入退院支援加算と介護支援等連携指導料の違い|図解と記録シート付

制度・実務
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入退院支援加算と介護支援等連携指導料の違い|令和 8 年の使い分け

結論からいうと、入退院支援加算は病棟の体制と早期支援の運用を評価し、介護支援等連携指導料は個別患者への共同説明・指導の実績を評価します。似た場面で登場するため混同されやすいですが、実務では「何を評価する点数か」を分けて読むと判断が速くなります。

令和 8 年改定で先に押さえたいのは、入退院支援加算 1 の評価見直し退院困難要因の追加介護支援等連携指導料 2( 500 点 )の新設、そして入院日から 7 日以内 / 退院が見込まれる 7 日前までの連携ルールです。本記事では、この 4 点を軸に「違い」と「使い分け」だけに絞って整理します。

この記事で答えること:入退院支援加算と介護支援等連携指導料の違い、令和 8 年改定後の変更点、病棟での使い分け、監査で止まりやすい記録ポイント。

この記事で答えないこと:届出書式の細部、他の退院支援関連点数との総当たり比較、病棟個別の算定可否判断の最終確認。最終判断は告示・留意事項通知・疑義解釈で確認してください。

最終更新:2026 年 3 月 19 日(留意事項通知まで反映)

まず結論|違いは「評価対象・時点・証跡」で決まる

迷いの原因は、どちらも退院支援の場面で登場することです。実際には、何を評価するかいつ判断するか何を証跡として残すかを固定すると整理できます。最短で覚えるなら、入退院支援加算=病棟の運用介護支援等連携指導料=個別連携の実施です。

このページでは、まず比較表で差を固定し、そのあとに令和 8 年改定で増えた要件と、時系列での使い分けを確認します。制度解説で終わらせず、最後は記録の最小セットまでつなげる構成にしています。

入退院支援加算と介護支援等連携指導料の違い(令和 8 年の実務整理)
比較軸 入退院支援加算 介護支援等連携指導料
主な目的 病棟の入退院支援体制を評価 個別患者への共同説明・指導と連携実績を評価
評価の単位 体制・プロセス(病棟運用) 患者ごとの実施行為
判断の時点 入院早期の対象抽出から始まる 共同説明・指導を実施した時点で固まりやすい
実務の核 早期抽出、会議運用、支援計画、経過管理 連携先調整、説明・指導、提供実績の記録
記録で重要 対象判定根拠、支援経過、会議記録 誰と、いつ、何を、どう伝えたか
よくある失点 対象抽出が遅く、退院前に集中する 連携したが証跡が弱く、実施が追えない

令和 8 年改定で押さえる変更点

今回の比較で重要なのは、単に点数が変わったことではなく、退院支援の始まりが前倒しされたことです。とくに介護支援等連携指導料 2 の新設は、「退院が近づいてから連絡する」運用から、「平時からつながっている相手と早く動く」運用へ重心が移ったことを示します。

そのため、比較記事では数字だけでなく、何が実務で変わるかまで並べておくと読み手の判断が速くなります。

令和 8 年改定で追加・見直しされた要点
項目 改定後の整理 実務で見るポイント
入退院支援加算 1 一般病棟等 700 点、地域包括医療病棟・回復期リハ病棟・地域包括ケア病棟 1,000 点、療養病棟等 1,300 点 まず自病棟がどの区分に当たるかを確認する
退院困難要因 要介護度変更未申請の疑い、家族・親族との連絡困難などを追加 入院早期スクリーニングの文言を更新する
介護支援等連携指導料 2 新設 500 点、入院中 2 回まで 従来の 400 点区分と混同しない
入院前からの支援 入院日から 7 日以内の情報提供、退院が見込まれる 7 日前までの連絡等を規程化 地域連携部門と病棟の役割分担を固定する

入退院支援加算は「病棟の運用」を評価する

入退院支援加算は、入院早期から退院支援が必要な患者を拾い上げ、多職種で支援計画を進める仕組みが回っているかをみる点数です。つまり、個別連携の成否より前に、病棟として退院支援が回るかを問う性格が強いと整理できます。

このため、先に固定すべきなのは、退院困難要因の抽出、カンファレンスの回し方、支援計画の更新ルール、担当の置き方です。退院前だけ整っても弱く、入院早期から同じ様式で追えているかが大事になります。

入退院支援加算で先に固定したい運用
場面 固定すること 残す記録
入院早期 退院困難要因の抽出基準 判定根拠、担当者、次回確認日
中間期 カンファ実施日と議題 参加職種、合意事項、保留事項
退院前 支援計画の最終確認 退院先、必要支援、説明状況

介護支援等連携指導料は「個別連携の実績」を評価する

介護支援等連携指導料は、患者の心身の状況を踏まえ、導入が望ましい介護等サービスや地域で提供可能なサービスについて、介護支援専門員又は相談支援専門員と共同して説明・指導を行った実績を評価する項目です。令和 8 年改定では、従来の区分を 1 と整理したうえで、介護支援等連携指導料 2( 500 点 ) が追加されました。

ここで重要なのは「調整したつもり」ではなく、共同で説明・指導を行ったことが追えるかです。相手先、実施日、説明内容、担当者が残っていないと、現場ではここで止まりやすくなります。

介護支援等連携指導料 2 で押さえる要点
項目 要点 実務の注意点
対象病棟 入退院支援加算 1 の届出病棟 病棟要件を先に確認する
点数 500 点 介護支援等連携指導料 1( 400 点 )と混同しない
回数 入院中 2 回まで 実施日管理を必須にする
実務イメージ 患者同意、平時からの連携体制、共同での説明・指導 「予定」ではなく「実施」を残す

時系列で見る| 7 日以内・ 7 日前ルールをどう組み込むか

今回の見直しで大きいのは、連携が退院直前のイベントではなく、入院早期から始まる運用として明文化されたことです。担当介護支援専門員等がすでに決まっている場合は、入院日から 7 日以内退院が見込まれる 7 日前まで の 2 つを節目として固定すると止まりにくくなります。

一方で、要介護認定未申請などで担当者が決まっていないケースもあります。その場合は、患者・家族に相談先を案内し、決まり次第必要情報を渡す流れまで含めて書式化しておくことが大切です。

入院前からの支援強化で固定したい時系列ルール
時点 やること 記録の一言
入院日〜 7 日以内 担当介護支援専門員等へ入院の事実と必要情報を提供する 情報提供日、相手先、担当者
退院が見込まれる 7 日前まで 退院後ケアプランに必要な情報を提供する 退院見込み日、連絡日、共有内容
担当者未決定時 患者・家族へ相談先を案内し、決まり次第連絡する 相談促し、決定日、情報提供日
令和 8 年改定における退院支援の時系列フロー(入院時、入院後 7 日以内、退院見込み 7 日前、退院前の最終確認)
時系列は「入院時 → 入院後 7 日以内 → 退院見込み 7 日前 → 退院前の最終確認」で固定すると、病棟と地域連携部門の役割分担が整理しやすくなります。

使い分けフロー|入院時から退院時まで

実務では、入退院支援加算で運用を回し、介護支援等連携指導料で個別実施を残すと考えると混乱が減ります。退院前だけ整えるのではなく、入院時から同じ流れで追うのがコツです。

下の表は、入院から退院までを 4 フェーズに分けて、どちらの点数で何を意識するかを並べたものです。

入院時から退院時までの使い分けフロー
フェーズ 入退院支援加算でみること 介護支援等連携指導料でみること 最低限残す記録
入院時( 48〜 72 時間) 退院支援の要否を抽出し、対象判定を始める 連携が必要になりそうな相手と時期を見立てる 判定根拠、担当者、次回確認日
中間期 カンファで課題と支援計画を更新する 共同説明・指導の相手先と段取りを固める 参加職種、合意事項、連携予定先
退院前 支援計画を最終確認する 誰と、いつ、何を説明・指導したかを実施として残す 説明日、同意、提供内容、提供手段
退院時〜退院後 未接続リスクや引継ぎ漏れを確認する 必要時の追跡連絡の要否を判断する 最終共有先、未了事項、追跡有無

監査で詰まりやすい記録ポイント

算定漏れの多くは、「連携したが証跡が弱い」パターンです。書式を増やすより、 1 画面( 1 様式 )で完結する最小セットを病棟共通で持つ方が定着します。

議題のズレを減らしたい場合は、関連:退院前カンファの議題固定スクリプト のように、会議と記録の言葉をそろえる導線を 1 本だけ持たせると運用しやすいです。

コピペ用(記録 6 点セット・ 1 行テンプレ):
対象判定:__/カンファ:__/連携先:__/提供内容:__/説明同意:__/連携実績:__

算定漏れを防ぐ記録最小セット(入退院支援加算・介護支援等連携指導料 共通)
項目 記録する内容 実務ポイント
対象判定 退院支援必要性の根拠(生活課題・介護力・社会資源) 評価者と判定日を明記する
カンファ実施 開催日、参加職種、合意事項 議題を固定して抜け漏れを防ぐ
連携先情報 事業所 / 担当者 / 連絡先 正式名称で統一する
情報提供内容 機能、 ADL 、リスク、必要配慮、サービス提案 抽象語を避けて具体化する
説明と同意 患者・家族説明の実施記録、同意の有無 実施者・日時を必ず記録する
連携実績 提供日、提供手段、担当者 「予定」ではなく「実施」で残す

比較記録シート

院内共有を早くしたい場合は、比較表だけ覚えるより、同じ見出しで記録できる紙面を 1 枚持っておくと運用が安定します。今回の配布物は、入退院支援加算と介護支援等連携指導料を「病棟運用」「個別連携」「判定メモ」の 3 つに分けて残せる A4 記録シートです。

まずはダウンロードして、病棟カンファや地域連携担当との擦り合わせに使ってください。比較記事で整理した評価対象・時点・証跡の軸を、そのまま記録に落とし込める形にしています。

A4 記録シート PDF

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現場の詰まりどころ|よくある失敗と対策

入退院支援加算と介護支援等連携指導料で起こりやすい失敗の対策表
失敗 原因 対策
2 つを同じものとして扱う 評価対象(体制 vs 個別連携)の区別が曖昧 比較表を病棟手順書の先頭に置く
退院直前に業務が集中する 入院時抽出が遅い 入院初期のスクリーニングを必須化する
連携はしたが算定で止まる 提供内容・実施日時の記録不足 記録テンプレを 1 画面で完結させる
職種ごとに記録の言葉が違う 共通語彙がない 議事録と記録テンプレの語彙をそろえる

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. 入退院支援加算と介護支援等連携指導料は、どちらか一方だけを見ればよいですか?

A. 実務では「代替関係」と覚えるより、評価対象が違うと整理した方が迷いません。入退院支援加算は病棟の支援体制・プロセス、介護支援等連携指導料は個別患者への共同説明・指導と連携実績を中心にみます。まずは評価対象を分けて考えてください。

Q2. 介護支援等連携指導料 2 の新しさは何ですか?

A. 令和 8 年改定では、従来の 400 点区分を 1 と整理したうえで、入退院支援加算 1 の届出病棟を前提に、平時から連携体制を構築している相手と共同して説明・指導を行った場合を評価する 2( 500 点 )が新設されました。入院中 2 回までです。

Q3. 「連携したのに止まる」原因は何ですか?

A. 連携の有無より、証跡の不足が原因になりやすいです。最低限「相手先」「提供内容」「提供日」「提供手段」「担当者」「説明と同意」を 1 セットで残してください。予定ではなく、実施として残すのがポイントです。

Q4. 入退院支援加算で最初に整えるべき運用は何ですか?

A. 入院早期スクリーニングです。退院困難要因の抽出基準と、判定根拠、次回確認日までを同じ様式に入れると、退院直前の集中を防ぎやすくなります。

Q5. 地域包括ケア病棟では介護支援等連携指導料は包括ではないのですか?

A. 令和 8 年改定では、後方支援における連携を個別に評価する観点から、地域包括ケア病棟等での介護支援等連携指導料は包括範囲から除外し、出来高算定とする整理が示されています。病棟区分ごとの扱いは院内で先に共有しておくと止まりにくくなります。

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参考文献

  1. 厚生労働省.令和 8 年度診療報酬改定について【医科全体版】.2026 年 3 月 6 日版.PDF
  2. 厚生労働省.包括期・慢性期入院医療.2026 年.PDF
  3. 厚生労働省.診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(保医発 0305 第 6 号).2026 年 3 月 5 日.PDF
  4. 厚生労働省.令和 8 年度診療報酬改定について.掲載ページ

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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