総合実施計画書の書き方|差し戻し回避【PDF付】

制度・実務
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リハビリ総合実施計画書は「評価→目標→介入」で書く

リハビリテーション総合実施計画書で差し戻しを減らすには、欄を長く埋めるより、評価・短期目標・具体的アプローチを1本の線でつなぐことが重要です。本記事はPT・OT・ST向けに、2026年度改定後の様式を前提として、記入時に迷いやすい「評価項目・内容」「短期目標」「具体的アプローチ」「説明記録」の書き方に絞って整理します。

この記事で決めるのは、①何を評価欄に書くか、②短期目標をどう再評価可能にするか、③多職種が同じ動きに移れる具体的アプローチへどう落とすか、の3点です。制度の点数や算定要件の詳細は親記事に任せ、ここでは差し戻し回避に直結する記入順とNG→OK変換に絞ります。

本記事は2026年5月1日時点で確認できる厚生労働省資料をもとにした実務整理です。最終運用は、院内ルール・施設基準・最新の疑義解釈を確認してください。

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2026改定の全体像を見る

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記入前チェックシートで差し戻しを先に防ぐ

総合実施計画書は、公式様式を開いてから考えるよりも、提出前に確認する項目を1枚でそろえる方が差し戻しを減らしやすくなります。評価項目・短期目標・具体的アプローチ・再評価時点を確認できるA4・1枚のチェックシートを用意しました。

印刷して使う場合は、本文のNG→OK表と合わせて確認してください。とくに「評価欄が抽象的」「短期目標が改善するで止まる」「具体的アプローチが長文になる」場合は、チェックシートで先に型をそろえると修正しやすくなります。

2026改定後は「署名」より「説明日・説明者」を残す

2026年度改定後に読み替えたいのは、様式が簡素化されたことそのものより、説明した事実をどこに残すかです。患者等の署名欄は廃止されましたが、説明日・説明者の確認は残ります。写しに説明日・説明者がなければ、診療録に補う形で整理します。

また、リハビリテーション総合計画評価料では初回・2回目以降の区分が整理されました。書き方としては、算定区分そのものを本文に詰め込むより、2026改定の全体像を確認したうえで、計画書内では「評価→目標→介入→再評価」のつながりを短く残すことを優先します。

2026改定後に読み替えたい実務ポイント
観点 改定後の考え方 書き方で意識すること 院内で先にそろえること
様式 計画書は統合・簡素化の方向 欄を埋めるより、評価→目標→介入の接続を短くする 共通欄と保存場所
署名 患者等の署名欄は不要 説明した事実が残る書き方にする 説明日・説明者の残し方
説明者 医師または指示を受けた看護師・PT・OT・STが説明できる場合がある 誰が説明したかが分かるようにする 病棟ごとの説明担当
回復期リハ病棟 引き続き医師による説明が必要 他病棟と同じ扱いにしない 回復期用の確認欄
評価料 初回・2回目以降の区分を確認する 再評価の節目を意識して書く 初回判定ルール

まずは10分フローで埋める順番を固定する

総合実施計画書の書き方として評価項目・内容、短期目標、具体的アプローチをつなぐ流れを示した図版
総合実施計画書は、評価項目・内容、短期目標、具体的アプローチを順番につなぐと書きやすくなります。

総合実施計画書は、最初に「評価項目・内容」の質をそろえると、その後が一気に整います。埋める順番は、評価(事実)→短期目標(期限・条件)→具体的アプローチ(担当・頻度・手段)です。

迷ったときは、すべての欄を同時に埋めようとせず、次の順番で1行ずつ決めます。評価欄が曖昧なまま目標を書くと、短期目標が「改善する」になり、具体的アプローチも長文化しやすくなります。

  1. 評価項目・内容:コロン(:)の後ろに「条件つきの事実」を1行で書く
  2. 短期目標:期限+条件(補助具・介助量・環境)+1指標で書く
  3. 具体的アプローチ:担当×頻度×手段で1行化する
  4. 多職種共有:看護の24時間手順と退院後支援の方向性を一言でそろえる
  5. 再評価:週次のミニ再評価と退院前の見直し時点を固定する
  6. 説明記録:説明日・説明者・保存先を最後に確認する

rehabilikun Library|計画書の考え方を深める2冊

総合実施計画書は、文章の型だけでなく、評価結果から目標・方針・具体的な介入を組み立てる考え方を理解すると書きやすくなります。この記事と合わせて読むなら、次の2冊が候補です。

🥇 まず読むなら

リハビリテーション医学・医療における処方作成テキスト

評価結果からリハビリテーションの目標、方針、具体的な処方へつなげる思考を整理したい方に向いています。総合実施計画書の様式そのものを解説する本ではありませんが、「なぜこの目標と介入を書くのか」を考える土台になります。


🥈 さらに深く学ぶなら

リハビリテーション管理学(PT・OTビジュアルテキスト)

リハビリテーション部門の管理、多職種連携、教育、医療安全など、計画書を実際に運用する組織的な背景を整理したい方に向いています。計画書の記入方法を直接扱う本ではありませんが、チームで計画を共有・運用する視点を補えます。


書籍は制度上の記載要件そのものを示す資料ではありません。算定要件・様式・説明記録については、厚生労働省の最新資料と院内ルールを優先してください。

現場の詰まりどころは「抽象語」と「長文化」です

差し戻しは、重大な誤りよりも、読み手が次の判断に進めない書き方で起きやすくなります。総合実施計画書はチーム運用の起点なので、評価が抽象的、短期目標が曖昧、具体的アプローチが長文になると、現場で実行されにくくなります。

先に見るべき場所は次の3つです。スマホでは表を横スクロールして確認してください。

  • よくある失敗:短期目標のNG→OK変換
  • 回避の手順:具体的アプローチの1行化
  • 見落としやすい:説明記録と再評価時点の残し方
総合実施計画書で差し戻しが起きやすい6パターン
パターン なぜ差し戻される? 直し方 一言テンプレ
評価項目・内容が抽象的 評価が目標に結びつかず、計画が空中分解する コロンの後ろに条件つきの事実を書く 「○○:△△で××が起きる」
短期目標が「改善する」 期限・条件がなく、再評価できない 期限+条件+1指標にする 「1か月後、屋内20mをT字杖で見守り」
具体的アプローチが長文 誰が何をするかが読めず、運用がそろわない 担当×頻度×手段で1行化する 「PT:週5回、屋内歩行20m」
多職種の役割が重複する 介入が散らかり、成果が追いにくい 同じ目標に対して役割を分ける 「PT=移動、OT=生活課題、看護=24時間」
再評価の時点が不明 計画が更新されず形骸化する 週次・節目を固定する 「週1回のミニ再評価+退院前カンファ」
説明記録が残らない 署名欄廃止後に確認場所がぶれる 説明日・説明者・保存先を固定する 「写しにない場合は診療録へ補う」

同じところで毎回詰まる場合は、書き方だけでなく環境も点検します

ここまで整えても評価・記録・報告で毎回同じところに詰まる場合は、個人の努力不足ではなく、教育体制・共通フォーマット・相談相手の有無など、職場環境の影響を受けている可能性もあります。

評価項目・内容はコロンの後ろを具体化する

評価欄は、評価名を列挙する場所ではなく、目標と介入の根拠になる事実を書く場所です。条件と観察結果をセットで書くと、次の意思決定まで一気につながります。

「下肢筋力低下あり」「耐久性低下あり」のような表現だけでは、短期目標も具体的アプローチも決めにくくなります。コロン(:)の後ろに、いつ・どの条件で・何が起きるかを入れてください。

評価項目・内容:NG→OK
評価名 NG(抽象) OK(条件つき事実) 次につながる意思決定
筋力低下 下肢筋力低下あり 立ち上がりは手すり必須、5回で息切れ(Borg 4) 回数・休憩条件を固定して再評価
疼痛 疼痛あり 歩行開始5分で膝痛NRS 6、階段で増悪 荷重条件・課題の優先順位を決める
呼吸循環 耐久性低い 屋内歩行20mでSpO2低下、回復に2分 歩行距離と休憩をセットで設計
嚥下 むせあり 薄い水分で湿性嗄声、食事はとろみで安定 食形態とセルフケアを統一

短期目標は「期限×条件×1指標」で書く

短期目標は、達成を宣言する欄ではなく、再評価を回すための欄です。数値や指標は1つで十分なので、まずは期限・条件・評価指標を固定します。

「歩行能力を改善する」「ADLを向上させる」では、何をもって達成と判断するかが不明です。補助具、介助量、環境、距離、時間、回数などのうち、追跡する要素を1つに絞ると現場で使いやすくなります。

  • 期限:「2週間後」「1か月後」など、院内の見直し周期に合わせる
  • 条件:補助具(杖・装具)、介助量(見守り・介助)、環境(屋内・屋外、段差)
  • 1指標:距離、時間、回数、転倒回数、Borgなど
短期目標のNG→OK
NG OK 改善ポイント
歩行能力を改善する 1か月後、屋内20mをT字杖・見守りで歩行し、転倒0回 期限+補助具+介助量+距離を固定
ADLを向上させる 1か月後、更衣上衣を椅子座位で10分以内に見守りで実施 場面と時間を明記し再評価可能にする
体力をつける 2週間後、屋内歩行30m実施後のBorgを4以下で維持 主観指標を1つだけ採用して追跡

具体的アプローチは「担当×頻度×手段」で1行化する

具体的アプローチが長文になるほど、現場では読まれにくくなります。総合実施計画書には意思決定の要点だけを残し、細かな実施内容や当日の反応は日々の記録へ寄せると運用しやすくなります。

ポイントは、誰が、どの頻度で、何を、どの条件で行うかです。多職種で同じ目標を追う場合でも、PTは移動、OTは生活課題、STは摂食・コミュニケーション、看護は24時間の統一というように役割を分けます。

具体的アプローチの1行化テンプレ
職種 例(1行) そろえる条件
PT 頻度+課題+条件 週5回、屋内歩行20m(T字杖・見守り)+休憩1回 補助具・介助量・距離
OT 生活課題+環境 更衣・調理を自宅想定で練習、段差と手すり条件を確認 家屋条件・道具
ST 摂取条件+再評価 食形態と姿勢を統一、週1回の再評価で見直し 食形態・姿勢・反応
看護 24時間の統一 移乗は手すり使用、見守り位置を統一、夜間は動線を固定 手順・見守り
SW等 退院後の方向性 退院後サービス調整(訪問・通所)、福祉用具の検討 期限・担当

説明記録は「写しに残すか、診療録に補うか」で決める

署名欄がなくなったあとに迷いやすいのは、説明内容をどこまで診療録へ書くかです。実務上は、計画書の写しに説明日・説明者があれば確認しやすく、写しにない場合は診療録に補います。

説明内容そのものを毎回長文で書く必要はありません。ただし、患者や家族の意見、計画への希望、共有しておくべき特記事項がある場合は、診療録へ短く残すと後から確認しやすくなります。

説明記録と再評価で先にそろえたい項目
論点 最低限そろえたいこと 書き方のコツ
説明日 計画書写しまたは診療録のどちらかに残す 日付欄の位置を院内で固定する
説明者 誰が説明したかを残す 職種名までそろえる
説明内容 毎回の詳記は不要 特記事項があるときだけ補足する
患者・家族の意見 希望や懸念が出た場合は診療録へ残す 逐語ではなく要点を1行で書く
再評価 週次+節目の見直し時点を固定する 短期目標に対応する1指標を決める

ケース別の書き方は「評価→目標→介入」を崩さない

疾患が変わっても、基本の型は同じです。評価欄に条件つきの事実を書き、短期目標で期限・条件・1指標を固定し、具体的アプローチで担当・頻度・手段へ落とします。

ここでは、脳卒中、整形外科、内部障害の3パターンで、どこを優先して書くかを整理します。文章を増やすより、再評価できる1指標を決めることを優先してください。

脳卒中:移動とADLを同時にそろえる

評価は「立ち上がり」「歩行」「注意・疲労」を事実で書き、短期目標は屋内移動の条件を固定します。介入はPT(移動)と看護(24時間の統一)をセットにすると、病棟内のブレを減らしやすくなります。

整形外科:疼痛と荷重条件で統一する

評価欄に荷重条件と疼痛の変化(時間・場面)を入れ、目標は距離か時間の1指標に絞ります。具体的アプローチは、PTの移動課題とOTの生活課題(更衣・家事)を早めに接続すると退院調整が進みやすくなります。

内部障害:休憩と中止基準を先に決める

評価欄にSpO2や息切れ(Borg)を入れ、短期目標は休憩条件を固定します。具体的アプローチは「距離・休憩・再評価」の3点に絞ると、過負荷を避けながら運用しやすくなります。

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップすると閉じます。

Q1.評価項目・内容が「薄い」と言われます。何を書けばいいですか?

コロン(:)の後ろに「条件つきの事実」を1行で書きます。例:「立ち上がり:手すり必須、5回で息切れ(Borg 4)」。この1行が短期目標と具体的アプローチの根拠になります。

Q2.短期目標が「改善する」になってしまいます。

期限+条件+1指標に直します。例:「1か月後、屋内20mをT字杖で見守り、転倒なし」。数値は1つで十分で、条件固定を優先すると再評価が回ります。

Q3.具体的アプローチが長文になります。

「担当×頻度×手段」で1行化し、詳細は日々の記録へ寄せます。総合実施計画書は意思決定の要点に絞るほど、院内で運用がそろいます。

Q4.署名欄がなくなったら、説明内容も全部診療録へ書くべきですか?

いいえ。説明内容そのものを毎回詳しく記載する必要はありません。ただし、患者や家族から計画に対する意見や希望など、特に残すべき事項がある場合は診療録へ記載します。

Q5.回復期リハビリテーション病棟でもPT・OT・STが説明できますか?

回復期リハビリテーション病棟では、引き続き医師による説明が必要です。一般病棟等と同じ扱いにせず、病棟ごとの説明担当と記録場所を院内で確認してください。

Q6.転院後や再発時は「初回」の考え方が変わりますか?

自院で同一疾患に対して初めて総合計画評価料を算定する場合は、他院での算定有無にかかわらず初回として扱います。また、再発・急性増悪などで起算日が再設定され、改めて計画書を作成・評価する場合も初回の扱いになります。

次の一手


参考資料(一次情報)

  • 厚生労働省.令和8年度診療報酬改定について.掲載ページ
  • 厚生労働省.令和8年度診療報酬改定―重点的な対応が求められる分野(医学管理・リハビリテーション).PDF
  • 厚生労働省.診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号)別添1 医科診療報酬点数表に関する事項.PDF
  • 厚生労働省.疑義解釈資料の送付について(その1)(令和8年3月23日事務連絡).PDF
  • 厚生労働省.令和8年度診療報酬改定に関する様式(医科).掲載ページ

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関・介護福祉施設・訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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