スコープライトの使い方|全自動エアマットの設定・厚さ・特徴を実務で整理
まず全体像(褥瘡予防のマットレス選び)
スコープライトは、利用者さんの状態や環境に合わせて圧対策のモードを全自動で切り替えるエアマットレスです。厚さは 17 cm で、ベッド上でのケアや端座位の安定性も意識したハイブリッド構造になっています。
この記事では、機器紹介で終わらせず、「どの設定が、どの場面で効くのか」を、現場で迷わない運用の型(設置→設定→記録→トラブル時の見立て)に落とし込みます。
スコープライトは何ができる? 3 行で要点
ポイントは ①全自動でモード判定、②除圧(圧切替/低角度体位変換)、③背上げ・むれ対策を条件で自動調整の 3 つです。操作は「全自動」を基本にし、現場の詰まりポイントだけを手動で整えると運用が安定します。
なおスコープライトは、上位モデルである「スコープ」にある臀部周辺の圧の可視化がないモデルです。可視化が必要な運用(評価会議での説明・教育など)かどうかで選び分けます。
厚さ・サイズ・適合ベッドを 1 枚で確認
まずはサイズ違い( 83 / 91、レギュラー/ショート)と、厚さ 17 cm を固定で覚えるとミスが減ります。※表は横にスクロールできます。
| 品番 | 幅 × 長さ × 厚さ | 重量 | 適合ベッド | TAIS |
|---|---|---|---|---|
| MSCPL83 | 83 × 193 × 17 cm | 10.0 kg | 幅 83 cm 程度/レギュラー | 00054-000651 |
| MSCPL83S | 83 × 182 × 17 cm | 9.5 kg | 幅 83 cm 程度/ショート | 00054-000653 |
| MSCPL91 | 91 × 193 × 17 cm | 11.0 kg | 幅 91 cm 程度/レギュラー | 00054-000652 |
| MSCPL91S | 91 × 182 × 17 cm | 10.5 kg | 幅 91 cm 程度/ショート | 00054-000654 |
最大利用者体重は 120 kg です。小柄な方だけでなく、体格が大きい方まで「まず適合するか」をここで確認しておくと、現場での入れ替え判断が速くなります。
構造(層)と「 17 cm 」が効く理由
スコープライトは、エアセルだけではなくウレタンフォームを組み合わせたハイブリッド構造です。ケア時にベッド上へ膝を置く、端座位を取るなどの場面で、沈み込みすぎによる不安定さを抑えやすい設計です。
| 要素 | 役割 | 現場でのメリット | 詰まりやすい点 |
|---|---|---|---|
| エアセル(主支持) | 体圧調整/圧切替の主役 | 圧の「持続」を短くしやすい | シーツの張りすぎで動きが鈍る |
| ポジショニングエアセル | 低角度の体位変換を作る | 4 度程度の左右上げを自動化 | 離床判定で体位変換が止まる |
| ウレタンフォーム群 | 安定支持/底づき防止 | 端座位やケア時の安定性 | 「柔らかさ」だけで選ぶとズレる |
設置〜初回稼働までの 5 分フロー
導入直後に起きやすいミスは、性能の問題ではなく設置とシーツです。ここだけ固定すると、以降の判断が楽になります。
- 表裏・頭側/足元側を確認してベッドへ直接設置します(リプレイスメントタイプ)。
- リモコンはフットボードに掛けて、寝床内へ入れないようにします(誤操作防止)。
- 電源を入れて「全自動」で開始します(まずは手動を触らない)。
- シーツはダクトを妨げないように取り付けます(防水シーツで覆いすぎない)。
- 初回は「中央で寝てもらう」を原則に、体位・ズレ・痛みを確認します。
全自動で何が起きている? モードとサイクルを理解する
スコープライトの核心は、状態に応じてモードを自動で選ぶ点です。現場では「今どのモードになっているか」を説明できるだけで、褥瘡対策と介護負担が両方下がります。
| モード | 主な動き | 使いどころ | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 標準 | 安定性を高めて寝返りしやすく | 自力で寝返りが可能なケース | 「柔らかい=良い」ではない |
| 除圧 – 圧切替 | 支持面を交互に切り替えて除圧 | 寝返りが難しい/皮膚リスクが高い | 体動が増えると自動で挙動が変わる |
| 除圧 – 体位変換 | 右上げ 15 分 → 仰臥位 20 分 → 左上げ 15 分 → 仰臥位 20 分( 1 サイクル約 70 分 ) | 体位変換を「低角度」で補助したい | 離床判定で使えなくなる条件がある |
| むれ対策 | 室温・湿度条件で自動 ON( 30 分動作 ⇔ 15 分停止) | 寝床内の湿気・不快感が強い | 手動で強制 ON はできない |
センサー判定(背上げ・離床・むれ)の「止まる理由」を先に知る
「急に体位変換しなくなった」「むれ対策が動かない」は故障ではなく、判定条件で説明できることが多いです。まずはここを押さえると、現場の問い合わせが減ります。
| 判定 | 条件の目安 | 起きること | 現場の対策 |
|---|---|---|---|
| 離床判定 | 利用者がマット上にいない | 体位変換が使えない/途中でフラットに戻る | 離床中に止まるのは正常。再着床後に再確認 |
| 背上げ判定 | 背上げが 30 ° 以上 | 背上げモードに移行し、除圧動作で調整 | 食事・嚥下場面は背上げ時間が長くなりやすいので皮膚チェックをセット化 |
| むれ対策 | 室温 23 ° 以上かつ湿度 50 % 以上 | 自動で換気( 30 分動作 ⇔ 15 分停止) | 防水シーツでダクトを塞がない。室内環境も合わせて見る |
よくある失敗と、先に決める運用ルール
「設定が難しい」より、実はシーツ・リモコン位置・背上げ放置が再現性の敵です。チームでルールを 3 つだけ決めておくと事故が減ります。
| 論点 | NG(起きがち) | OK(型) | 理由 |
|---|---|---|---|
| リモコン | 寝床内に入れる | フットボードに掛ける | 誤操作・設定変更が起きやすい |
| シーツ | 強く張る/ダクトを覆う | 張りすぎない/ダクトを妨げない | 動作や換気が弱くなる |
| 背上げ | 背上げのまま長時間 | 目的と時間を記録し、皮膚チェックをセット化 | 局所負荷が増えやすい |
カルテ・記録の型(コピペ用)
記録は「機種名」よりモード・体位・皮膚所見・次回アクションが残ると、引き継ぎが回ります。以下をベースに、施設の書式へ寄せてください。
| 項目 | 書き方(例) | ポイント |
|---|---|---|
| 機種・サイズ | スコープライト( MSCPL91 ) | サイズ違いの混同を防ぐ |
| 運転 | 全自動(手動オフなし) | まずは全自動を基本に |
| 体位・背上げ | 仰臥位/背上げ 30 ° 以上 2 回(食事) | 背上げは皮膚チェックとセット |
| 皮膚所見 | 仙骨部 発赤なし/踵 乾燥あり | 部位を固定して観察 |
| 次回アクション | 防水シーツ位置を調整、むれ対策の阻害なしを確認 | 「次にやること」を 1 行で |
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. まずは全自動でいい? 手動設定はいつ使う?
A. 基本は全自動で開始し、運用が安定してから「止めたい動き」だけを手動でオフにするのが安全です。最初から手動で触ると、チーム内で設定が揃わず、所見の解釈がぶれやすくなります。
Q2. むれ対策が動かないのは故障?
A. 室温 23 ° 以上かつ湿度 50 % 以上の条件で自動的に動作する設計です。加えて、防水シーツのかけ方で空気の出口が塞がれると効きにくくなるため、シーツ位置を先に点検します。
Q3. 体位変換が急に止まった(効かない)
A. 離床判定(利用者が寝ていない)や、背上げ判定でフラットに戻る動作が入ることがあります。まずは「離床中だったか」「背上げが長かったか」を確認し、再着床後に挙動を見ます。
Q4. 停電時はどうする?
A. 空気が抜けにくいことに加え、底づき防止層があるため、停電時間の長さに関わらず特別な対策が不要とされています。現場では、電源復旧後に設定と警告表示だけ再確認する運用にしておくと迷いません。
Q5. 導入時に一番多いミスは?
A. シーツを強く張りすぎる、ダクトを防水シーツで覆う、リモコンを寝床内に入れる、の 3 つが多いです。まずは「設置チェック」を 1 枚にして、誰がやっても同じになるように揃えます。
次の一手
運用を整える → 共有の型を作る → 環境の詰まりも点検
記録・引き継ぎ・用具の運用が回らないときは、無料チェックシートで「詰まり」を可視化すると次の改善が速くなります。
無料チェックシートを見てみる学び直しの軸(全体像)
PT のキャリア設計( 5 分フロー)参考資料
- 株式会社モルテン 健康用品事業本部.スコープ/スコープライト 製品ページ.https://www.molten.co.jp/health/products/mattress/scope/(参照 2026-02-27)
- 株式会社モルテン 健康用品事業本部.ロボティックマットレス スコープ ライト 取扱説明書( PDF ).https://www.molten.co.jp/health/inquiry/manual/files/sale/mattress/1/manual_scope-lite.pdf?v=202601(参照 2026-02-27)
- 公益財団法人テクノエイド協会( TAIS ).福祉用具情報(スコープ ライト 83 cm 幅ショート: 00054-000653).https://www.techno-tais.jp/ServiceWelfareGoodsDetail.php?RowNo=0&ViewType=1&YouguCode1=00054&YouguCode2=000653(参照 2026-02-27)
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

