座位行動(SB)とは?リハビリでの評価方法・介入例・PDF

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座位行動(SB)とは?

座位行動(SB:Sedentary Behavior)とは、覚醒中に座位・もたれた姿勢・臥位で過ごし、エネルギー消費量が1.5 METs以下となる行動です。リハビリでは、運動できるかだけでなく、リハビリ時間以外にどれだけ座位・臥位が続いているかを確認する必要があります。本記事では、病棟・外来・在宅で使える評価の流れ、介入例、記録例、再評価の視点を、SBチェックシートとともに整理します。

SB・LPA・MVPAの全体像から確認したい方へ

SBだけでなく、軽強度活動や中高強度活動を含めて身体活動量を整理したい場合は、先に全体像を確認すると本記事の評価方法を理解しやすくなります。

SB・LPA・MVPAの違いを確認する

SBは、単なる「運動不足」や「動いていない時間」と同じではありません。たとえば、毎日一定時間の運動を行っていても、それ以外の覚醒時間を長時間座って過ごしていれば、SBは長くなります。

一方、睡眠中の臥位はSBに含めません。また、座位であっても上肢運動などによってエネルギー消費量が高い活動は、必ずしもSBには該当しません。姿勢、覚醒状態、活動強度を組み合わせて判断することが重要です。

SBと混同しやすい状態の整理
状態 SBに該当するか 判断理由
座ってテレビを見る 該当しやすい 覚醒中の座位で、通常は低強度のため
ベッド上で起きたまま過ごす 該当しやすい 覚醒中の臥位で、活動強度が低いため
睡眠をとる 該当しない 覚醒中の行動ではないため
座位で高負荷の上肢運動を行う 一律には該当しない 姿勢だけでなく活動強度の確認が必要なため

リハビリでSBを評価する理由

SBを評価する理由は、リハビリ時間中の能力と、1日全体の活動実態が一致しないことがあるためです。歩行練習では病棟内を歩けていても、それ以外の時間をベッドや椅子で過ごしていれば、生活全体の不活動は残ります。

特に高齢者や入院患者では、活動機会の減少、筋力や持久力の低下、疼痛、不安、転倒への恐怖、病棟環境などが重なり、SBが長くなることがあります。したがって、SBが長いという結果だけでなく、なぜ座位・臥位が続いているのかまで確認することが介入につながります。

SB評価から整理できる臨床上の課題
確認する視点 臨床でみられる状態 検討する課題
リハビリ以外の時間 食事以外はベッド上で過ごす 離床機会や病棟内の日課
連続する座位時間 数時間ほとんど立ち上がらない 座位を中断できる行動の設定
時間帯 午後から活動が減少する 疲労、眠気、予定、環境の影響
生活役割 退院後にテレビ中心となる 家事、外出、趣味、役割の再設定

臨床でよくみられるSBのパターン

臨床で多いのは、リハビリ中は動けるものの、それ以外の活動が少ないパターンです。運動能力が低い患者だけでなく、歩行可能な患者でもSBが長い場合があります。

療養病棟では、食事や訓練以外の予定が少なく、本人の能力とは別に臥床時間が長くなることがあります。回復期では自主練習の時間が確保されていても、その前後を椅子座位で過ごす場合があります。在宅では、退院直後に家事や外出の役割がなくなり、テレビ視聴を中心とした生活になることがあります。

座位行動が長い患者にみられるリハビリ以外の臥床、午後の活動低下、外出機会減少の3パターン
SBが長い患者では、リハビリ以外の臥床、午後の活動低下、外出機会の少なさがみられやすくなります。
病期・生活場面別にみられるSBの例
場面 よくある状態 確認したい背景
急性期・療養病棟 治療や食事以外は臥床している 全身状態、安静度、疲労、離床機会
回復期 訓練や自主練習以外は座位で過ごす 病棟ADL、日課、役割、環境
外来 来院日は運動するが、自宅では座位中心 非来院日の行動、仕事、移動手段
在宅 テレビ視聴や読書を中心に過ごす 外出手段、家事、趣味、社会参加
通所 利用日は活動するが、それ以外は不活動 非利用日の日課、家族支援、地域資源

SBを評価する5分フロー

SBの評価は、総時間を聞くだけでなく、時間帯、連続時間、中断機会、背景要因、置き換え可能な活動の順に確認すると整理しやすくなります。

  1. 1日の流れを確認する:起床から就寝まで、どこで何をして過ごしているかを整理します。
  2. 長く座る・横になる時間帯を特定する:午前、午後、夕方など、SBが集中する時間を確認します。
  3. 座位・臥位が連続する時間を確認する:途中で立位、歩行、移乗、家事などが入っているかを見ます。
  4. 動かない理由を確認する:疼痛、疲労、息切れ、眠気、恐怖、環境、予定の少なさなどを整理します。
  5. 安全に置き換えられる行動を決める:食事離床、洗面、短距離歩行、家事など、実行可能な行動を選びます。
SBを評価する5つの確認ステップを1日の流れ、長い時間帯、連続時間、背景要因、置き換え行動の順に整理した図版
SBは、1日の流れから長い時間帯と連続時間を特定し、背景要因を確認して置き換え行動を考えます。

活動量計を使用できる場合は、座位時間や活動時間を客観的に把握しやすくなります。ただし、装着部位や機器の測定方式によっては、立位と座位、静止と活動を正確に区別できない場合があります。数値だけで判断せず、観察や生活聴取と組み合わせます。

SB評価で確認したい項目
項目 確認内容 質問・観察例
1日の総時間 座位・臥位で過ごす時間の目安 起床後から就寝まで何をしていますか
連続時間 座位や臥位が途切れずに続く時間 立ち上がるのは何時間おきですか
日中離床 食事以外にも離床しているか 食事後はどこで過ごしていますか
座位中断 立位、歩行、移乗などが入るか テレビ視聴中に立つ機会はありますか
時間帯 活動が低下する時間帯 午前と午後ではどちらが動けますか
生活活動 家事、セルフケア、役割活動 日常的に担当していることはありますか
外出・参加 外出頻度、活動範囲、交流 買い物や散歩には行きますか
阻害要因 動けない理由や動かない理由 痛み、疲れ、不安、環境上の問題はありますか

SBチェックシート

SBチェックシートは、活動量計がなくても、観察と聴取から座位行動の特徴を整理するための記録用紙です。病棟・外来・在宅で共通して確認しやすい項目をA4用紙1枚にまとめています。

日中離床、食事時の離床、座位中断、午後の活動、外出機会などを確認し、介入内容と次回の再評価メモまで記録できます。すべての項目を一律に達成させるのではなく、患者の全身状態、安全性、生活目標に応じて使用してください。

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SBを減らす具体策

SBを減らすときは、新たな運動を追加する前に、長く続いている座位・臥位を短い生活活動へ置き換えると実行しやすくなります。

「毎日運動する」という大きな目標だけでは、体力が低い患者や生活習慣が定着していない患者には負担となる場合があります。まずは食事、排泄、整容、家事、移動など、すでに生活の中にある行動を利用します。

SBを生活活動へ置き換える具体例
場面 置き換える行動 確認する安全面
病棟 可能な食事をベッド上から椅子座位へ変更する 循環動態、座位耐久性、誤嚥、転倒
整容 ベッド上での洗面を座位または立位へ変更する 立位バランス、疲労、環境設定
病棟移動 移送だけでなく、可能な距離を歩行する 歩行能力、補助具、見守り、息切れ
在宅 洗濯物を畳む、配膳するなどの役割を設定する 動線、床環境、疼痛、家族の支援
テレビ視聴 番組の区切りで立位や室内移動を行う 立ちくらみ、転倒、実行可能性
外出 短時間の散歩や買い物を日課に組み込む 天候、交通、疲労、帰宅手段

離床や活動を増やす際は、疾患、安静度、バイタルサイン、疼痛、転倒リスクなどを確認します。SBを減らすことが目的であっても、安全性を超えて活動を増やすことは適切ではありません。

実行しやすい目標の決め方

SB対策の目標は、「運動量を増やす」ではなく、誰が・いつ・どこで・何をするかまで具体化することが重要です。

抽象的な目標と実行しやすい目標の違い
抽象的な目標 実行しやすい目標
もっと離床する 昼食後は30分間、車椅子で談話スペースに移動する
できるだけ歩く 午前の洗面後に病棟廊下を1往復する
家事を行う 夕食前にテーブルを拭き、箸を並べる
座りすぎない テレビ番組が終わるたびに立ち上がって飲み物を取りに行く

実際の現場では、本人だけでなく、看護師、介護職、家族などが関わることで実行できる活動もあります。誰が声をかけるか、補助具をどこに置くか、どの時間帯なら実施しやすいかまで共有すると、継続しやすくなります。

SB評価の記録例

記録では、SBが長いという結果だけでなく、時間帯、背景、介入、再評価方法まで残すと、多職種で方針を共有しやすくなります。

記録例:日中は食事およびリハビリ時を除き、ベッド上臥位で過ごす時間が長い。午後は疲労感を理由に離床を希望しないことが多い。午前中は見守り下で病棟内歩行が可能であるため、朝食後に洗面と廊下歩行を組み合わせる。1週間後に午前中の離床回数、連続臥床時間、疲労感を再評価する。

「SBが多い」「活動性が低い」だけでは、次の介入につながりにくくなります。少なくとも、観察した事実、背景として考えられる要因、具体的な対応、再評価時期を記録します。

SBを再評価するポイント

SBの再評価では、総座位時間の変化だけでなく、長時間の連続を中断できたか、生活活動へ置き換えられたかを確認します。

  • 食事以外の離床回数が増えたか
  • 座位・臥位が連続する時間が短くなったか
  • 午後の活動低下が改善したか
  • 家事や整容などの生活活動が増えたか
  • 本人が無理なく継続できているか
  • 疼痛、疲労、転倒などの問題が生じていないか

活動量計の数値が変わらなくても、長時間の連続座位が減り、短い立位や生活活動が複数回入るようになれば、行動パターンは変化しています。数値と生活内容の両方から判断してください。

SB評価・介入でよくある失敗

よくある失敗は、歩数や運動時間だけを見て、座位・臥位が続く生活パターンを確認しないことです。

SB評価・介入でよくある失敗と改善方法
失敗 問題点 改善方法
歩数だけで判断する 歩いていない時間の姿勢や連続性が分からない 座位・臥位時間と中断回数も確認する
運動だけを追加する 運動以外の長時間座位が残る 整容、家事、移動などの生活活動へ置き換える
「もっと動く」と指導する 行動する時間や内容が分からない 時間、場所、行動、支援者を具体化する
リハビリ時間だけを見る 1日全体の活動実態を把握できない 病棟、在宅、非利用日の過ごし方を確認する
SBの長さだけを見る 疼痛や疲労などの原因が残る 動かない理由と環境要因を評価する
一律に離床を増やす 全身状態や転倒リスクを見落とす 安全性と本人の目標に合わせて段階づける

よくある質問

各項目名をタップまたはクリックすると回答が開きます。

SBと運動不足は同じですか?

同じではありません。SBは、覚醒中に座位・もたれた姿勢・臥位で過ごす低強度の行動を示します。運動不足は、推奨される身体活動量を満たしていない状態を指します。一定時間運動している人でも、それ以外の時間に長く座っていればSBは長くなります。

SBは1.5 METs以下ならすべて該当しますか?

エネルギー消費量だけでは判断しません。覚醒中であることと、座位・もたれた姿勢・臥位であることを合わせて確認します。低強度でも立位で行う活動は、通常SBとは区別して考えます。

睡眠時間はSBに含まれますか?

含まれません。SBは覚醒中の行動を対象とするため、睡眠中の臥位は別に扱います。日中にベッド上で起きたまま過ごしている時間は、姿勢と活動強度によってSBに該当します。

高齢者では何から始めるべきですか?

まず、長く続いている座位・臥位を把握し、安全に中断できる時間帯を探します。食事時の離床、洗面、立ち上がり、短距離歩行、簡単な家事など、生活に組み込みやすい活動から始めます。

活動量計がなくても評価できますか?

評価できます。起床から就寝までの生活聴取、病棟での観察、家族やスタッフからの情報を組み合わせれば、SBが長い時間帯や背景を整理できます。活動量計は客観的な補助情報として活用します。

SBは何時間以下にすればよいですか?

すべての患者に共通する一律の目標時間を設定するのではなく、現在の生活、疾患、安全性、身体機能を踏まえて個別に設定します。総時間だけでなく、長時間連続する座位を中断し、可能な範囲で身体活動へ置き換えることが重要です。

次の一手

まずはSBチェックシートを使い、どの時間帯に座位・臥位が長くなり、何が活動を妨げているかを整理してください。そのうえで、長時間続くSBの一部を、安全に実施できる生活活動へ置き換えます。


参考文献

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著者情報

座位行動と身体活動量評価について解説する理学療法士rehabilikun

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関、介護福祉施設、訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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