BADLS とは?認知症の ADL 評価と使い方

評価
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BADLSとは

認知症の生活機能を整理したい方へ

認知機能だけでなく、生活行為がどの程度崩れているかを家族・介護者の視点で整理すると、介入の焦点が見えやすくなります。

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BADLS は、Bristol Activities of Daily Living Scale の略で、認知症のある人の生活機能を家族や介護者からの情報をもとに整理する ADL 評価です。本人の能力をその場で直接パフォーマンス評価するというより、普段の生活場面でどの程度できているかを把握するのに向いています。

特に、認知症では「病棟ではできるように見えても、在宅ではうまくいかない」「身体機能は保たれていても、段取りや判断でつまずく」といったズレが起こりやすくなります。BADLS は、そうした日常生活上の困りごとを、基本 ADL と IADL をまたいで整理しやすいのが特徴です。

BADLSで何をみるのか

BADLS は、食事、更衣、整容、排泄などの基本 ADL に加えて、飲み物の準備、家事、金銭管理、電話、外出などの IADL も含めてみる尺度です。つまり、認知症によって日常生活がどこまで崩れているかを幅広く把握できる点が強みです。

このため、Barthel Index や Katz Index のような「基本 ADL 中心」の尺度よりも、在宅生活の困りごとに近い情報が拾いやすくなります。一方で、細かな遂行機能の内訳まで分けてみたい場合は DAD のほうが向くことがあり、目的に応じた使い分けが重要です。

BADLS の基本情報と DAD・Lawton IADL との違いを整理した図版
図:BADLS の基本情報、みる領域、関連尺度との違い

図版では、BADLS の基本情報、みる生活機能の領域、DAD・Lawton IADL との違いを一枚で整理しています。本文では、ここから各尺度の役割と実務での使い分けを掘り下げていきます。

※スマホでは表を左右にスクロールできます。

BADLS が主にみる生活機能
領域 主な内容 拾いやすい情報 実務での見方
基本 ADL 食事、更衣、整容、入浴、排泄など 身の回り動作の自立度 身体介助が必要か、見守りで足りるかを整理します。
生活関連動作 飲み物の準備、家事、買い物など 在宅生活の崩れやすい場面 退院支援や家族指導で役立つ情報が拾いやすくなります。
認知症に伴う支障 段取り、判断、忘れやすさの影響 「身体は動くのに生活が回らない」状態 認知機能低下が生活へ及ぼす影響を整理しやすくなります。
介護負担の手がかり 日常でどこに手がかかるか 介護者の見守り・介助量 家族負担や支援量の見積もりにつながります。

20項目と点数の考え方

BADLS は一般に20 項目で構成され、各項目を段階的に採点して合計点を出します。基本的な考え方は、点数が高いほど生活機能の障害が大きいという読み方です。つまり、点数が高いほど ADL / IADL の支障が強くなっていると解釈します。

ここで大切なのは、点数そのものだけで良し悪しを判断しないことです。たとえば合計点が同じでも、基本 ADL の崩れが中心なのか、IADL の崩れが中心なのかで介入の方向性は変わります。合計点だけを見るのではなく、どの項目で崩れているかを必ず確認します。

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BADLS の見方の基本
観点 見方 実務でのポイント
項目数 20 項目 基本 ADL と IADL の両方を含めて把握します。
採点の方向 高得点ほど障害が大きい 改善なら点数が下がる方向でみます。
情報源 家族・介護者などの他者評価が中心 本人評価だけでなく、日常を知る人から聴取します。
読み方 合計点 + 崩れている項目 総点だけでなく、生活上の弱点を特定します。

向いている場面

BADLS が向いているのは、認知症のある人の生活機能を、家族や介護者の視点から整理したい場面です。たとえば、退院支援、外来フォロー、通所・訪問リハ、ケアマネや家族との情報共有では特に使いやすい尺度です。

逆に、その場の直接パフォーマンスを細かく観察したい場面や、遂行機能を工程ごとに分けて分析したい場面では、DAD や実動作観察のほうが向いています。BADLS は、生活全体の困りごとを幅広く拾う入口尺度として考えると位置づけやすくなります。

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BADLS が向く場面と向きにくい場面
場面 向きやすさ 理由
退院支援 向く 在宅生活での困りごとを家族視点で整理しやすいからです。
訪問・通所リハ 向く 日常生活の実際の支障と介護負担を拾いやすいからです。
認知症外来での生活把握 向く 認知機能低下が生活へどう出ているかを共有しやすいからです。
その場の実動作分析 向きにくい 本人の直接観察より、他者評価が中心の尺度だからです。
遂行機能の細かな分析 向きにくい 開始・段取り・実行の分解は DAD のほうが向きやすいからです。

DAD・Lawton IADLとの違い

BADLS が近い尺度として比較されやすいのが、DAD と Lawton IADL です。BADLS は、認知症の生活障害を家族・介護者視点で広くみる尺度です。一方、DAD は ADL / IADL の遂行を開始・計画 / 段取り・実行のように分けて考えやすく、より分析的です。Lawton IADL は、家事や買い物、服薬管理などの IADL に重点がある尺度です。

整理すると、BADLS = 認知症の生活障害を広く把握する、DAD = 遂行の崩れ方を分解する、Lawton IADL = IADL の自立度に寄せてみると考えると分かりやすくなります。使い分けの前提を押さえたい方は、DAD の評価方法|認知症の ADL / IADL 遂行・発動の見方理学療法士の ADL 評価スケール|種類と使い分け【比較表】もあわせて確認すると整理しやすいです。

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BADLS・DAD・Lawton IADL の使い分け
指標 主にみるもの 強み 向く場面
BADLS 認知症に伴う生活障害 家族・介護者視点で広く生活機能を拾いやすい 退院支援、在宅支援、家族聴取
DAD ADL / IADL の遂行過程 開始・段取り・実行の崩れを分析しやすい 介入設計、原因分析、家族指導
Lawton IADL IADL の自立度 在宅生活の広がりを簡潔に把握しやすい 在宅復帰支援、地域生活の把握

聴取と記録のコツ

BADLS は家族や介護者の情報が中心になるため、聞き方が結果に影響しやすい尺度です。単に「できますか」と聞くよりも、最近 1 〜 2 週間の普段の様子を前提にして、具体的な生活場面を確認すると精度が上がります。

また、記録では合計点だけでなく、困っている項目を短く残すことが大切です。たとえば「BADLS 高値。金銭管理、電話対応、飲み物準備で支障が強い」のように書くと、その後の介入や家族説明につなげやすくなります。認知症の全体像を整理したい場合は、認知症高齢者の日常生活自立度|Ⅰ〜M の見方と併用しても流れがつくりやすくなります。

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BADLS を使うときのコツ
ポイント なぜ重要か 実務のコツ
普段の状態で聞く 一時的な体調に左右されにくくなる 「最近の普段の様子」で統一して聴取します。
家族の主観だけに頼りすぎない 介護負担感で評価がぶれることがある 具体場面や頻度を一緒に確認します。
合計点だけで終えない 介入の焦点が見えにくくなる 支障が強い項目を 2〜3 個残します。
他尺度とつなぐ 生活支障の理由が分かりやすくなる 認知機能評価や DAD と組み合わせて考えます。

よくある失敗

よくある失敗の 1 つ目は、BADLS を単なる ADL 点数表として扱ってしまうことです。BADLS の価値は、認知症に伴う生活障害を、家族や介護者の視点で広く拾える点にあります。合計点だけ見て終えると、本来の強みが活かせません。

2 つ目は、身体能力の問題と認知面の問題を混ぜてしまうことです。3 つ目は、DAD と同じように「遂行の崩れ方の分析」まで求めてしまうことです。BADLS は広く拾う、DAD は深く分ける、と役割を分けておくと使いやすくなります。

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BADLS でよくある失敗と回避策
失敗 なぜずれるか 回避策
合計点だけで判断する 生活上の弱点が見えなくなる 点数と項目内容をセットで確認します。
身体機能低下と混同する 認知症による生活障害が見えにくくなる 身体要因か認知要因かを分けて記録します。
DAD と同じ役割で使う 尺度の強みがぼやける BADLS は広く拾う尺度と整理します。
家族の印象だけで進める 主観で評価が偏ることがある 頻度や具体場面を一緒に確認します。

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

BADLS は何をみる尺度ですか?

認知症のある人の生活機能を、家族や介護者の視点から整理する尺度です。基本 ADL だけでなく IADL も含めて、日常生活上の支障を幅広く把握できます。

BADLS は本人に実施する評価ですか?

本人の直接パフォーマンス評価というより、家族や介護者からの聴取を中心に行う評価です。普段の生活場面の情報を拾いやすいのが特徴です。

DAD と何が違いますか?

BADLS は認知症の生活障害を広く把握する尺度で、DAD は開始・段取り・実行などの遂行過程をより分析的にみやすい尺度です。広く拾うか、深く分けるかの違いと考えると分かりやすいです。

BADLS は IADL もみられますか?

はい。基本 ADL に加えて、家事、電話、買い物、金銭管理など生活関連動作も含めてみやすい尺度です。そのため在宅生活の支障把握に向いています。

点数は高いほうが良いのですか?

いいえ。一般には高得点ほど生活機能障害が大きい方向で読みます。改善を追うときは、点数が下がる方向かどうかも確認します。

次の一手

BADLS で生活機能の全体像を拾ったら、次は遂行の崩れ方を分ける尺度認知機能そのものをみる尺度へつなぐと、介入方針が立てやすくなります。同テーマで続けて読むなら、次の 3 本がつながりやすいです。

評価の回し方や共有の型を、個人だけでなく職場全体で整えたいときは、環境面の詰まりも点検しておくと動きやすくなります。無料チェックシートを見る


参考文献

  1. Bucks RS, Ashworth DL, Wilcock GK, Siegfried K. Assessment of activities of daily living in dementia: development of the Bristol Activities of Daily Living Scale. Age and Ageing. 1996;25(2):113-120.
  2. Gelinas I, Gauthier L, McIntyre M, Gauthier S. Development of a functional measure for persons with Alzheimer’s disease: the Disability Assessment for Dementia. Am J Occup Ther. 1999;53(5):471-481.
  3. Lawton MP, Brody EM. Assessment of older people: self-maintaining and instrumental activities of daily living. Gerontologist. 1969;9(3):179-186.

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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