BADLSとは?認知症ADL/IADL評価の見方

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BADLSとは

BADLSは、認知症のある人のADL・IADLの支障を、家族や介護者からの情報をもとに整理する評価尺度です。本人の直接動作を見る評価というより、普段の生活で何がどの程度難しくなっているかを把握するために使います。この記事では、BADLSでみる内容、点数の考え方、DADやLawton IADLとの違い、記録のコツを臨床向けに整理します。

BADLSで何をみるのか

BADLSは、認知症によって日常生活がどの程度障害されているかを幅広くみる尺度です。

食事、更衣、整容、排泄などの基本ADLに加えて、飲み物の準備、家事、買い物、電話、金銭管理、外出などのIADLも含めて評価します。

そのため、身体機能だけでは説明しにくい「動けるのに生活が回らない」「段取りや判断でつまずく」といった認知症特有の生活障害を整理しやすい点が特徴です。

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BADLSが主にみる生活機能
領域 主な内容 拾いやすい情報 実務での見方
基本ADL 食事、更衣、整容、入浴、排泄など 身の回り動作の自立度 身体介助が必要か、見守りで足りるかを整理します。
IADL 家事、買い物、電話、金銭管理、外出など 在宅生活で崩れやすい場面 退院支援や家族指導で重要な情報になります。
認知症に伴う支障 段取り、判断、忘れやすさの影響 身体能力だけでは説明できない生活障害 認知機能低下が生活へ及ぼす影響を整理します。
介護負担の手がかり 日常でどこに手がかかるか 見守り・声かけ・介助量 家族負担や支援量の見積もりにつながります。

20項目と点数の考え方

BADLSは一般に20項目で構成され、点数が高いほど生活機能障害が大きい方向で解釈します。

ただし、合計点だけで判断すると介入の焦点を見誤ります。大切なのは、総点に加えて「どの生活行為で支障が強いか」を確認することです。

たとえば同じ点数でも、食事や排泄などの基本ADLが崩れている場合と、電話・金銭管理・外出などのIADLが崩れている場合では、支援内容が変わります。

BADLSの見方の基本
観点 見方 実務でのポイント
項目数 20項目 基本ADLとIADLの両方を含めて把握します。
採点の方向 高得点ほど障害が大きい 改善を追う場合は、点数が下がる方向かを確認します。
情報源 家族・介護者などの他者評価が中心 普段の生活を知る人から聴取します。
読み方 合計点+崩れている項目 点数だけでなく、支障が強い生活場面を記録します。

BADLSが向いている場面

BADLSは、認知症のある人の生活機能を家族・介護者視点で整理したい場面に向いています。

退院支援、外来フォロー、通所・訪問リハ、ケアマネジャーとの情報共有、家族指導などでは使いやすい評価です。

一方で、その場の直接動作を細かく観察したい場合や、遂行機能を工程ごとに分析したい場合は、実動作観察やDADのほうが向くことがあります。

BADLSが向く場面と向きにくい場面
場面 向きやすさ 理由
退院支援 向く 在宅生活での困りごとを家族視点で整理しやすいからです。
訪問・通所リハ 向く 普段の生活場面での支障を拾いやすいからです。
認知症外来での生活把握 向く 認知症が生活にどう影響しているかを共有しやすいからです。
その場の実動作分析 向きにくい 本人の直接観察より、他者評価が中心の尺度だからです。
遂行機能の細かな分析 向きにくい 開始・計画・実行の分解はDADのほうが向きやすいからです。

DAD・Lawton IADLとの違い

BADLSは生活障害を広く把握する尺度で、DADやLawton IADLとは役割が異なります。

BADLS・DAD・Lawton IADLの違いと認知症ADL IADL評価の使い分け
図:BADLS・DAD・Lawton IADLの使い分け

BADLSは、認知症に伴うADL・IADLの支障を家族や介護者の視点で広く拾う評価です。DADは、ADL・IADLの遂行を開始、計画、実行などに分けて分析しやすい尺度です。Lawton IADLは、家事・買い物・服薬管理などIADLの自立度を簡潔に把握する評価として使われます。

使い分けの目安は、BADLS=生活障害を広く把握、DAD=遂行過程を分析、Lawton IADL=IADL自立度を確認です。DADについて詳しく整理したい場合は、DADの評価方法|認知症のADL/IADL遂行・発動の見方も参考になります。

BADLS・DAD・Lawton IADLの使い分け
指標 主にみるもの 強み 向く場面
BADLS 認知症に伴う生活障害 家族・介護者視点で生活機能を広く拾いやすい 退院支援、在宅支援、家族聴取
DAD ADL/IADLの遂行過程 開始・段取り・実行の崩れを分析しやすい 介入設計、原因分析、家族指導
Lawton IADL IADLの自立度 在宅生活の広がりを簡潔に把握しやすい 在宅復帰支援、地域生活の把握

聴取と記録のコツ

BADLSは家族・介護者からの聴取が中心になるため、聞き方と記録の残し方が重要です。

「できますか」と聞くだけでは、介護者の主観やその日の印象に左右されやすくなります。臨床では、最近1〜2週間の普段の様子を前提にして、具体的な生活場面を確認すると情報が整理しやすくなります。

療養病棟や退院支援の場面では、合計点だけでなく「どの生活行為で支援量が増えているか」を短く残すと、多職種や家族との共有に使いやすくなります。

BADLSを使うときのコツ
ポイント なぜ重要か 実務のコツ
普段の状態で聞く 一時的な体調に左右されにくくなる 「最近の普段の様子」で統一して聴取します。
具体場面を確認する 介護者の印象だけに偏りにくくなる 頻度、介助量、声かけの有無を確認します。
合計点だけで終えない 介入の焦点が見えにくくなる 支障が強い項目を2〜3個残します。
他尺度とつなぐ 生活支障の理由が分かりやすくなる 認知機能評価やDADと組み合わせて考えます。

記録例

BADLSの記録では、点数だけでなく生活上の支障が分かる一文を添えると、介入方針につながりやすくなります。

記録例としては、次のようにまとめます。

  • BADLS高値。金銭管理、電話対応、飲み物準備で支障が強く、家族の声かけと見守りを要する。
  • 基本ADLは概ね保たれているが、IADLで支障が目立つ。退院後は服薬管理と外出時の見守り体制を要検討。
  • BADLS上、生活全体の支援量が増加。合計点だけでなく、家事・買い物・外出の支障を家族と共有した。

認知症の全体像を制度・介護場面で整理したい場合は、認知症高齢者の日常生活自立度|Ⅰ〜Mの見方もあわせて確認すると流れが作りやすくなります。

よくある失敗

BADLSでよくある失敗は、合計点だけを見て生活上の困りごとを確認しないことです。

BADLSの強みは、認知症に伴う生活障害を広く拾える点にあります。点数だけで終えると、家族が困っている場面や支援が必要な生活行為が見えにくくなります。

また、身体機能低下によるADL低下と、認知症による段取り・判断の問題を混同しないことも重要です。

BADLSでよくある失敗と回避策
失敗 なぜずれるか 回避策
合計点だけで判断する 生活上の弱点が見えなくなる 点数と支障項目をセットで確認します。
身体機能低下と混同する 認知症による生活障害が見えにくくなる 身体要因か認知要因かを分けて記録します。
DADと同じ役割で使う 尺度の強みがぼやける BADLSは広く拾う尺度、DADは深く分ける尺度と整理します。
家族の印象だけで進める 主観で評価が偏ることがある 頻度や具体場面を一緒に確認します。

よくある質問

各項目名をタップ、またはクリックすると回答が開きます。もう一度タップすると閉じます。

BADLSは何をみる尺度ですか?

BADLSは、認知症のある人の生活機能を家族や介護者の視点から整理する尺度です。基本ADLだけでなくIADLも含めて、日常生活上の支障を幅広く把握できます。

BADLSは本人に直接実施する評価ですか?

本人の直接パフォーマンス評価というより、家族や介護者からの聴取を中心に行う評価です。普段の生活場面での支障を拾いやすい点が特徴です。

DADとは何が違いますか?

BADLSは認知症の生活障害を広く把握する尺度です。一方、DADは開始、段取り、実行など遂行過程をより分析的にみやすい尺度です。

BADLSはIADLも評価できますか?

はい。基本ADLに加えて、家事、電話、買い物、金銭管理、外出などの生活関連動作も含めて把握しやすい尺度です。

BADLSは点数が高いほうが良いのですか?

いいえ。一般には高得点ほど生活機能障害が大きい方向で読みます。改善を追う場合は、点数が下がる方向かどうかを確認します。

次の一手

BADLSで生活機能の全体像を整理したら、次は遂行過程の分析や認知症の日常生活自立度と組み合わせると、介入方針を立てやすくなります。


参考文献

  1. Bucks RS, Ashworth DL, Wilcock GK, Siegfried K. Assessment of activities of daily living in dementia: development of the Bristol Activities of Daily Living Scale. Age and Ageing. 1996;25(2):113-120.
  2. Gelinas I, Gauthier L, McIntyre M, Gauthier S. Development of a functional measure for persons with Alzheimer’s disease: the Disability Assessment for Dementia. Am J Occup Ther. 1999;53(5):471-481.
  3. Lawton MP, Brody EM. Assessment of older people: self-maintaining and instrumental activities of daily living. Gerontologist. 1969;9(3):179-186.

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関、介護福祉施設、訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養、シーティング、摂食・嚥下

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