ATせん妄評価|採点・点数解釈・記録例

評価
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4ATは4項目・0〜12点でせん妄と認知機能障害を短時間に評価します

4AT(4 A’s Test)は、覚醒度、AMT4、注意力、急な変化・変動する経過の4項目から、せん妄や認知機能障害の可能性を短時間で確認する評価ツールです。4点以上ではせん妄や認知機能障害の可能性、1〜3点では認知機能障害の可能性を考えますが、4ATだけで診断は確定しません。

特に重要なのは、著しい眠気などで認知課題を十分に行えない患者でも、4ATには「実施困難」を含めた採点方法があることです。また、4ATの点数とリハビリテーションの実施可否は別に判断します。この記事では、日本語版4AT-Jの4項目、採点、点数の解釈、実施困難時の扱い、PT・OT・STが結果を共有・記録する方法まで整理します。

せん妄評価全体の流れや尺度の選び方から確認したい場合は、せん妄評価の全体像もあわせて確認してください。

4ATの要点

  • 4項目、合計0〜12点で評価する
  • 4点以上:せん妄や認知機能障害の可能性
  • 1〜3点:認知機能障害の可能性
  • 0点:せん妄や認知機能障害はありそうにない
  • ただし、項目4の情報が不十分なら0点でもせん妄の可能性は残る
  • 4AT陽性=せん妄の診断確定、リハ中止ではない

4AT-Jは「覚醒度→AMT4→注意力→急な変化・変動」の4項目を採点します

日本語版4AT-Jでは、評価時の患者を観察する項目と、周囲から情報を集める項目を組み合わせます。項目1〜3は評価時の患者をみて採点し、項目4は、その場の反応だけではなく、スタッフ、家族・介護者、診療記録などから急性変化や変動を確認します。

日本語版4AT-Jの4項目と採点
項目 確認すること 採点 判断のポイント
1. 覚醒度 評価中の眠気、覚醒、興奮・多動 0点 / 4点 正常、または起床後10秒以内の軽い眠気後に正常なら0点。明らかな覚醒度異常は4点
2. AMT4 年齢、生年月日、場所、今日の日付 0点 / 1点 / 2点 全て正解0点、1つ間違い1点、2つ以上の間違いまたは実施困難2点
3. 注意力 「セカイチズ」の逆唱 0点 / 1点 / 2点 正しい位置・音節で5文字言えれば0点。2つまでの間違いまたは途中で辞退は1点、3つ以上の間違いまたは実施困難は2点
4. 急な変化・変動する経過 覚醒、認知、その他の精神機能の著しい変化・変動 0点 / 4点 2週間以内に生じ、24時間以内にも明らかに残存する変化・変動があれば4点

4AT-Jでは、注意力課題として「セカイチズ」の逆唱が採用されています。実際に4ATを使用するときは、4AT公式サイトの日本語版も確認してください。

4ATは0点・1〜3点・4点以上で次の確認を分けます

4ATの点数は診断名を決めるためではなく、せん妄や認知機能障害の可能性を拾い、その後の臨床評価へつなげるために使用します。

4ATスコアの解釈と次に確認すること
合計点 基本的な解釈 次に確認すること
4点以上 せん妄や認知機能障害の可能性 急性発症・変動、全身状態、薬剤、疼痛、感染、低酸素などを含めて臨床評価につなげる
1〜3点 認知機能障害の可能性 普段の認知機能、家族・介護者からの情報、必要に応じてより詳細な認知機能評価を確認する
0点 せん妄や認知機能障害はありそうにない 状態変化が疑われる場合は単回評価で終了せず、項目4の情報が十分か確認する

4点以上でも「せん妄確定」ではありません。4ATは初期評価のためのツールであり、せん妄の最終診断には、発症経過、全身状態、薬剤、既往、認知症の有無などを含めた臨床評価が必要です。また、0点でも項目4の情報が不十分であれば、せん妄の可能性は残ります。

覚醒不良や実施困難でも4AT全体を「保留」にする必要はありません

4ATの特徴のひとつは、患者が強い眠気や注意障害などで認知課題を十分に行えない場合でも、採点できるよう設計されていることです。したがって、「覚醒が悪いから4ATは評価不能」と自動的に保留するのは適切ではありません。

AMT4では2つ以上の誤答に加えて実施困難も2点、注意力でも実施困難は2点として扱います。また、著しい眠気や興奮・多動など明らかな覚醒度異常があれば、覚醒度の項目そのものが4点になります。

4ATを実施しにくい場面での考え方
場面 4ATでの扱い 記録しておきたいこと
著しい眠気がある 覚醒度を評価し、AMT4・注意力が実施困難ならその採点区分を用いる 呼びかけへの反応、覚醒の程度、実施できなかった理由
興奮・多動が強い 覚醒度の明らかな異常として評価する 行動、危険性、急性変化の有無
難聴がある 聞こえやすい条件を整えたうえで実施する 補聴器、声量、筆談などの条件
失語がある コミュニケーション障害を考慮してスコアを解釈する 失語の程度、反応方法、評価上の制約
共通言語がない 言語条件がスコアに与える影響を考慮する 使用言語、通訳の有無、評価条件

重要なのは、「実施できたか」だけでなく、なぜその点数になったのかを残すことです。特にコミュニケーション障害がある患者では、点数だけを後から見ても原因を判断しにくいため、評価条件を併記します。

項目4は「今の状態」ではなく急性変化と変動の情報を集めます

4ATで迷いやすいのが、項目4の「急な変化または変動する経過」です。ここでは、覚醒度、認知、妄想・幻覚などを含む精神機能について、2週間以内に生じた著しい変化や変動が、直近24時間にも認められるかを確認します。

項目1〜3は評価時の患者を観察して採点しますが、項目4ではその場だけの観察では不足することがあります。本人を以前から知っているスタッフ、家族・介護者、紹介状、診療記録などから情報を集め、普段との違いを確認します。

項目4で残したい情報

「昨日までは会話成立」「夜間から傾眠が出現」「午前は会話可能だが午後は注意が続かない」など、いつから・何が・どう変わったかを具体的に残します。「せん妄っぽい」のような解釈だけではなく、確認できた変化を記録することが重要です。

4AT評価から次の対応まで。4ATの4項目を評価し、合計点を解釈して臨床評価へ進み、リハ実施可否は別に判断する流れ
4ATの点数はせん妄・認知機能障害の可能性を評価する材料です。リハの実施・中止は、全身状態や安全性を別に確認して判断します。

4ATの点数とリハ実施可否は分けて判断します

4ATはせん妄・認知機能障害を評価するツールであり、リハビリテーションの開始・中止基準そのものではありません。4点以上だから一律に中止する、0点だから安全に実施できる、という使い方は避けます。

PT・OT・STがリハ実施可否を考えるときは、4ATとは別に、全身状態、意識・覚醒、呼吸・循環、疼痛、指示理解、転倒・自己抜去などの危険性、その日の治療方針を確認します。

4ATとリハ安全判断を分けて考える
確認 4ATで分かること 別に判断すること
せん妄・認知機能 せん妄や認知機能障害の可能性 原因検索、診断、治療方針
覚醒・注意 評価時の覚醒度や注意力 課題を安全に遂行できるか
急性変化 急な変化・変動の有無 全身状態悪化や治療上の問題がないか
リハ実施 直接は判定しない 実施、条件調整、見送りを総合的に決める

たとえば4ATが4点以上でも、全身状態が安定し、安全を確保できる範囲で課題や環境を調整する場合があります。一方、4ATが0点でも呼吸・循環不安定や強い疼痛などがあれば、リハをそのまま進められるとは限りません。

カルテには「合計点+項目別所見+急性変化+次の対応」を残します

4ATは合計点だけを記録すると、「なぜその点数になったのか」「前回と何が変わったのか」が追いにくくなります。特に再評価では、合計点とともに項目別の変化を残すと、多職種で経過を共有しやすくなります。

4ATのカルテ記録例
場面 記録例
4点以上 4AT 6点。覚醒度4点、AMT4 1点、注意力1点、急性変化0点。評価中に傾眠あり。昨日までは日中覚醒していたとの看護情報あり、経過を再確認し医師・看護師へ共有。
1〜3点 4AT 2点。覚醒度0点、AMT4 1点、注意力1点、急性変化0点。普段の認知機能が不明のため、家族・看護師からベースラインを確認する。
実施困難を含む 4AT 4点。覚醒度0点、AMT4 2点、注意力2点、急性変化0点。強い倦怠感と注意保持困難のためAMT4・注意力は実施困難として採点。評価条件を含めて共有。
再評価 前回4AT 6点→今回2点。覚醒度4→0点へ改善。注意力は1点で残存。夜間の変動について看護記録を確認し、継続して経過を追う。

「4AT 4点、せん妄あり」とだけ記録するのではなく、項目別スコア、観察した事実、項目4の情報源、共有先、次に確認することまで残すと、評価結果をその後の臨床判断へつなげやすくなります。

4ATの記録・再評価シートをPDF・Excelで使えます

4ATを初回評価だけで終わらせず、項目別の変化とリハ安全判断を分けて記録できるよう、「4AT せん妄評価 記録・再評価シート A4 v2」を作成しました。初回、再評価①、再評価②を同じ用紙で比較できます。

4AT せん妄評価 記録・再評価シート A4 v2

4ATの4項目、合計点、観察・根拠、再評価に加え、4ATとは別枠でリハ実施可否・安全判断を記録できます。

PDF版を開く・ダウンロードする

Excel版を開く・ダウンロードする

本シートは公式4AT-Jそのものではなく、臨床での記録・再評価を目的に再構成した補助シートです。4ATの採点区分を参照し、再評価欄とリハ安全判断欄を追加しています。

配布シートは、4AT © 2011–2014 Alasdair MacLullich, Tracy Ryan and Helen Cashをもとに、CC BY 4.0に基づいて再構成しています。公式版の実施方法・採点・解釈を確認する場合は、4AT公式サイトの日本語版を使用してください。

ICU・術後回復室では4AT以外の尺度を選ぶ場面があります

4ATをすべての診療場面で同じように使うわけではありません。NICEのせん妄ガイドラインでは、せん妄を示す変化が認められた場合は4ATによる評価を推奨していますが、critical careや術後回復室では、4ATの代わりにCAM-ICUまたはICDSCを使用するよう示されています。

そのため、ICUで「せん妄評価は4ATでよいか」と迷った場合は、施設の運用と患者の状態を確認し、対象場面に適した尺度を選びます。4ATとCAM-ICUを単純に点数で比較するのではなく、評価する環境と患者特性で使い分けることが重要です。

4ATの再評価は固定時刻ではなく状態変化と院内運用に合わせます

4ATには、「24時間後」「48時間後」のような一律の再評価間隔が定められているわけではありません。初回スコアだけで判断せず、状態変化、日内変動、治療経過、施設内のせん妄評価手順に応じて再評価します。

リハ場面では、前回との合計点だけでなく、どの項目が変わったかを見ることが重要です。たとえば覚醒度が4点から0点へ改善しても注意力低下が残る場合、合計点だけでは経過を十分に共有できません。

再評価時には、同じ評価条件をできるだけそろえながら、薬剤投与、睡眠、疼痛、酸素化、感染など、状態に影響しうる背景も一緒に確認します。

4ATで避けたいのは「点数だけ」「評価不能」「リハ中止」と短絡することです

4ATを臨床で使うときは、スコアそのものよりも、そのスコアをどのように次の評価へつなげるかが重要です。

  • 4点以上=せん妄確定とする:4ATは診断そのものではなく、最終診断には臨床評価が必要です。
  • 眠気が強い=評価不能とする:覚醒度異常や実施困難にも採点方法があります。
  • 1〜3点をせん妄陰性として終える:認知機能障害の可能性があり、ベースラインや病歴確認が必要です。
  • 0点だからせん妄を完全に否定する:項目4の情報が不十分であれば、せん妄の可能性は残ります。
  • 4点以上=リハ中止とする:4ATとリハの安全判断は別に行います。
  • 合計点だけを記録する:項目別所見、実施条件、情報源、次の対応も残します。

よくある質問

Q1. 覚醒が悪い患者では4ATを保留しますか?

一律には保留しません。4ATは著しい眠気などがあっても採点できるよう設計されています。覚醒度に明らかな異常があれば項目1を4点とし、AMT4や注意力が実施困難なら、それぞれの「実施困難」の採点区分を使用します。

Q2. 4ATが4点以上ならせん妄と診断できますか?

できません。4点以上はせん妄や認知機能障害の可能性を示しますが、診断確定ではありません。急性発症・変動、全身状態、薬剤、既往などを含めた臨床評価が必要です。

Q3. 4ATが4点以上ならリハは中止ですか?

4ATの点数だけでは決めません。4ATはリハ実施可否の尺度ではないため、意識・覚醒、呼吸・循環、疼痛、指示理解、危険行動などを別に確認し、実施、条件調整、見送りを判断します。

Q4. 認知症がある患者にも4ATは使えますか?

使用できますが、もともとの認知機能と急性変化を分けて考える必要があります。特に項目4では、普段の状態を知るスタッフ、家族・介護者、診療記録などから情報を集め、今回の変化が急性かを確認します。

Q5. 4ATは毎日同じ時刻に行う必要がありますか?

4ATそのものに一律の再評価時刻は定められていません。患者の状態変化や日内変動、施設内の運用に応じて再評価します。経時比較では、可能な範囲で評価条件をそろえ、項目別の変化も確認します。

次の一手


参考文献

  • MacLullich AMJ, Ryan T, Cash H. 4AT: Rapid Clinical Test for Delirium. Japanese version 4AT-J. Available from: https://www.the4at.com/4at-japanese
  • Bellelli G, Morandi A, Davis DHJ, et al. Validation of the 4AT, a new instrument for rapid delirium screening: a study in 234 hospitalised older people. Age Ageing. 2014;43(4):496-502. doi: 10.1093/ageing/afu021
  • Hasegawa T, Seo T, Kubota Y, et al. Reliability and validity of the Japanese version of the 4A’s Test for delirium screening in the elderly patient. Asian J Psychiatr. 2022;67:102918. doi: 10.1016/j.ajp.2021.102918
  • National Institute for Health and Care Excellence. Delirium: prevention, diagnosis and management in hospital and long-term care. CG103. Updated 2023. Available from: NICE recommendations
  • 4AT. 4AT Delirium Detection Test: Complete Clinical User Guide. Available from: https://www.the4at.com/userguide
  • 4AT. Using, reproducing and adapting the 4AT. CC BY 4.0. Available from: https://www.the4at.com/attribution

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度など、医療従事者の実務に役立つ情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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