寝たきり患者の必要エネルギー量は活動係数だけで決めない
寝たきり・長期臥床患者の必要エネルギー量は、一般成人向けの活動係数を一律に掛けて決めるのではなく、患者の体格、栄養状態、病態、実際の投与量、体重推移を組み合わせて判断します。特に、ほぼ終日臥床し、リハビリテーション時のみ離床する患者では、一般的な身体活動レベル(PAL)をそのまま当てはめにくい場合があります。
ただし、活動量が少ないからといって、総エネルギー消費量(TEE)が安静時エネルギー消費量(REE)と等しくなるわけではありません。食事誘発性熱産生やわずかな身体活動に加え、発熱、炎症、創傷治癒などの病態も考慮する必要があります。
本記事では、長期臥床患者の必要エネルギー量を検討する際の活動係数の考え方、Mifflin–St Jeor式(MSJ式)・Harris–Benedict式(HB式)・kcal/kg法の使い分け、入院時評価と定期再評価の手順を解説します。
この記事の結論
- 寝たきり患者に一般成人の活動係数を機械的に適用しない。
- kcal/kg法は初期概算、MSJ式・HB式は代謝推定の参考値として区別する。
- 22 kcal/kgなどの低い係数を、長期臥床患者の標準値として固定しない。
- 推定必要量と実投与量を照合し、体重・筋量・病態の変化から再評価する。
- 推定値の差だけで栄養投与量の変更を決めない。
計算式の詳細や一般的な必要エネルギー量の求め方は、必要エネルギー量の計算・決め方で確認できます。本記事では、長期臥床患者における臨床判断に重点を置きます。
長期臥床患者に活動係数を使う際の注意点
活動係数は24時間の生活状況を踏まえて考える
活動係数を検討するときは、リハビリテーション中の活動だけでなく、24時間の生活状況を確認する必要があります。
例えば、リハビリテーション中に20分間離床していても、それ以外の時間をほぼベッド上で過ごしている場合、1日全体の身体活動量は限定的です。
一方、同じ全介助の患者でも、頻回な体位変換、筋緊張亢進、不随意運動、呼吸努力の増加などがあれば、エネルギー消費の状況は異なります。
日本人の食事摂取基準で示される身体活動レベル(PAL)は、主として健康な人の生活活動を想定した指標です。そのため、重度のADL低下がある長期臥床患者に、その区分を機械的に適用することは適切とは限りません。
PALと推定エネルギー必要量(EER)の一般的な関係については、EERとPALの決め方を参照してください。
活動量が少なくても必要量が低いとは限らない
長期臥床による筋量減少は、安静時エネルギー消費量の低下につながる可能性があります。しかし、感染、発熱、炎症、創傷治癒などが重なると、必要エネルギー量が変化することがあります。
| 要因 | 考えられる影響 | 確認項目 |
|---|---|---|
| 長期臥床・筋萎縮 | 除脂肪量の減少に伴いREEが低下する可能性 | 筋量、体重、臥床期間 |
| リハビリ時のみ離床 | 身体活動による消費が限定的 | 離床時間、運動内容、病棟ADL |
| 筋緊張亢進・不随意運動 | 程度や持続時間によって消費が増える可能性 | 筋緊張、運動の程度、持続時間 |
| 発熱・感染・炎症 | 代謝が亢進する可能性 | 体温、炎症所見、全身状態 |
| 褥瘡・創傷 | 創傷の重症度や治癒過程によって必要量が変化 | 創傷の範囲、感染、治癒経過 |
| 浮腫・体液変動 | 体重を用いた推定が不正確になる可能性 | 浮腫、輸液、体重測定条件 |
重要なのは、ADLが低いことだけを根拠に必要エネルギー量を減らさないことです。身体活動量と安静時代謝、総エネルギー消費量は区別して評価します。
REE・BMR・TEEの違いを整理する
必要エネルギー量の推定では、安静時エネルギー消費量(REE)、基礎代謝量(BMR)、総エネルギー消費量(TEE)を区別する必要があります。
| 指標 | 意味 | 臨床上の注意点 |
|---|---|---|
| BMR | 厳格な基礎代謝測定条件でのエネルギー消費量 | 測定条件が厳しく、通常の臨床では実測が難しい |
| REE | 安静状態でのエネルギー消費量 | BMRより緩やかな条件で測定される |
| TEE | 1日の総エネルギー消費量 | 安静時代謝、身体活動、食事誘発性熱産生などを含む |
生理学的には、同一人物を適切な条件で実測した場合、REEはBMRより高くなる傾向があります。
ただし、異なる推定式で計算した値には、この大小関係が必ず成立するわけではありません。
MSJ式のREEがHB式のBMRより低くなる理由
MSJ式とHB式は、作成された時代、対象集団、回帰式の構造が異なります。そのため、同じ患者の年齢・性別・身長・体重を入力しても、MSJ式の推定REEがHB式の推定値より低くなることがあります。
これは、実測REEが実測BMRより低いことを示すものではありません。異なる推定モデルの結果を比較しているためです。
なお、HB式には1919年の原式と1984年の改訂式があります。HB式は基礎代謝量の推定を起源としますが、臨床では安静時代謝の推定にも利用されます。計算結果を比較するときは、採用した式の種類を明記してください。
補正前のREEを1日の必要量と混同しない
総エネルギー消費量(TEE)は、概念的に次のように表せます。
TEE ≒ REE + 身体活動による消費 + 食事誘発性熱産生
例えば、MSJ式でREEが1,100 kcal/日と推定されても、それだけで1日の必要エネルギー量を1,100 kcalと確定することはできません。
一方、活動係数とストレス係数を機械的に掛け合わせる方法にも推定誤差があります。長期臥床患者では、係数を一律に設定するのではなく、患者の病態と生活状況を踏まえて判断する必要があります。
MSJ式・HB式・kcal/kg法の使い分け
長期臥床患者のエネルギー評価では、3つの方法を同じ意味の数値として扱わないことが重要です。
| 計算方法 | 推定対象 | 実務上の役割 |
|---|---|---|
| MSJ式 | REE | 安静時代謝の参考値 |
| HB式 | BMRを起源とする代謝推定値 | 別の推定モデルによる参考値 |
| kcal/kg法 | 係数の根拠に応じたエネルギー量 | 総必要量の初期概算など |
リハビリ部門で入院時評価と定期再評価に共通して使用する場合は、kcal/kg法で初期概算を行い、MSJ式・HB式を補助的な比較値として表示する方法が考えられます。
ただし、3つの計算結果の平均値や最大値を自動的に採用する方法はおすすめしません。また、推定式同士の結果が近いことは、その患者に対する正確性を保証しません。
計算結果の解釈に迷う場合は、患者の体重推移、栄養状態、病態、実際の投与量を確認します。推定誤差が臨床判断に大きく影響する場合は、可能であれば間接熱量測定を検討します。
20・22・25・27・30 kcal/kgをどう解釈するか
kcal/kg法は、体重に係数を掛けてエネルギー量を概算する方法です。計算は簡便ですが、係数の選択によって結果が大きく変わります。
ESPENの2024年多疾患併存入院患者ガイドラインでは、間接熱量測定ができない65歳以上の多疾患併存入院患者について、TEEを約27 kcal/kg/日で概算できるとしています。
同ガイドラインでは、REEを18〜20 kcal/kg/日で概算し、活動・ストレスの影響を考慮してTEEを推定する方法も示されています。
また、ESPENの2022年高齢者栄養ガイドラインでは、30 kcal/kg/日を高齢者の一般的な出発点とし、栄養状態、身体活動量、疾患、耐容性に応じた個別調整を推奨しています。
| 係数 | 位置づけ | 注意点 |
|---|---|---|
| 20 kcal/kg | 低めの比較値 | REEの概算とTEEの目標を混同しない |
| 22 kcal/kg | 低めの比較候補 | 寝たきり患者の標準値ではない |
| 25 kcal/kg | 中間的な比較候補 | 患者の病態・栄養状態に応じて判断 |
| 27 kcal/kg | 65歳以上の多疾患併存入院患者におけるTEEの概算目安 | ESPEN 2024の対象集団と適用条件を確認 |
| 30 kcal/kg | 高齢者の一般的なエネルギー摂取量の出発点 | ESPEN 2022では個別調整が前提 |
20・22・25 kcal/kgは、この表では比較用の係数として示しています。すべての値が長期臥床患者に対するガイドライン上の推奨目標という意味ではありません。
22 kcal/kgを寝たきり患者の標準値にしてよいか
長期臥床で身体活動量が極めて少ない患者に対して、22 kcal/kgを比較候補として表示することは考えられます。しかし、寝たきり患者全員に22 kcal/kgが適切とする十分な根拠はありません。
特に、低栄養、体重減少、感染、炎症、褥瘡などがある患者では、活動量だけを理由に低い係数を採用すると、必要量を過小評価する可能性があります。
一方、体重増加が続いている患者でも、浮腫や体液貯留による増加なのか、脂肪量や筋量の変化なのかを確認せずに投与量を減らすべきではありません。
計算に使用する体重にも注意する
kcal/kg法では、使用する体重の妥当性も重要です。浮腫、腹水、著しい肥満、体液変動などがある場合は、実測体重をそのまま使用すると推定値が不正確になることがあります。
体重の選択については、栄養計算に使う体重の選び方を参照してください。
症例で考える:リハビリ時のみ離床する患者
ここでは、長期臥床患者のエネルギー必要量を検討する場面を架空症例で整理します。実在患者の情報ではありません。
架空症例:長期臥床の高齢女性
- 80歳、女性
- 身長150cm、体重50kg
- BMI:22.2 kg/m²
- 日常生活はほぼ全介助
- 普段はベッド上で生活し、リハビリ時のみ離床
- 経管栄養で1,200 kcal/日を投与
- 明らかな発熱・急性炎症はない設定
3つの方法で計算する
MSJ式は女性用の簡略式、HB式は1919年の女性用原式を使用します。いずれも活動係数・ストレス係数は掛けていません。
| 計算方法 | 推定値 |
|---|---|
| MSJ式(推定REE) | 約877 kcal/日 |
| HB原式(推定BMR) | 約1,037 kcal/日 |
| 20 kcal/kg | 1,000 kcal/日 |
| 22 kcal/kg | 1,100 kcal/日 |
| 25 kcal/kg | 1,250 kcal/日 |
| 27 kcal/kg | 1,350 kcal/日 |
| 30 kcal/kg | 1,500 kcal/日 |
MSJ式の計算は「10×50+6.25×150-5×80-161=876.5 kcal/日」です。HB原式の計算結果は約1,037 kcal/日です。
このように、MSJ式の推定REEがHB原式の推定BMRより低くなることがあります。ただし、推定式の違いによる結果であり、生理学的な矛盾ではありません。
なお、MSJ式の原著で対象となった成人は主に19〜78歳であり、80歳の患者への適用は原著対象の年齢範囲外です。この症例では計算方法の比較を目的としており、MSJ式の値を真のREEとみなすことはできません。
現在の投与量をkcal/kgに換算する
この症例では、実投与量1,200 kcal/日は24 kcal/kg/日に相当します。
1,200 kcal ÷ 50 kg = 24 kcal/kg/日
27 kcal/kg法の概算値1,350 kcal/日とは150 kcal/日の差があります。しかし、この差だけで投与不足と判断することはできません。
また、MSJ式の877 kcal/日より投与量が多いことだけで、過剰投与と判断することもできません。
同じ投与量でも体重推移によって判断が変わる
| 経過 | 確認すること | 対応例 |
|---|---|---|
| 体重が安定 | 筋量、浮腫、身体機能、栄養状態 | 現状を継続評価する |
| 体重が減少 | 実投与量、脱水、炎症、筋量減少 | 栄養管理の再評価を提案する |
| 体重が増加 | 浮腫、輸液、脂肪量、筋量変化 | 増加原因を確認する |
| 感染・発熱が出現 | 病態、代謝、栄養耐容性 | 必要量の再検討を相談する |
推定値と実投与量の差は、再評価を始めるための情報です。差があること自体を、栄養不足や過剰投与の診断基準にはしません。

図版の読み方:図中の「20〜25 kcal/kg/日」は比較・検討用の例であり、長期臥床患者全員に推奨される標準値ではありません。MSJ式・HB式に活動係数やストレス係数を適用する場合も、計算方法と患者背景に応じた個別判断が必要です。図中の「週1回以上」の体重確認は運用例であり、測定頻度は患者の状態と施設の方針に合わせて設定します。また、投与量の調整はリハ部門が単独で決めるものではなく、主治医・管理栄養士などと連携して判断します。
入院時は栄養スクリーニングと必要量推定を分ける
入院時には、栄養リスクのスクリーニングとエネルギー必要量の推定を区別します。
必要エネルギー量を計算するだけでは、低栄養リスクを十分に評価できません。体重減少、食事摂取量の低下、疾患負荷などを確認し、対象集団に適した妥当性が検証されたスクリーニングツールを活用します。
高齢患者ではMNA-SFなどが候補になりますが、施設の運用や患者の状態に応じて選択します。低栄養の診断が必要な場合は、スクリーニング結果だけで確定せず、GLIM基準などに基づく詳細評価につなげます。
| 順序 | 評価項目 | 確認内容 |
|---|---|---|
| 1 | 基本情報 | 年齢、性別、身長、体重、BMI |
| 2 | 栄養リスク | 体重減少、摂取量低下、スクリーニング結果 |
| 3 | 活動状況 | 病棟ADL、離床時間、リハビリ実施状況 |
| 4 | 病態 | 発熱、感染、炎症、褥瘡、呼吸状態 |
| 5 | エネルギー推定 | kcal/kg法、必要に応じてMSJ式・HB式 |
| 6 | 実際の摂取・投与量 | 経口、経管、静脈栄養など |
| 7 | 再評価計画 | 次回確認時期、見直しが必要となる条件 |
低栄養リスクが高い場合は投与開始量にも注意する
低栄養やリフィーディング症候群のリスクが高い患者では、計算上の最終目標量をそのまま投与開始量にしてはいけません。
栄養投与の開始・増量は、電解質異常、栄養状態、病態などを評価したうえで、主治医・管理栄養士などが栄養管理計画に基づいて決定します。
リハ部門では、体重減少、長期間の摂取不良、著しい低栄養の疑いなどを把握した場合、早期に多職種へ共有することが重要です。
定期再評価では体重・実投与量・病態の変化を確認する
長期臥床患者では、入院時の推定必要量を固定せず、その後の経過に応じて見直すことが重要です。
特に、体重、実際の摂取・投与量、筋量、活動量、浮腫、感染などの変化を継続して確認します。
再評価が必要となる主なきっかけ
| 変化 | 確認する内容 | 対応の方向性 |
|---|---|---|
| 意図しない体重減少 | 投与量、摂取量、脱水、炎症、筋量 | 不足の可能性を含めて詳細評価 |
| 継続的な体重増加 | 浮腫、体液変動、脂肪量、筋量 | 増加原因を確認して再検討 |
| 発熱・感染 | 病態、代謝、栄養耐容性 | 必要量と投与計画の再評価を相談 |
| 活動量の変化 | 離床時間、リハビリ内容、病棟ADL | 活動状況を再評価 |
| 褥瘡の発生・悪化 | 栄養状態、創傷の重症度、感染 | 創傷管理と栄養管理を多職種で検討 |
| 栄養投与量の変更 | 変更理由、実投与量、体重推移 | 新しい投与条件で再評価 |
| 筋量・身体機能の低下 | 筋萎縮、活動量、タンパク質摂取量 | エネルギー以外の要因も評価 |
これらは再評価のきっかけであり、単独で投与量の増減を決める基準ではありません。
体重が安定していても筋量減少に注意する
長期臥床患者では、体重が大きく変化していなくても、筋量減少が進行している場合があります。
また、体重増加が認められても、それが筋量増加を意味するとは限りません。浮腫や体液貯留、脂肪量の変化なども考慮する必要があります。
リハ部門では、体重だけでなく、筋萎縮、基本動作、姿勢保持能力、ADL、活動量などを継続して確認することが重要です。
タンパク質摂取量も別に確認する
エネルギー投与量が十分であっても、タンパク質摂取量が不足している場合や、炎症・疾患・不活動によって筋量が減少する場合があります。
そのため、筋量や身体機能の低下が認められる患者では、エネルギー必要量だけでなく、タンパク質摂取量や栄養状態についても確認します。
ただし、タンパク質必要量は腎機能、病態、栄養状態などによって異なります。エネルギー量と同様に、単一の数値を全患者へ一律に適用しないことが重要です。
推定必要量と実投与量が異なる場合の判断
推定必要量と実投与量が一致しない場合は、差の大きさだけで投与量を変更するのではなく、患者の経過と推定条件を確認します。
| 状況 | 確認事項 | 対応例 |
|---|---|---|
| 実投与量が推定値より少ない | 体重減少、摂取不良、栄養リスク、病態 | 不足の可能性を評価し多職種へ共有 |
| 実投与量が推定値より多い | 体重増加、浮腫、推定式の適用条件 | 過剰投与と即断せず経過を確認 |
| 推定式間で差が大きい | 使用式、体重、年齢、体格、病態 | 計算条件を再確認 |
| 体重は安定しているが筋量が低下 | 活動量、タンパク質摂取、炎症、疾患 | 栄養とリハの両面から再評価 |
リハ部門での判断は3段階に整理する
リハ部門における評価結果の整理例
① 経過観察
体重、栄養投与量、身体機能などが安定し、明らかな懸念がない場合。定期的な確認を継続します。
② 詳細評価を検討
推定必要量と実投与量に差がある場合や、体重・筋量・活動量に変化が認められる場合。推定条件と臨床所見を再確認します。
③ 多職種への相談を優先
著明な体重減少、摂取不良、低栄養の疑い、浮腫・脱水、感染、褥瘡の悪化などが認められる場合。管理栄養士・主治医と情報共有し、必要な評価につなげます。
この3段階は、リハ部門で評価結果を整理するための実務例です。ガイドラインで定められた診断基準や、栄養投与量変更の自動判定基準ではありません。
判断に迷う場合や、推定誤差が栄養管理方針に大きく影響する場合は、実施可能な施設で間接熱量測定を検討することも選択肢です。
詳しくは、間接熱量測定の解説を参照してください。
リハビリ部門が栄養評価に関わる意義
リハビリテーション専門職は、患者の活動量、基本動作、ADL、筋萎縮、姿勢保持、筋緊張などを継続的に観察できる立場にあります。
これらの情報は、必要エネルギー量の推定条件や栄養管理の見直しを検討する際に役立ちます。
例えば、栄養投与量が変わっていなくても、離床時間の増加、発熱、筋緊張の変化、褥瘡の発生などによって、必要量を再検討する理由が生じます。
リハ部門独自の評価では、次の3つを明確にすると実用的です。
- 入院時に栄養リスクとエネルギー必要量の概算を確認する。
- 体重、筋量、活動量、病態の変化から再評価が必要な患者を把握する。
- 栄養管理の見直しが必要と考えられる場合、客観的な情報を多職種へ共有する。
リハ部門が計算した推定値だけで栄養処方を決定するのではなく、管理栄養士・主治医と連携して判断することが重要です。
また、栄養状態と身体機能の関係を評価する際は、エネルギー摂取量だけでなく、タンパク質摂取、筋量、身体活動、炎症なども含めて検討します。
よくある質問
寝たきり患者の活動係数は1.0でよいですか?
一律に1.0とすることはおすすめしません。身体活動が少なくても、食事誘発性熱産生などの消費は存在します。また、病態によって必要量が変化する場合があります。採用する推定方法の前提を確認し、患者ごとに判断します。
MSJ式のREEがHB式のBMRより低いのは計算ミスですか?
必ずしも計算ミスではありません。異なる対象集団から作成された推定式であり、計算結果の大小関係は保証されません。ただし、HB原式と改訂式の違い、性別、単位、入力値を確認することが重要です。
寝たきり患者には22 kcal/kgが適していますか?
22 kcal/kgを比較候補として用いることは考えられますが、長期臥床患者全員に適切とする十分な根拠はありません。低栄養や感染などがある患者では必要量を過小評価する可能性もあります。患者の病態と経過を踏まえて判断します。
体重が増えている場合は投与量を減らすべきですか?
体重増加だけで投与量の減量を判断しません。浮腫、輸液、体液貯留、脂肪量、筋量などの変化を確認し、現在の投与量と病態を合わせて評価します。必要に応じて管理栄養士・主治医へ相談します。
入院時に計算した必要エネルギー量はいつ見直しますか?
体重、摂取・投与量、活動量、病態などに変化があった場合は再評価を検討します。また、状態が安定していても、施設の運用に応じて定期的に確認することが重要です。すべての患者に同じ再評価間隔を設定するのではなく、栄養リスクと病態に応じて判断します。
まとめ
寝たきり・長期臥床患者の必要エネルギー量は、活動係数や単一の計算式だけでは正確に判断できません。
kcal/kg法は初期概算に活用し、MSJ式・HB式は安静時代謝の参考値として位置づけます。推定値と実投与量を照合し、体重、筋量、活動量、病態の変化を確認しながら見直すことが重要です。
特に、ほぼ終日臥床し、リハビリテーション時のみ離床する患者では、一般成人のPALを機械的に当てはめず、実際の生活状況と臨床所見を重視します。
リハ部門では、必要エネルギー量を確定することよりも、栄養管理の再評価が必要な患者を早期に把握し、多職種へ情報共有することが重要です。
具体的な計算方法については、必要エネルギー量の計算・決め方をご覧ください。
参考文献
- Wunderle C, et al. ESPEN practical guideline: Nutritional support for polymorbid medical inpatients. Clinical Nutrition. 2024;43(3):674–691. DOI
- Volkert D, et al. ESPEN practical guideline: Clinical nutrition and hydration in geriatrics. Clinical Nutrition. 2022;41(4):958–989. DOI
- Mifflin MD, et al. A new predictive equation for resting energy expenditure in healthy individuals. American Journal of Clinical Nutrition. 1990;51(2):241–247. DOI
- Harris JA, Benedict FG. A Biometric Study of Human Basal Metabolism. Carnegie Institution of Washington. 1919.

