FIM 6 点(修正自立)の基準と 5 点との差|判定フローと例

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FIM 6 点(修正自立)とは?結論:監視なしで「時間・補助具・安全配慮」を許容する点数です

採点の迷いを減らすコツは、「監視が要るか?」を先に決めることです。 評価 → 介入 → 再評価の型を 3 分で復習する( PT キャリアガイド )

FIM の 6 点(修正自立)は、他者の介助も監視も不要で課題を完遂できる一方、時間がかかる/補助具を使う/安全配慮(環境調整など)が必要といった「修正」を許容する点数です。現場で最も迷うのは 6 点と 5 点の境界で、ここがブレると経時変化の解釈(改善なのか、採点の揺れなのか)が曖昧になります。

結論としては、“見守り・声かけ・準備” が必要なら 5 点、それが不要で 「時間・補助具・安全配慮」だけが残るなら 6 点です。本記事では、判断の順番(フロー)と、よくある失敗パターン、記録の書き方をセットで整理します。なお、5 点(監視・促し)の具体例は FIM 5 点の記事にまとめています。

FIM 6 点(修正自立)の定義:何が “OK” で、何が “NG” か

FIM の採点では、まず「他者が手を出したか」を確認し、次に「監視(見守り)や声かけが必要か」を判定します。手も出していない/監視もしていないのに、補助具や時間の都合で点数を下げる場面が、ちょうど 6 点に相当します。

ポイントは、“安全のために見ている” が 5 点になるケースです。実際には、転倒リスクや判断の不確実さが残っていて「いつでも介入できる距離で見守る」状態なら、補助具を使っていても 5 点寄りになります。逆に、環境や補助具を整えれば 1 人で完遂できる状態で、他者は介入準備をしていないなら 6 点と判断しやすくなります。

FIM の 7 点/ 6 点/ 5 点の違い(成人・一般的運用の早見)
点数 他者の介助 監視・声かけ 時間・補助具・環境 典型例
7 点(完全自立) なし なし 修正なし 普段どおりに 1 人で実施
6 点(修正自立) なし なし 修正あり(時間/補助具/環境調整) 杖・手すり使用、動作が遅い、段差回避の環境調整
5 点(監視・促し) なし(身体介助なし) あり(見守り/声かけ/準備) 修正の有無は問わない 方向転換でふらつくため近接見守り、手順の声かけが必要

6 点と 5 点の境界:一文ルールと “迷いポイント”

一文ルール:介入準備(近接見守り)や声かけが必要なら 5 点。それが不要で、時間・補助具・環境調整だけなら 6 点」です。ここで迷いやすいのは、見守りの強度(どの距離で、どの程度の介入意図で見ているか)と、安全配慮の “介入” 化(安全のために常時ついている)です。

判断を揃えるコツは、「見守り=いつでも手が出せる距離/転倒時に介入する意図」と定義して、チーム内で言葉を統一することです。単に同室にいる、声が届く範囲にいる、といった “存在” だけではなく、介入準備の有無で 5 点に寄るかを決めると、採点の揺れが減ります。

判定フロー:3 ステップで 6 点を決める

現場での最短フローは、次の 3 ステップです。順番を固定すると「 6 点 → 5 点 への揺れ」が起きにくくなります。

FIM 6 点を決める 3 ステップ(観察→判断→記録)
ステップ 見ること 判断 記録の型
1 他者が手を出したか(身体介助・支え・代行) 手が出たら 4 点以下の検討へ 介助が入った工程(起立/立位保持/着座など)を明記
2 監視・声かけ・準備が必要か(近接見守りの意図) 必要なら 5 点 「どの場面で」「何のために」見守るか(転倒/手順/安全)
3 時間・補助具・環境調整が必要か 必要なら 6 点(不要なら 7 点) 補助具(杖・手すり)/時間(遅い)/環境(段差回避)

現場の詰まりどころ:6 点に寄せすぎ/ 5 点に落としすぎ

採点が不安定になる典型は、「安全のために見ている」が 6 点扱いになってしまうケースです。転倒や手順逸脱のリスクが残っていて、実際には いつでも介入する意図があるなら、点数は 5 点に寄ります。一方で、介入意図がなく、環境や補助具で本人が完遂できるのに、慣習的に “念のため” で 5 点にしてしまうと、改善が見えにくくなります。

チーム運用では「見守りの定義」と「記録の最低限」をセットにすると揺れが減ります。特に回復期や生活期で FIM を継続使用する場合、点数よりも “条件” を固定して記録することが、再評価の精度に直結します。

よくある失敗と修正( 6 点/ 5 点の境界を安定させる)
よくある失敗 なぜ起きる 修正の考え方 記録の一言例
安全のために近接見守りしているのに 6 点 「見ている」=監視の扱いが曖昧 介入意図(転倒時に手が出る)なら 5 点 方向転換でふらつきあり、近接見守り必要
補助具使用= 5 点と決め打ち 補助具=介助と誤解 監視不要なら補助具使用でも 6 点 杖使用、監視なしで完遂(時間延長あり)
声かけが必要なのに 6 点 声かけを “介助” として扱わない 促し・手順確認が必要なら 5 点 更衣手順の声かけ 2 回で完遂
毎回 5 点で推移して改善が見えない 条件(見守り距離・環境)を固定できていない 条件固定→再評価の比較軸を作る 手すり使用・段差回避・監視なしで実施

ケースで確認:これは 6 点? それとも 5 点?

次の例は、境界で迷いやすいパターンです。結論だけでなく、「監視が要るか」を先に見てください。

6 点/ 5 点で迷いやすいケース(代表例)
場面 観察 判断 理由
歩行(病棟) 杖使用、速度は遅いが介入意図なし 6 点 補助具・時間の修正のみで完遂
歩行(方向転換) 方向転換でふらつき、転倒時に支える意図で近接 5 点 監視(近接見守り)が必要
整容 一連は可能だが、手順の声かけが必要 5 点 促し( verbal cueing )が介入
更衣(上衣) 片手で時間がかかるが、介入なしで完遂 6 点 時間延長の修正のみ
トイレ動作 手すり使用、監視なしで安全に実施 6 点 補助具(手すり)使用の修正
入浴 浴室で滑りリスクがあり、見守り距離を詰める 5 点 安全のための監視が必要

記録のコツ: 6 点は “修正の中身” を 1 行で残す

6 点は「介助なし」なので、点数だけ書くと情報量が不足しがちです。経時変化を追いやすくするため、修正の中身を 1 行で残します。おすすめは 「補助具/時間/環境」の 3 点セットです。

例として、「歩行:杖使用、速度低下あり、監視なし」「トイレ動作:手すり使用、段差回避で実施」など、条件を固定できる言葉にするのがコツです。これだけで、次回評価で “同条件比較” がしやすくなり、点数の揺れを減らせます。

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

「念のため見ている」は 5 点ですか?

「念のため」の中身が重要です。転倒時に介入する意図で近接見守りをしているなら、実質的に監視が入っているため 5 点寄りです。一方で、同室にいるだけで介入意図がなく、本人が安定して完遂できるなら、監視なしと判断して 6 点になりやすいです。

補助具を使うと必ず 6 点( 7 点にはならない)ですか?

一般的な運用では、補助具使用がある場合は「修正」が入るため 6 点とする判断が多いです。ただし施設の運用(採点ルール)により扱いが異なることがあります。いずれにせよ、点数よりも 条件(補助具の種類、使用場面)を固定して記録しておくと再評価が安定します。

時間がかかるだけで 6 点にしてよいですか?

はい、他者の介助・監視が不要で、本人が完遂できるなら「時間延長」は 6 点の典型です。逆に、時間がかかる理由が「途中で止まる」「注意喚起が必要」「安全確保で近接見守りが必要」なら、時間延長ではなく 5 点寄りになります。

6 点と 5 点で迷ったら、どちらを優先しますか?

迷ったときは、まず「監視(介入準備)が必要か」で決めるのがおすすめです。監視が必要なら 5 点、不要なら 6 点です。迷いの原因は多くが “監視の定義の揺れ” なので、チーム内で言葉と記録の型を揃えると、次回から迷いが減ります。

次の一手:FIM を “迷わず運用” するために

参考文献

  • Keith RA, Granger CV, Hamilton BB, Sherwin FS. The functional independence measure: a new tool for rehabilitation. Adv Clin Rehabil. 1987;1:6-18. PubMed
  • Granger CV, Hamilton BB, Keith RA, Zielezny M, Sherwin FS. Advances in functional assessment for medical rehabilitation. Top Geriatr Rehabil. 1986;1(3):59-74. (概念的背景)

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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