ネクサス iB の使い方|蒸れ対策と記録

臨床手技・プロトコル
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ネクサス iB の使い方|蒸れ対策・設定・記録の型

支持面は「製品名」ではなく、評価 → 設定 → 記録 → 再評価の型で選ぶと迷いが減ります。

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関連:厚さ・構造の見方ビッグセル iS の蒸れ対策

結論:マイクロクライメイト ネクサス iB は、体圧分散だけでなく、マットレス内の熱・湿気を吸引式ファンで外へ逃がす「微気候対策」まで含めて使うエアマットレスです。運用で差が出るのは、体重設定、寝具の重ね方、背上げ角度と時間、導入後 48–72 時間の所見比較です。

この記事では、ネクサス iB の仕様紹介ではなく、臨床で迷いやすい設定・観察・記録の型に絞って整理します。マットレス全体の選び方は親記事へ、他機種との比較は兄弟記事へ逃がし、本記事では「ネクサス iB をどう使うか」に固定します。

ネクサス iB で最初に決める 3 点

最初に決めるのは、体重設定、換気を妨げない寝具構成、背上げ時の観察軸です。この 3 点が曖昧なまま設定を触ると、蒸れ・発赤・ずれの原因が分からなくなります。

  • 体重設定:療養者の体重に合わせ、底づきとずれを確認する
  • 換気:吸気・排気を寝具で塞がない
  • 背上げ:角度と時間をそろえて、仙骨部のずれを確認する

仕様|交換タイプ・厚さ 12 cm・TAIS

ネクサス iB は、ベッドマットレスと入れ替えて使う交換タイプです。厚さは 12 cmで、幅 84 cm、90 cm、100 cm、ショートタイプが用意されています。

※表は横にスクロールできます。

マイクロクライメイト ネクサス iB:ラインアップ
タイプ 品番 サイズ TAIS
840 CR-770 84 × 192 × 12 cm 00206-000161
900 CR-773 90 × 192 × 12 cm 00206-000162
840/SHORT CR-775 84 × 180 × 12 cm 00206-000163
900/SHORT CR-777 90 × 180 × 12 cm 00206-000164
1000 CR-781 100 × 192 × 12 cm 00206-000165

仕組み|吸引式ファンで熱・湿気を外へ逃がす

ネクサス iB の特徴は、マットレス内にこもる熱と湿気を吸引式ファンで外へ排気し、皮膚局所の温度・湿度上昇を抑える点です。褥瘡予防では圧だけでなく、湿潤、熱感、浸軟、ずれをセットで見ます。

ただし、換気機能があっても、防水シーツの重ねすぎや吸気・排気部の閉塞があると効果を感じにくくなります。設定変更の前に、寝具構成と皮膚所見をそろえて確認することが重要です。

導入 10 分フロー|設置から直後チェックまで

導入時は、細かい設定よりも「設置・体重設定・換気・直後チェック」を同じ順番で行うと失敗が減ります。特に初回は、底づきと背上げ時のずれを必ず確認します。

  1. 設置:交換タイプとしてベッドに設置し、ホースとポンプを接続する
  2. 電源:電源を入れ、初期運転を開始する
  3. 体重設定:20–140 kg の範囲で設定し、必要に応じて 5 kg 刻みで調整する
  4. 換気確認:寝具で吸気・排気を塞いでいないか確認する
  5. 直後チェック:底づき、仙骨部の当たり、背上げ時の滑り座り、湿潤を確認する
ネクサス iB 運用 5 分フロー。評価、設置、体重設定、背上げ確認、48-72時間再評価の流れを示した図版

背上げは角度と時間で管理する

背上げ中は、圧だけでなくずれ力が問題になりやすくなります。ネクサス iB には背上げ角度や経過時間を把握しやすくする機能がありますが、記録側も「何度で、何分、どこに所見が出たか」を残す必要があります。

※表は横にスクロールできます。

背上げ時に見るポイント
見る軸 観察 対策 記録
ずれ 滑り座り、骨盤後傾、衣類のよれ 背上げ前に骨盤位置を整え、背上げ後に背抜きを行う 角度/時間/ずれ徴候
湿潤 仙骨部の湿潤、浸軟、熱感 寝具を重ねすぎず、換気を妨げない 湿潤の程度/寝具構成
離床 起き上がり、端座位、移乗の安定性 必要時のみ硬さや姿勢を調整する 介助量/所要時間/不安定要因

現場の詰まりどころ|効かない原因を設定前に潰す

蒸れや発赤が改善しないとき、すぐに設定を変えるより、寝具・姿勢・背上げ時間・記録条件をそろえる方が再現性があります。特に「蒸れ」と「ずれ」は別問題なので、同じ発赤でも原因を分けて考えます。

迷ったときは、48–72 時間チェックカルテ記録テンプレに戻り、同じ条件で比較します。褥瘡予防全体の支持面選択は、親記事の体圧分散マットレスの選び方へ戻すと整理しやすくなります。

※表は横にスクロールできます。

ネクサス iB 運用のよくある失敗と対策
問題 主な原因 まずやる対策 記録ポイント
蒸れが改善しない 寝具の重ねすぎ、吸気・排気の妨げ 寝具構成を簡素化し、吸気・排気部を確認する 寝具/室温湿度/湿潤
背上げで赤くなる ずれ、骨盤後傾、背上げ時間が長い 骨盤位置、足部支持、背抜きを手順化する 角度/時間/発赤の持続
設定が合わない 体重設定のずれ、直後に触りすぎ 基準設定に戻し、48–72 時間で比較する 体重設定/底づき/圧痕
停電時が不安 圧切替が停止する 体位変換と背上げ解除を優先する 停電時間/体位変換実施

評価・記録・再評価の型が職場で共有されていないと、用具の設定も属人化しやすくなります。

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停電対応|体位変換と背上げ解除を優先する

ネクサス iB は停電時に空気漏れを抑える機能がありますが、停電中は圧切替が止まります。したがって、停電時はマットレス機能を過信せず、体位変換と背上げ解除を優先します。

背上げ中であればベッドを平らに戻し、皮膚・湿潤・ずれの所見を再確認します。復旧後も直前設定に戻るだけで安心せず、仙骨部、踵部、肩甲帯周囲などの所見を見直します。

導入・見直しチェック|48–72 時間で比較する

導入後は、直後の印象だけで判断せず、48–72 時間で皮膚、湿潤、ずれ、離床、睡眠を比較します。記録条件をそろえることで、設定変更が必要か、寝具や姿勢の問題かを判断しやすくなります。

※表は横にスクロールできます。

導入前・直後・48–72 時間で比較する最小チェック
見る軸 観察 記録の最小セット
皮膚 発赤、圧痕、疼痛、持続時間 部位/持続/回復
湿潤 浸軟、熱感、寝汗、失禁 湿潤の程度/寝具構成
ずれ 滑り座り、衣類のよれ、骨盤後傾 角度/時間/ずれ徴候
離床 起き上がり、端座位、移乗 介助量/所要時間
睡眠 夜間覚醒、寝苦しさ、不快感 覚醒回数/訴え

カルテ記録テンプレ|コピペ用

記録は、機種名だけで終わらせず、設定、背上げ、皮膚、湿潤、離床、再評価時期まで残すとチームで比較しやすくなります。

【支持面】ネクサス iB(交換タイプ) 体重設定:__kg 換気:ON/OFF
【背上げ】__°・__分 滑り座り:あり/なし 背抜き:実施/未実施
【皮膚】仙骨:__ 踵:__ 発赤持続:__分
【湿潤】寝汗:多/中/少 失禁:あり/なし 寝具:__
【離床】起き上がり:__介助 端座位:__分 移乗:__介助
【再評価】導入後__時間 48–72 時間で皮膚・湿潤・ずれを再比較

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

換気は常に ON でよいですか?

基本は ON を基準に考えます。ただし、効果が弱いと感じる場合は、設定より先に寝具の重ねすぎや吸気・排気部の閉塞を確認します。

体重設定はどこまで厳密に合わせますか?

体重設定は重要ですが、数字だけで判断しません。底づき、発赤、ずれ、離床時の安定性を合わせて確認し、48–72 時間で比較します。

蒸れは改善したのに発赤が残る場合は?

蒸れではなく、背上げ時のずれや局所圧が原因の可能性があります。骨盤位置、足部支持、背抜き、背上げ時間を確認します。

停電時は何を優先しますか?

停電中は圧切替が止まるため、体位変換と背上げ解除を優先します。復旧後も皮膚、湿潤、ずれを再確認します。

次の一手


参考文献

  1. 株式会社ケープ. マイクロクライメイト ネクサス アイビー(製品情報). Link
  2. 株式会社ケープ. マイクロクライメイト ネクサス iB カタログ PDF. PDF
  3. 株式会社ケープ. マイクロクライメイト ネクサス iB 取扱説明書 PDF. PDF
  4. 株式会社ケープ. ネクサス iB 操作ガイド PDF. PDF
  5. 公益財団法人テクノエイド協会. マイクロクライメイト ネクサス アイビー 840(TAIS:00206-000161). Link
  6. Kottner J, Black J, Call E, Gefen A, Santamaria N. Microclimate: A critical review in the context of pressure ulcer prevention. Clin Biomech (Bristol). 2018;59:62-70. doi:10.1016/j.clinbiomech.2018.09.010 / PubMed

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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