活動量計で 23 Ex を続けるコツ|計算ツール付き

臨床手技・プロトコル
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活動量計で 23 Ex を運用するコツ:最初の 7 日と週次レビュー

このページは、退院後に活動量計を使って 23 Ex / 週 をどう回すかを決める記事です。結論は、最初の 7 日は介入より観察を優先し、週合計 Ex ・中強度以上の分数・座位時間・装着率の 4 つに絞って見れば、指導がかなり安定します。

一方で、ここは「 23 Ex の計算を詳しく学ぶページ」でも「 METs 一覧を全部覚えるページ」でもありません。この記事で決めるのは、何を見て、いつ介入し、どう増やすかです。成人の目安は 23 Ex / 週ですが、高齢者では目安の置き方が変わるため、その違いも後半で整理します。

活動量計の運用がブレる背景には、個人の努力だけでなく、評価の見本が少ない、相談相手がいない、記録と再評価の型が職場でそろっていない、といった環境要因もあります。指導の型を先にそろえたい方は、学び方と整理の順番を先に確認しておくと動きやすくなります。

評価 → 目標 → 指導の順番が固まると、退院後の運動指導はかなりラクになります。 PT キャリアガイドを見る

なぜ活動量計で 23 Ex を見るのか

退院後の運動指導では、「歩数が増えたか」だけだと強度の違いが落ちます。同じ 6,000 歩でも、ゆっくり平地を歩いたのか、やや速歩で坂道を含んだのかでは負荷が変わるため、量の確認は Ex を主指標にした方が説明しやすくなります。

活動量計の役割は、患者さんを“管理する”ことではなく、週単位の振り返りを具体化することです。数字を増やすこと自体が目的ではなく、「今週はどこで積めたか」「どこで止まったか」を共有し、次の 1 週間の修正点を決めるための道具として使います。

最初の 7 日は「介入せず観察」で始める

退院直後は生活リズムがまだ固まっていないため、最初の 1 週間は装着 → 自動記録 → 1 日 1 行メモに絞るのが安全です。ここでいきなり目標を細かく増やすと、装着忘れや反動が起きやすく、基準となる“現在地”が分からなくなります。

メモは「痛み」「息切れ」「疲労感」「睡眠」の 4 つで十分です。レビュー時に大切なのは、日単位の良し悪しより、 7 日で見た週合計と日内の偏りです。まずは“どの時間帯なら無理なく積めるか”を見つける期間だと考えると運用が安定します。

活動量計で見る数字は 4 つだけ:歩数だけにしない

活動量計の画面には多くの数字が並びますが、臨床で固定すべきものは多くありません。最初に追うのは、週合計 Ex ・中強度以上の分数・座位時間・装着率の 4 つで十分です。

数字を増やしすぎるとレビューが続きません。見る項目を固定し、同じ順番で振り返る方が、患者さんにも家族にも説明しやすくなります。

活動量計で最初に固定する 4 指標:主指標と補助指標の使い分け
指標 位置づけ 見方 次の一手
週合計 Ex 主指標 今週どれだけ積めたかを 7 日単位で確認する 不足していれば、まず回数を増やす
中強度以上の分数 補助指標 どの時間帯に“稼げる”かを見る 食後や買い物前後など、入りやすい時間に固定する
座位時間 補助指標 長い連続座位がどこで起きるかを見る 30〜60 分ごとの立ち上がりや家事を挟む
装着率 前提条件 測定できた日が週のどれくらいあるかを見る 置き場所・充電・通知を先に見直す

週次レビューで増やす:順番は「回数 → 時間 → 強度」

レビューは 10 分以内で回る形が最も続きます。見る順番は、( 1 )週合計 Ex 、( 2 )積めた時間帯、( 3 )座位時間の長い帯、( 4 )翌日に残った症状の順です。数字だけで終わらせず、「なぜできたか」「なぜ止まったか」を 1 行で残すと、次週の修正が速くなります。

増やし方は、いきなり強度を上げるよりも、回数 → 時間 → 強度の順が安全です。たとえば、週 3 回の散歩を週 4 回にする、 1 回 15 分を 20 分にする、最後にやや速歩へ近づける、という流れだと反動が少なくなります。

  1. 回数を増やす:できる曜日を 1 日増やす
  2. 時間を伸ばす: 1 回 5〜10 分だけ足す
  3. 強度を上げる:必要な場合のみ、会話が保てる範囲で少し上げる

23 Ex の自動計算ツール

METs ・時間・回数を手計算するのが手間なときは、自動計算ツールを使うと週合計 Ex をすばやく確認できます。患者さんへの説明前にざっと見積もりたい場面や、面談中に「この活動を週何回入れるとどれくらいになるか」を一緒に確認したい場面で使いやすいです。

記事内では必要な方だけ開けるようにしてあります。単独ページでも使えるので、別タブで開いて使いたい方は下のボタンからどうぞ。

記事内プレビューを開く

A4 記録シートを使うと週次レビューが回しやすくなります

活動量計の数字は取れていても、面談で「何を見て」「どこを修正するか」が毎回ぶれると、継続しにくくなります。週合計 Ex ・中強度以上の分数・座位時間・装着率を 1 枚で見返せる形にしておくと、患者さん本人にも家族にも説明しやすくなります。

下の PDF は、最初の 7 日の観察と週次レビューを回しやすくするための A4 記録シートです。ダウンロードして使いたい方は、次のボタンから開いてください。

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PDF が表示されない場合は、こちらから開いてください

高齢者・フレイルでは「 23 Ex を機械的に当てはめない」

成人の目安として 23 Ex / 週は扱いやすい指標ですが、高齢者では 3 METs 以上の身体活動 15 Ex / 週と、多要素な運動を週 3 日以上取り入れる考え方が土台になります。したがって、高齢者やフレイルに対して「まず 23 Ex を達成しましょう」と機械的に迫る運用は避けた方が安全です。

実際には、短時間 × 複数回で分け、立位や歩行にこだわりすぎず、家事や移動も含めて“今週より少し多い”を狙う方が続きます。活動量計の数字は判定材料ではなく、体調変動と生活リズムを見ながら漸増するための物差しとして使ってください。

現場の詰まりどころ:数字があっても増えない理由

このゾーンは、「活動量計の数字は出ているのに、行動が変わらない」ときの整理用です。まず詰まりやすい場所を言語化すると、次の一手が決めやすくなります。

▶ よくある失敗へ
▶ 回避の手順へ
関連:活動候補に迷うときの METs 早見表

よくある失敗

活動量計運用で起こりやすい失敗:理由と影響の整理
失敗 起こりやすい理由 起きる問題
歩数だけを目標にする 強度の違いが見えず、達成感だけが先行しやすい Ex が伸びず、負荷の実態が分からない
毎日同じ目標を置く 退院後は曜日や予定で生活負荷が変わる できない日が続くと中断しやすい
頑張った日だけ増やす 週合計より単日の達成感を優先してしまう 翌日に反動が来て、週間では伸びない
装着忘れを放置する 充電や置き場所が固定されていない レビューの前提となるデータが欠ける

回避の手順

回避策は複雑ではありません。主指標を週合計 Ex に固定し、増やす順番を 1 本化し、装着率を先に整えるだけでも運用はかなり安定します。

  1. 主指標を 1 つにする:週合計 Ex を中心に見る
  2. 曜日差を前提にする:日目標ではなく 7 日合計で評価する
  3. 装着率を先に直す:数字が少ない週は“活動不足”ではなく“測定不足”の可能性を先に疑う

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

23 Ex は毎週ぴったり達成しないと意味がないですか?

意味はあります。大切なのは、毎週ぴったり一致することではなく、今の生活の中で週合計が少しずつ増えることです。未達の週があっても、曜日差や体調を踏まえて次の 7 日で調整できれば問題ありません。

歩数は増えているのに Ex が伸びません

歩数だけでは強度が反映されにくいためです。ゆっくりした歩行や短い移動が中心だと、歩数は増えても Ex は伸びにくくなります。歩数は補助指標、Ex は主指標と分けて考えると混乱が減ります。

高齢者にも 23 Ex をそのまま使っていいですか?

そのまま機械的に当てはめるのはおすすめしません。高齢者では目安の置き方が異なるため、まずは体調変動と生活文脈に合わせて、短時間 × 複数回で漸増する設計が現実的です。

装着忘れが多い週はどう扱えばいいですか?

その週は“活動量が少なかった”と即断せず、まず測定できていたかを確認します。充電場所、起床後の置き場所、家族からの声かけなど、装着行動の設計を見直してから再評価してください。

次の一手


参考文献

  1. 厚生労働省. 健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023. 2023. PDF
  2. 厚生労働省. 健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023 推奨事項一覧. 2023. PDF
  3. Bull FC, Al-Ansari SS, Biddle S, et al. World Health Organization 2020 guidelines on physical activity and sedentary behaviour. Br J Sports Med. 2020;54(24):1451-1462. doi: 10.1136/bjsports-2020-102955
  4. Herrmann SD, Willis EA, Ainsworth BE, et al. 2024 Adult Compendium of Physical Activities: A third update of the energy costs of human activities. J Sport Health Sci. 2024;13(1):6-12. doi: 10.1016/j.jshs.2023.10.010
  5. Wu S, Li G, Du L, et al. The effectiveness of wearable activity trackers for increasing physical activity and reducing sedentary time in older adults: A systematic review and meta-analysis. Digit Health. 2023;9:20552076231176705. doi: 10.1177/20552076231176705
  6. Li R, Li Y, Wang L, et al. Wearable Activity Tracker-Based Interventions for Physical Activity, Body Composition, and Physical Function Among Community-Dwelling Older Adults: Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. J Med Internet Res. 2025;27:e59507. doi: 10.2196/59507

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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