スコープライトの使い方|設定・厚さ・特徴を実務で整理
スコープライトは、モルテンの全自動運転型エアマットレスです。利用者さんの体動や背上げ、寝床内環境に応じて、圧切替・低角度体位変換・むれ対策などを自動で切り替える点が特徴です。
この記事では、製品紹介ではなく、臨床・介護現場で迷いやすい「設置」「全自動設定」「体位変換が止まる理由」「記録の書き方」まで、実務で使える形に整理します。記事内には、導入時の確認に使える A4 チェックシートも掲載しています。
スコープライトでできること
スコープライトは、褥瘡予防に必要な圧対策を全自動で行う高機能エアマットレスです。基本はリモコンの「全自動」を押して開始し、利用者さんの状態に合わせて標準、除圧 – 圧切替、除圧 – 体位変換などが切り替わります。
上位モデルの「スコープ」と異なり、スコープライトには臀部周辺の圧を可視化する機能はありません。そのため、圧の見える化を会議や教育で使いたい場合はスコープ、日常運用を自動化したい場合はスコープライト、という考え方で整理しやすくなります。
厚さ・サイズ・適合ベッド
スコープライトの厚さは 17 cm です。導入時は、幅 83 cm か 91 cm か、長さがレギュラーかショートかを先に確認すると、ベッドサイズとの不一致を防ぎやすくなります。
最大利用者体重は 120 kg です。体格が大きい方、小児、中央に寝られない方では、取扱説明書や販売店の情報を確認したうえで適合を判断します。
| 品番 | 幅 × 長さ × 厚さ | 重量 | 適合ベッド | TAIS |
|---|---|---|---|---|
| MSCPL83 | 83 × 193 × 17 cm | 10.0 kg | 幅 83 cm 程度/レギュラー | 00054-000651 |
| MSCPL83S | 83 × 182 × 17 cm | 9.5 kg | 幅 83 cm 程度/ショート | 00054-000653 |
| MSCPL91 | 91 × 193 × 17 cm | 11.0 kg | 幅 91 cm 程度/レギュラー | 00054-000652 |
| MSCPL91S | 91 × 182 × 17 cm | 10.5 kg | 幅 91 cm 程度/ショート | 00054-000654 |
ハイブリッド構造と 17 cm の意味
スコープライトは、エアセルだけでなく、フィッティングフォーム・安定支持フォーム・底づき防止フォームを組み合わせたハイブリッド構造です。柔らかさだけでなく、端座位やケア時の安定性も意識された構造です。
エアマットレスは「沈み込むほど良い」と考えられがちですが、実務では寝返り、端座位、介助時の膝つき、シーツの張り方まで含めて評価する必要があります。
| 構造 | 役割 | 現場での見方 |
|---|---|---|
| エアセル | 圧切替・体圧調整 | 局所圧が持続していないか確認する |
| ポジショニングエアセル | 低角度体位変換 | 体位変換が止まる条件を理解しておく |
| ウレタンフォーム群 | 安定支持・底づき防止 | 端座位やケア時の安定性を確認する |
設置から初回稼働までの 5 分フロー
初回導入では、細かい手動設定よりも「正しく置く」「リモコンを寝床内に入れない」「シーツでダクトを塞がない」の 3 点が重要です。ここが崩れると、本来の除圧・除湿機能が発揮されにくくなります。
まずは全自動で開始し、皮膚所見・背上げ時間・寝位置・シーツの張りを確認します。設定を触る前に、設置条件をそろえることが安定運用の第一歩です。
- 表裏、頭側、足元側を確認してベッド上へ直接設置する。
- 電源コードとリモコンを取り出し、リモコンはフットボードへ掛ける。
- 電源を入れ、リモコンの「全自動」を押す。
- 防水シーツでフレッシュエアダクトを覆わないように整える。
- 利用者さんをマットレス中央に寝かせ、皮膚・姿勢・痛みを確認する。
全自動モードで何が起きるか
スコープライトは、利用者さんの体動の有無を一定時間ごとに感知し、モードを自動判定します。現場では「どのボタンを押すか」よりも、「いま何が自動で起きているか」を説明できることが大切です。
除圧 – 体位変換では、右上げ 15 分、仰臥位 20 分、左上げ 15 分、仰臥位 20 分のサイクルを繰り返します。体位変換角度は約 4 度の低角度です。

| モード | 動き | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 標準 | 体圧調整を行い、安定性を保つ | 自力で寝返りできる方 | 柔らかさだけで判断しない |
| 除圧 – 圧切替 | 身体の一部を支えながら交互に除圧する | 寝返りが少ない方 | 体動が増えると自動判定が変わる |
| 除圧 – 体位変換 | 低角度で左右の体位変換を行う | 体位変換を補助したい方 | 離床時や条件によって止まることがある |
| むれ対策 | 条件に応じて換気を行う | 寝床内の湿気が気になる方 | 手動で常時 ON にする機能ではない |
体位変換やむれ対策が止まる理由
「急に体位変換しない」「むれ対策が動かない」という相談は、故障ではなく判定条件で説明できることがあります。まずは離床、背上げ、室温・湿度、シーツのかけ方を確認します。
特に防水シーツでフレッシュエアダクトを覆うと、除湿機能が発揮されにくくなります。エラーや故障を疑う前に、環境と設置を点検する流れを決めておくと対応が速くなります。
| 困りごと | まず確認すること | 対応 |
|---|---|---|
| 体位変換が止まる | 離床中ではないか | 再着床後に動作を確認する |
| 背上げ中の圧が気になる | 背上げ角度と時間 | 食事後に姿勢を戻し、仙骨部を確認する |
| むれ対策が効かない | 室温・湿度・防水シーツ位置 | ダクトを塞がないように整える |
| 設定が変わっている | リモコンが寝床内にないか | フットボードに掛ける運用に統一する |
現場の詰まりどころとよくある失敗
スコープライトの運用で詰まりやすいのは、機器の性能ではなくチーム内の使い方のばらつきです。誰が設置しても同じ状態になるように、シーツ、リモコン、背上げ後の確認を固定します。
評価や用具の使い方に迷いが続く場合は、個人の努力だけでなく、記録様式・教育体制・相談環境が整っていないこともあります。
| 論点 | NG | OK | 理由 |
|---|---|---|---|
| リモコン | 寝床内に入れる | フットボードに掛ける | 誤操作や温湿度判定の乱れを防ぐ |
| 防水シーツ | ダクトまで覆う | ダクトを妨げない | 除湿機能が発揮されにくくなる |
| 背上げ | 長時間そのまま | 目的・時間・皮膚所見を記録する | 仙骨部などの局所負荷を見逃さない |
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カルテ・記録の型
記録では、機種名だけでなく、運転モード、姿勢、背上げ時間、皮膚所見、次回確認を残すと引き継ぎやすくなります。用具を入れた事実より、「どう使い、何を確認したか」が大切です。
以下の型を使うと、看護・介護・リハ間で情報がそろいやすくなります。施設の記録様式に合わせて、必要な項目だけ残してください。
| 項目 | 記録例 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 機種・サイズ | スコープライト MSCPL91 使用 | 幅・長さの混同を防ぐ |
| 設定 | 全自動運転で開始 | 手動 OFF の有無を確認する |
| 姿勢 | 仰臥位中心、食事時のみ背上げ 30 度以上 | 背上げ時間と仙骨部を確認する |
| 皮膚所見 | 仙骨部発赤なし、踵部乾燥あり | 部位名を固定して観察する |
| 次回確認 | 防水シーツ位置、むれ、背上げ後の発赤を再確認 | 次に見ることを 1 行で残す |
スコープライト運用チェックシート
スコープライトは、設置・シーツ・リモコン位置・背上げ後の皮膚確認がそろうと運用しやすくなります。導入初日や申し送り前に確認できるよう、A4 1 枚のチェックシートを用意しました。
印刷してベッドサイドの確認、用具導入時の申し送り、褥瘡対策カンファレンス前の整理に使いやすい形式です。必要に応じて施設の記録様式に合わせて追記してください。
中身をプレビューする
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. まずは全自動で使えばよいですか?
A. 基本は全自動で開始します。最初から手動で細かく切ると、チーム内で設定がそろわず、皮膚所見や姿勢変化の解釈がぶれやすくなります。
Q2. スコープライトの厚さは何 cm ですか?
A. 厚さは 17 cm です。幅は 83 cm と 91 cm、長さはレギュラーとショートがあります。ベッド幅と長さを確認してから選定します。
Q3. 体位変換が止まるのは故障ですか?
A. 離床判定や背上げ状態などで、体位変換が止まることがあります。まずは利用者さんがマットレス上にいるか、背上げ状態が続いていないかを確認します。
Q4. 防水シーツは使えますか?
A. 使用できますが、フレッシュエアダクトを覆わないように取り付けます。ダクトを塞ぐと、除湿機能が発揮されにくくなります。
Q5. 停電時はどう確認しますか?
A. 電源復旧後に、リモコン表示、設定、マットレスのふくらみ、皮膚所見を確認します。施設の停電時マニュアルに合わせて対応を統一しておくと安心です。
次の一手
参考資料
- 株式会社モルテン 健康用品事業本部.スコープ/スコープライト 製品ページ.https://www.molten.co.jp/health/products/mattress/scope/(参照 2026-06-04)
- 株式会社モルテン 健康用品事業本部.ロボティックマットレス スコープ ライト 取扱説明書.https://www.molten.co.jp/health/inquiry/manual/files/sale/mattress/1/manual_scope-lite.pdf?v=202601(参照 2026-06-04)
- 公益財団法人テクノエイド協会.福祉用具情報システム:スコープ ライト 91 cm 幅.https://www.techno-tais.jp/ServiceWelfareGoodsDetail.php?RowNo=0&ViewType=1&YouguCode1=00054&YouguCode2=000652(参照 2026-06-04)
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


