スコープライトの使い方|全自動設定と止まる条件を整理

臨床手技・プロトコル
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スコープライトの使い方|まずは全自動で開始

スコープライトは、モルテンの全自動運転型エアマットレスです。基本操作は、正しく設置したうえで電源を入れ、リモコンの「全自動」を押して開始します。その後は、利用者さんの体動や着床・離床、背上げ状態などをセンサーで判定し、体圧調整、標準、除圧-圧切替、除圧-体位変換を自動で切り替えます。

実務で迷いやすいのは、「どのモードを選ぶか」よりも、全自動で何が起きているのか、なぜ体位変換が止まったのか、むれ対策がいつ作動するのかです。この記事では、モルテンの取扱説明書をもとに、設置から全自動運転、背上げ・離床時の動作、記録まで整理します。

まず全体像を確認したい方へ

体圧分散マットレスの種類と選び方を見る

設置から使用開始までの確認順

スコープライトはリプレイスメントタイプのため、ベースマットレスを重ねず、ベッド上へ直接設置します。初回は細かな手動設定より、設置方向、リモコン位置、シーツ、利用者さんの寝位置をそろえることが重要です。

  1. 製品ロゴが表面・足元側になるように、ベッド上へ直接設置する。
  2. 電源コードとリモコンを取り出し、接続状態を確認する。
  3. リモコンをフットボードへ掛け、寝床内へ入れない。
  4. 電源プラグを接続し、リモコンの電源を入れる。
  5. 「全自動」を押して運転を開始する。
  6. シーツを整え、利用者さんが可能な範囲でマットレス中央に位置していることを確認する。

全自動で使用を開始すると、最初は体圧調整から始まります。設定後も、皮膚所見、姿勢、背上げ時間、痛み、寝床内の湿気などは人が確認する必要があります。

全自動では4つの動作モードが切り替わる

スコープライトの全自動運転では、体圧調整、標準、除圧-圧切替、除圧-体位変換の4つの動作モードが使われます。利用者さんの体動などをもとに状態を判定し、動作モードが自動で変化します。

スコープライトの全自動4モードと止まる条件を整理した図版
スコープライトの全自動4モード、体位変換が止まる条件、むれ対策の作動条件を1枚で整理した図版。
スコープライトの4つの動作モード
動作モード 主な動き 現場での確認ポイント
体圧調整 体重や体型に合わせてエア圧を自動調整する 使用開始時はこのモードから始まる
標準 安定性を高め、寝返りしやすい状態を保つ 自力で寝返りできる状態などで選択される
除圧-圧切替 体圧調整に加えて、エアセルによる圧切替を行う 局所への圧が持続していないか皮膚所見も確認する
除圧-体位変換 圧切替に加えて、左右への低角度体位変換を行う 離床や背上げによって体位変換が止まることがある

除圧-体位変換では、右上げ15分、仰臥位20分、左上げ15分、仰臥位20分を繰り返し、1サイクルは約70分です。体位変換角度は約4度の低角度であり、一般的な側臥位への体位変換そのものを置き換える機能ではありません。

また、全自動中の判定は固定された一度きりの設定ではありません。利用者さんの状態が変化すれば動作モードも変わるため、リモコン表示と実際の姿勢を合わせて確認します。

手動で一部の動作を止めることもできる

各動作モードの「切」を使うと、使用しない動作を手動で設定できます。手動設定中は全自動運転とは異なる状態になるため、「以前と設定が違う」と感じた場合は、誰かが手動設定を変更していないかも確認します。

特別な理由がなければ、まず全自動で開始し、手動設定が必要な場合はその理由も申し送りや記録へ残しておくと設定のばらつきを防ぎやすくなります。

体位変換が止まるのはなぜ?まず離床と背上げを確認

除圧-体位変換が動かないとき、すぐに故障とは判断しません。スコープライトは着床・離床とベッドの背上げ状態を判定しており、条件によって体位変換を自動的に止めます。

体位変換が止まったときの確認ポイント
確認すること スコープライトの動作 実務での対応
利用者さんが離床している 除圧-体位変換を使用できなくなる 再着床後のリモコン表示と動作を確認する
体位変換中に離床した マットレスがフラットになる 離床中であれば異常と判断せず、再着床後を確認する
ベッドを30度以上背上げした 背上げモードとなり、体位変換が停止する 背上げ角度と目的を確認する
除圧-体位変換を手動で「切」にしている 体位変換を行わない リモコンの設定を確認する

30度以上の背上げでは体位変換が止まる

ベッドの背上げ角度が30度以上になると、スコープライトは背上げ状態を検知して背上げモードへ移行します。体位変換中であればいったんフラットになり、除圧-体位変換の体位変換動作はOFFとなって、除圧-圧切替として動作します。

背上げモードではマットレスを調整し、背抜きのための除圧動作が行われます。背上げ角度が30度以下になると背上げモードが解除されます。

そのため、「食事のために背上げしたら体位変換が止まった」という状況は、製品の自動制御で説明できる場合があります。背上げ終了後は、姿勢を戻すだけでなく、仙骨部や踵部などの皮膚所見、ずれ、痛みも合わせて確認します。

むれ対策はいつ動く?室温と湿度の条件を確認

スコープライトのむれ対策は常時作動する機能ではありません。リモコン内蔵センサーで室温23℃以上かつ湿度50%以上になると自動でONになり、寝床内の換気を行います。

作動中は30分運転と15分停止を繰り返します。標準モード以外で動作し、手動操作で強制的にONにすることはできません。

むれ対策を確認するときのポイント
確認項目 確認内容
室温 23℃以上になっているか
湿度 50%以上になっているか
動作モード 標準モード以外か
防水シーツ フレッシュエアダクトを塞いでいないか
リモコン 寝床内ではなくフットボードに掛けられているか

通常のシーツと防水シーツでは掛け方が異なる

フレッシュエアダクト周辺は、シーツの種類によって扱いが異なります。すべてのシーツでダクトを露出させるわけではありません。

シーツ別のフレッシュエアダクトの扱い
シーツ 取り付け方のポイント
基準シーツ フレッシュエアダクトごと覆い、シーツの端を整える
ボックスシーツ フレッシュエアダクトを含め、マットレス全体を包むように掛ける
防水シーツ フレッシュエアダクトを覆わないように取り付ける

特に防水シーツなど通気性のない物でフレッシュエアダクトを塞ぐと、除湿用の空気が妨げられます。また、シーツを強く張りすぎるとマットレス本来の性能を妨げる可能性があるため注意します。

厚さ17cm・サイズ・使用条件

スコープライトの厚さは17cmで、83cm幅と91cm幅、それぞれにレギュラーとショートがあります。導入時は「スコープライト」という製品名だけでなく、ベッド幅と長さに合う品番か確認します。

スコープライトのサイズ早見
品番 サイズ 重量 適合ベッドの目安 TAIS
MSCPL83 83 × 193 × 17cm 10.0kg 83cm幅/レギュラー 00054-000651
MSCPL83S 83 × 182 × 17cm 9.5kg 83cm幅/ショート 00054-000653
MSCPL91 91 × 193 × 17cm 11.0kg 91cm幅/レギュラー 00054-000652
MSCPL91S 91 × 182 × 17cm 10.5kg 91cm幅/ショート 00054-000654

製品は体重30kg以上の成人での使用を想定しており、最大利用者体重は120kgです。小児や体重が軽い方では、体位変換が適切に作動しない可能性や、ポジショニングエアセルの位置が合わない可能性があるため、使用前に各機能を確認します。

ハイブリッド構造は端座位やケア時の安定性にも関係する

スコープライトは、エアセルだけでなく、フィッティングフォーム、安定支持フォーム、底づき防止フォームを組み合わせたハイブリッド構造です。体圧分散だけでなく、端座位やベッド上でケアするときの安定性にも配慮されています。

したがって、エアマットレスを評価するときは「柔らかいか」「沈み込むか」だけでは不十分です。寝返り、端座位、介助時の安定性、皮膚所見、シーツの張りなどを合わせて確認します。

スコープとの違い

スコープライトには、上位モデルのスコープにある臀部周辺の圧を可視化する機能がありません。全自動運転を中心に使用するモデルがスコープライト、全自動運転に加えて体圧の可視化も利用したい場合がスコープ、と整理できます。

記録では設定だけでなく「なぜ確認したか」を残す

スコープライトを使用した記録では、製品名だけを書くより、運転状態、姿勢、背上げ、皮膚所見、次に確認することを残すと、多職種間で状況を共有しやすくなります。

以下は当サイトによる実務上の記録例であり、モルテンが定める公式記録様式ではありません。各施設の記録基準に合わせて調整してください。

スコープライト使用時の記録例
項目 記録例 確認の目的
機種・サイズ スコープライト MSCPL91使用 使用機器を特定する
運転状態 全自動運転で使用 手動設定との混同を防ぐ
姿勢・背上げ 食事時に背上げ実施、終了後フラットへ戻す 体位変換停止との関係を確認する
皮膚所見 仙骨部発赤なし、踵部発赤なし 圧による皮膚変化を追跡する
寝床内環境 防水シーツによるダクト閉塞なし むれ対策を妨げる要因を確認する
次回確認 背上げ後の皮膚所見とリモコン表示を再確認 再評価する項目を共有する

記録項目を増やすこと自体が目的ではありません。設定変更や背上げ、皮膚所見など、次の勤務者が「何を確認すればよいか」を判断できる情報を残します。

スコープライト運用チェックシート

設置、全自動運転、体位変換が止まる条件、むれ対策、防水シーツ、皮膚所見をベッドサイドで確認できるように、当サイトでA4・1枚のスコープライト運用チェックシートを作成しました。

導入時、設定確認、申し送り、褥瘡対策カンファレンス前の整理などに使用できます。メーカー公式帳票ではないため、施設の運用や記録様式に合わせて使用してください。

スコープライト運用チェックシート

設置→全自動→背上げ・離床→むれ対策→皮膚確認→申し送りまで、A4・1枚で確認できます。

PDFを開く(ダウンロード)

チェックシートをプレビューする

PDFが表示されない場合は、上の「PDFを開く(ダウンロード)」ボタンから開いてください。

スコープライトでよくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. スコープライトはまず全自動で使えばよいですか?

A. 基本操作は、電源を入れて「全自動」を押して開始します。必要な場合は一部の動作モードを手動で止めることもできますが、設定変更時は理由を記録・共有しておくとチーム内の設定差を防ぎやすくなります。

Q2. 体位変換が急に止まるのは故障ですか?

A. 故障とは限りません。離床している場合や、ベッドを30度以上背上げしている場合は、体位変換が停止します。まず着床・離床、背上げ角度、リモコンの手動設定を確認してください。

Q3. 防水シーツは使用できますか?

A. 使用できますが、フレッシュエアダクトを覆わないように取り付けます。防水シーツなど通気性のない物でダクトを塞ぐと、むれ対策のための空気を妨げる可能性があります。

Q4. スコープライトの厚さは何cmですか?

A. 厚さは17cmです。幅は83cmと91cm、長さはレギュラー193cmとショート182cmがあります。使用するベッドの幅と長さを確認して品番を選びます。

Q5. 停電したらすぐにマットレスの空気は抜けますか?

A. モルテンは、利用者さんが寝た状態でも停電時に約2週間エアを維持すると案内しています。ただし停電が長時間続いた場合は目標とする体圧分散性能が保てない可能性があるため、施設の停電時対応と合わせて皮膚・姿勢を確認してください。停電復旧後は停電前の設定条件へ戻ります。

次に確認したいこと

スコープライトの低角度体位変換だけでなく、実際のポジショニングや体位変換間隔を検討する場合は、30度側臥位と体位変換の考え方も合わせて確認してください。


参考資料

著者情報

rehabilikun(理学療法士)のプロフィール画像

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度など、医療従事者の実務に役立つ情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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