回復期リハビリテーション病棟入院料は、回復期病棟の役割を読むための土台です
回復期リハビリテーション病棟入院料は、回復期病棟が「どの患者に、どの期間で、何を成果としてめざすか」を理解するための制度です。療法士にとって重要なのは、点数を暗記することではなく、ADL 改善、在宅復帰、実績指数、重症患者割合が日々の評価や記録にどう関係するかを押さえることです。本記事では、回復期リハ病棟入院料の全体像を療法士向けに整理します。
病棟機能全体から整理したい場合は、先に 入院基本料とは?療法士向けに病棟機能から解説 を確認すると理解しやすくなります。
回復期リハビリテーション病棟入院料とは
回復期リハビリテーション病棟入院料は、急性期治療後の患者に対して集中的なリハビリテーションを行い、ADL 改善と在宅復帰をめざす病棟を評価する入院料です。
対象となるのは、脳血管疾患、大腿骨近位部骨折、廃用症候群など、回復期リハビリテーションの適応となる患者です。療法士の視点では、「急性期を脱したあと、生活機能を再構築する病棟」と捉えると整理しやすくなります。
臨床では、同じ歩行練習でも、急性期では安全な離床、回復期では ADL 改善と退院先、療養病棟では生活の安定と悪化予防に焦点が変わります。制度の違いを理解しておくと、目標設定や記録の書き方もぶれにくくなります。
入院料 1〜5 の見方
回復期リハビリテーション病棟入院料は、入院料 1〜5 に分かれており、病棟の体制や実績に応じて評価が変わります。
2026 年改定時点では、入院料 1 が最も高く、入院料 5 が最も低い体系です。点数だけでなく、人員配置、重症患者割合、実績指数、休日体制の違いをセットで見ることが大切です。
| 区分 | 点数 | 療法士が押さえたい見方 |
|---|---|---|
| 入院料 1 | 2,346 点 | 体制・実績ともに最も高い水準が求められる |
| 入院料 2 | 2,274 点 | 2026 年改定で実績指数要件が導入された層 |
| 入院料 3 | 2,062 点 | 中位の体制で、運用の差が出やすい |
| 入院料 4 | 2,000 点 | 2026 年改定で実績指数要件が導入された層 |
| 入院料 5 | 1,794 点 | 回復期病棟としての基本的な位置づけを確認する層 |
療法士が見るべきポイント
療法士は、回復期リハ病棟入院料を「病棟の点数」ではなく、日々の評価・記録・退院支援に関わる制度として見る必要があります。
| 確認点 | 見る内容 | 実務での意味 |
|---|---|---|
| 入棟時の状態 | ADL、認知機能、疾患特性、家屋環境 | 目標設定と退院支援の土台になる |
| 改善の見える化 | FIM などの評価日、記録の整合 | 実績指数や説明可能性に関わる |
| 退院先 | 自宅、施設、転院の見込み | 訓練内容と家族支援の方向性が変わる |
| 病棟運用 | 休日体制、病棟 ADL、職種間共有 | 訓練室だけで終わらない改善につながる |
新人 PT では、訓練内容を先に考えがちですが、回復期では「どこまで改善し、どこへ退院するか」から逆算する方が実務に落とし込みやすいです。
実績指数との関係
実績指数は、回復期リハ病棟の成果を考えるうえで重要な指標です。
2026 年改定では、入院料 1・3 の実績指数の基準が見直され、入院料 2・4 にも新たに実績指数要件が導入されました。療法士が計算式を細かく暗記する必要はありませんが、評価条件をそろえること、改善を記録で説明できることは重要です。
実績指数の計算式や 2026 年改定の詳細は、回復期リハ実績指数 2026 改定|基準値・計算式・記録シートで整理しています。
重症割合・休日体制・強化体制加算との関係
回復期病棟では、実績指数だけでなく、重症患者割合や休日体制も病棟運用に関わります。
2026 年改定では、入院料 1 を対象に回復期リハビリテーション強化体制加算 80 点が新設されました。これは、実績指数、排尿自立支援、退院前訪問指導など、より質の高い取り組みを評価する位置づけです。
現場では、制度を別々に見るよりも、重症患者を受け入れ、休日も含めてリハを提供し、改善を説明できる病棟体制として理解すると整理しやすくなります。
急性期・療養病棟との違い
回復期病棟の特徴は、一定期間で ADL 改善と在宅復帰をめざす点にあります。

急性期では、全身状態の安定や早期離床が優先されます。療養病棟では、長期療養、生活の安定、悪化予防が重視されやすくなります。回復期では、その中間で、改善量を積み上げながら退院先へつなぐことが中心になります。
そのため、回復期では「今日できた訓練」だけでなく、「退院後の生活にどうつながるか」「病棟 ADL と一致しているか」を確認することが重要です。
よくある勘違い
回復期リハ病棟入院料でよくある勘違いは、「訓練量が多い病棟」とだけ理解してしまうことです。
もちろん訓練量は重要ですが、回復期では、評価、記録、休日体制、病棟での再現、退院前訪問、家族指導まで含めて成果が見られます。たくさんリハをしていても、評価日や記録がそろっていなければ、改善を説明しにくくなります。
もう 1 つの勘違いは、実績指数を事務的な数字として捉えることです。実際には、療法士の日々の評価と記録、病棟での ADL 改善が積み上がった結果として見えてくる指標です。
よくある質問
各項目名をタップすると回答が開きます。もう一度タップすると閉じます。
回復期リハビリテーション病棟入院料は療法士にも関係ありますか?
関係あります。回復期病棟では、ADL 改善、退院先、実績指数、休日体制、記録の整合が療法士の実務に直結するためです。
入院料 1〜5 は何が違いますか?
点数だけでなく、人員配置、重症患者割合、実績指数、休日体制などの要求水準が異なります。療法士は、どの入院料かよりも、病棟に求められる体制と成果を理解することが大切です。
実績指数は療法士も理解した方がよいですか?
はい。計算式を細かく暗記する必要はありませんが、評価条件をそろえること、改善を記録で説明することは療法士の実務に関わります。
急性期や療養病棟との違いは何ですか?
急性期は全身状態の安定と早期離床、回復期は ADL 改善と在宅復帰、療養病棟は生活の安定と悪化予防に重心が置かれやすい点が違います。
次の一手
実績指数を詳しく確認したい方へ:
回復期リハ実績指数 2026 改定|基準値・計算式・記録シート
疑義解釈や運用上の注意点を確認したい方へ:
回復期リハ病棟の疑義解釈 2026|FIM 研修・重症割合・届出
参考文献
- 厚生労働省.診療報酬の算定方法.A308 回復期リハビリテーション病棟入院料.厚生労働省
- 厚生労働省.令和 8 年度診療報酬改定 包括期・慢性期入院医療.回復期リハビリテーション病棟入院料、実績指数、強化体制加算.PDF
- 厚生労働省.令和 8 年度診療報酬改定項目の概要.回復期リハビリテーション病棟入院料の見直し.PDF
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養、シーティング、摂食・嚥下

