FIM 6 点は「監視なし+修正あり」で判定する
FIM の 6 点(修正自立)は、他者の介助も監視も不要ですが、時間がかかる/補助具を使う/安全性への配慮が残る状態を示す点数です。完全自立の 7 点ではないものの、介助者が近くで見守ったり、声をかけたりしなくても課題を完遂できる段階です。
この記事では、PT / OT / ST が迷いやすい FIM 6 点と 5 点の違いを、判定フロー、よくある失敗、ケース、記録例で整理します。読み終えると、「これは 6 点でよいのか」「5 点に落とすべきか」「記録に何を書くか」が判断しやすくなります。
FIM 6 点の判定・記録シートを使う
FIM 6 点と 5 点の境界で迷う場面では、点数だけでなく、監視の有無・補助具・時間延長・環境調整を同じ形式で残すことが重要です。下記の記録シートは、6 点に寄る条件と 5 点に落とす条件を確認しながら、臨床記録に必要な情報を書き残せるように作成しています。
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FIM 6 点の定義は「他者の介入は不要だが修正がある」
FIM 6 点を決めるときは、最初に「他者が手を出したか」ではなく、介助・監視・声かけ・準備が必要だったかを確認します。これらが不要で、本人が課題を最後まで実施できる場合に、時間・補助具・安全性配慮などの修正要素を見ます。
6 点で重要なのは、補助具を使ったかどうかだけではありません。杖、手すり、自助具、装具、環境調整、通常より長い時間などがあっても、介助者の監視や促しが不要であれば 6 点に寄ります。一方で、介助者が近くで介入準備をしているなら 5 点を検討します。
| 点数 | 他者の介助 | 監視・声かけ・準備 | 時間・補助具・環境調整 | 判断の要点 |
|---|---|---|---|---|
| 7 点(完全自立) | なし | なし | なし | 修正なく、通常の条件で安全に完遂できる |
| 6 点(修正自立) | なし | なし | あり | 監視は不要だが、時間・補助具・安全配慮が残る |
| 5 点(監視・準備) | 身体介助はなし | あり | 有無は問わない | 見守り、声かけ、準備、促しが必要 |
6 点と 5 点の境界は「監視が必要か」で決める
6 点と 5 点で迷ったら、次の一文で判断します。介入準備としての近接見守り、声かけ、物品準備が必要なら 5 点です。それらが不要で、時間・補助具・環境調整だけが残るなら 6 点です。
特に迷いやすいのは「安全性配慮」という言葉です。安全性配慮が 手すり・滑り止め・動線整理など、本人が監視なしで使える環境面の修正であれば 6 点に寄ります。一方で、転倒時にすぐ支えるために近くで見ているなら、監視が入っているため 5 点を検討します。
| 迷う場面 | 6 点に寄る条件 | 5 点に寄る条件 | 記録で残す言葉 |
|---|---|---|---|
| 杖・手すりを使う | 監視なしで本人が使いこなせる | 使う場面で声かけや近接見守りが必要 | 補助具使用、監視なしで完遂 |
| 動作が遅い | 時間はかかるが介入なしで終えられる | 途中で促しや手順確認が必要 | 時間延長あり、声かけなし |
| 転倒リスクが気になる | 環境調整後は見守り不要 | 介助者が近くで支える準備をしている | 動線調整後、監視なし |
| 物品準備が必要 | 本人が準備から実施まで行える | 介助者が物品を準備してから開始する | 準備介助あり/なしを明記 |
判定フローは「介助→監視→修正」の順で見る
FIM 6 点を安定して採点するには、観察の順番を固定します。先に補助具の有無を見ると判断がぶれやすいため、身体介助があるか、監視・声かけ・準備があるか、最後に修正要素があるかの順で確認します。
この順番にすると、6 点と 5 点だけでなく、4 点以下や 7 点との境界も整理しやすくなります。チームで同じ順番を使うと、評価者間で点数がずれたときも「どの分岐で違ったか」を話し合いやすくなります。
| ステップ | 確認すること | 判断 | 記録の型 |
|---|---|---|---|
| 1 | 身体介助・支え・代行が入ったか | 入った場合は 4 点以下を検討 | 介助が入った工程を残す |
| 2 | 監視・声かけ・準備が必要だったか | 必要なら 5 点を検討 | 何のために監視したかを残す |
| 3 | 時間・補助具・環境調整が必要だったか | 必要なら 6 点、不要なら 7 点 | 修正要素を 1 行で残す |
現場の詰まりどころは「見ているだけ」の扱いで起こる
FIM 6 点で最も詰まりやすいのは、「見ているだけだから介助ではない」と考えてしまう場面です。身体介助がなくても、転倒時にすぐ介入する目的で近くにいるなら、それは監視として 5 点側に寄ります。
判断が揺れるときは、次の 3 点に絞って確認します。
- よくある失敗を先に潰す
- 判定フローで順番を固定する
- 関連:FIM 5 点の記事で監視・促しの具体例を確認する
よくある失敗と修正
| よくある失敗 | なぜ起きるか | 修正の考え方 | 記録の一言例 |
|---|---|---|---|
| 近接見守りしているのに 6 点にする | 「触れていない=自立」と考える | 介入準備があるなら 5 点 | 方向転換でふらつきあり、近接見守り必要 |
| 補助具使用を 5 点と決め打ちする | 補助具と介助を混同する | 監視不要なら補助具使用でも 6 点 | 杖使用、監視なしで病棟内歩行可能 |
| 声かけを記録せず 6 点にする | 促しを介入として扱っていない | 手順の声かけが必要なら 5 点 | 更衣手順の声かけ 2 回で完遂 |
| 毎回 5 点で改善が見えない | 見守り距離や条件が固定されていない | 環境条件を固定し、監視の有無を再評価する | 手すり使用、見守りなしでトイレ動作完遂 |
ここまで整えても毎回同じところで詰まる場合は、個人の努力だけでなく、教育体制・共通フォーマット・相談相手の有無など、職場環境の影響を受けている可能性もあります。評価・記録・報告の型をまとめて整理したい方は、PT キャリアガイドも参考になります。
ケースでは「補助具」より先に「監視の有無」を見る
ケースで判断するときも、先に見るのは補助具ではなく監視の有無です。杖・手すり・自助具を使っていても、本人が準備から実施まで監視なしで完遂できるなら 6 点に寄ります。
反対に、同じ補助具を使っていても、方向転換や立ち上がりで介助者が支える準備をしている場合は 5 点を検討します。点数だけでなく、どの条件なら 6 点で、どの条件なら 5 点になるのかを残すと、再評価しやすくなります。
| 場面 | 観察 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 歩行(病棟) | 杖使用、速度は遅いが監視なしで完遂 | 6 点 | 補助具・時間の修正のみ |
| 歩行(方向転換) | 方向転換でふらつき、転倒時に支える意図で近接 | 5 点 | 監視が必要 |
| 整容 | 動作は可能だが、手順の声かけが必要 | 5 点 | 促しが必要 |
| 更衣(上衣) | 片手手技で時間がかかるが、声かけなしで完遂 | 6 点 | 時間延長のみ |
| トイレ動作 | 手すり使用、監視なしで安全に実施 | 6 点 | 補助具使用の修正 |
| 入浴 | 滑りリスクがあり、介助者が近くで見守る | 5 点 | 安全確保の監視が必要 |
| 移乗 | 手すり使用、時間延長あり、近接見守りなしで完遂 | 6 点 | 補助具・時間の修正のみ |
| 食事 | 自助具を使用し、姿勢調整後は見守りなしで摂取 | 6 点 | 自助具・環境調整の修正のみ |
記録では「点数+修正の中身」を 1 行で残す
FIM 6 点は「介助なし」とだけ書くと、次回評価で比較しにくくなります。記録では、点数、補助具、時間、環境調整、監視の有無を短く残すと、改善の実態が追いやすくなります。
特に 5 点から 6 点へ上がった場面では、「見守りが不要になった条件」を残すことが重要です。例として、「歩行:T 字杖使用、速度低下あり、監視なしで病棟内移動可能」「トイレ動作:手すり使用、準備介助なし、監視なしで完遂」のように記録します。
| 項目 | 記録する内容 | 記録例 |
|---|---|---|
| 補助具 | 杖、手すり、自助具、装具など | 歩行:T 字杖使用、監視なし |
| 時間 | 通常より時間がかかるか | 更衣:時間延長あり、声かけなしで完遂 |
| 環境調整 | 動線、段差、手すり、物品配置など | トイレ動作:手すり使用、準備介助なし |
| 監視の有無 | 近接見守りや介入準備が不要か | 移乗:手すり使用、近接見守りなしで実施 |
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
「念のため見ている」は FIM 5 点ですか?
転倒時にすぐ介入する目的で近くにいるなら 5 点に寄ります。介入意図がなく、本人が安定して完遂できる状態を確認しているだけなら、6 点を検討できます。
補助具を使うと必ず FIM 6 点ですか?
補助具使用は 6 点の修正要素になりやすいですが、必ず 6 点とは限りません。補助具を使う場面で監視、声かけ、準備が必要なら 5 点を検討します。
時間がかかるだけなら FIM 6 点でよいですか?
他者の介助・監視・声かけが不要で、本人が最後まで完遂できるなら 6 点に寄ります。途中で促しや手順確認が必要なら 5 点を検討します。
安全性配慮と監視は同じですか?
同じではありません。本人が監視なしで使える手すり、滑り止め、動線調整などは 6 点の修正要素に寄ります。介助者が転倒時に支えるため近くで見ているなら、監視として 5 点を検討します。
6 点と 5 点で迷ったときは低い点をつけるべきですか?
まずは条件を固定し、監視・声かけ・準備の有無を確認します。介入準備が必要なら 5 点、不要で修正要素のみなら 6 点です。迷いを残す場合は、点数だけでなく判断理由を記録します。
次の一手
- 全体像を整える:FIM の全体像(18 項目・採点の基本)
- 境界を深掘りする:FIM 5 点(監視・促し)の境界と具体例
参考文献
- Keith RA, Granger CV, Hamilton BB, Sherwin FS. The functional independence measure: a new tool for rehabilitation. Adv Clin Rehabil. 1987;1:6-18. PubMed
- Granger CV, Hamilton BB, Keith RA, Zielezny M, Sherwin FS. Advances in functional assessment for medical rehabilitation. Top Geriatr Rehabil. 1986;1(3):59-74. DOI
- Turner-Stokes L, Nyein K, Turner-Stokes T, Gatehouse C. The UK FIM+FAM: development and evaluation. Clin Rehabil. 1999;13(4):277-287. PubMed / DOI
- King’s College London. The UK FIM+FAM Manual v2.2. PDF
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


