座位行動(SB)とは?リハビリで重要な理由

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座位行動(SB)とは?

SB は Sedentary Behavior の略で、日本語では「座位行動」と訳されます。一般的には、覚醒中に座位・臥位・もたれた姿勢で過ごし、エネルギー消費量が 1.5 METs 以下の状態を指します。つまり、「運動していない時間」というより、“座っている・横になっている時間”を見る概念です。

リハビリテーションでは、歩行能力や ADL の改善に注目しやすい一方で、患者さんが 1 日の大半をベッド上や椅子で過ごしているケースは少なくありません。 SB は単なる「休憩時間」ではなく、不活動や生活不活発につながる重要な指標として注目されています。

生活を“動作”ではなく“活動量”で見る視点も重要です

SB の評価は、「歩けるか」だけでなく「どれだけ生活の中で動いているか」を整理する視点につながります。臨床の幅を広げたい方は、キャリアや学習環境も見直してみてください。

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なぜSBが重要なのか

近年は、「運動不足」だけでなく「長時間座っていること」そのものが健康リスクになると考えられています。たとえば、一定の運動習慣がある人でも、日中の大半を座位で過ごしていれば、代謝機能低下、フレイル、サルコペニア、生活機能低下につながる可能性があります。

特に高齢者や入院患者では、 SB が長い状態が続くことで、筋力低下、耐久性低下、活動範囲縮小、閉じこもりなどにつながりやすくなります。リハビリ時間だけ動けていても、それ以外の時間がほぼ座位・臥位であれば、生活全体としては不活動が残っている可能性があります。

SB が長いことで起こりやすい問題
問題 臨床でみられる例
廃用 筋力低下、歩行耐久性低下
活動範囲縮小 病棟内移動のみ、外出減少
フレイル進行 役割減少、生活活動低下
生活不活発 日中の大半を座位・臥位で過ごす

臨床でよくあるSBのパターン

SB は、単純に「座っている時間が長い」というだけではありません。臨床では、「リハビリ中は動けるが、それ以外は活動が少ない」という形で現れることが多くあります。

たとえば、病棟では食事以外ほぼベッド上、退院後はテレビ視聴中心、通所サービス以外は自宅で座位中心など、さまざまな形で SB が増加します。患者さん本人は「動いているつもり」でも、 1 日全体でみると活動量が非常に少ないケースは少なくありません。

SBが長い患者の特徴を3つのパターンで整理した図版
SB が長い患者では、リハビリ以外の臥床、午後の活動低下、外出機会の少なさがみられやすくなります。
臨床でよくみられる SB の例
場面 よくある状態 背景
病棟 リハ以外は臥床 離床習慣不足
回復期 自主トレ以外は座位 活動機会不足
在宅 テレビ中心生活 外出減少
通所 利用日以外は不活動 役割・日課不足

SBをどう評価する?

SB の評価では、「どれだけ運動しているか」だけでなく、「どれだけ座位・臥位時間が長いか」を確認することが重要です。活動量計を使用できる場合は、座位時間や身体活動時間を客観的に把握しやすくなります。

一方で、活動量計がない場合でも、病棟観察、生活聴取、家族情報などから SB を把握できます。特に、日中離床、座位中断、外出頻度、生活役割などを確認すると、患者さんの活動実態を整理しやすくなります。

SB 評価で確認したい項目
項目 確認内容
日中離床 食事以外も離床しているか
座位中断 長時間座りっぱなしになっていないか
生活活動 家事、移動、役割活動があるか
外出 外出頻度や活動範囲
時間帯 午後〜夕方の活動低下がないか

SBチェックシート

SB は「座っている時間」を評価するだけでなく、離床、生活活動、役割活動などを合わせて確認することが重要です。そのため、病棟・外来・在宅で使いやすい A4 1 枚の「SBチェックシート」を作成しました。

活動量計がなくても、観察・聴取ベースで整理できる形式にしています。日中離床、食事離床、座位中断、午後活動、外出機会などを確認し、次回の再評価メモまで 1 枚で記録できます。

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SBを減らす具体策

SB を減らすときに重要なのは、「運動させる」だけを目標にしないことです。高齢者や低活動患者では、まず座位を中断し、軽く動く機会を増やすことが現実的です。

たとえば、食事を離床して行う、洗面を立位で行う、短時間でも病棟を歩く、家事を役割として設定するなど、生活の中で自然に身体を動かす工夫が重要です。特に、軽強度活動( LPA )を増やすことは、 SB 対策として実践しやすい方法です。

SB を減らすための具体策
場面 具体策 目的
病棟 食事離床を増やす 日中離床時間増加
ADL 立位で洗面・更衣 生活活動増加
在宅 家事役割を設定 活動機会増加
外出 短時間散歩 活動範囲維持

よくある失敗

SB 対策でよくある失敗は、「運動してください」とだけ指導してしまうことです。抽象的な指導では、患者さんが実際に何をすればよいかイメージしにくく、行動変化につながりにくくなります。

また、歩数だけで活動量を評価してしまうケースもあります。歩数が多くても、それ以外の時間を長時間座位で過ごしていれば、生活全体としては不活動が残っている可能性があります。 SB は「運動不足」ではなく、「座りすぎ」として捉える視点が重要です。

SB 評価・介入でよくある失敗
失敗 問題点 改善例
歩数だけ見る 座位時間が見えない SB・LPA を分けて見る
運動だけ指導 継続しにくい 生活活動を増やす
抽象的な説明 実践につながりにくい 行動を具体化する
リハ時間だけ見る 生活全体が見えない 病棟・在宅時間も確認

よくある質問

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SB と運動不足は同じですか?

同じではありません。 SB は「座位・臥位時間が長いこと」を指します。運動習慣があっても、長時間座位が続けば SB は長くなります。

SB は何 METs 以下ですか?

一般的には、覚醒中の座位・臥位・もたれた姿勢で、 1.5 METs 以下の活動が SB とされています。

高齢者では何から始めるべきですか?

まずは SB を減らし、軽く動く機会を増やすことが重要です。離床、立位 ADL 、短時間歩行など、生活の中で実践しやすい活動から始めます。

活動量計がないと評価できませんか?

活動量計があると客観的に把握しやすくなりますが、病棟観察、生活聴取、家族情報でも SB の傾向は確認できます。

次の一手

SB は「座りすぎ」という視点で生活全体を見直す評価です。まずは「どれだけ運動しているか」だけでなく、「どれだけ座っているか」を確認することから始めると、介入方針を整理しやすくなります。

活動量評価や生活支援を深めたい一方で、教育体制や症例経験に不安がある場合は、環境面を整理することも重要です。リハ職向けの職場環境チェックシートも活用してみてください。


参考文献

  • Tremblay MS, Aubert S, Barnes JD, Saunders TJ, Carson V, Latimer-Cheung AE, et al. Sedentary Behavior Research Network (SBRN) – Terminology Consensus Project process and outcome. Int J Behav Nutr Phys Act. 2017;14(1):75. DOI: 10.1186/s12966-017-0525-8
  • Bull FC, Al-Ansari SS, Biddle S, Borodulin K, Buman MP, Cardon G, et al. World Health Organization 2020 guidelines on physical activity and sedentary behaviour. Br J Sports Med. 2020;54(24):1451-1462. DOI: 10.1136/bjsports-2020-102955
  • Herrmann SD, Willis EA, Ainsworth BE, Barreira TV, Hastert M, Kracht CL, Schuna JM Jr, Cai Z, Quan M, Tudor-Locke C, Whitt-Glover MC, Jacobs DR Jr. 2024 Adult Compendium of Physical Activities: A third update of the energy costs of human activities. J Sport Health Sci. 2024;13(1):6-12. DOI: 10.1016/j.jshs.2023.10.010

著者情報

rehabilikun

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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