身体障害者手帳の「評価依頼」|リハが迷わない最小セットと返し方【PDF付き】
身体障害者手帳の申請では、医師が作成する「診断書・意見書」に、障害の状態を裏づける所見が求められます。現場では、その裏づけに使える ROM・筋力・移動・ADL などの情報を、リハ職に依頼して集めるケースが多いです。
ポイントは「数値を出す」だけではなく、条件 → 数値 → 生活 の順で整理し、“転記しやすい形” にすることです。本記事では、身体障害者手帳の評価依頼で迷いやすい「最小セット」と「返し方」を、図版・PDF付きで整理します。

評価依頼シート(PDF)|まずはこの形で整理する
身体障害者手帳の評価依頼では、「どの条件で測ったか」が揃っていないと、同じ数値でも意味が変わります。まずは、条件 → 数値 → 生活 の順で整理できるシートを使うと、手戻りが減ります。
中身をプレビューする
まず確認する 5 点(ここが曖昧だと手戻りが増える)
測定前に「何を、どの条件で、いつの状態として」残すかを合わせます。特に自治体や様式によって求められる所見が違うため、様式ベースで確認するとズレが減ります。
| 確認ポイント | なぜ重要か | 確認例 |
|---|---|---|
| どの様式か | 必要所見が変わる | 「どの用紙ですか?」 |
| 時点 | 固定後か急性期かで意味が違う | 「いつの状態ですか?」 |
| 対象部位 | 主症状の整理が必要 | 「右優位ですか?」 |
| 補助具条件 | あり/なし混在を防ぐ | 「普段条件で揃えますか?」 |
| 制限因子 | 生活影響が変わる | 「痛み・疲労ありますか?」 |
最小セット|まずはこの6つを返す
身体障害者手帳の書類では、関節角度だけでは不十分です。数値+生活 をセットで返すと、医師側が転記しやすくなります。
| 項目 | 最低限の内容 | 例 |
|---|---|---|
| 条件 | 様式・時点・補助具 | 「装具あり・普段条件」 |
| ROM | 体位・自動他動・制限因子 | 「疼痛で終末制限」 |
| 筋力 | 主要筋・代償 | 「MMT3・体幹代償あり」 |
| 移動 | 距離・介助量 | 「20mで休息」 |
| ADL | 場面・理由 | 「片手操作困難」 |
| 変動 | 疲労・再現性 | 「午後で悪化」 |
医師へ返す3行テンプレ|転記される形に圧縮する
依頼元が忙しいほど、長文は読まれません。条件 → 数値 → 生活 の3行で返すと、転記されやすくなります。
| 行 | 書く内容 | 例 |
|---|---|---|
| 1行目 | 条件 | 「装具あり・普段条件」 |
| 2行目 | 数値 | 「足関節背屈0°」 |
| 3行目 | 生活 | 「20mで休息必要」 |
測定時の注意|「条件つき」で残す
同じ角度でも、体位・方法・制限因子が違うと意味が変わります。したがって、数値だけではなく「どの条件で測ったか」をセットで残すことが重要です。
- 体位:立位・座位・背臥位など
- 方法:自動/他動
- 制限因子:疼痛・痙縮・拘縮など
- 補助具:装具・杖・義肢の有無
現場の詰まりどころ(よくある失敗)
よく詰まるのは、この3つです。
| NG | 問題点 | OK |
|---|---|---|
| 角度だけ | 条件が不明 | 体位・方法を添える |
| 介助だけ記載 | 生活場面が不明 | 理由+場面を書く |
| 補助具混在 | 比較できない | 普段条件を固定 |
| 一発測定 | 再現性が弱い | 再測定差を書く |
評価方法だけでなく、学びやすい環境づくりも大切です
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. 何を測ればいいか分かりません。
まずは「条件 → ROM → 筋力 → 移動 → ADL → 変動」の最小セットから始めると、手戻りが減ります。
Q2. 装具ありで評価していいですか?
評価条件を明示した上で、普段条件に揃えるのが実務では安全です。
Q3. 疼痛で ROM が出ません。
「疼痛で終末制限」と記載し、生活場面への影響もセットで返します。
Q4. 状態が日によって変わります。
変動は価値ある情報です。午前/午後など条件を揃えて残します。
次の一手
参考文献
- 公益社団法人日本リハビリテーション医学会(監修:厚生労働省、国立障害者リハビリテーションセンター). 身体障害者診断書の書き方(PDF).
- 厚生労働省. 身体障害者障害程度等級表.
- e-Gov 法令検索. 身体障害者福祉法施行規則.
- 日本整形外科学会/日本リハビリテーション医学会. 関節可動域表示ならびに測定法(2022年改訂).
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関・介護福祉施設・訪問リハの経験をもとに、臨床で使いやすい評価・記録・制度運用を発信。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


