パーキンソン病の外的キューの使い方

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外的キューは「何を使うか」より「どの場面で使うか」で選ぶと整理しやすくなります

パーキンソン病の歩行では、床目印、メトロノーム、声かけなどの外的キューが使われます。ただし、どのキューも万能ではなく、歩幅が詰まりやすいのか、開始動作で止まりやすいのか、方向転換で崩れやすいのかで選び方が変わります。

大切なのは「効くキューを探す」ことではなく、どの場面で、どのキューが、どの程度合ったかをそろえて比べることです。FOG が評価で出にくい場面の整理は すくみ足が評価で出ないときの見方 もあわせて読むとつながりやすくなります。

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外的キューの使い分けは「歩幅」「リズム」「切り替え」のどこが詰まるかで決まります

外的キューは、歩行を外から引っ張る目印です。視覚キューは足をどこへ出すかを見えやすくしやすく、聴覚キューは歩行のリズムをそろえやすく、短い声かけは開始や方向転換の切り替えを助けやすいという特徴があります。

一方で、同じ人でも毎回同じキューが最適とは限りません。場面を固定し、反応を比べながら、合うキューを絞る進め方が実務では重要です。

パーキンソン病の外的キューの使い分けを示した比較図版
図:外的キューは「床目印」「メトロノーム」「声かけ」の 3 つを、詰まりやすい場面に合わせて使い分けます。

スマホでは表を横スクロールできます。

外的キューの選び方の早見表
キュー 合いやすい場面 合いにくい場面 記録の一言
床目印 歩幅が詰まりやすい、狭所やドア前で足が出にくい、目標を作ると歩きやすい 視線が下がりにくい、周囲が散らかって目印が見にくい、課題が多すぎる 床目印で一歩目の歩幅が広がったかを残す
メトロノーム リズムが乱れやすい、直線歩行で歩調が崩れる、継続歩行でテンポを保ちたい 音に注意を向けにくい、速すぎるテンポであせりや小刻みが増える、騒音環境が強い テンポ設定と歩幅・歩速の変化をセットで残す
声かけ 開始動作、方向転換、立ち止まり後の再開、短い場面の切り替え 言葉が長い、毎回表現が変わる、複数の指示を同時に出す どの言葉で動きやすかったかをそのまま書く

床目印は「歩幅の目標」を作りたいときに使いやすいです

床目印の利点は、次の一歩をどこへ出すかを見えやすくできることです。歩幅が小さくなりやすい場面や、ドア前、狭い通路、方向転換の入り口などで「目標が見えると出しやすい」人には試しやすい方法です。視覚キューは、特に歩幅の縮小や足の出しにくさが前面に出る場面で使い分けやすいとされています。

ただし、床目印を置いただけで改善するとは限りません。視線が上がらない、周囲の情報が多すぎる、曲がる・止まる・会話するが重なる、といった場面では効きにくいことがあります。実際には「どこに置いたか」よりも、「どの場面で置いたら動きやすかったか」を記録する方が再現しやすくなります。

メトロノームは「歩調の乱れ」をそろえたいときに使いやすいです

メトロノームは、歩行のリズムが崩れやすい人に使いやすい外的キューです。特に直線歩行や継続歩行でテンポが乱れ、歩幅や歩速がばらつくときに、一定の拍で合わせると歩調がそろいやすくなることがあります。系統的レビューでも、聴覚キューは歩行速度や歩幅などの改善に寄与する可能性が示されています。

一方で、テンポが合わないと逆に急ぎ足や小刻みが強くなることがあります。最初から強いテンポ変更を狙うより、普段の歩行リズムに近い設定から試し、歩幅が狭くなるのか、歩きやすくなるのかを見た方が安全です。記録では、テンポの条件歩容の変化をセットで残すと比較しやすくなります。

声かけは「動作の切り替え」をそろえたいときに使いやすいです

声かけは、開始動作、方向転換、停止後の再開など、「今ここで一つ切り替えたい」場面に向いています。床目印や音のように環境準備がいらず、その場で短く合わせやすいのが利点です。特に「一歩」「大きく」「右へ回る」など、短く一貫した言葉は臨床で使いやすいことが多いです。

ただし、声かけは長い説明になるほど効きにくくなります。同じ患者さんでも、担当者ごとに表現が変わると再現性が落ちやすくなります。声かけを使うときは、言葉を固定する一度に一つだけ伝えるどの場面で使ったかを残す、の 3 点をそろえると活かしやすくなります。

効きにくいときに見直すポイント

外的キューが効きにくいときは、「そのキューが悪い」と決める前に、場面設定と条件固定を見直す方が実務的です。歩き始めで使うのか、方向転換で使うのか、直線歩行で使うのかが曖昧だと、キューそのものより場面差の影響が大きくなります。

また、ON / OFF、疲労、時間帯、補助具、歩行路、二重課題の有無が混ざると、反応が読みにくくなります。外的キューは「効いた・効かなかった」の二択より、どの条件では合い、どの条件では合いにくかったかを整理する方が、次の一手につながります。

外的キューが効きにくいときの見直し方
よくある詰まりどころ 起こりやすい理由 立て直し方
毎回キューが違う 反応の比較ができず、再現性が落ちる まず 1 種類に絞り、同じ場面で試す
場面が混ざる 開始、回転、狭所、直線で必要な支援が違う 一場面ずつ分けて記録する
条件固定が弱い 薬剤状態、疲労、補助具の違いが影響する 時間帯、ON / OFF、補助具、歩行路を残す
指示が多すぎる 注意負荷が増え、かえって動きにくい 言葉は短く、一度に一つだけにする

記録は「何を使ったか」より「どの場面でどう変わったか」を残すと使いやすいです

外的キューの記録は、種類名だけでは次回につながりません。「床目印を使用」「メトロノームを使用」だけではなく、どの場面で、何が、どう変わったかまで残すと、チームで共有しやすくなります。ここが曖昧だと、同じキューを使っても再現できません。

おすすめは、場面キュー反応次回条件の 4 点をそろえる方法です。短文でも十分なので、使った場面と変化をセットで残すと、評価と介入がつながりやすくなります。

外的キューの記録テンプレ
書く項目 短文テンプレ
場面 ドア前で一歩目が出にくい場面で確認した。
キュー 床目印を使用。声かけは「大きく一歩」に統一した。
反応 床目印で一歩目の歩幅が拡大。方向転換では効果が乏しかった。
次回条件 次回は同時間帯・同補助具で、右回転に対する短い声かけを追加予定。

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

床目印とメトロノームは、どちらから試すとよいですか?

歩幅が詰まりやすい場面なら床目印、歩調の乱れが目立つならメトロノームから試すと整理しやすいです。迷うときは、直線歩行と方向転換など場面を分けて反応を比べると選びやすくなります。

声かけは何と言えばよいですか?

長い説明より、短く一貫した言葉の方が使いやすいです。「一歩」「大きく」「右へ回る」など、一度に一つだけ伝え、毎回表現を変えすぎない方が再現しやすくなります。

外的キューが効いたり効かなかったりするのはなぜですか?

キューの種類だけでなく、場面、ON / OFF、疲労、注意負荷、補助具、環境条件の影響を受けるためです。効かなかったときは、キューを変える前に条件固定を見直すと原因が見えやすくなります。

複数のキューを同時に使ってもよいですか?

最初から重ねすぎると、何が効いたのか分かりにくくなります。まずは 1 種類で試し、反応が読みづらいときに場面を限定して追加する方が実務では扱いやすいです。

次の一手

外的キューは、単独で覚えるより「どの場面で使うか」とセットで整理すると活かしやすくなります。評価の全体像に戻したいとき、FOG の確認順序を見直したいとき、PD 全体の記事を辿りたいときは、次のページがつながります。


参考文献

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著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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