiotherapy. 2018;104(4):383-394. doi:10.1016/j.physio.2018.02.002. PubMed
  6. Matsumoto D, et al. Screening cutoff values to identify the risk of falls after stroke: a systematic review. J Rehabil Med. 2024;56:jrm00388. PubMed
  7. Shirley Ryan AbilityLab. Timed Up and Go. RehabMeasures Database
  8. Shirley Ryan AbilityLab. Berg Balance Scale. RehabMeasures Database

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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