4AT の使い方|せん妄を訓練前に見落とさない

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4AT は「訓練前のせん妄疑い」を短時間で拾う評価です

4AT は、急性期〜回復期で「いつもよりぼんやりしている」「指示が入りにくい」「落ち着きがない」と感じたときに、せん妄の可能性を短時間で拾い上げるスクリーニングです。結論として、4AT は診断を確定する道具ではなく、追加確認・医師報告・訓練可否の判断につなげる共通言語として使うと現場で役立ちます。

この記事では、4AT の点数だけでなく、いつ使うか、どの条件では保留するか、カルテにどう書くかまで整理します。せん妄評価全体の流れを先に確認したい場合は、せん妄評価の全体像もあわせて確認してください。

最短の読み順:4AT の使い方 → 保留条件 → 記録例

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関連:ICU リハの安全チェック
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4AT を使う場面は「訓練前」と「状態変化時」に絞ります

4AT は、全員に何度も機械的に行うより、リスクが上がる場面で短く反復するほうが運用しやすい評価です。特に PT / OT / ST では、訓練前の安全確認と、訓練中に急な変化を感じた場面で使いやすくなります。

  • 入院直後、術後、転棟直後など環境変化が大きいとき
  • 訓練前に眠気、注意散漫、落ち着きのなさがあるとき
  • 指示理解が急に悪くなった、危険行動が増えたとき
  • 睡眠薬、鎮静薬、オピオイドなど薬剤変更後に変化があるとき

4AT は「実施可否→点数→対応」の 5 分フローで回します

現場では、最初から点数を取りにいくのではなく、評価できる状態かを先に確認します。覚醒不十分、呼吸苦、強い疼痛、失語・難聴などがある場合は、点数だけで判断せず、条件調整や保留を選びます。

4AT 訓練前 5 分フロー:覚醒確認→条件調整→4AT 実施→訓練可否判断→共有・再評価

A4 記録シート:訓練前に 4AT を回す流れを 1 枚で確認できます。

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4AT を訓練前に使う 5 分フロー
手順 見ること 判断 次の行動
1. 覚醒確認 強い眠気、鎮静、呼びかけへの反応 評価できるか 難しければ保留し、再評価時刻を記録
2. 条件調整 難聴、失語、疼痛、呼吸苦、眼鏡・補聴器 点数に影響する要因があるか 筆談、補聴器、鎮痛、ポジショニングを調整
3. 4AT 実施 注意、見当識、急性変化・日内変動 スコアを確認 0点、1〜3点、4点以上で対応を分ける
4. 訓練可否 指示理解、危険行動、転倒・抜去リスク 安全に実施できるか 中止、見守り強化、課題量調整を選ぶ
5. 共有 点数、所見、誘因、次アクション 誰に伝えるか 医師・看護へ共有し、再評価予定を残す

スコアは「診断」ではなく次の対応を決める材料です

4AT は 0〜12 点で評価し、一般に 4 点以上はせん妄の可能性1〜3 点は認知機能低下の可能性として扱います。ただし、4AT が陽性でも診断確定ではありません。最終的には、急性発症、日内変動、誘因、既往、全身状態を含めて臨床判断します。

4AT スコアの読み方とリハ場面での対応
スコア 意味づけ リハで見ること 対応
0 点 その時点で強く示唆しにくい 日内変動、睡眠、疼痛 変化があれば再評価
1〜3 点 認知機能低下の可能性 ベースライン、既往、家族情報 課題量を調整し、推移を確認
4 点以上 せん妄の可能性 注意低下、急性変化、危険行動 医師・看護へ共有し、誘因確認と安全配慮

保留条件を決めると誤判定を減らせます

4AT は短時間で使いやすい一方、覚醒不十分やコミュニケーション障害があると、点数の解釈がぶれます。迷う場面では無理に点数化せず、保留理由と再評価時刻を記録するほうが安全です。

4AT 実施前の OK / 注意 / 保留条件
判定 対応 記録例
OK 会話が成立し、指示が概ね通る 通常通り実施 4AT ○点。注意低下なし。急性変化なし。
注意 難聴、失語、視力低下、疼痛、呼吸苦 条件調整後に実施 筆談で実施。疼痛 NRS ○/10 の影響あり。
保留 強い鎮静、覚醒不十分、循環・呼吸不安定 評価を保留し、安定後に再評価 覚醒不十分のため 4AT 保留。○時に再評価予定。

カルテ記録は「点数+所見+次アクション」で残します

4AT の記録で避けたいのは、点数だけを書いて終わることです。リハ場面では、訓練可否、安全配慮、再評価予定、共有先まで残すと、チーム内で次の対応が取りやすくなります。

4AT のカルテ記録テンプレート
状況 記録例
4 点以上 訓練前 4AT:○点。注意低下あり、急性変化あり。せん妄疑いとして看護師へ共有。転倒・自己抜去リスクを考慮し、本日は課題量を調整。○時に再評価予定。
1〜3 点 4AT:○点。急性変化は乏しいが、注意保持にばらつきあり。ベースライン確認を依頼。訓練は短時間・単純課題中心に調整し、反応の推移を記録する。
保留 覚醒不十分のため 4AT は保留。呼びかけへの反応に乏しく、訓練は安全面から中止。呼吸・循環状態を確認し、○時に再評価予定。

現場の詰まりどころは「点数だけで判断してしまう」ことです

迷ったらここに戻る

① 保留条件を確認する
② カルテ記録テンプレを見る
関連:せん妄評価の全体像

4AT は便利ですが、眠気、疼痛、難聴、失語、呼吸苦などの影響を無視すると、せん妄疑いとして過大評価することがあります。点数だけで判断せず、実施条件と誘因を一緒に残すことが重要です。

  • 眠気や鎮静をせん妄と誤解する:覚醒状態を確認し、難しければ保留する
  • 難聴や失語を注意低下と誤解する:筆談、補聴器、ジェスチャーなど条件調整を記録する
  • 点数だけで終わる:医師報告、訓練調整、再評価時刻までセットで書く

同じ場面で毎回迷う場合は、個人の努力だけでなく、評価の型・記録例・相談しやすい体制が不足していることもあります。

PT キャリアガイドを見る

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. 4AT が 4 点以上なら訓練は中止ですか?

A. 一律に中止ではありません。指示理解、危険行動、転倒・自己抜去リスク、呼吸・循環の安定を確認し、安全が担保できる場合は課題量を調整して実施することもあります。安全が担保できない場合は中止し、理由と再評価時刻を記録します。

Q2. 4AT は誰が実施するのがよいですか?

A. 職種よりも、実施タイミングを固定することが重要です。PT / OT / ST が訓練前に実施し、変化があれば看護師や医師へ共有する形にすると、訓練可否の判断に結びつけやすくなります。

Q3. 鎮静や睡眠薬の影響があるときはどうしますか?

A. 覚醒不十分な状態では、4AT の解釈が難しくなります。無理に点数化せず、保留理由と再評価予定を記録します。薬剤変更、睡眠状況、疼痛、低酸素などの誘因もあわせて確認します。

Q4. 点数が低くても様子がおかしい場合は?

A. せん妄は日内変動があるため、単回評価で拾えないことがあります。点数が低くても、急な変化や危険行動があれば、同じ時間帯で再評価し、医師・看護師へ共有します。

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参考文献

  • Bellelli G, Morandi A, Davis DHJ, et al. Validation of the 4AT, a new instrument for rapid delirium screening: a study in 234 hospitalised older people. Age and Ageing. 2014;43(4):496-502. doi: 10.1093/ageing/afu021
  • 4AT. 4AT Delirium Detection Test: Complete Clinical User Guide. https://www.the4at.com/userguide
  • Devlin JW, Skrobik Y, Gélinas C, et al. Clinical practice guidelines for the prevention and management of pain, agitation/sedation, delirium, immobility, and sleep disruption in adult patients in the ICU. Crit Care Med. 2018;46(9):e825-e873. doi: 10.1097/CCM.0000000000003299
  • Lewis K, Balas MC, Stollings JL, et al. A focused update to the clinical practice guidelines for the prevention and management of pain, anxiety, agitation/sedation, delirium, immobility, and sleep disruption in adult patients in the ICU. Crit Care Med. 2025;53(3):e711-e727. doi: 10.1097/CCM.0000000000006574

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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