PermeとIMSの違いは「最高到達レベル」か「複数領域」か
Perme ICU Mobility ScoreとICU Mobility Scale(IMS)は、どちらもICU患者のmobilityを評価する尺度ですが、得られる情報は同じではありません。IMSは「その患者がどこまで動けたか」という最高到達レベルを0〜10で簡潔に表す尺度、Permeは15項目・7領域からmobility statusを0〜32点で評価する尺度です。
そのため、「活動度の到達レベルを簡潔に把握したいのか」「mobilityに影響する複数の要素まで含めて評価したいのか」で選ぶと整理しやすくなります。この記事では採点方法そのものではなく、PermeとIMSの違い・選び方・併用時の考え方に絞って解説します。

PermeとIMSを5つのポイントで比較
最も重要な違いは、IMSが1つの最高到達レベルを示すのに対し、PermeはICU患者のmobilityを複数領域から評価することです。どちらもmobilityを扱いますが、尺度の構造が異なるため、同じ患者を評価しても得られる情報量や焦点が異なります。[1][2]
| 比較項目 | IMS | Perme |
|---|---|---|
| スコア | 0〜10の11段階 | 0〜32点 |
| 評価構造 | 最高到達mobility levelを1段階で示す | 15項目・7領域を評価して合計する |
| 主に分かること | その時点でどこまでmobilityが到達しているか | mobility statusと、それに関わる複数領域の状態 |
| 評価に含まれる情報 | ベッド上から歩行までの到達レベル | 意識、潜在的なmobility barrier、筋力、ベッド上動作、移乗、歩行、耐久性など |
| 選択するときの考え方 | 活動度を簡潔な共通指標として追いたい | mobilityを複数の側面から捉えたい |
ここでいう「向いている場面」は、尺度の構造を踏まえた実務上の整理です。「IMSは毎日、Permeは特定の日だけ使う」といった使用頻度が、原著で一律に規定されているわけではありません。
どちらを選ぶ?「何を知りたいか」から決めます
PermeとIMSのどちらを使うかは、尺度の優劣ではなく、評価によって何を知りたいのかから決めます。特に「最高到達レベル」と「mobilityに関わる複数要素」を分けて考えると選びやすくなります。
最高到達レベルを簡潔に把握したいならIMS
IMSは、成人ICU患者の最高mobility levelを0〜10の11段階で表すために開発された尺度です。ベッド上での活動から歩行まで、その時点で到達している活動度を1つの値として示せます。[2]
したがって、日々の変化を同じ尺度で追ったり、多職種間で「現時点でどこまで動けているか」を簡潔に共有したりする目的と相性があります。ただし、IMSの値だけでは、なぜそのレベルにとどまっているのかまでは分かりません。
mobilityに関わる複数要素も見たいならPerme
Permeは15項目を、mental status、potential mobility barriers、functional strength、bed mobility、transfers、gait、enduranceの7領域に分けて評価します。合計点は0〜32点で、得点が高いほどmobility barrierが少なく、必要な介助が少ない方向を示します。[1]
そのため、最高到達レベルだけではなく、意識、ICU特有の機器・ラインなどのバリア、筋力、基本動作、歩行、耐久性まで含めてmobility statusを整理したい場面で情報を得やすい尺度です。
ただし、Permeも「動けない原因」を確定する診断尺度ではありません。低得点となった領域を手掛かりに、病態、循環・呼吸状態、疼痛、鎮静、せん妄、筋力、環境条件などを別途評価していく必要があります。
同じ患者でもPermeとIMSでは見える情報が違います
尺度の違いは、同じ患者を評価した場面を考えると分かりやすくなります。以下は尺度構造を説明するための架空例です。
例:端座位まで実施できたICU患者
患者は端座位まで実施できましたが、覚醒状態に変動があり、複数のライン・機器を使用し、立位へ進むには介助量や耐久性にも課題がある状況とします。
| 尺度 | 主に捉える情報 | 評価後に残る問い |
|---|---|---|
| IMS | その時点で到達した最高mobility level | なぜ次のmobility levelへ進みにくいのか |
| Perme | 意識、バリア、筋力、ベッド上動作、移乗、歩行、耐久性などを含むmobility status | 低下している領域の背景にどの病態・条件があるのか |
つまり、IMSは「どこまで到達したか」を捉えるのに対し、Permeは「mobilityを構成する複数領域がどうなっているか」まで情報を広げられます。
この違いを理解しておくと、「IMSが低いからPermeも必ず低い」「Permeが上がればIMSも同じ割合で上がる」といった単純な読み方を避けやすくなります。
PermeとIMSの点数は直接換算しません
Permeの○点=IMSの○点、という形で単純換算する尺度ではありません。両者は関連するmobilityを評価していますが、評価構造が異なるためです。
2025年に報告された日本語版Perme Scoreの初期心理測定学的検討では、ICU退室時の69例を対象にIMSとの相関がρ=0.73と報告されています。一方、この研究は両尺度の換算式を作成した研究ではありません。[4]
したがって、実務では「Permeが何点上がったからIMSも何段階上がるはず」と考えるのではなく、それぞれの尺度内で経時変化を追うのが基本です。
日本語版PermeとIMSの検証も進んでいます
日本のICUで使用する場合は、原版だけでなく日本語版の検証状況も確認しておきたいところです。
日本語版IMSについては、2025年にICU滞在48時間以上の患者193例を対象とした研究で構成概念妥当性と予測妥当性が検討されています。ICU退室時IMSはBarthel Index、MRC sum score、握力などとの関連が報告されました。[3]
日本語版Perme Scoreについても2025年に報告され、ICU退室時の69例で評価者間信頼性はκ=0.83でした。IMSとの相関に加えて、FSS-ICUやMRC sum scoreとの関連も検討されています。[4]
ただし、これらの結果をすべてのICU患者やすべての評価時点へそのまま一般化できるとは限りません。各研究の対象や評価時点を確認したうえで使用することが重要です。
具体的な採点方法は各尺度の記事で確認します
本記事ではPermeとIMSの「違いと選び方」に役割を絞っているため、各段階・各項目の詳しい採点方法は掲載していません。
尺度を選んだ後は、合計点や到達レベルだけでなく、評価した時点の呼吸・循環状態、酸素療法や人工呼吸器の条件、介助条件、使用機器など、経時比較に影響する条件も記録しておくと再評価しやすくなります。
PermeとIMSでよくある質問
PermeとIMSは両方評価したほうがよいですか?
すべての患者で必ず両方を評価する必要がある、というものではありません。最高到達レベルを簡潔に追うことが目的ならIMS、mobilityに関わる複数領域まで捉えたいならPermeというように、評価目的から選びます。研究や院内運用上、両方の情報が必要な場合は併用できます。
Permeの点数からIMSを換算できますか?
単純換算はしません。日本語版Permeの検証ではIMSとの相関が報告されていますが、両尺度は構造が異なり、Permeの何点がIMSの何点に相当するという換算式が示されたわけではありません。それぞれの尺度内で推移を確認します。
PermeやIMSの点数だけで離床してよいか判断できますか?
離床可否をスコアだけで決める尺度ではありません。呼吸・循環・神経学的状態、治療機器、ライン、患者の反応などを含めた安全確認が別に必要です。離床前の安全確認については、ICUリハの安全確認と中止判断で整理しています。
まとめ|最高到達を見るならIMS、複数領域を見るならPerme
PermeとIMSは、どちらが優れているかで選ぶ尺度ではありません。
- IMS:0〜10の11段階で、その時点の最高mobility levelを簡潔に表す
- Perme:0〜32点、15項目・7領域からmobility statusを多面的に評価する
- 選び方:「最高到達レベルを知りたいか」「mobilityに影響する複数要素も見たいか」で考える
- 注意:両尺度の点数を直接換算したり、スコアだけで離床可否を判断したりしない
ICUにおける基本動作・mobility評価をほかの尺度も含めて整理したい場合は、基本動作評価の全体像から目的に合う評価へ進んでください。
また、mobilityの到達レベルだけでなく基本動作の介助量を評価したい場合は、FSS-ICUの評価と使い方も選択肢になります。
参考文献
- Perme C, Nawa RK, Winkelman C, Masud F. A tool to assess mobility status in critically ill patients: the Perme Intensive Care Unit Mobility Score. Methodist DeBakey Cardiovasc J. 2014;10(1):41-49. DOI: 10.14797/mdcj-10-1-41 / PubMed: 24932363
- Hodgson C, Needham D, Haines K, et al. Feasibility and inter-rater reliability of the ICU Mobility Scale. Heart Lung. 2014;43(1):19-24. DOI: 10.1016/j.hrtlng.2013.11.003 / PubMed: 24373338
- Tanaka K, Nakanishi N, Watanabe S, et al. The Construct and Predictive Validity of the Japanese Version of the Intensive Care Unit Mobility Scale. J Clin Med. 2025;14(16):5843. DOI: 10.3390/jcm14165843 / PubMed: 40869669
- Katayama S, Ikeda T, Nakanishi N, et al. Reliability and Validity of the Japanese Perme ICU Mobility Score: An Initial Psychometric Evaluation. Prog Rehabil Med. 2025;10:20250037. DOI: 10.2490/prm.20250037
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。
現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級

