ネクサス iB の使い方|初期設定・体重設定・背上げ・停電対応
マイクロクライメイト ネクサス iB(アイビー)は、設置後にまず体重設定を確認し、圧切替・換気・クイックハード・背上げ機能を場面に応じて使い分けます。特に迷いやすいのが、40〜60kgで使える「かんたんモード」と個別の体重設定、圧切替とクイックハードの違いです。
この記事では、メーカー公式の取扱説明書に沿って、ネクサス iB を初めて扱うPT・看護師が確認しやすいように、初期設定から背上げ、エラー・停電時の対応までを操作順に整理します。マットレスそのものの選び方は体圧分散マットレスの種類と選び方で整理しています。
最初に確認する4項目
初期設定は、体重設定「かんたんモード(40〜60kg対応)」、圧切替「通常」、換気「運転中」、音量「小」です。40〜60kg以外では個別に体重を設定し、設定・モード移行の完了を確認してから使用します。

初期設定|40〜60kgは「かんたんモード」、それ以外は体重設定
体重が40〜60kgであれば、初期設定の「かんたんモード」を使用できます。40〜60kgでも個別の体重設定は可能ですが、40〜60kg以外では個別に体重を設定します。
個別の体重設定は20〜140kgの範囲で5kg刻みです。ポイントは、四捨五入ではなく療養者の体重より軽い側の最も近い設定値を選ぶことです。
※表は横にスクロールできます。
| 体重 | 使用できる設定 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 40〜60kg | かんたんモード/個別の体重設定 | 初期設定は「かんたんモード」 |
| 40〜60kg以外 | 個別の体重設定 | 20〜140kgを5kg刻みで設定 |
| 44kgの場合 | 40kg | 軽い側の最も近い値 |
| 48kgの場合 | 45kg | 軽い側の最も近い値 |
設定後は約30分を目安に準備完了を確認する
設置後の使用開始準備やモード移行中は、液晶画面右上のマークが回転します。メーカー取扱説明書では、かんたんモード・体重設定ともに約30分で使用可能とされています。
時間だけで判断せず、液晶画面の回転表示が消えて設定・モード移行が完了していること、専用マットレス内に空気が入っていることを確認してから使用します。
圧切替・換気・クイックハードは目的で使い分ける
通常使用は圧切替「通常」・換気「運転中」が基本です。圧切替の動きが気になる場合は「弱」、膨張・収縮を止めたい場面では「静止」、ベッド上ケアや離床時に一時的な安定床面が必要な場合はクイックハードを使います。
※表は横にスクロールできます。
| 機能 | 動作 | 使う場面 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 圧切替「通常」 | 通常の膨張・収縮 | 通常使用 | 圧切替が気にならなければ基本設定として使用 |
| 圧切替「弱」 | 膨張・収縮を小さくする | 圧切替の感覚が気になる場合 | 自動背上げ対応機能と併用可能 |
| 圧切替「静止」 | 膨張・収縮を停止 | エアセルの動きを止めたい場合 | 必要な場面に限定して使用する |
| 換気「運転中」 | マットレス内の熱・湿気を外へ排出 | 通常使用 | 不快感がなければ「運転中」が推奨 |
| クイックハード | 内圧を高めて圧切替を停止 | ベッド上ケア、ポジショニング、離床など | 約3分で内圧が整い、60分で自動解除 |
圧切替は「通常 → 弱 → 静止」の順に切り替わる
圧切替ボタンを押すと、「通常」「弱」「静止」の順で切り替わります。通常・弱では、自動背上げ対応機能と併用できます。
一方、クイックハードを作動させるとエアセルの内圧が高まり、圧切替は停止します。通常の圧切替モードとは役割が異なるため、一時的に安定した床面が必要な場面で使用します。
クイックハードはケア・離床時に一時的に使う
クイックハードは、ベッド上でのケアやポジショニング、離床など、柔らかいエアマットレス上では操作しにくい場面で安定した床面を確保する機能です。
ボタンを押してから内圧が整うまでの目安は約3分です。安全のため60分で自動解除され、液晶画面には解除までの残り時間が表示されます。通常の硬さへ早く戻したい場合は、再度クイックハードボタンを押して解除します。
換気は初期設定で「運転中」
換気(マイクロクライメイト)機能は、マットレス内にこもる熱・湿気を外へ排出し、マットレスに接する皮膚周囲の微気候へ配慮する機能です。
初期設定は「運転中」で、換気ボタンを押すたびに「切」と「運転中」が切り替わります。メーカーは、不快感がない場合には「運転中」で使用することを推奨しています。
設置方法|ロゴ面を上、送風チューブを足側にする
ネクサス iB は交換タイプのエアマットレスです。設置では、専用マットレスの向き、専用ポンプ、カプラー、ヘッドアップセンサの接続を順に確認します。
- 専用マットレスを設置する:ロゴマークが印刷された面を上にし、送風チューブが足側になるように置きます。
- 専用ポンプへ電源コードを接続する:電源コネクタを専用ポンプへ確実に差し込みます。
- 専用ポンプを設置する:フットボードへ掛けるか、安定した場所へ設置します。
- カプラーとヘッドアップセンサを接続する:ヘッドアップセンサコネクタとカプラーを所定の位置へ確実に接続します。
- 電源プラグを接続する:コンセントへ接続すると自動で電源が入り、初期設定で作動します。
- 体重設定を確認する:40〜60kgはかんたんモード、必要に応じて個別の体重設定へ変更します。
- 準備完了を確認する:設定・モード移行の完了と、エアセルへ空気が入っていることを確認してから使用します。
安全上の確認:送風チューブをマットレスの下へ巻き込まないようにします。また、専用ポンプを掛け布団などで覆わないようにしてください。端座位や移乗を行う際は、患者の状態に応じて転落・転倒へ十分注意します。
背上げ|15°以上で内圧を自動調整する
ベッドを15°以上へ背上げすると、自動背上げ対応機能が作動します。内蔵されたヘッドアップセンサが角度を検知し、15°以上・30°以上・45°以上・60°以上の4段階でマットレス内圧を自動調整します。
14°以下では自動背上げ対応機能は作動しません。15°以上から14°以下へ戻すと背上げ対応は解除され、直前の設定へ復帰します。背上げ時の内圧が整うまでの目安は約3分です。
背上げ角度と経過時間を液晶画面で確認できる
15°以上の背上げを検知すると背上げモードとなり、液晶画面に角度と経過時間が表示されます。経過時間は1分単位でカウントされるため、背上げを継続している時間の把握に利用できます。
ただし、ベッド本体のリモコンに表示される角度とネクサス iB の表示角度には、検知方式の違いによって差が生じることがあります。表示差だけで故障と判断しないようにします。
お知らせ角度は15〜75°を5°刻みで設定できる
繰り返し同じ背上げ角度を使用する場合は、「お知らせ角度設定」を利用できます。設定範囲は15〜75°で5°刻みです。
実際に希望する角度まで背上げし、その位置で「お知らせ角度設定」ボタンを押します。以後、その角度に到達すると報知音で確認できます。音量を「切」にしている場合は報知音が出ないため注意します。
エラー表示|赤点滅したら液晶画面の内容を確認する
正常作動時は光サインが青色に点灯し、異常時は赤色に点滅します。異常が生じた場合は液晶画面にエラー内容が表示され、音量設定によっては警告音も鳴ります。
主な表示は「エア漏れ」「角度異常」「換気異常」「その他」です。エラーが表示された場合は、液晶画面の内容を確認し、メーカー取扱説明書の「故障かな?と思ったら」に沿って原因を確認します。
自動背上げ対応中に「角度異常」が表示された場合は、背上げに適した内圧調整ができていない可能性があります。取扱説明書に従ってベッドを平らな状態へ戻し、警告の原因を確認します。
誤操作を防ぐときはキーロックを使う
キーロックボタンを3秒以上長押しすると、操作ボタンをロックできます。再度3秒以上長押しすると解除されます。
患者本人や周囲の人が誤って設定を変更する可能性がある場合など、設定を保持したい場面で利用できます。
停電時|特別な操作は不要だが、圧切替は停止する
ネクサス iB には停電対策機能があり、停電時に特別な操作を行う必要はありません。停電すると専用ポンプ内部のバルブが自動的に空気漏れを防ぎ、マットレス全体の内圧を約14日間保持します。
ただし、停電中は圧切替が作動しません。メーカー取扱説明書では、停電中は2時間おきに体位変換を行い、ベッドを背上げしている場合は平らな状態へ戻すよう案内されています。
電源復旧後は、メモリ機能によって体重設定、かんたんモード、お知らせ角度、圧切替、換気、音量が直前の設定へ自動復帰します。
一方、クイックハードモード、背上げ経過時間、キーロックは自動復帰しません。復旧後は液晶画面と光サインを確認し、必要な設定を再確認します。
緊急時|CPRではカプラーを外してエアを排出する
心肺蘇生が必要な場合は、CPR対応機能として送風チューブのカプラーを専用ポンプから取り外すことで、マットレス内の空気を速やかに排出できます。
メーカー取扱説明書では、療養者の背部がベッド床面へ底づくまでの目安を約25秒としています。ただし、体重や体型によって時間は異なります。実際の緊急対応では、施設の救急対応手順を優先してください。
設定変更後は患者側の所見も確認する
操作パネルの設定が正しくても、それだけで支持面の適合を判断することはできません。設定変更後は、皮膚状態、姿勢、ずれ、快適性、離床時の安定性など、患者側の変化も合わせて確認します。
※表は横にスクロールできます。
| 確認項目 | 見るポイント | 設定と合わせて残す情報 |
|---|---|---|
| 皮膚 | 発赤、圧痕、湿潤、熱感、疼痛 | 部位、変化、使用モード |
| 姿勢・ずれ | 骨盤後傾、滑り、衣類や寝具のよれ | 背上げ角度、経過時間 |
| 快適性 | 圧切替の違和感、硬さ、温熱感 | 圧切替、換気の設定 |
| 離床 | 起き上がり、端座位、移乗時の安定性 | クイックハード使用の有無 |
なお、ここで示す観察項目は患者状態を確認するための実務上の整理であり、メーカーが定める操作手順そのものではありません。製品操作と臨床評価は分けて考えます。
記録は「設定」と「患者所見」を分けて残す
カルテや申し送りでは、製品名だけでは設定内容が伝わりません。体重設定、圧切替、換気、背上げ条件などの機器設定と、皮膚・姿勢・離床などの患者所見を分けて残すと、次回の確認がしやすくなります。
【支持面】ネクサス iB 【設定】かんたんモード/体重設定:__kg 圧切替:通常/弱/静止 換気:運転中/切 クイックハード:使用/未使用 【背上げ】__° 経過時間:__ 【所見】皮膚:__ 湿潤:__ ずれ:__ 端座位・移乗時の安定性:__ 【対応】設定継続/変更/原因確認・相談
「48〜72時間後に必ず再評価する」といった製品固有の固定間隔は、メーカー取扱説明書には示されていません。再評価時期は、皮膚状態、体位変換、背上げ、離床状況、設定変更などに応じて判断します。
仕様|交換タイプ・厚さ12cm
ネクサス iB は、既存のベッドマットレスと入れ替えて使用する交換タイプです。マットレスの厚さは12cmで、複数の幅・長さが用意されています。
※表は横にスクロールできます。
| タイプ | 品番 | サイズ | TAIS |
|---|---|---|---|
| 840 | CR-770 | 84 × 192 × 12 cm | 00206-000161 |
| 900 | CR-773 | 90 × 192 × 12 cm | 00206-000162 |
| 840/SHORT | CR-775 | 84 × 180 × 12 cm | 00206-000163 |
| 900/SHORT | CR-777 | 90 × 180 × 12 cm | 00206-000164 |
| 1000 | CR-781 | 100 × 192 × 12 cm | 00206-000165 |
ネクサス iB の特徴|圧だけでなく微気候にも対応する
ネクサス iB は、エアマットレス内の足元に配置された吸引式ファンモーターによって、マットレス内にこもる熱や湿気を外部へ排出する「マイクロクライメイト対応システム」を搭載しています。
また、腰〜臀部には傾斜型2層式エアセルを配置し、背上げ時の身体のずり落ちやエアセルの変形を抑える構造になっています。頭〜背部・足部のデュアルフィットセルと組み合わせ、臥床や背上げなどの療養場面へ対応する設計です。
ただし、ネクサス iB は支持面だけで床ずれを防止する製品ではありません。患者の全身状態、皮膚状態、活動性、体位変換、栄養状態なども合わせて評価することが重要です。
次に確認したい記事
ネクサス iB が患者に適した支持面かどうかを選ぶ段階では、製品別の操作方法とは別に、マットレスの構造・厚さ・機能を整理する必要があります。
参考文献
- 株式会社ケープ. マイクロクライメイト ネクサス アイビー[Internet]. 製品情報. Accessed 2026 Oct 7.
- 株式会社ケープ. マイクロクライメイト ネクサス iB 取扱説明書[Internet]. PDF. Accessed 2026 Oct 7.
- 株式会社ケープ. マイクロクライメイト ネクサス iB 操作ガイド[Internet]. PDF. Accessed 2026 Oct 7.
- 株式会社ケープ. マイクロクライメイト ネクサス iB カタログ[Internet]. PDF. Accessed 2026 Oct 7.
- 公益財団法人テクノエイド協会. マイクロクライメイト ネクサス アイビー 840(TAIS 00206-000161)[Internet]. 製品情報. Accessed 2026 Oct 7.
- Kottner J, Black J, Call E, Gefen A, Santamaria N. Microclimate: A critical review in the context of pressure ulcer prevention. Clin Biomech (Bristol). 2018;59:62-70. doi:10.1016/j.clinbiomech.2018.09.010.
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度など、医療従事者の実務に役立つ情報を発信しています。
現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級

