離床前チェック|「SpO2 だけ見て離床」を防ぐ確認手順
離床前チェックは、単に「バイタルが正常か」を見る作業ではありません。特に急性期や全身状態が不安定な患者では、SpO2 の数値だけで判断すると、離床後に急激な呼吸苦や循環変動を起こすことがあります。
この記事では、理学療法士・作業療法士・看護師が現場で使いやすいように、離床前に何を・どの順番で・どこまで確認するかを整理します。記事内では、実務で使いやすい 離床前チェックリスト PDF も配布しています。
なぜ離床前チェックが重要なのか
離床は「座る・立つ」だけの動作に見えても、循環・呼吸・意識レベルへ大きな負荷がかかります。特に高齢者、術後患者、呼吸器疾患患者では、安静時は問題なく見えても、離床で急変することがあります。
そのため、離床前には「数値」だけでなく、症状・反応・環境・ライン管理を含めて総合的に確認する必要があります。
離床前チェックの流れ
離床前は、次の順番で確認すると整理しやすくなります。
特に重要なのは、SpO2 の数値だけで判断しないことです。同じ 95 % でも、呼吸苦が強い患者と安定している患者では意味が異なります。
SpO2 は「数値だけ」で見ない
現場では「SpO2 が保たれているから離床可能」と判断される場面があります。しかし実際には、呼吸数増加・努力呼吸・会話困難・回復遅延などが先に出るケースも少なくありません。
そのため、SpO2 は以下とセットで確認します。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 呼吸数 | 増加していないか |
| 呼吸様式 | 努力呼吸・肩呼吸の有無 |
| 会話 | 息切れで会話困難になっていないか |
| 回復 | 休息後に戻るか |
| 症状 | 冷汗・顔色不良・不安感 |
関連:SpO2 評価の見方
中止・延期を検討するサイン
離床では「開始するか」だけでなく、途中で止める判断も重要です。以下のような変化がある場合は、無理に進めず再評価を優先します。
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 呼吸 | 強い呼吸苦、SpO2 の著明低下 |
| 循環 | 著明な血圧変動、頻脈 |
| 症状 | めまい、冷汗、顔色不良 |
| 意識 | 反応低下、会話困難 |
| ライン | 抜去リスク、牽引リスク |
離床前チェックリスト PDF
現場で使いやすいように、A4 1 枚で整理した「離床前チェックリスト PDF」を配布しています。
中身をプレビューする
現場の詰まりどころ
離床前チェックで多いのは、「数値だけで進める」「誰が最終判断するか曖昧」「症状確認が抜ける」というパターンです。
特に SpO2 は、“正常値かどうか” だけでなく、症状・呼吸数・回復速度まで含めて判断することが重要です。
- SpO2 だけで離床可否を決めない
- 症状・反応もセットで確認する
- 中止判断を共有しておく
関連:起立性低血圧の評価と対応
次の一手
離床前チェックは、「何を見るか」だけでなく、「どの順番で判断するか」を揃えると実施しやすくなります。
参考文献
日本集中治療医学会. ICU における早期リハビリテーション.
Needham DM, et al. Early physical medicine and rehabilitation for patients with acute respiratory failure. Crit Care Med. 2010;38(8):1513-1519.
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を運営。脳卒中・呼吸リハ・褥瘡・摂食嚥下を中心に、臨床で使いやすい評価やプロトコルを発信しています。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士


