ステージアの使い方|設定・リハビリ・背上げの確認

臨床手技・プロトコル
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ステージアの使い方|最初に確認する設定

モルテンの「ステージア」は、体型や体重に応じて体圧を自動調整する高機能エアマットレスです。体重を入力して使う機種ではなく、主に「かたさ」「静止型/圧切替型」と、リハビリ・背上げ・むれ・ひえ対策などの機能を患者さんの状態や場面に合わせて使い分けます。

ただし、ステージアはハイブリッドタイプ/コンパクト収納タイプ、リモコンAタイプ/Bタイプで操作方法や自動復帰時間が一部異なります。まず実機のリモコンと手元の取扱説明書を確認し、そのうえで皮膚・姿勢・寝返り・離床への影響を観察することが重要です。

この記事では、ステージアの操作を「何のボタンを押すか」だけでなく、通常臥床→背上げ→リハビリ・離床→むれ・ひえ対策→記録の順に整理します。

ステージア使用時に最初に確認する項目
確認項目 基本 臨床で確認すること
体重設定 入力不要 体重入力は不要ですが、製品の荷重上限は別に確認します
かたさ ハード/ふつう/ソフト 皮膚だけでなく寝返り・起き上がり・端座位への影響を確認します
動作 静止型/圧切替型 圧切替への不快感、睡眠、皮膚所見を確認します
リハビリ 介助・離床時の安定性を高める 端座位、起き上がり、移乗の介助量を確認します
背上げ 対応リモコンで使用 骨盤の前滑り、仙骨部、姿勢の崩れを確認します
むれ・ひえ 寝床内環境を補助する 発汗、失禁、寝具、室温、本人の反応も一緒に確認します
ステージアの場面別設定。通常臥床、背上げ、リハビリ・離床、むれ・ひえ対策で使う設定と確認ポイントを整理した図
ステージアの場面別設定。設定名だけでなく、設定後の皮膚・姿勢・離床への反応まで確認します。

通常臥床では「かたさ」と「静止型/圧切替型」、背上げでは対応するアシスト機能、離床や介助ではリハビリ機能を使い分けます。むれ・ひえ対策も含め、設定後に患者さんの状態がどう変化したかまで確認することがポイントです。

マットレス自体の選定や支持面の考え方から確認したい場合は、体圧分散マットレスの厚さ・構造・性能表示の見方もあわせて確認してください。

リハビリ・背上げモードはリモコンタイプを確認して使う

ステージアで特に間違えやすいのが、リハビリや背上げ時の操作です。すべてのステージアで操作仕様が同じではないため、実機のリモコンタイプを先に確認します。

Bタイプ/コンパクト収納タイプのリハビリ

Bタイプのハイブリッドタイプとコンパクト収納タイプでは、リハビリ機能を使用するとマットレスのふわふわ感を抑え、リハビリや介護を行いやすい安定した状態になります。メーカー取扱説明書では、約60分で元のマットレス状態へ戻る仕様が示されています。

PT・OTが使う場面としては、ベッド上練習だけでなく、起き上がり、端座位、移乗、更衣など、支持面の安定性が必要な場面が考えられます。

リハビリ機能を使う場面と観察ポイント
場面 目的 確認すること
起き上がり 沈み込みを抑えて動作しやすくする 手支持、骨盤移動、介助量
端座位 支持面の安定性を高める 体幹動揺、足底接地、恐怖感
移乗 離床時の不安定さを減らす 殿部の沈み込み、立ち上がり、介助量
更衣・おむつ交換 介助しやすい支持面にする 体位変換のしやすさ、皮膚、ずれ

リハビリ機能を使用したから安全になるわけではありません。ベッド高、端座位時の足底接地、サイドレール、ライン類、覚醒状態、起立時の循環反応などは別に確認します。

Bタイプ/コンパクト収納タイプの背上げ

背上げ機能は、マットレスの安定性を高めて背上げ姿勢を支える機能です。メーカー取扱説明書では、機能開始時に背抜き動作、解除時に圧抜き動作が行われ、約120分で元のマットレス状態へ戻る仕様が示されています。

食事や口腔ケアなどで頭側挙上を行う場面に利用できますが、背上げ機能があっても骨盤の前滑りや仙骨部へのずれが完全になくなるわけではありません。背上げ後は実際の姿勢を確認します。

  • 骨盤が足元方向へ滑っていないか
  • 仙骨部に衣類やシーツのしわが集中していないか
  • 踵がベッド上で固定され、身体だけがずれていないか
  • 体幹が左右へ崩れていないか
  • 痛みや違和感が増えていないか

120分を超えて背上げを継続する場合は、Bタイプでは再度設定が必要です。食事開始時だけでなく、終了後の姿勢や設定状態まで確認すると、長時間の背上げによるずれを見落としにくくなります。

Aタイプでは操作仕様が異なる

ハイブリッドタイプの取扱説明書には、Aタイプのリモコンも掲載されています。Aタイプでは、Bタイプと同じ「リハビリ約60分・背上げ約120分」という操作構成ではありません。

Aタイプのリハビリ機能では、作動後に約1分でマットレスがかたく安定し、約120分で元の状態へ戻る仕様です。また、むれ対策・ひえ対策にはタイマー設定があり、Bタイプとは操作方法が異なります。

記事中の時間だけを覚えて操作せず、実機のリモコン表示と、その製品に対応する取扱説明書を優先してください。

かたさはハード・ふつう・ソフトの3段階

ステージアは体重設定を必要とせず、かたさを「ハード」「ふつう」「ソフト」から選択します。ただし、かたさは褥瘡リスクだけで機械的に決めるのではなく、皮膚所見と動作の両方から確認します。

ステージアのかたさと確認ポイント
設定 メーカー取扱説明書上の目安 実際に確認すること
ハード 離床・リハビリで安定性が必要な場合、柔らかすぎる支持面が合わない場合 起き上がり、端座位、寝返り、骨突出部
ふつう 各種臥位で低圧に身体を保持する基本的な設定 皮膚、寝心地、沈み込み、体動
ソフト より低圧で保持する必要がある場合 発赤、骨突出部、沈み込み、寝返り・離床のしにくさ

「褥瘡があるから必ずソフト」「離床するから常にハード」と固定するのではなく、必要な圧再分配と身体活動のしやすさを両立できているかを確認します。

柔らかくすると身体の沈み込みや包み込みが増える一方、患者さんによっては寝返り・起き上がり・端座位が難しくなる場合があります。逆に安定性だけを優先してかたくすると、皮膚・軟部組織への負荷が問題になる可能性があります。

静止型と圧切替型は何が違う?

ステージアでは、かたさとは別に「静止型」と「圧切替型」を選択できます。つまり、かたさとエアセルの動作は別々に考えることがポイントです。

静止型と圧切替型の違い
動作 特徴 確認すること
静止型 圧切替を行わず、マイクロエアセル全体を均等なかたさで使用する 寝心地、身体の安定性、皮膚所見
圧切替型 支持する状態を変化させながら除圧動作を行う 皮膚、揺れの感じ方、睡眠、疼痛

圧切替型は同じ部位へ機械的負荷が持続する時間を減らすために利用できますが、エアマットレスを使用すれば体位変換や皮膚観察が不要になるわけではありません。

2026年版の国際褥瘡ガイドラインでは、使用する支持面だけで体位変換の要否を決めるのではなく、皮膚・組織の反応、活動性、自力で姿勢を変えられるか、現在の支持面などを踏まえて個別に判断する考え方が示されています。

むれ対策・ひえ対策の使い方

ステージアには、エアマットレス使用時に問題となりやすい寝床内のむれや冷感へ対応する機能があります。ただし、どちらも室温そのものを調整する空調機能ではありません。

むれ対策

Bタイプおよびコンパクト収納タイプでは、足元側から室温と同じ空気を送り、寝床内の湿った空気を換気します。メーカー取扱説明書では、30分動作・15分停止を繰り返す断続運転が示されています。

むれを認めた場合は、マットレス機能だけでなく以下も確認します。

  • 発汗量
  • 失禁や排泄物による湿潤
  • 寝衣やシーツの湿り
  • 防水シーツやパッドの重なり
  • 室温・湿度
  • 皮膚の浸軟

ステージアには足元側に空気を送る構造があるため、寝具やシーツ類が機能を妨げていないかも確認します。「むれ対策を入れたから大丈夫」とせず、実際の皮膚と寝床内環境を観察してください。

ひえ対策

ひえ対策は、冷たい外気によってエアセルが冷えることを抑えるための機能です。マットレス内部から表面を32℃程度に維持し、ヒーターが内蔵されている足元側約1/2の範囲を中心に作用します。

これは身体を積極的に加温する暖房機能や温熱療法ではありません。室温、寝具、体温、循環状態、発汗などを確認し、必要な保温方法は別に検討します。

他の暖房器具を併用する場合や、温度感覚が低下している患者さんでは、熱傷・低温熱傷にも注意します。また、リモコンには温度センサーがあるため、寝具の中へ入れたり暖房器具の近くへ置いたりしないようにします。

設置時はベッド高・サイドレール・寝具を確認する

ステージアのハイブリッドタイプは、ベースマットレスの上に重ねるオーバーレイ型ではなく、ベッド上へ直接設置するリプレイスメントタイプです。

設置時は、マットレス単体の機能だけでなく、ベッドとの組み合わせを確認します。

  • 頭側・足元側が正しいか
  • 表裏を逆にしていないか
  • ベッド上へ直接設置されているか
  • 電源コードやリモコンコードが挟まれていないか
  • リモコンが寝具の中へ入り込んでいないか
  • サイドレールとの高さ関係が安全か
  • 離床時の床面高が高くなりすぎていないか
  • 寝具類がむれ対策の送風を妨げていないか

メーカー取扱説明書では、マットレスへの荷重は150kgまでとされています。したがって、「体重設定が不要」と「使用者体重に上限がない」は別の意味です。

また、取扱説明書ではサイドレールについて、マットレス上面より22cm以上の高さがあるものを使用するよう示されています。実際にはベッド本体、サイドレール、患者さんの身体状況、施設の安全管理基準もあわせて確認します。

ステージアの厚さ・サイズ

2026年10月時点でモルテン公式サイトに掲載されているステージアは、ハイブリッドタイプ、コンパクト収納タイプともに厚さ13cmです。ハイブリッドタイプには83cm幅・91cm幅と、レギュラー長・ショート長があります。

ステージア ハイブリッドタイプのサイズ
品番 幅 長さ 厚さ
MSTA83 83cm 193cm 13cm
MSTA91 91cm 193cm 13cm
MSTA83S 83cm 182cm 13cm
MSTA91S 91cm 182cm 13cm

コンパクト収納タイプには、83×193×13cmのMSTAA83が掲載されています。製品仕様は変更される可能性があるため、導入・交換時は使用する製品の品番と最新のメーカー情報を確認してください。

また、厚さ13cmという数字だけで適合を判断するのではなく、交換後は床面高、端座位時の足底接地、立ち上がり、移乗、サイドレールとの位置関係まで確認します。

PTが確認したいポイント|皮膚と離床を同時に見る

ステージアを使用するときにPTが確認したいのは、「褥瘡予防ができているか」だけではありません。支持面を変更すると寝返り・起き上がり・端座位・移乗のしやすさも変化するため、皮膚と身体活動を同時に評価することが重要です。

ステージア導入後の観察項目
観察領域 具体的な確認項目
皮膚 発赤、圧痕、疼痛、湿潤、浸軟、既存褥瘡
臥床姿勢 骨突出部、沈み込み、身体の傾き、下肢位置
背上げ 骨盤の前滑り、仙骨部のずれ、体幹の崩れ
寝返り 自力で修正できるか、沈み込みが妨げていないか
起き上がり 上肢支持、骨盤移動、介助量
端座位・移乗 支持面の安定性、足底接地、恐怖感、介助量
睡眠・快適性 圧切替による違和感、疼痛、覚醒、冷感、むれ

設定を変えたときは「ソフトに変更した」「リハビリを使用した」だけで終わらせず、なぜ変更したか、変更後に何が変わったかを残すとチームで再評価しやすくなります。

マットレス導入後の観察・再評価については、体圧分散マットレス導入後の再評価と記録で詳しく整理しています。

ステージアの記録例

記録では、製品名だけでなく「設定・使用場面・観察所見・判断」を残します。以下はBタイプまたはコンパクト収納タイプを想定した一例です。

ステージア使用。かたさ「ふつう」、動作「圧切替型」。仙骨部・踵部に持続発赤なし。背上げ30°で骨盤の足元方向への移動を認めたため、背上げ機能を使用。背上げ後に骨盤位置とシーツのしわを再調整した。

離床時はリハビリ機能を使用。端座位で足底接地可能、体幹保持は見守り。通常設定時と比較して殿部の沈み込みが減少し、移乗時の介助量に増加なし。離床終了後、マットレスの設定状態を確認した。

設定変更の記録は、次の項目で整理すると簡潔です。

ステージアの記録項目
項目 記録内容
製品 ステージア/タイプ・リモコン種類
基本設定 かたさ/静止型・圧切替型
使用機能 リハビリ/背上げ/むれ/ひえ
皮膚 発赤、圧痕、湿潤、疼痛
動作 寝返り、起き上がり、端座位、移乗
判断 継続/設定変更/他職種・福祉用具担当者へ相談

設定値を残すこと自体が目的ではありません。次回の観察者が「何を目的に変更し、その結果どうだったか」を比較できる記録にすると、再評価につながります。

よくある質問

ステージアは体重設定が必要ですか?

体重をリモコンへ入力する必要はありません。体型や体重に応じた体圧調整を自動で行う仕様です。ただし、メーカー取扱説明書では使用者の荷重上限が150kgとされているため、体重制限がないという意味ではありません。

リハビリモードは押したままでも大丈夫ですか?

リモコンタイプによって仕様が異なります。Bタイプおよびコンパクト収納タイプでは約60分で元の状態へ戻ります。一方、Aタイプのハイブリッドタイプでは、リハビリ機能が約120分で元の状態へ戻る仕様です。実機のリモコンと対応する取扱説明書を確認してください。

背上げ機能は食事のときに使えますか?

Bタイプおよびコンパクト収納タイプでは、食事や口腔ケアなどの背上げ場面がメーカー取扱説明書の使用例として示されています。約120分で元の状態へ戻るため、それ以上背上げを続ける場合は再設定と患者さんの姿勢を確認します。

むれ対策を使えば失禁や発汗による湿潤は気にしなくてよいですか?

いいえ。むれ対策は寝床内の換気を補助する機能であり、失禁や発汗による湿潤そのものを解決する機能ではありません。皮膚、失禁、寝衣、シーツ、防水材、室温・湿度をあわせて確認します。

ステージアを使えば体位変換はしなくてもよいですか?

エアマットレスを使用していることだけを理由に、体位変換を不要とは判断しません。褥瘡リスク、皮膚・組織の反応、活動性、自力で姿勢を変えられるか、現在の支持面などを総合して個別に判断します。

まとめ|設定ではなく「設定後の反応」まで確認する

ステージアは、体重設定を行わず、かたさと静止型/圧切替型を選び、必要に応じてリハビリ・背上げ・むれ・ひえ対策を使用する高機能エアマットレスです。

実務で重要なのは機能名を覚えることよりも、実機のリモコンタイプを確認し、場面に合った機能を使用したあとに、皮膚・姿勢・離床・睡眠がどう変わったかを確認することです。

特に「体重設定不要=調整不要」ではありません。かたさ、動作、寝床内環境、ベッドとの適合を確認し、設定変更前後を同じ観察項目で比較してください。

参考文献

  1. 株式会社モルテン.エアマットレス ステージア.製品情報.2026年10月6日確認.公式サイト
  2. 株式会社モルテン.高機能エアマットレス ステージア ハイブリッドタイプ 取扱説明書.2026年版.2026年10月6日確認.取扱説明書一覧
  3. 株式会社モルテン.高機能エアマットレス ステージア コンパクト収納タイプ 取扱説明書.2026年10月6日確認.取扱説明書一覧
  4. National Pressure Injury Advisory Panel, European Pressure Ulcer Advisory Panel, Pan Pacific Pressure Injury Alliance. Full Body Support Surfaces for Prevention of Pressure Injuries. In: Prevention and Treatment of Pressure Ulcers/Injuries: Clinical Practice Guideline. The International Guideline. 4th ed. 2026.
  5. National Pressure Injury Advisory Panel, European Pressure Ulcer Advisory Panel, Pan Pacific Pressure Injury Alliance. Repositioning and Mobilization. In: Prevention and Treatment of Pressure Ulcers/Injuries: Clinical Practice Guideline. The International Guideline. 4th ed. 2026.

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録、医療制度など、医療従事者の実務に役立つ情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級